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少雨による農作物への影響と技術対策

平成29年6月16日
技術支援課普及指導室

 関東甲信地方は、6月7日ごろ梅雨に入りました(平年より1日早く、昨年より2日遅い)が、春先から少雨の状態が続いています。特に4月下旬~6月上旬の降水量は、平年の60%弱と少なくなっています。6月15日発表の関東甲信地方の1ヶ月予報によると期間中の降水量は、平年並または少ない確率ともに40%と予想されており、今後の農作物への影響が心配されます。
 このため、少雨に対する技術情報を取りまとめましたので、各作物の栽培管理や施設管理の徹底をお願いします。

1 普通作物(水稲)

(1)育苗

  • かん水量は控えめにし、苗の徒長を抑制する。
  • 移植の遅れに伴い、肥料切れによる葉の黄化が見られる場合は、追肥を行い苗の老化を抑制する。
  • 苗が徒長し、大苗になった場合は、移植前に剪葉を行う。

(2)本田準備

  • 用水が不足する地域では、配水調整をするなど地域ごとの水管理体制を整備する。
  • 代かき前にほ場内にトラクターの車輪跡で通水用の溝を作ると、用水がほ場全体に行き渡りやすい。
  • 用水路の補修、畔シートの設置、丁寧なあぜ塗りや代かきにより、浸透による漏水を防止する。
  • 代かきから移植までの期間をできるだけ短縮し、不要な落水をしない。

(3)移植後

  • 移植後活着までは、湛水の浅水管理が望ましい。
  • 初~中期除草剤処理後7日間は落水等に注意する。なお、湛水での除草剤処理が困難な場合は、茎葉処理剤で対応する。
  • 活着後は間断かん水とするが、用水量が不足する場合は、田面にひびが入る前までに適宜かん水する。
  • 中干し期間は5日~7日、田面に小さなひびが入る程度とする。過剰な中干しは、減水深が大きくなるので注意する。

2 工芸作物(コンニャク)

(1)少雨による影響

  • 乾燥状態の続くほ場では、土壌処理除草剤の効果が劣り雑草が繁茂しやすくなる。
  • 出芽期から開葉期の生育にバラツキが生じ、開葉揃いは悪くなる。
  • 出芽時の高温で苞にとろけが発生し、芽腐れ症状が増加する。

(2)今後の技術対策

  • 土壌処理除草剤は降雨を待ち、土壌水分が多い状態で行う。
  • 芽腐れ症状が多発する場合は、登録薬剤を散布し腐敗病の予防に努める。

3 野菜

(1)定植時の乾燥対策

  • 定植時に土壌が乾燥している場合は、ポット苗やセル苗への十分なかん水、植え穴かん水や定植後の株元かん水を行うなどにより、活着を促す。また、葉菜類でかん水可能なほ場では、午前中を中心にかん水する。
  • ほ場準備の遅れや土壌水分不足などから定植が遅れた場合は、苗の老化に注意する。葉菜類で苗の老化が進み、苗に余裕のある場合は、定植適期苗を優先して定植する。

(2)定植後の乾燥対策

  • かん水が可能な場合は、生育に合わせて定期的なかん水を行う。かん水は過乾燥になる前に行い、植物に水分ストレスを与えないように注意する。

(3)病害虫対策

  • 乾燥条件下ではアブラムシ類、アザミウマ類、ハダニ類などの微小害虫が発生しやすいので、早期発見に努め適期防除を行う。

(4)葉茎菜類(キャベツ、レタス、ハクサイ、チンゲンサイ、ホウレンソウ等)

  • 育苗は、生育に応じて適宜かん水する。
  • 育苗ほの土壌やセルトレイの培養土の乾燥に注意し、かん水は朝早い時間帯にかん水する。
  • ホウレンソウ、コマツナは、播種前のかん水を十分に行う。

(5)果菜類(キュウリ、トマト、ナス、イチゴ等)

  • ハウスでは、開口部を防虫ネットで被覆し、微小害虫の侵入防止を徹底する。ネットの目合いは、タバココナジラミ(トマト黄化葉巻病、キュウリ退緑黄化病)は0.4mm以下、ミナミキイロアザミウマ(キュウリ黄化えそ病)は0.6mm以下のネットを展張し、ウイルスの感染をさける。
  • 防虫ネットを展張すると通風が悪くなり、ハウス内温度が上がりやすいので、循環扇や日中の遮光、室内環境の改善に努め、軟弱徒長を防止する。
  • キュウリでは、定期的にかん水する。また、通路などへのかん水により施設内湿度を適正に保つ。
  • 雨よけトマトでは、通路への敷きワラを行い、土壌の乾燥と地温上昇を抑制する。また、定期的にかん水し、草勢の維持と果実品質の向上に努める。
  • 露地ナスやオクラでは敷きワラを行い、土壌の乾燥を抑制する。
  • イチゴの育苗では、遮光により葉焼けを防止するとともに、午前中温度の低い時間帯に丁寧にかん水する。日中のかん水作業は、炭そ病や疫病の発生を助長するので注意する。ベンチ育苗ではハウス内湿度が低下すると、しおれや、ハダニ類の発生を助長するので通路などへ散水する。

(6)根菜類(ヤマトイモ、サトイモ、ダイコン等)

  • 降雨が少ない時はスプリンクラー等でかん水し、土壌の乾燥を防止する。

4 果樹

  • 乾燥が続く場合は、適宜かん水を行う。
  • 土壌の乾燥を防ぐため敷きワラなどのマルチを行う。
  • ハダニ類の発生が多くなるので、園内の発生状況をよく観察し適期防除に努める。

5 花き

(1)少雨による影響

  • 露地物は生育期にあたることから、少雨により生育不良がおこり、収量・品質の低下が懸念される。また、乾燥状態が続くとアブラムシ類、アザミウマ類、ハダニ類などの微小害虫が発生しやすく加害されると品質の低下を招く恐れがある。
    施設栽培では品目にもよるが高温障害の発生が懸念される。

(2)今後の技術対策

  • 施設はできるだけ開放し、遮光資材の被覆等で室温の上昇を防ぐとともに適期かん水を行う。また送風施設がある場合、施設内に外気を適度に送風することで、蒸散が促進され光合成能力が高まる。
  • 害虫の防除では、薬害が発生しやすい時期なので気温の低い早朝に防除を行う。

(3)露地切り花類の管理

  • ほ場が乾燥している状態で定植すると生育不良となるため、定植時に十分かん水を行う。
  • 条間、うね間に敷きワラをすることで乾燥を防ぐ。また、かん水施設がある場合、必要に応じかん水を行う。

6 飼料作物

(1)少雨による影響

  • 飼料作物は水分要求量の高い作物であり、乾燥が続くと生育の停滞を招き、品質や収量の低下が懸念される。

(2)今後の技術対策

ア 飼料用トウモロコシ

  • トウモロコシはソルガムに比べ耐干性が弱く、土壌の乾燥が続くと下葉の枯れ上がりや収量低下が懸念されるので、転作田やかん水施設のある畑ではかん水を行う。

イ ソルガム類

  • 耐干性は飼料用トウモロコシより強いが、土壌の乾燥が続く場合はトウモロコシと同様な対策が必要である。

ウ 飼料イネ・飼料用米

  • 普通作物(水稲)の項に準ずる。

7 作業者の暑熱対策

(1)高温による影響

 熱中症は以下のような症状を段階的に呈する。

熱中症の段階的症状
分類 症状
1度
  • めまい、失神
     「立ちくらみ」の状態(熱失神とも呼ぶ)。
  • 筋肉痛、筋肉の硬直
     「こむら返り」のことで、その部分の痛みを伴う。
  • 大量の発汗
※ すぐに涼しい場所へ移り体を冷やす、水分を与えることが必要。
誰かがそばに付き添って見守り、改善しない場合や悪化する場合は病院へ搬送する。
2度
  • 頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
    体がぐったりする、力が入らないなど。
※ 自分で水分・塩分を摂れないときは、すぐに病院へ搬送する。
3度
  • 意識障害、痙攣、手足の運動障害
    呼び掛けや刺激への反応がない、体にガクガクと引きつけがある、まっすぐに歩けないなど。
  • 高体温
    体に触ると熱いという感触。
※ すぐに病院へ搬送する。

(2)高温時の対策

  • 作業前に天気予報と自分の体調のチェックを行う。
  • 日中の気温が高い時間帯を外して作業を行うとともに、休憩をこまめにとり、作業時間を短くする工夫を行う。
  • 水分をこまめに取り、汗で失われた水分を十分に補給する。
    大量の発汗がある場合は水分だけでなく、スポーツ飲料などの塩分濃度0.1~0.2%程度の水分摂取をする。
  • 帽子を着用するとともに、汗を発散しやすい服装にする。
  • 作業場所には日よけを設け、できるだけ日陰で作業するように努める。
  • 屋内の作業では、遮光や断熱材の施工等により、作業施設内の温度が急激に上昇しないよう心がけるとともに、風通しをよくし、室内の換気に努める。
  • 気温の状況に応じ、適度に扇風機やエアコンを使用する。
  • 一人作業は極力避ける。やむを得ない場合は、家族や周囲の人に作業予定を伝えておく。
  • ※「農作業安全対策関連」(農林水産省ホームページ:外部リンク)
  • ※「熱中症環境保健マニュアル」(環境省熱中症予防情報サイト:外部リンク)

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