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平成24年度第27回群馬県環境審議会議事録

更新日:2012年8月8日 印刷ページ表示

開催日時

 平成24年7月27日(金曜日)14時00分~15時30分

開催場所

 県庁7階 審議会室

出席者の状況

  • 委員 21名出席 4名欠席 (定足数13名)
  • 事務局(県) 環境森林部長 環境政策課長、環境保全課長、廃棄物・リサイクル課長、自然環境課長ほか
  • 参考人等 なし
  • 傍聴人 2名

審議の概要と審議結果

  1. 開会
  2. あいさつ 山口環境森林部長 赤岩会長
  3. 定足数の確認 委員21名の出席があり、定足数13名を満たしていることを確認した。
  4. 議事
    1. 説明事項
      • 環境審議会水質部会における審議状況について
        利根川水系で発生したヘキサメチレンテトラミンを起因とする浄水場内でのホルムアルデヒドの発生事案の概要、経緯及び水質部会での審議状況について、環境保全課長から説明がなされた。
      • 「群馬県環境影響評価条例施行規則」の見直しについて
        群馬県環境影響評価条例施行規則の一部改正(素案)について、環境政策課長から説明がなされた。
    2. その他
  5. 閉会

第27回群馬県環境審議会審議概要

環境審議会水質部会における審議状況について

【会長】
 審議会の議論に先立って、当事案に関する理解を深めるために私からいくつかの質問をさせていただく。
 PRTR法は、汚染物質に係る移動の登録を規定しているのだけで、罰則は規定されていないのか。

【環境保全課長】
   罰則は規定されていない。

【会長】
  当事案は、DOWAハイテック(株)がヘキサメチレンテトラミンを含む廃棄物を高崎の処理業者に処理を依頼したが、処理業者が行った処理方法では40%程度しか処理されず残りは河川に排出されてしまったことが問題である。
 廃棄物の処理を委託したDOWAハイテック(株)は、PRTR法にしたがって手続を行っており、法律的には何の問題もないということで間違いないか。

【環境保全課長】
  法律的にはDOWAハイテック(株)に責任はない。ただし、道議的には責任を問いたいと考える方もいると思われる。

【会長】
 DOWAハイテック(株)は、処理を委託した汚染物質の中にヘキサメチレンテトラミンが含まれているので適正に処理するように、少なくても無処理のまま河川には流さないようにと言って渡したが、処理業者はヘキサメチレンテトラミンが完全に分解されないまま、河川に流してしまった。その結果、浄水場での塩素消毒時にホルムアルデヒドが生成されてしまった。こういう状況でよいのか。

【環境保全課長】
 DOWAハイテック(株)は、そのように言っているが、処理を受託した高崎市内の業者は、廃酸及び廃アルカリの中和処理の許可をもっている業者で、今回処理を受託した産業廃棄物は廃アルカリであり、酸を加えて中和処理を行えばよいという認識であった。処理業者には、ヘキサメチレンテトラミンが含まれていることが全く知らされていなかった状況である。産業廃棄物を排出する側から受託する側に、しっかりと情報伝達するための法整備がなされていないことが問題だと思われる。

【会長】
  排出する側が、PRTR法に則り適正に登録していなかった。あるいは、処理を受託する側が知らなかったということか。

【環境保全課長】
 PRTR法は、経済産業省にデータを登録して全国データベース化されているが、個々の取引については活用できない。

【会長】
  何でもかんでも全て規制するというのは簡単だが、手間やお金が大変かかってしまう。今回のケースは特殊な事例であって、それに一般的な規制をかけるのはおかしいと思う。現在の規制でどこまでかかり、どこが抜けているのかということを群馬県としては認識しておくべきである。

【委員】
 DOWAハイテック(株)の事業内容とヘキサメチレンテトラミンとの関係について、また、今までこの様な事業を継続していたのか、今回が初めてなのかその辺の情報を教えてほしい。

【環境保全課長】
 DOWAハイテック(株)は、家電製品等の部品を製造している会社で、部品に銀の膜を形成する加工をしていると聞いている。銀の膜を形成する時に化学メッキを造る過程があって、その過程でヘキサメチレンテトラミンが副産物として生成される。
 この会社が埼玉県内でいつから操業しているか承知していないが、相当前からこの事業を展開していて、ヘキサメチレンテトラミンは有害物質ではないことから排水処理施設を通して利根川に放流をしていた。しかし、事業量の増加に伴い排出されるヘキサメチレンテトラミンも比例して増加したことから、平成15年に行田浄水場で今回と全く同じ事故が起きたと聞いている。その当時、埼玉県の指導により、再発防止のためヘキサメチレンテトラミンを高濃度で含む廃液については、排水処理施設を通して利根川に排水するのではなく、産業廃棄物として焼却処理を委託していた。以来、埼玉県内の廃棄物処理業者に焼却処理を委託していたが、経緯は分からないが今年の5月10日からは、高崎市内の中和処理をする業者に委託先が変更となり、今回の事故が発生したという経緯である。

【会長】
 ヘキサメチレンテトラミンは、PRTR法の指定物質だが、その点でホルムアルデヒドとはどう違うのか。
【環境保全課長】
 ヘキサメチレンテトラミンは、日本では認められていないが海外では食品添加物(防腐剤)として使用されているので、これ自体は有害物質ではない。
 ホルムアルデヒドについては、水道法で有害物質として登録されている。

【委員】
 ヘキサメチレンテトラミンが利根川に排出され、浄水場の取水口まで流れて行く。そこでサンプリングして水質を測定していると思うが、取水口から浄水過程でどのくらい浄化されるのか。

【環境保全課長】
 一般的な浄水場は、沈殿、砂濾過、塩素消毒という流れになるので、ヘキサメチレンテトラミンを除去できる構造ではないと思われる。ただし、活性炭による高度処理を行えば、ヘキサメチレンテトラミンを除去できる可能性はある。今回、ホルムアルデヒドの検出を受けて、水道事業者は活性炭による処理を行ったので、このような高度処理を行えば除去できると思われる。

【会長】
 浄水場での浄水過程では沈殿が主である。水溶性でないものだったら共沈殿して浄化されるが、ヘキサメチレンテトラミンは水溶性であるため、浄化されずにそのまま流れて行くと思われる。

【委員】
 今回、行田浄水場から第一報として群馬県企業局に情報提供があり、我々の飲み水はしっかりとチェックされているという逆の面の感想を持たれた県民の方もいたようである。そういう意味では、防護機能が多少のタイムラグはあったにせよ、うまく働いたというケースと捉えてよいのではないかと思う。

【委員】
 平成15年に同様な事故が起きて、業者としては廃液を処理委託するという対応をとった訳であるが、今回の事故に関しては、処理業者を変更した段階でチェックするべきであったと思う。それができなかったことが問題である。

【委員】
 DOWAハイテック(株)が、高崎市内のA社に対して廃液を廃アルカリとして処理を委託した訳であるが、産業廃棄物なのでマニフェストにどういうものがどのくらい含まれているのか記述されていると思う。今回の場合、A社に搬入された段階で廃液の構成や、ヘキサメチレンテトラミンが含まれているのかどうか知ることはできたのか。

【環境保全課長】
 廃棄物処理の委託時には、マニフェストに性状を記載することになっているが、ヘキサメチレンテトラミンが有害物質であれば濃度も合わせて性状を記載をしなければならない。しかし、ヘキサメチレンテトラミンは有害物質ではないため、記載がなくても法律的には問題はない。

【会長】
 有害か無害かは別にして、PRTR法に登録されている物質がマニフェストに記載されないのはおかしいのではないか。

【環境保全課長】
 PRTR法は、廃棄物を取扱う企業がどの位出して、どの位受け入れたかを登録する仕組みである。例えば、産業廃棄物として何トン排出したということのみを国に登録すればよい、どこの請負業者にどのような産業廃棄を排出したという情報は登録する必要ない。
  全国で462の化学物質が登録されているが、これがどのように全国を回っているのかを把握するための法律であるため、個々の取引にはなかなか利用しにくいと思われる。

【委員】
 PRTR法と廃棄物処理法との直接的なリンクはないと思われる。PRTR法は、年に1回その年度に排出したものを6月末までに報告することになっている。個別の取引について報告するものではない。
 排出側は、WDS(廃棄物データシート)による廃棄物の性状に関する情報を処理業者へ伝達するという部分の意識が欠けていたと思う。また、受ける側についても、初めて受けるものについて、特に液体系のものは中身よく分からないので、単なる廃アルカリと鵜呑みにするのでなく、中身がどんなものであるのか確認するべきであったと思う。
 法的に抵触しているということではないが、その部分はうかつだったと感じは受ける。

【委員】
 酸とかアルカリというのは、その中に重金属が含まれている可能性がある。出す側は廃液中に重金属が含まれているとわかっていても、受け入れ側には分からない。そのため、WDSが重要になると思う。
 重金属に関しての受け入れの基準があるのか。

【環境保全課長】
 廃棄物処理法は、不適切な処理が出てきた時に排出者に責任を負わせる制度となっている。排出者が一番よく性状を分かっているので、どのような重金属が含まれているのかをしっかりと受託者に伝えることを重点に置いている法律である。
 受託者は、得られた情報のなかで、自分の施設で適正に処理ができるかどうか確認することになる。処理出来ないものを受け入れる場合は、受託者が責任を問われることになる。

【委員】
 当案件について、水質汚濁防止法やPRTR法で縛るのはかなり難しいと思う。排出者が最終的に責任を持たない限り、今後も同じような事故が起こると思われる。
 最近、MSDSが普及してきたが、WDSについてはまだ十分に活用されていない。排出者のみが廃棄物の性状を知っている訳であり、そのことをしっかりと伝えるような廃棄物処理法と関連した規制を強めるべきである。

【委員】
 ヘキサメチレンテトラミンは基本的には有害物質ではないが、これが塩素と反応するとホルムアルデヒドが生成されることは理解できた。しかし、DOWAハイテック(株)がこのことを全く知らない状況で委託処理に出したとすればやむを得ないと思うが、平成15年に今回と全く同じ事故を起こして、ヘキサメチレンテトラミンが河川に流出すればホルムアルデヒドが生成される恐れがあることを承知していたにもかかわらず、A社に廃棄物を渡した時に、中和ではなく適正な処理が必要なことを説明していなかった。そのことに対して、埼玉県と同様に群馬県が行政指導を行うべきである。

【環境保全課長】
 今回の事故を受けて、廃棄物を受ける側は当然だが、出す側についても埼玉県が行政指導を行ったと聞いている。群馬県としても全く同じ考えであるので、埼玉県が代替して指導したと考えている。
 今回の事故では、廃棄物の排出元であるDOWAハイテック(株)と処理業者である高崎のA社を突き止めることができたが、今後、同様な事故が他の企業で起こらないような対策を考えなければならないと思う。

【委員】
 通常であれば、主成分を聞かなければ分解剤に何を使うのか、酸化代謝物としてどんなものが生成されるのか分からない。処理業者は、その状況でよく処理を請け負ったと思う。今後も主成分がわからないまま処理を請け負ったという事例が出てくるのではないか。
 処理業者が廃液を処理する場合に、こういう過程で発生した廃液で、こういう成分が含まれているということが明確であれば、適正な薬剤を使えたと思う。
 自分も実験で使用した廃液を処理業者に出す時には、こういう薬とこういう薬を使用してできた廃液で、主成分はこうゆうものが含まれていると紙に書いて渡している。
 水源県として、排出業者が廃棄物を処理委託する際は、処理業者に主成分を報告する制度を検討するべきである。

【委員】
 PRTR法の届出は、どこで廃棄物を処理したかという報告義務はないのか。
 また、中和処理が4割程度というのは、調査で判明したのか。それとも、業者が処理後にチェックを行っているのか。

【環境保全課長】
 PRTR法の届出は、廃棄物として全体で何トン委託したかを報告するが、どこの事業者に何トン委託したというところまでの報告する規定にはなっていないので、処理事業者名は分からない。
  4割程度しか分解しなかったというのは、事故後に調査を行った中で、埼玉県の試験研究所で高崎市内のA社で使用している薬剤と、DOWAハイテック(株)の廃液を使って実験をしたところ分解されたのが4割という結果であった。恐らく、プラントにおいてもこういう状況であったと推定される。実際のプラントで排水のチェックをした訳ではないが、高崎市のA社は、請け負った廃液にヘキサメチレンテトラミンが含まれていることを全く知らなかったと言っている、そのような状況で処理を行い放流をしているので、放流水のヘキサメチレンテトラミン含有量を図るという発想もなかったと思われる。
 
【会長】
 本日の環境審議会での議論を要約すると、新たに汚染物質に指定するという意見はなく、法的あるいは行政の面で問題があるのではないかというのが、当審議会大方の意見である。水質部会での審議の際には、このことに配慮していただきたい。

群馬県環境影響評価条例施行規則の見直しについて

【委員】
 昨年、緊急的な電力需給の緩和対策として、企業の自家発電施設の導入に対して国から補助金を交付する制度があったが、その制度は今年度も継続しているのか。
 また、過去に群馬県環境影響評価条例の適用をうけて、環境アセスメント手続を行った上で、工場に自家発電施設を設置した事例が何件あるのか教えてほしい。

【環境政策課】
 自家発電施設の導入に対する国の補助制度については、今年の7月に補助事業者の採択結果について発表があったところであり、今年度も継続していると思われる。だたし、今後も継続されるかどうかは分からない。
 また、今までに環境アセスメント手続を行って自家発電施設の設置した事例はない。

【会長】
 県としては、自家発電施設を奨励するという考えなのか。

【環境政策課】
  特に奨励している訳ではない。現在でも環境影響評価条例施行規則に該当しない小規模の自家発電施設は設置されているが、今回の見直しは大規模な自家発電施設を想定している。企業が設置する場合、一般的には自家発電で電力を使うだけでは電力会社から電力を買う場合よりコストが高く、かえって赤字になってしまう。自家発電と電力に伴い発生する熱を利用することにより、トータルとして採算が合うと聞いている。
 現在のところ、県内企業1社から大規模な自家発電施設の設置を検討していると相談があったが、当面の間の時限的な措置を緊急避難的に設けるということである。

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