農作物の放射性セシウム濃度低減対策について

平成24年1月31日
群馬県農政部

 厚生労働省の審議会において「一般食品に含まれる放射性セシウムの新たな基準値は1キログラム当たり100ベクレル」とする案が了承されました。
4月からはこれまでの5分の1に当たる新基準値が適用される予定ですので、今までよりも一層の注意が必要となります。
 県内では、地域により放射性セシウム濃度が異なりますので、農耕地の放射性物質にかかる土壌調査結果や、航空機モニタリングの測定結果を参考に、土壌診断に基づく施肥などの土壌管理を適切に行って、安全な農産物の生産に努めるようお願いします。

共通技術

1 カリウムの適正施用

 カリウムとセシウムは同じアルカリ金属に分類され、化学的にも性状が似ており、土壌中のカリウムが少ない場合に植物は放射性セシウムを多く吸収するとされている。加里肥料を施肥することで、放射性セシウムの吸収を抑える効果が期待できることから、土壌診断に基づく適正な施肥が必要である。

問い 土壌中に含まれるカリウム含量がどの位あればよいのですか?
答え 土壌中の交換性加里が少ないと、放射性セシウムの吸収が増加します。土壌診断結果を基に、目標値は水稲で30~50mg/100グラム、畑作物で40~80mg/100グラム程度としましょう。
 ただし、一般に野菜畑等ではカリウムが過剰傾向にありますので、むやみな多施用はカルシウム・マグネシウム欠乏を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。
 土壌診断に基づいた施用を心掛けましょう。

2 pH調整

 pHが低い場合は、土壌や有機物に吸着されていた放射性セシウムが遊離して植物に吸収されやすくなるので、石灰資材などを施用し、土壌のpHを適正値まで上げることで放射性セシウムの吸収抑制が期待できる。
 ただし、目標pH値は基準値の6~6.5とし、この基準値よりも低い場合には石灰資材などの土壌改良資材を投入するが、pHが高くなりアルカリ性に傾くと微量要素の欠乏症が発生するおそれがあるので、施用量には注意する。

3 深耕・反転耕

30cmを目標としたロータリーによる深耕やプラウによる反転耕は、放射性セシウムを分散させたり下層に埋設させることで、土壌中の濃度を低減して作物への吸収を抑える効果が期待できる。
 ただし、深耕や反転耕は、やせた下層土を作土と混和することとなるので、堆肥や土壌改良資材(暫定許容値(400Bq/kg)以下)を適正に施用して地力を向上させる必要がある。
 なお、作業機やほ場等の条件により30cmの耕深確保が困難な場合にあっても、でき るだけ現状より深い耕深となるよう努める。

4 土壌改良資材等の適正使用

 堆肥や土壌改良資材・培土は、放射性セシウム濃度が暫定許容値(400Bq/kg)以下のものを農地土壌に施用する。また、 購入・譲受けの際には、販売業者・譲渡者に放射性セシウム濃度が暫定許容値(400Bq/kg)以下であることを確認する。

5 落ち葉等の取扱い

 放射性セシウム濃度が確認されていない落ち葉・樹皮(バーク)・雑草は、高濃度の放射性セシウムを含むおそれがあるので、敷料(マルチング)や堆肥原料として使用することは自粛する。

作目別技術

1 水稲

(1)水管理

ア 代かきは浅水で行い、強制落水は行わない(極力地下浸透させる)。やむを得ず強制落水する場合は、濁りが十分なくなってから行う。
イ 移植後は用水の掛け流しを極力避ける。
ウ 有効茎数(15~20本/株)が確保されたら中干しを徹底する。
エ 根の機能低下を防止するため適宜、間断かん水を実施する。 

(2)中間追肥

出穂前30~50日を目安に、ケイ酸カリ(約30kg/10アール)または塩化カリ(約10kg/10アール)を施肥する。

(3)穂肥

窒素追肥は、草丈や葉色等の生育状況をみながら、施用時期と施肥量を慎重に判断する。

(4)収穫

収穫機の刈り取る高さを調節して土壌の混入防止を図る。

(5)深耕・反転耕

水田において深耕・反転耕を行う場合は、下層の礫や砂が混入しない耕深とし、深耕・反転耕後はトラクター等で踏圧し、地耐力を確保する。

2 畑作物

(1) 畑作物共通

ア 追肥
 生育中に土壌中のカリウムが欠乏しないよう、生育状況をみながら燐硝安加里等で追肥を行う。
イ 収穫
 収穫物には、ほ場の土が付着・混入しないように注意する。 
ウ 深耕・反転耕上の注意
 県北部・中部の火山放出物未熟土地帯の表面から30cm以内に軽石層が分布している地域では、軽石層を壊さないような耕深とする。軽石が作土に混入すると、保肥力の低下や作業性の悪化が問題となり、軽石層をなくすことで排水不良になるなどの障害発生のおそれがある。なお、深耕や反転耕の耕深が制限されるほ場では、カリウムの適正施用とpH調整を徹底する。

(2) 麦・大豆・ソバ

ア 大豆の培土高は収穫機に応じた高さとする。
イ 倒伏しないよう適正な肥培管理を行う。
ウ 収穫機の刈り取る高さを調節して土壌の混入防止を図る。

(3) 野菜

ア マルチ栽培が可能な品目は、マルチを利用し野菜への土の付着を少なくする。
イ 施設栽培では、ハウス周辺の土壌が雨水に流されて、ハウス内へ侵入しないよう注意する。
ウ 根菜類等を出荷する場合、泥付きであっても、余分な土を丁寧に落とす。

3 果樹

(1) 基本技術を励行して放射性セシウム量の軽減を図る

ア 剪定により樹体の放射性セシウム量を軽減できるので、整枝剪定は適正に実施し、剪定枝は適正に処理する。
イ 粗皮形成樹種(リンゴ、ブドウ、ナシ、カキ)は、主幹の側部と、主枝・亜主枝等の骨格枝の分岐部・上部・側部を中心に、粗皮削り・粗皮剥ぎを実施して樹体の放射性セシウム量の軽減を図る。なお、削り(剥ぎ)取った粗皮は、拾い集めて剪定枝と同様に処分する。

(2) その他、次の点に留意する

ア 果樹は根域が深いため、深耕は放射性セシウムが下層に分散され、根から吸収されるおそれがあるので実施しない。
イ 酸性土壌を好むブルーベリーについては、樹体への影響を考慮してpH調整は実施しない。

4 茶

  1. 春整枝を強めに行い、樹体の放射性セシウム量の軽減を図る
  2. 一番茶収穫後、深刈りや中切りの更新作業を行い、樹体の放射性セシウム量軽減を図る

5 飼料作物

(1) 一年生飼料作物(飼料イネを含む)

収穫調製作業は、作業機の刈り取る高さを調節し、ほ場の土が混入しないように注意する。

(2) 永年牧草地

ア 収穫
 収穫調製作業は、作業機の刈り取る高さを調節し、ほ場の土が混入しないように注意する。
イ 草地更新
 可能な場合は、反転耕または牧草の根の層を除去した後に耕起するなどの草地更新を行う。ただし、除去した根の処分については、別途国からの指示が出るまでの間はビニールシート等をかけて一時保管しておく。
 上記の方法が不可能な場合は、深耕により根の層と表層の土壌を攪拌して分散させ、牧草への放射性物質の吸収を抑制させる。

 注) 飼料イネの栽培管理は「1 水稲」の項を参照。

なお、新たな知見が得られた場合は、速やかに情報を提供してまいります。

群馬県では、生産者向けに、これらの情報をまとめたリーフレットを作成しました

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