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子宮頸がん

がんの解説

がんの症状から治療法までを、県内病院で診察中の医師が解説します。

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1 子宮頸がんとは

 子宮は西洋梨の形をしており、図1に示すように、体部と頸部に分かれます。頸部の一部は膣内に突出していますが、その中央に子宮の内腔に続く入り口(外子宮口)があり、子宮頸がんはその外子宮口の周囲に発生します。外子宮口は膣の方から直接、目で見て診察することが可能で、がん検診によりがんになっているかを診断することができます。

 子宮頸がんに年間約9,700人の方が患い、約2,700人の方が死亡する病気です。子宮頸がんになる方は20歳前半から急激に増え始め、30歳代から40歳代に最も多く、高齢になるほど増える胃癌や肺癌など他のがんと比べ、若い方に占める割合が高いことを特徴としています。

 子宮頸がんは大きく、扁平上皮がん(約75%)と腺がん(約25%)に分けられます。扁平上皮がんの自然史はよく分かっており、前がん病変である子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia; CIN)を経過してから子宮頸がんへと進展していきます。CINはCIN1(軽度異形成), CIN2(中等度異形成), CIN3(高度異形成・上皮内がん)の3段階に分類され、一部は自然に病変が消退することもあります。この段階で診断できれば、がんになる前に(前がん状態で)治療しきることも可能となるわけです。

 子宮頸がんの原因は、ウィルス(ヒトパピローマウィルス;HPV)の感染であることが分かっています。HPVは性行為により人から人に感染しますが、多くの方が一度は感染の経験をもち、珍しい事ではありません。ただ感染したからといって全員の方が、直ぐにがんになるわけではなく、感染した方のわずかの方(約1%未満と言われています)が、数年から十数年の経過でがんになることが分かっています。HPVは100種類以上が特定されており、その内の30~40の型が性的接触により感染します。そして子宮頸がんとの関連性が高い型は13種類特定(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68)されており、高リスク型と呼ばれております。16型と18型の2タイプが子宮頸がんの約60%に認められています。この16型と18型の感染を防ぐ予防ワクチンが承認されていて、アメリカでは2006年から、日本では2009年より予防ワクチンの接種が可能となっています。子宮頸がんは、HPVワクチン接種とがん検診により予防できるがんとなっております。(子宮頸がん予防ワクチンについては「子宮頸がん予防ワクチンについて」をご覧下さい。)

子宮模式図
図1:子宮模式図

2.症状

子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)や初期の子宮頸がんでは症状のないのが普通です。症状がなくてもがんになっている可能性もあり、20歳を過ぎたら子宮がん検診を受けることが必要です。
がんが進行しますと、不正性器出血、性行為出血やふだんと違うおりものが増えたりしてきます。更に進行しますと、頻尿・尿意切迫、血尿、乏尿(尿量の減少)、便意切迫、下血、腰痛、下肢痛などを生じることもあります。
症状のある方は直ぐに検査を受けることが必要です。

3.診断(がん検診)

1)細胞診

外子宮口(子宮頸がんができやすい場所)を綿棒やヘラのようなものでこすって、異常がないかを検査する方法です。簡便で痛みもほとんどなく、短い時間でできる検査です。子宮がん検診では、この細胞診を行います。
結果は以下のように分類され、陰性以外では精密検査が必要になります。
陰性(NILM)、軽度病変疑い(ASC-US) 、高度病変疑い(ASC-H)、軽度病変(LSIL)、高度病変(HSIL)、扁平上皮がん(SCC)、腺異形細胞(AGC)、上皮内腺がん(AIS)、腺がん(Adenocarcinoma)

2)HPV-DNA検査

上皮内細胞中のHPV-DNAの検出が可能な検査です。子宮頸がんの原因である高リスク型HPV感染の有無を知ることができます。軽度病変疑い(ASC-US)の場合には、この検査をすることが勧められており、陽性の場合にはコルポスコーピー・狙い組織診が更に必要になります。
CIN1(軽度異形成)またはCIN2(中等度異形成)と診断された方に、13種類ある高リスク型HPVのどのタイプのHPVに感染しているかを検査することができるようになりました。HPVの特定のタイプが認められるとCIN病変が進展しやすく、かつ消退しづらいことが分かっています。

3)コルポスコーピー・狙い組織診

細胞診で異常が認められた場合には、この精密検査が必要になります。コルポスコープと呼ばれる拡大鏡にて、子宮頸部を観察し、異常部位の組織を少量とり検査をします。この組織診により前がん病変やがんになっているかが分かります。

4)超音波(エコー)・CT・MRI検査

がん病巣の大きさや周辺の臓器(膀胱・直腸)への進展や、リンパ節への転移・肺や肝臓などの遠隔臓器への転移の有無を確認できます。

4.病期(ステージ)

がんの進行の程度を数字化して分類しています。内診や検査により病変の広がりを確認し、病期を決定します。数字が大きい程、進行している事を表しています。(※通常、ステージの表記にはローマ数字を用いますが、ここではアラビア数字で表記しております)

  • 1期;子宮頸部のみにがんが認められる状態。

a1: 浸潤の深さが3mm以内で、広がりが7mmをこえないもの
a2: 浸潤の深さが3mmを越えるが5mm以内で、広がりが7mmをこえないもの
b1: 病変の大きさが4cm以内のもの
b2: 病変の大きさが4cmをこえるもの

  • 2期;がんが子宮頸部を越えて広がるが、骨盤壁または膣壁の下1/3には達していない状態。

a: 膣壁浸潤が認められるが、子宮傍組織浸潤は認められないもの
 a1;病巣が4cm以下のもの
 a2;病巣が4cmをこえるもの
b: 子宮傍組織浸潤は認められるもの

  • 3期;がんが骨盤壁、または膣壁の下1/3に達する状態。

a: 膣壁浸潤は下1/3に達するが、子宮傍組織浸潤は骨盤壁にまでは達していないもの
b: 子宮傍組織浸潤が骨盤壁にまで達しているもの。または、明らかな水腎症や無機能腎を認めるもの。

  • 4期;がんが小骨盤腔を越えて広がるか、膀胱・直腸の粘膜にも広がっている状態

a: 膀胱・直腸の粘膜に広がっているもの
b: 小骨盤腔を越えて広がるもの

(0期(上皮内がん;非常に早期のがんで、子宮頸部の上皮内のみにがんが認められる状態)は規約の変更により無くなり、CIN3に含まれるようになりました。)

5.治療

子宮頸がんには、手術療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3つの治療法があります。

1)手術療法

  • 円錐切除術;子宮頸部を円錐形に一部切除します。妊娠のための機能は残るので、妊娠・分娩が可能となります。がんの診断の目的にも行われる事があります。
  • 単純子宮全摘術;体部も含めた子宮を全部摘出する手術です。
  • 広汎性子宮全摘術;子宮、膣の一部と子宮周囲の組織も含め広い範囲で摘出します。またがんが転移し易いリンパ節も切除します。この手術では膀胱神経を傷つけることもあり、手術後に尿意がない、尿が出にくいなどの排尿障害をおこすことがあります。また、リンパ節を摘出することにより、下肢リンパ液の流れが悪くなりリンパ浮腫を併発する可能性があります。

2)放射線療法

放射線によりがん細胞を殺し、腫瘍を小さくします。体外から放射線をあてる外部照射と、直接患部にあてる腔内照射があり、それぞれを組み合わせて治療します。外部照射は約5週間をかけて体の外から放射線を照射します。腔内照射は子宮の中にアプリケーターと呼ばれる細い器具を挿入し週に1回の割合で約4回ほど照射します。また、抗がん剤も同時に使用することで治療強度を高められる化学療法併用放射線治療も行われます。手術で子宮摘出後に放射線治療をする術後放射線治療もあります。群馬大学医学部附属病院で重粒子線治療が受けられるようになっております(保険適応はありません)。

3)化学療法

抗がん剤によりがん細胞を殺します。投与された抗がん剤は、血液に入り全身をめぐり、全身性に治療が可能です。

6.病期別治療法

年齢、合併症、全身状態をみて、最適な治療法を選択します。

  • CIN3;円錐切除(子宮温存の希望がある場合)、または単純子宮全摘
  • a1;円錐切除(子宮温存の希望がある場合)、または単純/準広汎性子宮全摘(広汎性子宮全摘より切除範囲が少し小さくなります。その分後遺症の残る割合も下がります)
  • a2-b;

・広汎性子宮全摘+リンパ節郭清術(手術摘出した結果、癌細胞が子宮外へ進展、またはリンパ節に転移していた場合には化学療法や放射線治療を追加します)
・放射線治療、または放射線治療+化学療法(同時併用)

  • a;放射線治療、または放射線治療+化学療法(同時併用)
  • b;化学療法または緩和治療 

7.生存率

生存率とは、診断から一定期間後に生存している確率を示す指標です。
以下は日本産科婦人科学会より報告されている5年生存率です。
期; 91.3%, 期; 77.8%, 期; 56.9%, 期; 30.1%

執筆者紹介

青木 宏(あおき ひろし) 

昭和41年、前橋市(旧勢多郡)生まれ。
平成4年 群馬大学医学部を卒業し、群馬大学医学部附属病院産婦人科医員。
館林厚生病院、国立高崎病院(現在の高崎総合医療センター)、群馬大学医学部附属病院産婦人科を経て、平成24年より、高崎総合医療センターに勤務。
専門は婦人科腫瘍学。
がんが一人でも多く治るように日々仕事中。

(更新日:平成26年1月19日)

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画像:青木宏先生
青木宏先生

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