動物愛護管理推進計画(第2次)を策定しました
群馬県では、「人と動物が共生できる豊かな社会」の実現に向けて、県民、行政、関係団体、動物愛護団体等動物に関わるすべての人々が動物の愛護と管理に関して相互に理解を深め、共通認識を持ち、連携を図りながら、本県の状況に即した施策展開を図るため、群馬県動物愛護管理推進計画(以下「本計画」という。)を策定しました。
「群馬県動物愛護管理推進計画(第2次)(案)」に関する意見募集結果の反映状況について
群馬県動物愛護管理推進計画(第2次)
本文は、以下のとおりです。
第1章 動物愛護管理推進計画の考え方
計画策定の趣旨
近年、わが国では、少子高齢化や高齢者のみの世帯の増加等により、人々が動物(伴侶動物)に安らぎや潤いを求めるようになりました。
それに伴い、伴侶動物の飼養形態は、単なる愛玩動物ではなく、寝起きから外出まで一緒に過ごす等、家族の一員として暮らす形態が増加しています。
その一方で、十分な知識のないまま安易に飼養を開始した結果、不適切な飼養や周辺への迷惑行為、ひいては動物の遺棄・虐待等の問題を起こしている例が少なくありません。
こうした動物に関する問題の解決には、適正飼養及び終生飼養という飼い主責任を果たすことが基本であり、また、行政や関係団体等の取り組みはもとより、地域の理解・協力が必要不可欠となっています。
群馬県では、「人と動物が共生できる豊かな社会」の実現に向けて、県民、行政、関係団体、動物愛護団体等動物に関わるすべての人々が動物の愛護と管理に関して相互に理解を深め、共通認識を持ち、連携を図りながら、本県の状況に即した施策展開を図るため、群馬県動物愛護管理推進計画(以下「本計画」という。)を策定しました。
計画の位置付け
本計画は、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「法」という。)の改正に伴い、「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」(環境省告示)が平成25年8月30日付けで改正されたことから、平成19年度に策定した本計画を、現状を踏まえ改定するものです。
本県では「動物愛護拠点施設」を平成27年度に開設すべく準備を進めており、今回改定する計画は、動物愛護拠点施設が行う機能を視野に入れた計画としています。
また、「第14次群馬県総合計画(はばたけ群馬プラン)」の個別基本計画であります。
計画の期間及び対象地域
本計画の期間は、平成26年度から平成35年度までの10年間とし、中核市も含めて群馬県全域を対象とします。
第2章 群馬県の動物の愛護及び管理に関する現状と課題
犬・猫の引取り状況
犬・猫の引取りを所有者から求められた際には、県又は中核市で引取ることが法第35条で定められており、平成24年度に引き取った数は2,264頭(犬282頭、猫1,982匹)で、平成14年度に引き取った数4,531頭(犬1,433頭、猫3,098匹)に比較して、特に犬の引取り数は減少傾向にあります。しかしながら、猫の引取り数は、犬に比べると減少幅は少なく、今後重点的に取り組む課題といえます。
犬・猫の引取り数を減少させるためには、最後まで飼うことはもちろんのこと、特に、猫の場合は無計画な繁殖の防止や室内飼養が重要であり、その普及啓発を更に強化していく必要があります。
犬の収容、返還及び譲渡の状況
平成24年度に収容した所有者不明の迷い犬(以下「収容犬」という。)は1,815頭で、平成14年度の3,229頭に比べ55%程度に減少しており、10年間の推移を見ても減少傾向にあります。
一方、収容犬の返還率は、平成24年度35.0%で、平成14年度の11.8%と比較して約3倍に増えており、返還率は年々あがっています。
県では、平成19年度から動物管理センターのホームページに収容犬等の情報を写真とともに掲載し、飼い主への返還率を向上させる取り組みを行っており、この取り組みが返還率向上につながっていると思われます。
収容犬の数をさらに少なくするため、引き続き群馬県動物の愛護及び管理に関する条例第9条で規定している係留義務の徹底と狂犬病予防法第4条による鑑札等の装着の徹底を推進する必要があります。
譲渡については、県では動物管理センターで登録動物愛護団体を中心に譲渡を行っています。
また、前橋市、高崎市でも譲渡を推進しており、平成24年度の全県の譲渡数は770頭(犬530頭、猫240匹)で、県が譲渡を始めた平成20年度の譲渡数100頭(犬96頭、猫4匹)と比べると、犬猫とも譲渡率は向上しており、特に犬は、平成20年度4.3%に対し、平成24年度36.3%と大幅に向上しています。
一方、猫の譲渡率は平成20年度0.1%に対し、平成24年度12.1%となっており、犬と合わせ、猫の譲渡推進を強化する必要があります。
犬・猫の殺処分の状況
収容犬及び引取り犬・猫については、飼い主が見つからない場合は、その大部分が殺処分とせざるを得ません。
平成24年度の数は犬が878頭、猫が1,857匹の計2,735頭で、平成14年度の犬 4,251頭、猫3,335匹の計7,586頭と比べ、大幅に減少しています。
今後は、犬はもとより猫の殺処分数を少しでも減少させるため、新たな飼い主を探す譲渡の推進をより一層進める必要があります。
犬・猫に関する苦情・相談の状況
保健福祉事務所(保健所)に寄せられる犬・猫の苦情・相談件数は非常に多く、平成24年度は9,150件で、平成14年度の15,176件と比較すると減少しているものの、いまだかなりの件数があります。
このうち、犬に関する苦情・相談件数は平成24年度6,800件、平成14年度11,569件
一方、猫に関する苦情・相談件数も平成24年度2,350件、平成14年度3,607件と減少傾向にありますが、今後もより一層苦情・相談に迅速・的確な対応を行う必要があります。
動物取扱業の状況
平成25年の法改正により、動物取扱業者による適正な取扱い遵守が強化されました。
具体的には、従前の「動物取扱業」は、「第一種動物取扱業」という名称に変更され、特に、犬猫の販売を行う「犬猫等販売業」については、「犬猫等健康安全計画」の策定、個体ごとの帳簿の作成、管理、毎年1回の所有状況報告が義務づけられました。
また、飼養施設を有し、一定数以上の動物を非営利で取扱う場合(譲渡、展示等)には 「第二種動物取扱業」として届出が義務付けられました。
県内には平成25年4月1日現在で、795の動物取扱業者が登録されております。
伴侶動物を飼うブームが続く中、動物に関係する業態の多様化や業者数も増加し、中には動物の不適切な取扱いを行っている業者もみられることから、業務実施のより一層の適正化を図るため、適切な検査指導が課題となっています。
また、動物取扱業者は、命ある動物と飼い主をつなぐ橋渡し役、そして適正な飼養がなされるよう飼い主の良きアドバイザーとしての役割も求められています。
動物愛護や適正飼養に関する普及啓発の状況
幼少期から動物に親しみ、ふれあい、適正な飼養に関わることは、子どもの豊かな心を育てるために重要であると言われています。
県では、動物愛護の普及啓発等に関して、次の事業等を実施しています。
平成10年度から県獣医師会の協力を得て、生き物である動物を通して「やさしさ」「命の大切さ」を肌で感じてもらうことを目的に「動物ふれあい教室」を実施しています。
平成24年度には小学校276校、幼稚園等150園の計426施設で動物ふれあい活動、飼養動物に対する衛生管理指導や病気予防・治療等を行いました。
子どもたちへの動物愛護思想の普及啓発を図るため、昭和50年度から開催している「動物愛護ポスターコンクール」には、毎年1万点近くの作品が県内小中学校から寄せられています。
また、動物の適正飼養の普及啓発のため、保健福祉事務所(保健所)、市町村、県獣医師会、動物愛護団体、関係団体等が「犬のしつけ方教室」等さまざまなイベントを開催して います。
一方、県獣医師会では、法で定められた動物愛護週間(9月20日~26日)を広く県民に 周知するため、「動物愛護ふれあいフェスティバル」を開催しています。
今後も、飼い主の責任の徹底と適正飼養の一層の普及啓発を推進することとし、「動物愛護拠点施設」で、より一層取り組みを進めていきます。
災害時における動物対策
県では、「群馬県地域防災計画」において、被災動物対策として実施する内容、関係機関との協力体制の確立等を定めています。
東日本大震災発生時には、被災した動物の受け入れ、人と一緒に動物も避難できる避難施設の確保、飼い主とはぐれてしまった動物の飼養等様々な対応が課題として挙げられました。
このため、本県でも、いつ起きるかわからない災害への備えとして、災害時の具体的な動物救護体制を整備しておくことが早急の課題となっています。
第3章 計画の目標と実現に向けての連携
計画のめざす社会
本計画では、本県の現状と課題を踏まえ、「人と動物が共生できる豊かな社会の実現」を目標とし、具体的な≪めざす姿≫と今後の【行動指針】を定めるとともに、10年後の【数値目標】を設定し、各種取り組みの推進を図ります。
(1)具体的なめざす姿と行動指針
【めざす姿 1】 動物の命を大切にする社会
【行動指針 1】 動物をもっとよく知り大切にしよう
動物愛護の基本は、人においてその命が大切なように、動物の命についてもその尊厳を守るということにあります。
動物に対する愛護と生命を尊重する態度を育てること、動物の愛護と適正な飼養への関心と理解を深めていくことが重要となります。
【めざす姿 2】 動物が地域の一員として受け入れられる社会
【行動指針 2】 動物の習性等を理解して、適正に飼おう
動物が人とともに生活する存在として地域に受け入れられるためには、その飼養及び保管を適切に行うことが求められています。
適正な飼養及び保管を行うことにより、動物の遺棄や周辺への迷惑や危害の防止、さらには引取り数や苦情の減少等につながります。
【めざす姿 3】 動物にできるだけ生存の機会を与える社会
【行動指針 3】 「殺処分ゼロ」を目指して
収容犬や引き取った犬・猫は、その多くが殺処分されているのが現状です。
これらの動物の命を少しでも多く救うためには、適正飼養の普及啓発、飼い主への返還と新たな飼い主への譲渡をさらに推進すること等が必要となります。
【めざす姿 4】 災害時に迅速に動物救護を行う社会
【行動指針 4】 災害時に迅速に動物対策を確保しよう
大規模災害発生等が予測される中、災害発生時に備え被災動物の救護体制を整備する必要があります。
【めざす姿 5】 人も動物もともに安心して暮らせる社会
【行動指針 5】 県民と動物の安全を確保しよう
伴侶動物の種類が多様化し、家族の一員として暮らす形態が広まる中で、人と動物の共通感染症の発生が危惧され、それらへの対策の必要性が増しています。
指標 | 平成35年度目標 (平成24年度対比) |
平成24年度実績 |
---|---|---|
犬の収容数 | 30%の減少 | 1,815頭 |
犬の引取り数 | 20%の減少 | 282頭 |
猫の引取り数 | 30%の減少 | 1,982匹 |
犬・猫の苦情件数 | 20%の減少 | 9,150件 |
犬の返還率 | 50% | 35.0% |
犬の譲渡率 | 収容犬は60% 引取り犬は70% |
36.3% |
猫の譲渡率 | 30% | 12.1% |
平成24年度の実績を基準とし、10年後の数値目標を設定しました。
犬・猫の引取り数については、犬は20%の減少、猫は30%の減少を目標としました。
犬・猫の苦情件数については、引き続き20%の減少を目標としました。
犬の返還及び犬・猫の譲渡率については、動物愛護拠点施設での取組みを強化することで、犬の返還率50%、収容した犬の譲渡率は60%、引き取った犬の譲渡率は70%、猫の譲渡率は30%を目標としました。
関係機関・団体等の連携・協働
動物を巡る諸問題の解決には、行政、飼い主、県民、動物愛護団体等が、共通認識を持ち、それぞれの役割を分担しながら連携・協働によるネットワークを構築しながら、取り組みを推進していくことが必要となります。
(1)県・中核市の役割
動物愛護及び管理に関する基本的な方向性を示し、広域的かつ統一的な事業の計画・実施、普及啓発、情報の発信、危機管理対応等を行うとともに、市町村や関係団体等の活動に対しての支援を実施する等、本計画の着実な進行を図っていきます。
また、県では平成27年度に「動物愛護拠点施設」を設置し、前橋市及び高崎市と連携を図り、動物愛護行政を積極的に推進することとしています。
(2)市町村の役割
地方公共団体は、法の中で、動物愛護と適正な飼養に関する普及啓発、動物の飼養及び保管について適正な指導等を行うことが求められています。
動物愛護管理に関する課題の多くは地域社会に密着したものであることから、課題解決のためには、地域の実情に応じた取り組みが必要であり、なかでも、市町村は、動物の愛護及び適正飼養に関する飼い主の社会的責任の自覚を促すとともに、動物愛護活動の支援等を行うことにより、地域住民の相互理解を促進していくことが期待されます。
また、災害発生時には、関係機関と協力し被災動物への適切な対策を講ずる必要があります。
(3)飼い主の役割
法令を遵守し、かつ、動物の生態、習性、生理を理解し、愛情を持って終生飼養や適正な繁殖に努める必要があります。
また、ふんの放置やリードをはずしての犬の散歩等、動物に関するトラブルの多くは、飼い主のモラルやマナーの欠如に起因すると考えられることから、飼い主としての責任を自覚した行動を取ることが求められています。
(4)動物取扱業者の役割
法令を遵守し、自ら適正な飼養及び管理を行う飼養者としての責任を果たすとともに、飼い主への適切な助言等を積極的に行う社会的な役割を担っています。
さらに、地域における動物の適正飼養及び管理のアドバイザーとしても期待されます。
(5)県民の役割
県民は、動物の愛護に努めるとともに、県や市町村が行う動物の愛護及び管理に関する取り組みに協力することが求められています。
また、県民が動物に対して抱く意識や感情は千差万別であることから、相互に理解を深め、「人と動物が共生できる豊かな社会」の実現に向け協力していくことが期待されます。
(6)学校の役割
動物と接する機会の多い小学校等では、動物とのふれあいや適正な飼養体験等を通じた教育活動により、子どもの動物愛護の気持ちを育てる役割を担っています。
(7)県獣医師会、動物愛護団体等の役割
本計画の推進への積極的な支援・協力や、それぞれの活動を通じて、地域における動物愛護の中心的な役割を果たすこと等が期待されます。
(8)動物愛護推進員の役割
動物の愛護と適正な飼養管理に関する知識と熱意を持つ県民の中から知事が委嘱する動物愛護推進員は、地域の動物愛護の中心的な役割を果たすことが期待され、法により次の活動を行うこととされています。
- 犬、猫等の動物の愛護と適正飼養の重要性について住民への普及啓発
- 住民の求めに応じた、犬、猫等のみだりな繁殖の防止措置等に関する助言
- 住民の求めに応じた、犬・猫等に適正な飼養を受ける機会を与えるための助言・支援
- 行政の動物愛護管理施策への協力
第4章 具体的な取組
めざす姿1 動物の命を大切にする社会
1 行動指針1 「動物をもっとよく知り大切にしよう」に基づいた取組み
(1)県の取り組み
ア 動物愛護の普及啓発
- 検討委員会の設置
動物愛護の普及啓発の方法や実施マニュアル等の作成について検討するため、専門職を集めた検討委員会を設置します。 - 命の教室
やむを得ず行っている「犬猫の殺処分の実態」について、学校など教育機関で「出前講座」を実施し、物言わぬ小さな命の大切さを、子どもから大人まで広く伝える 【命の教室】を開催します。
なお、【命の教室】の開催にあたっては、子どもへ与える心情に配慮します。 - 動物愛護に関する研修会
動物愛護の普及啓発を図るため、関係者等から広く意見を聞きながら動物愛護研修会を開催します。 - 動物愛護週間
動物愛護週間(9月20日~26日)を中心に行う普及啓発事業について、効果的な実施方法を検討し実施します。
なお、「動物愛護フェスティバル」等の県民参加型のイベントについては、引き続き協力します。 - 学校等に対しての普及啓発
県教育委員会、県獣医師会、動物愛護団体等との連携を図りながら、「動物ふれあい教室」等を通じ、教育現場における動物とのふれあい体験の実施や動物の飼養、衛生管理等への支援を行います。
また、動物を飼養している学校等の担当者を対象とした、動物愛護に関する研修会の充実を図ります。
小中学生を対象とした、動物愛護ポスターコンクールを継続して実施します。
イ 人材の育成
- 動物愛護推進員等の委嘱
地域における動物の愛護及び適正な飼養について、住民への助言や行政への協力等を行う動物愛護推進員を、法第38条に基づき委嘱します。 - ボランティアの育成
「動物愛護拠点施設」で行う様々な活動に協力していただくボランティアを育成します。 - 研修会等の開催
行政、県獣医師会、動物愛護団体、関係団体等、動物愛護及び管理の推進にあたる関係者の資質向上を図るため、研修会等を開催します。 - 顕彰制度
動物愛護及び適正な管理に関して、顕著な功績があった者や団体への功績をたたえる表彰制度を制定します。
(2)関係機関・団体等(市町村、飼い主・県民、学校、関係団体等)に期待する取組
※以下は、行動指針に沿って、市町村、関係者等それぞれに主体的に取り組んでほしい事項を例示しています。以降についても同じです。
ア 市町村
- 広報紙等で動物愛護の普及啓発を行いましょう
- 動物愛護に関する研修会等を開催しましょう
イ 飼い主・県民
- 動物を飼う前に、責任を持って最後まで飼うことができるか家族で話し合いましょう
- 動物愛護に関するイベントに積極的に参加しましょう
- 自治会活動等で、動物愛護の普及啓発に取り組みましょう
ウ 学校
- 動物ふれあい教室等を通して、子どもたちが動物にふれあう機会を作りましょう
- 動物の愛護に関する研修会等に、積極的に参加しましょう
- 動物の命の大切さ等を考える機会を持ちましょう
エ 関係団体等
- 動物愛護の普及啓発活動を、自主的に実施しましょう
- 動物愛護のリーダーになりましょう
めざす姿2 動物が地域の一員として受け入れられる社会
2 行動指針2 「動物の習性等を理解して、適正に飼おう」に基づいた取組
(1)県の取組
ア 適正飼養及び管理の推進
- 飼い主への適正飼養の普及啓発
犬のしつけや動物の適正飼養についての「出前講座」や、講習会等を引き続き実施します。
動物愛護推進員等とともに、市町村や地域のイベント等におけるしつけ方教室や適正飼養相談会等に協力します。 - 望まない繁殖の防止
飼い主に対して、市町村、県獣医師会、動物愛護団体、動物愛護推進員等と連携し、不妊・去勢措置等の繁殖制限の必要性を啓発し、その促進を図ります。 - 所有明示措置の普及啓発
市町村、県獣医師会、動物取扱業者等と協力し、マイクロチップ等の所有明示措置の普及啓発をより一層推進します。
特に、犬については、鑑札・注射済票の装着も併せて徹底を図ります。 - 猫の適正飼養の啓発
市町村、県獣医師会、動物愛護団体等と連携し、室内飼養、不妊・去勢措置等の繁殖制限、所有明示の必要性を啓発資料等で広く普及啓発します。
なお、引取相談の際には、室内飼養や親猫の不妊・去勢措置等の繁殖制限について、指導・助言を行います。 - 犬の登録・狂犬病予防接種の周知徹底
狂犬病の予防に対する理解を深め、飼い主責任としての犬の登録及び狂犬病予防注射が確実に行われるように、県、関係機関のホームページや啓発資料で周知徹底を図ります。 - 動物の遺棄・虐待の防止
市町村、県獣医師会、動物愛護団体、動物取扱業者等と連携し、適正飼養及び終生飼養の一層の普及啓発を行い、遺棄・虐待に繋がる安易な飼養開始や無計画な繁殖、飼養の放棄等の防止を図ります。
動物の遺棄・虐待は、法に違反する犯罪であることを、ホームページや啓発資料を活用し、広く周知します。 - 人をサポートする動物の適正な飼養管理
狩猟犬やモンキードッグ等について、関係部局と連携し、動物の愛護及び管理の観点に基づいた適正な飼養管理等の周知を図ります。
目的使用時以外の係留義務等の法令遵守についても、併せて周知徹底を図ります。
イ 動物による危害や迷惑行為の防止
- 不適正飼養への対応
多頭飼育等による鳴き声や臭い等周辺への迷惑行為に対し、市町村等との連携のもと、改善指導を実施します。 - 飼い主のいない猫対策の推進
適正な管理等を行わずに飼い主のいない猫へエサを与える行為による、周辺への迷惑や地域での対立等を防止するため、エサを与える人に責任の自覚を促す啓発資料を作成配布する等普及啓発を図ります。
また、市町村、県獣医師会、動物愛護団体等と連携し、「飼い主のいない猫の飼養管理等に関するガイドライン」等を作成します。 - 特定動物(危険な動物)の適正な飼養・保管
特定動物飼養保管者に対して、飼養保管許可の取得、施設基準遵守、逸走防止措置、マイクロチップ等による個体識別措置等の確実な実施、災害時対策について指導を行います。 - 犬による咬傷事故の防止
犬の習性の理解と飼い主責任の認識を深める啓発資料を作成し、適正飼養の講習会等での活用を図ります。
ウ 動物に関する苦情内容の検討、虐待防止策の検討
動物に関する苦情内容、虐待事例について、関係者による検討を行います。
エ 動物取扱業の一層の適正化
- 事業者に対する検査指導
動物取扱業者に対して、定期的に立入検査を行い、標識等の掲示、購入者に対する事前説明、動物の適正な飼養保管、施設の衛生管理等について指導を徹底します。 - 動物取扱業者の資質の向上
動物取扱責任者研修のテーマ等について、社会の情勢や受講者の意見を取り入れながら、内容の充実を図ります。
動物取扱業者自らが主体となる知識の習得や従業員の育成及び信頼性の向上のための研修会等の取り組みに協力し、支援します。 - 登録制度の周知
動物取扱業者の登録制度について、広報媒体や啓発資料等により県民に周知します。
オ 実験動物・産業動物の適正な取扱い
- 実験動物施設等での動物の適正な取扱いの啓発
実験動物飼養施設等へ「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」特に、苦痛の軽減(Refinement)、代替法の活用(Replacement)、使用数の削減(Reduction)の「3Rの原則」の遵守を啓発します。 - 産業動物の適正な取扱いの推進
農政部局等の関係機関や関係団体等と連携し、「産業動物の飼養及び保管に関する基準」の遵守を啓発します。
(2)関係機関・団体等に期待する取組
ア 市町村
- 地域における適正飼養及び管理を推進するための取り組みの実施に努めましょう
- 犬の登録・予防注射接種率を向上させる取り組みを実施しましょう
イ 飼い主・県民
- 動物の生態、習性、生理等を理解し、適正な飼養を行いましょう。特に、イグアナやアライグマ等の外来動物については、生態系への影響を考慮し、適正飼養を行いましょう
- 動物は最後まで飼う、周辺へ迷惑をかけない等の飼い主責任を果たしましょう
- 不妊・去勢措置等の繁殖の防止や、マイクロチップ等での所有明示を行いましょう
- 犬を散歩させる時は、ふん等の処理を必ず行いましょう
- 犬の登録と狂犬病予防注射を必ず行いましょう
- 動物の適正な飼養等についてわからないことがあれば、保健福祉事務所(保健所)、動物管理センターに相談しましょう
- 動物が捨てられやすい場所等を対象とした自主的なパトロール等を実施して、捨てられにくい環境を作りましょう
- 動物のふん等が多いところを自主的に清掃し、ふんの放置がしにくい環境を作りましょう
- 猫は室内で飼いましょう
ウ 学校
- 学校で飼養している動物の、適正な飼養及び保管を行いましょう。
エ 関係団体等
(ア)動物取扱業者
- 動物を扱うプロとして、飼い主に対して適正な飼養等助言・援助を行いましょう
(イ)県獣医師会・動物病院
- 所有明示措置の推進(マイクロチップ装着体制の整備等)を行いましょう
(ウ)動物愛護団体等
- 適正な飼養・保管の普及啓発活動を自主的に行いましょう
(エ)実験動物飼養施設
- 基準に基づき、適正な実験動物の取扱いを行いましょう
(オ)産業動物飼養者
- 基準に基づき、産業動物の適正な飼養を行いましょう
めざす姿3 動物にできるだけ生存の機会を与える社会
3 行動指針3 「『殺処分ゼロ』を目指して」に基づいた取組
(1)県の取組
ア 収容した動物の返還の推進
収容動物情報の周知
市町村、警察、県獣医師会、隣接県等に協力を依頼し、インターネット等による収容動物情報の提供体制の充実を図ります。
イ 譲渡の推進
県が収容及び引き取った動物について、県獣医師会、動物愛護団体等と協働で、譲渡の推進を図ります。
ウ 負傷動物の収容保護体制の強化
1.県獣医師会との連携の強化
県獣医師会と連携し、負傷動物の収容保護体制の一層の強化を図ります。
2.負傷動物の収容保護を行うとともに、県のホームページ等で情報提供し、一層の返還や譲渡に努めます。
(2)関係機関・団体等に期待する取組
ア 市町村
- 県が収容した犬・猫の収容情報や譲渡等の情報を、住民へ提供しましょう
イ 飼い主・県民
- 動物が飼いきれなくなった場合には、可能な限り自己の責任で新しい飼い主を探しましょう
- 動物が逃げないように管理しましょう。もし、動物がいなくなったときには、すぐに保健福祉事務所(保健所)へ連絡しましょう
- 傷ついている犬や猫を見つけたときには、最寄りの保健福祉事務所(保健所)へ連絡しましょう
ウ 学校
(ア)動物関係専門学校等
- 県が収容及び引き取った動物の、譲渡(受け入れ)に協力しましょう
エ 関係団体等
- 動物の収容や譲渡等の情報提供に協力しましょう
- 譲渡会を開催する等、譲渡の推進に協力しましょう
めざす姿4 災害時に迅速に動物救護を行う社会
4 行動指針4 「災害時に迅速に動物対策を確保しよう」に基づいた取り組み
(1)県の取組
ア 災害時における動物救護対策
- 動物救護体制の整備
県地域防災計画に基づき、負傷動物や飼い主不明の動物の保護等の動物救護に関し、県獣医師会、動物愛護団体、市町村、ボランティア等と連携・協力して、動物管理センター内に「動物救護本部」を設置し、被災動物等の収容対策を行います。
なお、被災動物の収容については、動物取扱業者施設の借用も検討します。 - 実施方法
動物救護本部は、次の事項を実施します。
ア 被災動物の緊急収容施設の設置
イ 飼養されている動物に対する餌の配布
ウ 負傷した動物の収容・治療・保管
エ 飼養困難な動物の一時保管
オ 動物の所有者や新たな所有者探しのための情報の収集、提供
カ 動物に関する相談の実施
キ 伴侶動物も一緒に避難できる避難所の設置の促進 - 特定動物の飼い主への周知
特定動物の飼い主に対して、災害時における特定動物の逸走防止を図るため、飼養施設の保守点検の実施等の周知徹底を図ります。 - 動物取扱業者の災害時対策
動物取扱業者に対して、災害時における避難所の確保や逸走の防止、業者間の協力体制を整備するよう指導します。 - 産業動物の災害時対策
農政部局等の関係機関や関係団体等と連携し、災害時における対策を検討します。
(2)関係機関・団体等に期待する取組
ア 市町村
- 被災動物の保護収容対策を盛り込んだ防災計画を策定しましょう
イ 飼い主・県民
- 災害時に備え、日頃から動物のしつけの実施や非常用品の確保、また、動物の適切な避難場所の確認等を行いましょう
- 災害時に備えて、被災動物の対応等を家庭・地域で話し合いましょう
ウ 学校
(ア)動物関係専門学校等
- 災害時の動物救護に協力しましょう
(イ)動物を飼育している学校
- 災害時における飼育動物の救護について検討しておきましょう
エ 関係団体等
(ア)動物取扱業者
- 災害時に備えた飼養動物の避難場所の確保、業者間の協力体制の整備、従業員教育等を実施しましょう
(イ)県獣医師会
- 災害時の動物救護に協力しましょう
(ウ)動物愛護団体
- 被災動物の飼養・譲渡等に協力しましょう
めざす姿5 人も動物もともに安心して暮らせる社会
5 行動指針5 「県民と動物の安全を確保しよう」に基づいた取組
(1)県の取組み
ア 人と動物の共通感染症対策
(ア)調査研究
県衛生環境研究所等の関係機関と協力し、「動物愛護拠点施設」で、人と動物の共通感染症に関する調査・研究の充実を図ります。
狂犬病等の感染症発生時に際し迅速に対応するため、県獣医師会、関係機関等と協力体制を構築し、対応マニュアルを作成します。
(イ)情報提供
県関係機関や県獣医師会等と協力し、人と動物の共通感染症についての正しい理解や情報を、啓発資料やホームページ等を活用して提供します。
(ウ)伴侶動物同伴施設の衛生管理
伴侶動物同伴ホテル等の衛生管理について、関係団体等の協力を得ながら普及啓発を行います。
(2)関係機関・団体等に期待する取組
ア 市町村
- 地域のイベント等で、人と動物の共通感染症に備えたしつけ等の普及啓発を行いましょう
イ 飼い主・県民
- 人と動物の共通感染症対策のため、動物との過度な接触は避けましょう。また、動物をさわったら、必ず手を洗いましょう
ウ 学校
(ア)動物関係専門学校等
- 「動物をさわったら手を洗う」等、人と動物の共通感染症についての知識の普及に努めましょう。
第5章 計画の推進
1 計画の周知
本計画を市町村、関係機関及び関係団体に周知するとともに、ホームページや啓発資料等により広く県民に周知し、計画に対する理解と協力が得られるよう努めます。
2 計画の推進体制
(1)計画の実行を支える基盤の整備
本計画を推進するにあたり、「動物愛護拠点施設」を平成27年度に開設し、動物愛護を推進します。
また、官民協働のネットワークを構築し、役割分担をしながら推進を図っていきます。
(2)市町村との連携
市町村との連携体制の構築に努めるとともに、市町村の担当者等との動物愛護及び管理等に関する定期的な情報交換を行います。
また、市町村が地域における動物愛護管理施策を推進するにあたり、情報提供や助言等を行います。
(3)関係団体等との連携
県獣医師会や動物愛護団体等との連携体制を強化するとともに、適切な役割分担のもと協力して、本計画の推進を図ります。
また、個別具体的な課題に対応するため、NPO法人や個人ボランティア等との連携体制を整備していきます。
(4)他の都道府県との連携
大規模災害発生時等広域的な対応が必要な場合に備えて、連携体制の構築を図ります。
3 計画の検証及び見直し
本計画については、進捗状況の管理を行うとともに、必要に応じて見直しを行うこととしています。
<参考>
用語 | 説明 |
---|---|
犬の収容 | 住民等からの依頼により、保健福祉事務所(保健所)で犬を収容すること。 |
犬・猫の引取り | 動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護管理法」という。)に基づき、飼い主のやむを得ない事情により飼えなくなったり、所有者の判明しない犬・猫を保健所で引き取ること。 |
犬の返還率 | 保健福祉事務所(保健所)が収容した犬のうち、飼い主に返還された犬の割合。 |
犬の譲渡率 | 保健福祉事務所(保健所)が収容又は引き取った犬の、新しい飼い主へ譲渡した犬の割合。 |
猫の譲渡率 | 保健福祉事務所(保健所)が引き取った猫の、新しい飼い主へ譲渡した猫の割合。 |
負傷動物 | 動物愛護管理法で定められた、道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかったり若しくは負傷した犬、猫等の動物のこと。 |
特定動物 | クマ、ニホンザル、マムシ、ライオン等、人の生命、身体又は財産に害を与える恐れのある動物のこと。 特定動物の飼養・保管を行う者は、事前に許可を受ける必要がある。 |
動物取扱業 | 動物愛護管理法の規定による第一種及び第二種動物取扱業をいう。 【第一種動物取扱業】
【第二種動物取扱業】 |
動物取扱責任者 | 動物取扱業の施設において、その業務を適正に実施するために事業所ごとに選任された者。 動物愛護管理法の規定により、知事が実施する動物取扱責任者研修を1年に1回以上受講する義務がある。 |
人と動物の共通感染症 | 動物から人へ、人から動物へ感染する病気の総称。 「人畜共通感染症」「ズーノーシス」「動物由来感染症」等ともいう。 |
狂犬病 | 人と動物の共通感染症の一つで、狂犬病ウイルスが原因。 すべての哺乳類に感染し、感染した動物に咬まれることにより人に感染。人も動物も発症するとほぼ100%死亡する。 |
所有明示措置 | 鑑札、名札、マイクロチップ等の装着により、個体識別ができるようにすること。 |
マイクロチップ | 2mm×12mmの生体適合ガラスで覆われた電子標識器具で、迷子になった時や災害時等の個体識別に有効。動物の皮下に注射し、専用のリーダー(読み取り機)でデータを読み取る。 |
モンキードッグ | サルによる農林水産物の被害を防止するために、関係機関が認めた一定の訓練を終了した犬のこと。 |