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神流川圏域河川整備計画

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

一級河川 笹川写真
​一級河川 笹川 藤岡市

 本計画は、河川法第16条の2に基づき、神流川圏域の一級河川において今後20年間に行う整備の具体的な内容を、学識経験者、地域住民及び関係市町長の意見を聞いて定めたものであり、平成14年5月に国の認可を受けた計画を掲載しているものです。
 なお、適宣その内容について点検を行い、必要に応じて変更するものとします。

神流川圏域河川整備計画(平成14年5月31日認可) (PDF:1.63MB)

目次

第1章 圏域の概要

第2章 河川の現況と課題
 第1節 洪水による災害の発生防止又は軽減に関する事項
 第2節 河川の利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項
 第3節 河川環境の整備と保全に関する事項

第3章 河川整備計画の目標に関する事項
 第1節 計画対象区間及び計画対象期間に関する事項
 第2節 洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項
 第3節 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項
 第4節 河川環境の整備と保全に関する事項

第4章 河川整備の実施に関する事項
 第1節 河川工事の目的、種類及び施行の場所
 第2節 河川の維持管理の種類

第5章 河川情報の提供、地域や関係機関との連携に関する事項
 第1節 河川情報の提供に関する事項
 第2節 地域や関係機関との連携等に関する事項

第1章 圏域の概要

 神流川圏域には、主要な河川として神流川、鮎川、温井川がある。鮎川は鏑川流域、温井川は烏川流域であるが、洪水防除地域が神流川と同じ藤岡市であることから同一圏域とした。
 神流川は、その源を群馬県上野村の三国山に発し、深いV字谷を形成し中里村、万場町を経て埼玉県との県境を縫うかたちで、左岸を群馬県鬼石町、藤岡市、新町、右岸を埼玉県神泉村、神川町、上里町に接しながら流下し烏川に合流している。烏川との合流点から11.6キロメートル及び下久保ダムに係わる区間は国管理区間、それ以外が県管理区間となっている。鮎川は、御荷鉾山地の杖植峠に始まり神流川と似た河谷地形を形成し、藤岡市のみを流域として鏑川に注いでいる。温井川は藤岡市内から新町を経て烏川に合流する市街地内の河川である。
 圏域の地形は、その大部分が長野県、埼玉県の県境に位置する奥多野山地と標高約1500メートルの尾根が連なる御荷鉾山地で構成され、下流の一部に神流川と鮎川の扇状地が広がっている。このため土地利用は、上流の大部分が山林で覆われ、下流の扇状地が畑、水田、市街地として使用されている。
 圏域の地質は、上流で古生代または中生代の砂岩・泥岩互層、中流で古生代の黒色片岩・緑色片岩互層が多くを占めている。
 圏域内の気候は、内陸性の気候で積雪が少なく、平均年間降水量は1100~1200ミリメートルで群馬県の他の流域と比較して少ない。年平均気温は万場で約12度である。
 前述のような圏域の自然条件を背景として、上流の山林を抱える上野村、中里村、万場町では、戦後の木材需要に合わせて、材木の販売、杉の植林が行われ、林業が発達した。万場町や鬼石町では、昭和の高度経済成長期において、三波石による庭石産業が急速に伸びた。藤岡市では扇状地に堆積した粘土層を使い、古くは古墳時代の埴輪製作、明治期以降は瓦を生産する窯業が発達した。
 圏域全体では養蚕や製糸が江戸時代から行われており、藤岡市は江戸時代以前から養蚕、製糸、絹織りまで一貫して行われており、周辺各地の絹の集荷地であると同時に周辺各地での買い付けの拠点となっていた。新町には、明治以降いくつもの紡績所が開業し製糸業が発展した。しかし、近年は化学繊維の普及等により、製糸業から食品業など他事業への転換が進んでいる。
 圏域の市街地として発展してきた藤岡市、新町部では、江戸時代には中山道の宿場町が置かれ、明治17年には鉄道が開通した。昭和55年には関越自動車道の開通に伴い、藤岡インターチェンジが完成し、平成5年には藤岡ジャンクションで分岐する上信越自動車道が開通するなど交通網の拠点となっている。
 人口は、藤岡市が6万人余と最も多く、次いで新町が1万人余と続いている。人口の経年変化は、藤岡市のみが増加傾向でその他の町・村は減少傾向であり、山間部では過疎化・高齢化が進んでいる。
 上流域は清流、緑の森林等の豊かな自然を活かしたまちづくり・むらづくりを行なっている。下流の藤岡市、新町は交通の拠点として恵まれた立地条件により、商工業の発展、宅地化が進んでいる。

第2章 河川の現況と課題

第1節 洪水による災害の発生防止又は軽減に関する事項

 神流川圏域における過去の大きな水害は、昭和22年9月カスリン台風、昭和23年9月アイオン台風、藤岡市で半・全壊家屋45戸等が生じた昭和24年8月キティ台風、昭和34年9月伊勢湾台風において生じている。近年では昭和41年、昭和57年で浸水戸数が多く、最近では昭和62年、平成元年、平成10年、平成11年で床上を伴う浸水被害が連続して発生している。
 神流川圏域における治水事業としては、昭和33年頃から氾濫被害のあった川を中心に事業が実施され、温井川、鮎川、笹川、中川他で過去の洪水被害に対応した改修事業が完了している。また、治水、利水上の要請から神流川において下久保ダムが昭和43年度に完成し、神流川左支川の塩沢川には塩沢ダムが平成5年度に完成している。
 上流地域については、渓谷地形特有の河岸浸食や土石流被害等に対して災害復旧事業を行っており、局部的な対応を実施してきている。
 こうした治水施設の整備により大きな水害は減少しているものの、都市化の進行する地域等では最近でも浸水被害が発生している状況である。

第2節 河川の利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項

 神流川圏域の上流域では、上水道、マス等の養魚用水、地場産業である石材の洗浄用水として利用されており、下流域では、川沿いの農業用水として利用されている。
 圏域においては、水需要に対応して下久保ダムが建設され、東京都、埼玉県への水道、工業用水として使用されている。また、塩沢ダムも建設され、万場町の水道用水に利用されている。
 発電については、神流川の流水が下久保ダムで利用されているほか、信濃川水系南相木川の最上流部に上部ダム、上野村における神流川最上流部に下部ダムを持つ純揚水式発電所の建設が進められている。
 下久保ダム下流の三波石峡において無水区間が生じていたが、放流口を変更することで清流が復活している。

第3節 河川環境の整備と保全に関する事項

 神流川圏域の上流部の山地は、ブナ等の天然広葉樹とヒノキやスギの植林された針葉樹からなる樹林帯とその間を流れる渓流河川により形成される。山林にはツキノワグマ等のほ乳類、クマタカやアオバト等の鳥類が生息し、川にはヤマメ、イワナ、カジカ、ギバチ等の魚類が見られる。
 圏域の下流部は、神流川本川も河床勾配が緩やかになり掘込河道から築堤河道へと形態を変え、都市部や田園地帯を流れる河川が多くなる。魚類ではウグイやオイカワ、シマドジョウ、フナ等が生息し、ススキやヨシ等の植物が見られる。また、藤岡市内の河川でヤリタナゴ(藤岡市天然記念物)の生息が確認されており、生息環境改善を図るため、ヤリタナゴが好む淵等をつくる試みを行っている。
 水質観測地点として、下久保ダム上流の万場町の森戸橋があり、A類型に指定されている。水質測定結果は環境基準のBODが2ミリグラム毎リットルを下回っており、きれいな水質である。
 生活環境としては、神流川の河原に子供達が集まり、お雛様を運び込んで遊ぶ上野村の伝統行事「おひながゆ」、数百匹の鯉のぼりを神流川の上に泳がせる万場町の鯉のぼり祭り、お盆に温井川で行われる灯籠流し等の場として、人々に広く利用されている。
 また、多くの河川で漁業権が設定されており、アユ、ヤマメ等の釣場として多くの釣り人が訪れている。
 河川に係わる市民活動としては、ホタル祭りや三波川におけるヤマメ、カジカ等の保護を目的とした活動、河川に石を戻す活動及び河川愛護団体による清掃活動等が行われている。

第3章 河川整備計画の目標に関する事項

第1節 計画対象区間及び計画対象期間に関する事項

 計画対象区間は、一級河川の県管理区間とする。
 計画対象期間は、河川事業の完成によって効果が期待できる今後概ね20年間とする。
 本計画は現時点の圏域の自然・社会状況に基づき策定するものであり、計画対象期間内に大規模な災害の発生等により状況の変化が生じた場合は、適宜見直しを行う。

第2節 洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項

 神流川圏域において、最近、家屋浸水を含む洪水被害を発生させた平成11年8月の豪雨と同じ洪水による氾濫を防止することを目標とする。なお、都市化が進み、川沿いに資産の集中する温井川下流については、概ね30年に1回程度発生すると予想される洪水による氾濫を防止することを目標とする。

第3節 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項

 神流川圏域の河川において、水質、動植物の生息・生育に配慮した水環境の保全のため、そして河川水の利用が支障なく行われるために最低限維持する流量の具体的数値については、健全な水循環系の構築ならびに適正な水利用のあり方等について今後慎重に検討しつつ定めることとし、このために必要となる流量調査、水利用実態調査等を行い詳細な河川水の利用状況の把握に努める。

第4節 河川環境の整備と保全に関する事項

 神流川圏域の上流部は、自然豊かな森林や渓流に恵まれ多くの動植物が生息生育している地域であることから、三波石峡に代表される渓谷景観や動植物の生息生育環境を可能なかぎり保全する。
 下流部の河川は、流域の市街化が進む中で自然をとどめながら、水辺利用もされているため、地域の方々の意見も聴きながら気軽に川に親しむことができる水辺空間の整備を行なうとともに、動植物の生息生育環境を維持するような整備の実施に努める。

第4章 河川整備の実施に関する事項

第1節 河川工事の目的、種類及び施行の場所

 河川整備計画の目標を達成するための方策として、次のとおり、河川の整備を効果的かつ経済的に実施する。
 また工事の実施にあたっては、河川の水利用の現状を調査し、支障なく適正な水利用が行なえるよう考慮する。

温井川

 温井川は過去に改修が実施されたが、その後土地区画整理事業など流域内の市街化が進み、温井川の河道だけでは十分な河積の確保が困難であることから、藤岡市の下水道雨水計画と連携し、温井川については河床掘削と河道の拡幅を実施することにより概ね30年に1回程度発生すると予想される洪水を安全に流下させる。
 実施にあたっては、施工区間の生息生育環境の維持や虚空蔵橋付近での灯籠流し等の水辺利用に配慮することとし、河床掘削部は既設の護岸を活かし、拡幅部は植生回復のために多孔質なブロック等を使用するとともに、石や木等で自然な水際になるよう工夫し、良好で自然豊かな水辺を整備する。

  • 施工区間 虚空蔵橋~中川合流点
  • 延長 1,780メートル
  • 整備内容 河床掘削、根継工、護岸工

第2節 河川の維持管理の種類

 神流川圏域の河川においては、日常的に以下のような維持管理を行う。

  • 土砂が堆積し、洪水の流下の阻害となるなど治水上の支障となる場合は、河川環境にも配慮しつつ、堆積土の除去、立木の伐採、草刈り等の必要な対策を行う。
  • 護岸の亀裂など河川管理施設の異常を早期に発見するため、定期的な河川巡視を行うとともに、河川管理上支障となる場合には、速やかに修繕等の必要な対策を行う。
  • 取水堰や橋梁等の許可工作物で、洪水時の河床洗掘や河川断面の阻害など河川管理上支障となるものについては、施設管理者と調整し適切な処置に努める。また、施設の新築や改築にあたっては、施設管理者に対して治水上の影響を考慮のうえ河川環境にも配慮するよう指導する。
  • 地域住民と協力して河川環境の保全を行うため、草刈や河川清掃等の河川愛護活動を積極的に支援する。
  • 塩沢ダムについては、ダム本体、貯水池及びダムに係わる施設等を常に良好に保つために必要な計測・点検を行い、その機能の維持に努める。

第5章 河川情報の提供、地域や関係機関との連携に関する事項

第1節 河川情報の提供に関する事項

  • 河川整備目標の実現までには長期間を要すること、また、計画を上回る規模の降雨が発生する可能性もあるため、降雨の状況や河川水位の情報をリアルタイムで収集し、関係機関と地域住民が行う水防活動等の対策の支援、及び洪水発生時に適切な行動ができるよう正確かつ迅速に提供し、被害の軽減を図る。
  • インターネットの利用、パンフレットの配布、イベントの開催等により、河川事業の紹介など河川に関する情報の提供を行い、河川事業に関して広く理解を得られるように努める。

第2節 地域や関係機関との連携等に関する事項

  • 神流川圏域全体を視野に入れて適正な河川管理を行うため、開発行為や土地利用について関係市町村や関係機関と連携を図る。
  • 良好な河川環境を保全していくためには、地域住民の理解と協力がなくてはならないことから、地域住民との連携及び協力体制の確立に努める。
  • 油等の流出による水質事故が発生した時は、事故状況の把握、関係機関への連絡、被害の拡大防止措置、河川や水質の監視、事故処理等を迅速に原因者や関係機関と協力して行う。
  • 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関しては、健全な水循環系の構築及び適正な水利用のあり方等について、関係機関と協力して検討を行うとともに、水利用実態調査等を実施する。また渇水時には、関係機関と連携し被害の軽減を図る。

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