ぐんま知的財産戦略

~知的財産を活用した「ものづくり企業」振興指針~

 平成17年3月29日

 群馬県

 目次

 A はじめに

  1. 策定の背景
  2. 国の動向

B 知的財産に関する課題

  1. 知的財産の重要性に対する理解の不足
  2. 知的財産が活用できる人材の育成
  3. 企業と大学等が連携した研究開発の促進
  4. 企業と大学等が保有する知的財産の活用促進
  5. 経営戦略と一体となった創造・保護・活用の推進

C 戦略の目標

  1. 目標
  2. 目標の趣旨

D 基本方策

  1. 人材育成
  2. 産学官連携
  3. 活用・事業化

E 重点施策

  1. 知的財産を担う人材の育成
  2. 産学官連携による共同研究開発の推進
  3. 知的財産の活用・事業化の支援

(参考)

群馬県知的財産戦略会議設置要綱  

群馬県知的財産戦略会議委員名簿


A はじめに

1.策定の背景

  • 経済のグローバル化による産業の空洞化の進展や中国をはじめとするアジア諸国の台頭によって産業の国際競争が激化する中、県内中小企業が国際競争を勝ち抜いていくためには、積極的な研究開発によって付加価値の高い新技術・新製品を創出し、国際競争力を強化することが重要な課題となっている。
  • こうした中で、重要なポイントとなるのが、知的財産の積極的な活用を図ることであり、本戦略は、県内中小製造業における県及び関係機関の知的財産に係る支援の方向性を示すため策定するものである。

2.国の動向

(1)平成14年 2月  「知的財産戦略会議」設置

(2)平成14年 7月  「知的財産戦略大綱」決定

   ○「創造戦略」「保護戦略」「活用戦略」「人的基盤の充実」の推進

   ○「知的創造サイクルの確立」

   ○産業競争力の強化と「知的財産立国」の実現

(3)平成15年 3月  「知的財産基本法」施行

(地方公共団体の責務)
第六条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、知的財産の創造、保護及び活用に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(4)平成15年 3月  「知的財産戦略本部」設置

(5)平成15年 7月  「知的財産の創造、保護、活用に関する推進計画」策定

(6)平成16年 5月  「知的財産推進計画2004」策定

B 知的財産に関する課題

1.知的財産の重要性に対する理解の不足

  • 知的財産の活用等を進めていくためには、中小企業の経営者自らが知的財産をよく知り、重要な経営資源であるという認識を持つことが必要であるが、知的財産に関する学習の機会や経験が少ないため、知的財産に対する理解が不足している。

2.知的財産が活用できる人材の育成

  • 中小企業では、特許情報を活用した研究開発や自社の保有する知的財産のライセンス、また、権利化やノウハウとしての知的財産の保護等、知的財産を適切に創造・保護・活用することのできる人材が不足している。

3.企業と大学等が連携した研究開発の促進

  • 人材等の面で制約がある中小企業の場合、自社のみで研究開発をするだけでなく、大学や研究機関等と連携し、その保有する知的資源を積極的に活用することにより技術開発力を高める必要がある。

4.企業と大学等が保有する知的財産の活用促進

  • 激しい国際競争の中、短期間での製品開発が求められており、人的、資金的な面で厳しい環境にある中小企業は、他企業や大学等の開放特許のライセンスや技術移転を積極的に進め、研究開発の効率化やスピードアップ化を図ることが求められている。

5.経営戦略と一体となった創造・保護・活用の推進

  • 技術動向や市場状況を踏まえた研究開発、知的財産の技術移転やライセンス、費用対効果を考えた権利化など、経営戦略の視点から知的財産の創造、保護、活用を行うことが求められている。

C 戦略の目標

1.目標

  知的財産を戦略的に活用できる、たくましい中小企業を育成する。

2.目標の趣旨

  経済のグローバル化や中国をはじめとするアジア諸国の経済的台頭により、産業の空洞化と国際競争が激化する中で、県内企業が厳しい競争を勝ち残り、さらなる成長を続けるためには、知的財産を生かした付加価値の高い製品開発等により差別化を図り、競争力を高めて いかなければならない。

  しかしながら、人的にも資金的にも厳しい環境下にある中小企業の場合、すべて自社で研究開発するこが難しいケースも多く、他社の特許をうまく活用する、大学・試験研究機関との共同研究や技術移転という視点が重要である。また、開発した技術等も、その後の維持費 等費用対効果も考えて権利化する、場合によっては権利化せずにノウハウとして保持すべき ケースも多い。

  このように、知的財産の創造・保護・活用にあたっては、自社の技術力、時間、経済性な どから総合的かつ戦略的に判断し進めることが重要であることから、これを「知的財産を戦略的に活用する」という言葉で表し、こうした活用ができる「たくましい中小企業を育成する」ことにより、「ものづくり立県ぐんま」を築くことを目標とする。

D 基本方策

1.人材育成

知的財産の大切さを広め、戦略的に活用できる人材を育成する。

2.産学官連携

大学や試験研究機関等関係機関が連携し、県内企業の研究開発力を高める。

3.活用・事業化

大学等の知的財産の活用を促進し、事業化を支援する。

E 重点施策

重点施策実施期間:平成17年度~19年度

1.知的財産を担う人材の育成

 優れた知的財産を積極的に生みだし、それを適切に保護・管理し、さらに、生み出された知的財産を活用することで優れた新技術・新製品を事業化するためには、県内において知的財産を大切にする風土をつくるとともに、県内企業の知的財産戦略を担う経営者・技術者を育成すること、「知を育てる」ことが重要である。

 そのためには、知的財産の大切さに対する理解や意識を高める機会を設けるほか、県内企業の経営者・技術者に対し、知的財産に関する制度から技術動向や市場環境などを総合的に判断し、適切に成果を保護・権利化する、経営戦略としての知的財産戦略までの学習機会を県や県内大学、関係機関と連携を図りながら提供し、人材の育成を図る。

1)普及啓発のためのシンポジウムやパンフレットの作成 

 県内における知的財産やその制度などに関する理解や関心を高め、知的財産を大切にする気運を醸成するため、県内企業や県民等を対象に、国、県や大学、関係機関等が連携してシンポジウム等を開催する。また、知的財産権制度、(社)発明協会県支部、知的所有権センター等での相談事例をもとに実践的な留意事項、知的財産の活用事例、国、県等関係機関の支援制度について分かりやすく説明した中小企業向けのパンフレットを作成する。

   ☆シンポジウム「知的財産inぐんま」開催(県・群馬大学)

   ☆知的財産普及・啓発リーフレット作成  新規(県)

2)知的財産権制度から技術経営(MOT)(注1)までの各種セミナーの開催

 県内企業の経営者・技術者等を対象に、知的財産権制度から技術動向や市場環境、特許出願動向等を踏まえた経営戦略としての知的財産戦略、技術経営等に関するまで、その熟度に応じたセミナーを開催する。

 実施にあたっては、国、県、大学、(社)発明協会県支部、知的所有権センター等が相互に連携し、それぞれの機関がその役割分担に応じた内容のセミナーを実施する。

   ☆知的財産戦略セミナー開催 新規(県)

   ☆知的財産普及啓発教育 新規(群馬大学)

   ☆弁理士チャレンジセミナー 新規(群馬大学)

目標 : 知的財産戦略セミナー等参加企業  1000社/平成17年~平成19年

3)知的所有権センター等関係機関の相談・指導体制の強化

   知的所有権センター(注2)の特許流通アドバイザー及び特許情報活用支援アドバイザーによる知的財産に関する各種の相談・指導の一層の充実を図る。

 また、知的財産権の取得等、より専門的な相談については、(社)発明協会県支部及び(社)発明協会県支部各分(部)会において弁理士による「無料発明相談会」を実施しているが、さらに、経営戦略的観点からも対応できるよう企業の知的財産部OBを起用した相談会を実施するなど相談体制の充実を図る。

 このため、知的財産に関する施策のPRや知的財産の課題を抱える企業の相談に応じる身近な地域での知的財産の窓口として各商工会議所等を位置づけ活用を図る。

   ☆弁理士・企業OBによる「無料発明相談会」開催拡充((社)発明協会県支部)

   ☆「特許流通セミナー」開催(知的所有権センター)

   ☆「産業財産権セミナー」開催((社)発明協会県支部)

2.産学官連携による共同研究開発の推進

 県内企業の研究開発を促進し、新たな知的財産を生み出すことが、県全体の技術力を高め厳しい競争を勝ち残る企業を育てる上で、極めて重要である。

 このためには、県内の大学や試験研究機関などの地域の関係機関と県内企業が連携し、技術者と研究者間の交流や情報交換、技術の移転、また、共同研究開発など産学官の連携を促進することが重要である。こうした、産学官の「技術の出会いと融合」を図ることで、  地域の技術基盤の強化と県内企業の技術力の向上を促進する。

1)県内企業と大学・試験研究機関との情報交流の促進

 産業界・学界の関係者が一同に集うフェアや研究成果発表会等の開催により、産学官連携をより一層推進する。また、産学官の技術者・研究者間での意見交換や情報交流の促進を図るため、産学官連携に関する情報提供を強化するとともに、試験研究機関や大学等のサテライトスペースの活用促進、県内企業や大学、関係機関等を対象とした各種フェアや技術交流会の開催等により、産学官連携のきっかけづくりと技術のマッチング、情報の共有化を促進する。

   ☆「産学官フェア」開催(県・群馬大学)開催

   ☆「産学出会いの場」開催(産業技術センター)

   ☆知的財産関連情報提供→ホームページ作成(県) 新規

 

2)産学官連携による共同開発研究の促進

 産業技術センターは産学官連携の拠点として、国の制度を活用した共同研究や公募型共同研究等を通じて産学官連携による研究開発を推進する。また、産業界と学界の間を取り持ち、共同研究や円滑な技術移転を促進する「コーディネータ」を設置するとともに、(財)産業支援機構の「科学技術コーディネータ」の活用を図りつつ、大学・研究機関等の保有する技術シーズと産業界の開発ニーズのマッチングと技術移転を促進する。

   ☆地域研究開発促進拠点(RSP)事業

   ☆とことんコーディネート  新規

 目標: 県の補助制度による技術開発の特許出願率  70%

     産業技術センターの特許出願累積件数 38件/平成15年→120件/平成18年

     繊維工業試験場の特許出願累積件数  16件/平成15年→ 30件/平成18年

3)研究開発への資金支援

 県内企業が、厳しい競争に打ち勝つための技術力の強化、新技術・製品の開発力を強化するため、産学官研究を推進する補助制度や共同研究のきっかけづくりを促進する補助制度等により、中小企業が大学、試験研究機関と組んで行う実用化研究を強力に支援する。

 さらに、生み出した知的財産をしっかりと保護し活用するため、特許等の出願に係る費用の一部を補助することで、企業の知的財産の権利化を支援する。

   ☆産学官連携推進補助/産学官共同研究トライ補助

   ☆R&Dサポート事業(企画、試作、特許権化)

3.知的財産の活用・事業化の支援

  県内企業が経済のグローバル化や産業の空洞化によって激化する競争に勝ち残っていくためには、他社や大学等の技術を積極的に活用して優れた知的財産を生み出すとともに生み出された知的財産を積極的に活用して事業化し、自社独自の付加価値の高い新技術・  製品を市場に提供することで収益を上げていくことが重要である。

  そのためには、他の企業や大学等が保有している未利用特許の活用やライセンス、技術移転などを促進するほか、「売れるものづくり」と新たな販路の開拓に積極的に挑戦する企業を支援することで、販売力のある元気な企業の育成を図る。

1)未利用特許や大学の開放特許の技術移転等を促進

 知的所有権センターの特許流通アドバイザーによる、他企業の未利用特許や大学等の開放特許等の県内企業への技術移転や特許流通を促進し、これらを活用した新技術・新製品開発を支援する。また、自社の持つ知的財産権の他社へのライセンスや譲渡と行ったことにより、その収益が次の新たな技術開発につながるよう県内企業の特許流通も促進する。

目標 : 特許流通アドバイザーによる特許移転件数  400件/平成17年~平成19年

2)技術と経営の両面から知的財産の事業化を支援

 産業技術センターで、製品化に当たっての技術的課題に対する相談や受託研究、製品化を目指した共同研究を実施する。また、経営支援の中核機関である(財)産業支援機構の幅広い知識と経験を持つマネージャーが配置されている経営総合相談窓口を活用するほか、専門的な課題解決を支援する専門家の派遣等により、技術と経営の両面から県内企業の事業化を支援する。

目標 : 産業技術センターの研究開発による製品サンプル数 10件/平成18年

3)知的所有権センターを核にした相談機能の強化

 知的所有権センターにおいて未利用特許の流通や技術移転、他社へのライセンス・譲渡等について相談・指導・仲介機能の一層の強化を図るほか、県内企業が他社の特許情報等を活用し効率的で効果的な研究開発が進められるよう、特許情報活用支援アドバイザーによる特許情報の活用支援を行う。

 また、産業技術センターの企業訪問や県と企業を結ぶ「企業パートナー制」により職員が企業訪問する際に知的財産に関する施策のPRや訪問企業が抱える知的財産の課題を情報収集し、必要により各支援機関等の支援を実施する。

 目標 : 県等の企業訪問件数   1500件/平成17年~平成19年

 

(参考)

群馬県知的財産戦略会議設置要綱

(目的)

第1条 本県中小企業の知的財産の戦略的な創出・保護・活用方策について検討するとともに、総合的な推進に向けた戦略を構築するため、群馬県知的財産戦略会議(以下「戦略会議」という。)を設置する。

(構成)

第2条 戦略会議委員は、知事が委嘱した別表に掲げる者をもって構成する。

(所掌事務)

第3条 戦略会議は、第1条に掲げる設置目的の達成に必要な次の事項について検討等を行う。

 (1)本県の知的財産戦略の策定に関すること。

 (2)その他本県の知的財産戦略策定のために必要な事項に関すること。

(戦略会議)

第4条 戦略会議に議長を置く。                      

2 議長は、知事が任命する。

3 議長は、戦略会議を招集し議事を司る。

4 議長に事故があるときは、あらかじめ議長が指定する委員がその職務を代理する。

5 戦略会議は、必要に応じて関係者の出席を求め、その意見を聴取することができる。  

(事務局)

第5条 戦略会議の事務局は、産業経済局工業振興課に置く。

(委任)

第6条 この要綱に定めるもののほか、戦略会議の運営に関し必要な事項は、知事が別に定める。

 

  附則

 この要綱は、平成16年7月7日から施行する。

別表
氏名 所属等
 松田 淳一 富士油圧精機株式会社代表取締役
 金子 正元 株式会社キンセイ産業代表取締役
 堀口 靖之 カンサン株式会社代表取締役
 正田  寛 京和装備株式会社代表取締役
 茶園 広一 太陽誘電株式会社上席執行役員
 須齋  嵩    群馬大学知的財産戦略室長
 小島  昭 群馬工業高等専門学校地域共同技術開発センター長
 尾崎 益雄 前橋工科大学地域研究開発センター長
 羽鳥  亘    弁理士
 平野 欽一  テクイ総研代表
 長谷川 奉彦 財団法人群馬県産業支援機構専務理事
 植松  豊 群馬産業技術センター所長(知的所有権センター)
 上石 洋一 新政策課科学技術振興室長
 石田 哲博   工業振興課長 

注1 「Management of Technology」の略であり、先端技術や技術革新に対応する新事業開発、知的財産やリスク管理などの専門知識、手法を教育するもの。

注2 特許情報等の利活用と未利用特許等の移転・流通を促進するための中核機関。群馬産業技術センターが特許庁より認定を受けており、特許流通アドバイザー及び特許情報活用支援アドバイザーが常駐している。 

このページについてのお問い合わせ

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〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
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