本文へ
表示モードの切替
印刷

平成29年度ぐんまコンベンションフォーラム

1 開催趣旨

 県では、高崎駅東口にコンベンション施設の整備を進めるとともに、県域のコンベンションビューローを設立し、県内各地へのコンベンション誘致に取り組んでいます。コンベンション開催による地域活性化と、それに向けた地域の取組を推進するため、コンベンションフォーラムを開催いたしました。

2 日時

 平成29年11月24日(金)午後2時~4時30分

3 場所

 エテルナ高崎 2階 ヴァンベール(高崎市栄町22-30)

4 構成

第1部 基調講演「コンベンション開催による地域活性化」(30分)

講師

 川島アソシエイツ 代表・観光庁VISIT JAPAN 大使 川島 久男 氏

第2部 パネルディスカッション「コンベンション開催と地域の取組」(100分)

パネリスト

 川島アソシエイツ 代表・観光庁VISIT JAPAN 大使 川島 久男 氏
 NPO法人コンベンション札幌ネットワーク 理事長 藤田 靖 氏
 (公財)北九州観光コンベンション協会 誘致部MICE推進課長 小園 理恵 氏
 合同会社高崎食文化屋台通り 施設・広報担当 小池 秀明 氏

コーディネーター

 前橋工科大学 名誉教授 湯沢 昭 氏

5 参加者

 260名(参加費無料・事前予約制)

6 登壇者プロフィール

川島アソシエイツ代表・観光庁VISIT JAPAN大使 川島 久男 氏

 群馬県伊勢崎市出身。元サイマル・インターナショナル常務取締役。
 MICEコンサルタントとして40年に渡り国内外で活動。1995年~2001年、国際PCO協会主催の国際セミナー講師。観光庁、JNTO発行の国際会議関連の各種ハンドブック作成の助言、執筆、編集に携わる。
 JNTO主催「国際会議支援セミナー」講師を長年務める。MICE国際競争力強化小委員会委員。(一財)日本ホテル教育センター主催MICE塾塾長。2009年、VISIT JAPAN 大使に就任。2014年、第6回観光庁長官表彰受賞。2015年、観光庁MICEブランディング有識者検討委員会座長に就任。

NPO法人コンベンション札幌ネットワーク 理事長 藤田 靖 氏

 (株)プリプレス・センター代表取締役。また、札幌のコンベンション関連産業、団体で構成された組織の代表を務め、コンベンションの振興を通じて地域経済の活性化、学術文化の向上を目的に活動。(株)DMC札幌、(株)DMC東京を設立し、海外から来訪するビジネス目的の滞在客のコーディネート、ホテルや交通手段の手配等を行う。

(公財)北九州観光コンベンション協会 誘致部MICE推進課長 小園 理恵 氏

 北九州市のコンベンションビューローに従事し、学会等誘致を進めるとともに西日本総合展示場、北九州国際会議場の管理運営を行う。環境都市としてのブランド力や地元グローバル企業の集積を活かしたコンベンションを提案している。

合同会社高崎食文化屋台通り 施設・広報担当 小池 秀明 氏

 (有)小池 代表取締役、法人ぐんまCSO 理事等を務める。
 民間主体の公共的地域活性事業として、高崎田町屋台通り、高崎フィールドバンケット BBQ PEOPLEの運営や、県内の活性化につながるイベントに多数携わる。過去には「GUNMA ROCK FESTIVAL」の企画運営を行う等、様々な地域に根ざした活動を行う。(公社)高崎青年会議所OB。

前橋工科大学 名誉教授 湯沢 昭 氏

 都市計画、交通計画に関する調査研究活動に取り組み、特に地域における社会資本整備や地域活性化の課題について、調査研究を行う。また、高崎競馬場跡地利活用有識者検討委員会の委員を務める。

7 概要

第1部 基調講演「コンベンション開催による地域活性化」

(コンベンションは世界的な成長産業)

 「コンベンション開催による地域活性化」についてお話しさせていただく。国もMICEに本気になって取り組んでいる。「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議ワーキンググループ」(第1回)に参加し、MICEの振興について意見を述べる機会があった。それを受けて政府として、「MICEを推進する官民連携横断組織を設置し、オールジャパン体制で強力に質の高いビジネス客を取り込むこと」を決定した。コンベンションは世界的にみても成長産業である。2016年における国際会議開催件数は、過去最高を記録しており、世界で12,212件が開催されている。最近の10年間で2倍に増加しており、過去50年間を見ると10年ごとに倍増している。国際会議の参加者の消費額が、京都市の場合、日本人一般観光客の約1.4倍、外国人一般観光客の約1.8倍ある。また、参加者だけでなく、主催者、スポンサー、展示会等に係る人々が消費活動を行う。一般観光においては、旅行・宿泊・運輸への経済効果が大きいが、コンベンションにおいては、これに加えて、コンベンション施設、看板、装飾、設営、映像、音響、機材、同時通訳、印刷製本等の様々な業種への経済効果もある。コンベンションは一般観光より経済波及効果の裾野が広い。

(大阪市のMICE振興)

 日本の都市もコンベンションに積極的に取り組んでいる。例えば、大阪市長はコンベンションが地元産業を振興するという視点でMICE振興に取り組んでおり、次のとおり述べている。

  1. 観光産業を上回る裾野の大きさを持つMICEに取り組む意義は、開催に伴う経済効果はもとより、都市としての発展を支えるレガシー効果にある。
  2. MICEは観光と密接に関連しながらも、一過性の消費の連続である観光とは一線を画し、都市に大きな効果をもたらす。
  3. たとえ小規模のMICEであっても、産業・経済・学術の振興発展に寄与し、都市の未来を形成するレガシー効果に繋がる。
  4. 大阪の産業面での強みをMICEと連動させることで、世界から選ばれる都市「大阪」を実現する。
  5. MICEによる大阪のブランド向上が、経済成長につながり、ひいては医療、福祉、教育をはじめ豊かな市民生活を実現する。

(シンガポールやシドニーのMICE振興)

 シンガポールも地元産業を振興するという視点でコンベンションに取り組んでいる。コンベンションが開催されることで、国内外のネットワークが拡大し、最新の研究成果が共有される。研究分野・プロダクトの認知度向上、新しいビジネスや新しい発見の機会が拡大することで、イノベーションの機会が拡大する。次世代の人材育成に繋がる等の効果が見込まれる。地元産業・学術研究強化に繋がるということで、シンガポールは、コンベンションを振興している。
 シンガポールは、コンベンションは都市の産業振興を実現するツールであると考えており、具体的には、デジタルメディア、バイオメディカル、ヘルスケア、環境・エネルギーなどの重点分野の産業振興のためにMICEを戦略的に誘致している。オーストラリアのシドニーも医薬・医療機器、アグリビジネス、防衛産業等の分野のMICE誘致に積極的に取り組むと宣言している。コンベンションの誘致は単に交流人口を増やして消費額を大きくすることではない。

(コンベンションの効果について)

 コンベンションについてまとめると次のとおりである。

  1. コンベンションの参加者は、長期滞在型ハイエンドな参加者で観光客より消費金額が多く、さらに主催者、スポンサーによる幅広いサプライヤーへのビジネス消費により地域経済全体を潤すものである。
  2. 技術や研究の深化、ブレークスルーやイノベーションの実現、ネットワークの拡大によるビジネスチャンスの誘発、次世代の人材育成など、長期的かつ持続的に地域の産業、学術研究を発展させるものである。
  3. 都市の競争力を向上させ、主催者や地域の知名度、ブランドの向上を推進し、シビックプライド(市民の都市への愛着や誇り)を醸成するものである。

(地域のステークホルダーの役割と期待される効果)

 地域はこれらの効果をどのように自分達のビジネスにしていくか考えて行く必要がある。コンベンションの主催者、都市・自治体、ビューロー、関連業者の役割と期待される効果をまとめると次のとおりである。コンベンションは平日開催が多く、2~3年先に決まることが多いため将来の見通しを立てやすい。

  1. 主催者
     成果共有による研究の深化、次世代の育成、ネットワーク強化、イノベーション誘発、新規契約・顧客獲得、知名度向上
  2. 都市・自治体
     都市・自治体の産業・学術の振興発展、(グローバル)人材育成、都市・自治体のブランド向上、シビックプライド向上
  3. ビューロー
     会員、サプライヤーのビジネス推進
  4. 関連業者
     グローバルビジネス対応力向上、製品・サービスの品質向上、利益・売り上げの改善、特に平日売り上げ向上、将来計画見通し向上

(コンベンション施設の地域での役割)

 コンベンション施設の地域での役割を考えたい。まず、コンベンション施設では、展示会・イベントや学会等に加えて、参加者ネットワーキングのための行事(コーヒーブレイク、パーティ、同伴者プログラム等)、理事会、記者会見、ポスターセッション、商談会、一般市民向け講演会・イベントなども開催されることで、市民交流の場を提供できる。
 次に、コンベンション施設は、周辺のホテル・旅館・商業施設・レストランなどと連携し、参加者回遊性向上策を企画して、地域に賑わいをもたらすことで、施設主導で周辺地域を活性化する役割を持っている。例えば、横浜では、施設と百貨店が連携して会議の参加者を回遊させるよう試みている。
 最後に、コンベンション施設は、都市・地域に経済的・社会的利益を誘発するための基本インフラであり、人や知識の交流を促して産業・文化・学術を発展させる役割がある。単に箱物としての、会場を提供しているのではない。

(宿泊事業者に期待される役割と効果)

 関連業者の中でも、宿泊事業者にどのようなメリットがあるのか考えたい。人口減少社会や競合の増加によって、婚礼ビジネスや一般宴会が減少する中で、コンベンションは成長が期待できるビジネスである。また、コンベンションは平日の開催が多く、平日需要を担保できる。また、宿泊・宴会・料飲・会議のワンストップサービスのノウハウが蓄積できる効果も大きい。
 加えて、コンベンションは2~3年前に決まることも多いので、事業計画が立てやすく、収益予測が立てやすいのも魅力である。また、国や地方自治体から公的支援があり、開催が保証されていることから、景気や為替に左右されにくい点も挙げられる。
 また、サミット等の大型コンベンションが開催されることで、ブランド向上効果があり、ホテルや宿泊に大きな効果がある。また、主催者が組織委員会や実行委員会を立ち上げることから、主催者はひとりではなく、リピートビジネスであることも大きな魅力である。

(コンベンションビジネスを獲得するため)

 コンベンションには様々な効果があるが、待っているだけでは、地域でその効果を享受できない。多くのコンベンションが誘致される中で、地域が自分達のビジネスにしていく必要がある。コンベンションには、PCO、宿泊、観光、交通、装飾、機材、印刷、飲食等多くのサプライヤーが関わる。コンベンションビジネスを獲得するためには、いつどのタイミングで主催者若しくは参加者にアプローチすれば良いか考える必要がある。例えば、装飾業者は、主催者に準備初期から中旬にアプローチする必要がある。地元はただ待っているだけでなく、積極的に主催者にアプローチすることが重要である。そのためには、情報をコンベンションビューローが開示して、地域のビジネスにしていく必要がある。

(コンベンションが誘発する観光と小規模コンベンション)

 高崎で大型コンベンションが開催されることで、高崎以外にも波及効果が及ぼされる。アフターコンベンションだけでなく、会議前のプレ・コングレスツアーや会期中のツアーもある。群馬県では、会議前に温泉やショッピングを楽しんでもよい。また、産業視察ツアーの企画やユニークベニューでのパーティー、理事会等も期待される。加えて、サティライトシンポジウムや一般向けの市民公開講座があり、このような観光や小規模コンベンションが付随して行われる。
 例えば、サティライトシンポジウムについては、高崎以外の地域でも開催の可能性がある。"サティライト"という言葉が示すように、本会議と異なる都市での開催が多く、期間は1~2日間、参加者は小規模で50~300名規模である。温泉地でも開催することができ、遅い段階での誘致や営業が可能である。地方でも可能性がある分野である。

(地域の新しい魅力)

 地域の新しい魅力を紹介したい。例えば、横浜では施設と百貨店が連携して、シャトルバスを出し、ショッピングツアーを企画している。参加者も百貨店も喜ぶ企画である。
 群馬県も取り組んでいる温泉MICEも良い取組である。山形では、温泉旅館・主催者・自治体・ビューローが連携して、200人規模の国際会議を開催した。駅から旅館までのアクセスやレセプションを工夫して取り組み、多くのコンベンションが開催されるきっかけになった。
大阪府もコンベンションを活用した地域ビジネスとして、様々な取組をしている。MICE弁当・ハラル弁当の開発、近隣百貨店で使えるクーポンの発行、貸し切りパーティができる飲食店の提供、チームビルディングを活用した観光スポットをめぐる企業研修MICEの提案等の工夫を行っている。
 また、横浜では、コンベンション参加者の回遊性を向上させるために、みなとみらい地区200店舗で使用可能な共通飲食券の発行、MICE開催クーポンの発行、おもてなしのプログラムの開発、ユニークベニュー開発を行っている。ユニークベニュー開発に取り組んでいる地域は多いが、利用できるユニークベニューは少ない。飲食の提供や実際の利用にはまだまだ課題が多い。
 世界を見るとバンクーバーの国際会議場とタクシー協会で面白い取り組みをしている。施設と協会で情報を共有することで、タクシードライバーが、参加者に「Welcome to Vancouver」と伝え、歓迎の意を示している。
 自治体の首長による開会式、パーティーでの挨拶や歓迎バナー、のぼり旗の設置、国際会議においては英語表記やATMの設置、クレジットカードの使用も重要である。施設だけでなく、地域でも受入体制を整備していく必要がある。

(地域協働マーケティング)

 地域の受入体制整備も重要であるが、前提として、コンベンションが開催されなければ始まらない。まず、群馬県がどのようなコンベンションを誘致するのかターゲットを明確にして取り組む必要がある。そのためには、ターゲットのニーズを徹底的に把握して、そのニーズにあった強みの把握と差別化を図っていく必要がある。自分達が考えている強みを、顧客が評価するとは限らないので、顧客のニーズを捉えて、的確にプロモーションしていく必要がある。また、考えるだけではなく、実際に実行力のある施策として機能しなければならない。そのためには、経験とノウハウをもった人材を有するコンベンションビューローは重要であり、コンベンションの誘致には必要不可欠である。そのための体制の整備をしっかりと進めていく必要がある。
 1 地域の新しい魅力の開発 2 地域全体で歓迎する仕組み、受入体制の整備 3 地域の協働マーケティングを行い、実際にコンベンションを誘致する体制の整備が地域のコンベンション成功にとって重要である。

第2部 パネルディスカッション「コンベンション開催と地域の取組」

(湯沢氏)
 基調講演「コンベンション開催による地域活性化」を講演いただいた。コンベンション施設は単なる施設ではなく、社会インフラであり、経済波及効果をもたらすものである。その社会インフラをどう活用するか、地域が大きな効果をあげるためには、実際にどのような地域の取組が必要かを考えていきたい。

(藤田氏)
 コンベンション札幌ネットワークは、100社を超える札幌のコンベンション関連産業、団体で構成されたNPO法人である。1社ではできないMICE振興のためのソフトづくりや受入体制を整備する目的で設立された。行政ができない部分を企業が連携して取り組んでいる。日本で初めての地域型のMICE推進組織として、札幌コンベンションセンター開業の2年前である2001年10月に設立した。

(小園氏)
 北九州観光コンベンション協会は、西日本産業貿易見本市協会・コンベンションビューロー・観光協会が合併して設立された。主な業務としては、西日本総合展示場新館・北九州国際会議場の指定管理業務、展示会(産業技術・環境・福祉)・イベントの開催、MICE(コンベンションやインセンティブ旅行等)誘致・支援業務、観光振興を行っている。
 展示会については、北九州の製造業の集積や環境都市としてのブランドと関連づけて、西日本製造技術イノベーション、エコテクノ、西日本国際福祉機器展、陶磁器フェスタを開催している。
 北九州国際コンベンションゾーンとして、JR小倉駅から徒歩5分圏内に北九州国際会議場、西日本総合展示場、ホテルが集積している。
西日本総合展示場は、小倉駅からペデストリアンデッキで結ばれた雨に濡れずにいける展示場であり、本館7,180平方メートル、新館8,000平方メートル、中小展示場、会議室で構成されている。また、北九州国際会議場は、九州で初めてできた国際会議場であり、メインの会場として誘致を行っている。

(小池氏)
 高崎青年会議所に所属していた頃から、地域文化・教育・国際貢献・地域経済・中心市街地活性等、様々なテーマで活動している。また、民間主体で高崎田町屋台通りや高崎フィールドバンケットBBQ PEOPLEの運営に携わっている。加えて、前橋市や上毛新聞社の記念事業として、「GUNMA ROCK FESTIVAL」を企画した。誘致するのではなく、ローカルロックフェスとして、地域で企画運営した。また、NPO法人群馬CSOでは、民間が主体になり、身近にある課題を解決するために取り組んでいる。また、群馬県主催のセミナーやイベントにも協力しており、様々な地域に根ざした活動を行っている。

(湯沢氏)
 「コンベンション開催と具体的な取組事例」について、お話しいただきたい。

(藤田氏)
 コンベンション札幌ネットワークは、札幌コンベンションセンターの開業に合わせて、地元の関連産業で設立した。ありとあらゆるサプライヤーにより構成されている。コンベンションは経済効果があり、多くの企業が良い効果を得ている。
 また、MICEの地域資源のデータベース化を行っている。具体的には、ユニークベニューのデータベース化、アトラクション図鑑やジョギングマップの作成、また、企業の情報を集めたディレクトリーを県内の大学に配布し、学会の誘致に活用してもらっている。
 コンベンションに係る人材育成も重要である。例えば、国際会議における外国人への要求に応えるため「さっぽろイベント・コンベンションアカデミー」を開催することで、受入の準備を進めている。また、日本コンベンション研究会を設立し、全国の事例を研究している。調査・研究では、次の10年~20年を見据えて、会議等の環境配慮調査の受託やグリーン・ミーティング会議への参加等、様々なリサーチ活動を行っている。
コンベンション札幌ネットワークは、自主イベントも開催している。例えば、北海道物産市のバイヤーを集めた展示会を開催し、大好評である。また、理事会を延べ200回以上開催している。
 コンベンション札幌ネットワークの活動は、ソフトの充実や受入体制の整備である。MICEが増加した際に経済効果を地元で受け入れるための活動である。そこで、誘致もする新しい組織として、DMO「さっぽろMICE戦略推進有限責任事業組合」を設立した。

(湯沢氏)
 札幌では、施設の整備を契機に、地元の応援団として組織化された。コンベンションは、企業への経済効果が大きい。民間が主体的に取り組む必要がある。

(小園氏)
 北九州市でのコンベンション開催実績とその効果について説明したい。日本政府観光局(JNTO)の国際会議の開催件数をみると、北九州市は件数を年々増やしており、2016年に日本で上位10位にランキングされた。
 北九州観光コンベンション協会で調査したところ、2016年の開催実績とその効果として、開催件数265件、参加者数約20万人、経済波及効果(間接二次波及効果、雇用効果含む)約120億円を達成している。また、北九州市グローバルMICE総合戦略において、コンベンション誘致の意義として、「北九州市の経済発展や雇用の拡大を図る」、「北九州市に「知の経済」を創造する」、「北九州の都市ブランドを高める」と定めた。
 北九州市のものづくりの歴史を見ると、1901年の官営八幡製鐵所操業から、ものづくり産業が根付いている。現在は、環境産業の集積・次世代エネルギー拠点の形成・ロボット産業・自動車産業・次世代自動車の拠点が形成されている。
 また、北九州は、1960年代に公害を経験しており、現在は公害を克服している。市の施策として、公害克服の経験を海外へ伝えるとともに、海外ビジネスに繋げている。また、経済協力開発機構から「グリーン成長都市」として、認定されており、都市ブランドを高める役割に一役かっている。2016年度に開催された会議を見ると、工学系や環境系の国際会議も多い。外から誘致するだけではなく、地元の大学教授に最大限の支援をすることで、北九州市での学会開催をお願いしている。
 地域資源を活かした誘致・開催を考えると、産(地域のリーディング産業)・学(地元の大学・ローカルホスト)・官(政策的な取組)の連携が重要である。産学官の交わる部分がその都市の強みであり、その強みを活かし、会議を誘致をすることで、地元での技術開発や人材育成、市の成長戦略に貢献できる。また、地元の受入やおもてなしを考える上で、MICE事業者、市民を含めた地域社会と連携することは、重要である。加えて、地元のマスコミを活用していくことも重要である。
 地域の特色を活かす観点では、産業観光や環境ツアーが挙げられる。北九州には、(株)安川電機やTOTO(株)の本社があり、創業100周年の際にミュージアムをつくった。工学系の学会のテクニカルコースの視察やエクスカーションの定番コースになっている。また、公害克服の歴史を紹介する環境ミュージアムや風力発電の施設等も環境に係る会議では人気が高い。このエクスカーションや環境の取組を通じて、企業の参加者や大学教授が関わりを持ち、共同研究や技術開発に繋がる可能性もある。
 また、地元ならではの取組として「ネジチョコ」を挙げたい。地元企業が、官営八幡製鐵所関連施設の世界遺産登録をきっかけに「ネジチョコ」をつくった。精密なネジとボトルのチョコであり、工学系の先生に大人気である。北九州のものづくりのまちのイメージもあり、非常に良い取組である。

(小池氏)
 地域として何ができるのか考えていく必要がある。地域発信のイベントや地域の魅力を伝えていくためには、地域が自らの地域に誇りを持てなければ、もてなしをすることもできない。高崎田町屋台通りでは、中心市街地の活性化を目的に、民間出資で出店者を募り、屋台という人が集まれる場所をつくり、ピーク時は年間15万人を集客した。成功には、関係者を増やすことが重要であり、地域での取組をきっかけにして、ネットワークをつくる必要がある。高崎田町屋台通りでは、出店者の独立や出資者が地域で活躍し、人材の育成や気運の醸成にも繋がっている。
 GUNMA ROCK FESUTIVALについては、ローカルフェスとして、群馬発のイベントとして、今も形を変え継続されている。地域として、群馬発のイベントを開催することで、ノウハウの蓄積や地元に誇りを持てるようになった。また、地域発のイベントをきっかけに、ネットワークづくりや人材育成が図られる。

(湯沢氏)
 群馬県の魅力を高めるためには、地域の地道な活動が必要不可欠である。コンベンション施設も群馬県の魅力を伝えるために、大きな役割を果たす。

(川島氏)
 シンガポールでは、政府と空港などが連携して、一定の条件を満たすコンベンションの主催者や参加者に様々な優遇措置を行っている。例えば、手荷物10kgオーバーまで無料にするとか、あるいは、配車サービスアプリ「UBER」と連携して、乗車料金を10%割引している。
 コンベンションを誘致するためには、受入体制の整備に加え、官民が連携し、協働マーケティングを実施していくことが重要である。例えば、地域全体でコンベンション主催者の顧客情報を一体的に管理することがコンベンション誘致に繋がる。コンベンションは、リピーターや口コミの重要度が高く、既存の繋がりが非常に重要である。例えば、松江では、コンベンションビューローがこれまで松江でコンベンションを開催した主催者を対象にしたファンクラブをつくり、既存顧客とのコミュニケーションを強化することで継続的に、コンベンションを誘致している。
 群馬県において、地域資源を活かして企業のオフサイトミーティングのようなコンベンションを誘致するには、温泉資源や歴史・文化も重要であるが、ローカルホストである地元の大学の存在を忘れてはならない。中でも、医学系・工学系の学会は大きな需要である。また、2020年春開業予定の群馬コンベンションセンターも重要な地域資源である。地域の観光資源や歴史文化に加え、ローカルホストとコンベンション施設の存在が大きな鍵になる。このような地域資源を元に、的確なマーケティング戦略を立てて、ハード面だけでなく、ソフト面も整備していく必要がある。

(湯沢氏)
 次に地域の取組を促すアイデアや提案について、伺いたい。

(藤田氏)
 コンベンション開催に向けた関連産業の取組や自主的な民間や地域の取組の必要性について、これまでの経験から紹介したい。
 地域にある非日常を上手く活用することで、インセンティブを持たせることが重要である。アメリカの環境系会議に参加し、コロラド州のデンバー市郡を訪れた。デンバー市郡は、スキー場まで2時間で行けるので、会議の前後にもスキーを楽しめる。行ってみたいと思わせるようなメニューをつくることが重要である。他の例としては、メジャーリーグの試合に合わせて開催する学会や動物園をコースにするマラソンを企画する学会もある。このような魅力的なメニューが参加者への付加価値になる。
 参加型のアクティビティを含めた魅力的なメニューをつくるためには、札幌だけで考えても解決できない。ニセコなど他の地域と連携して、MICEに関連した参加型のアクティビティの情報提供をすると効果が大きい。札幌では、「Bike,Running and Walking Map」を作成し、参加型のアクティビティを促している。
 各地域の連携や民間同士の連携を考える上で、これまでの保守的な常識から脱却し、新しいビジネスが生まれるチャンスであると考えるべきである。コンベンション施設だけでなく、地域全体で考えていく必要がある。
 北海道の日常の風景が、外から見るとユニークな場所になる。例えば、札幌では、他地域と連携して、一年中カーリングを楽しめるカーリング場をチームビルディングに利用している。また、アイスクリーム体験をチームビルディングに利用している。日本には四季があり、その季節毎に来訪する魅力がある。意外と住んでいる人々は気がつかないので、外からの視点は非常に重要である。外からの視点を活かしたアイデアを考えていく必要がある。

(小園氏)
 コンベンション誘致や開催のための取組について、説明したい。北九州市のコンベンション開催支援制度としては、MICE開催助成金制度、エクスカーション、バンケットプランの提供、コンベンションボランティアの手配、コンベンショングッズの提供、歓迎看板、地元産品、アトラクションの提供を行っている。
 また、地元大学との連携も重要である。2015年8月に地元の4大学と北九州市、北九州商工会議所、北九州観光コンベンション協会で「コンベンション誘致・開催に関する連携協定」を締結した。定期的にMICE支援制度について紹介することで、コンベンションの誘致や大学の協力を促進している。
 また、2017年8月には、地元のMICE業界と連携して「北九州市MICE推進協議会」を設立して、商談会等での共同セールス、ローカルホストとの交流強化やMICE情報の共有、人材育成等を行っている。
 近隣都市との連携について、山口県下関市との事例を紹介したい。下関市で大規模な学会が開催された際、海を越えて北九州市でも会場や宿泊の予約があり、両市のビューローで連携して支援を行った。コンベンション誘致において、近隣都市はライバルではあるが、連携によってチャンスに変えることもできる。

(湯沢氏)
 群馬県においても、コンベンションの開催地だけでなく、地域が連携し、県全体で取り組むことが重要である。

(小池氏)
 地域の特色を考えていく必要がある。地域で地元に誇りを持って一過性ではなく、継続が重要である。地域の日常が外から見たときに非日常になるのが理想的である。
 地域での活動を通じて、産学官の他分野が連携して、地域に根付いてないものを無理矢理つくるのではなく、できる人達が協力することが重要である。
 群馬県でも、地元として地域を盛り上げようという人達も増えてきている。そのような人達の活躍の場を増やすためにも、普段から地域が盛り上がり、気運が高まっている必要がある。コンベンションの参加者においても、「またあの人に会いたい」「またあの場所に行きたい」「またあの味を味わいたい」と感じてもらう必要がある。
 群馬県は魅力のある都市である。その魅力をコンベンションの参加者に伝えるためには、地域やまちの人達が中心に、文化や観光に触れられる機会を造っていく必要がある。また、行政主導ではなく、地域が行政に提案できるような自主性も必要である。

(湯沢氏)
 群馬県の歴史や文化をどのように伝えていくか考えていく必要がある。そのためには、地域としても群馬県の歴史や文化をもっと知っていく必要がある。地域が歴史や文化を知ることで、地域の魅力の醸成に繋がり、群馬県に訪れた人々が再度群馬県を訪れるきっかけになる。

(川島氏)
 群馬県の強みを活かしたコンベンションの意味を考えていく必要がある。強みは、ターゲットになる顧客や競合によって大きく変わる。例えば、北九州において、工学系のコンベンションが多いことから、ものづくりや産業観光が恩恵を受けており、誘致のツールにもなる。一方、これがどの都市でも当てはまるとは限らない。コンベンションは観光とは違うため、観光客の誘致ツールがそのままコンベンションの誘致には繋がらない。
オフサイトミーティングや小型の会議においては、観光の要素がコンベンションの誘致に繋がることもあるが、一定以上の規模になるとコンベンションの開催を決定する要素において、開催施設のレベル、ローカルホストの実力、財政支援、参加者増加、スポンサー増加等の主催者へのメリットが重視され、観光はあまり重視されない。
 コンベンションを誘致する都市の強みは地域が決めるのではなく、顧客が決めるものである。都市がアピールしたい魅力と顧客が評価する強みが違うと目標とするコンベンションの誘致には繋がらない。顧客が何を求めているのかマーケティングをしっかりと行うことが重要である。

(湯沢氏)
 群馬県の強みを外からの視点で考えていく必要がある。群馬県外や海外の人々の視点から、立ち位置や魅力を考え、客観的に分析することが重要である。

PDFファイルをご覧いただくには、Adobe社「Adobe Reader」が必要です(無料)。
下のボタンを押して、Adobe Readerをダウンロードしてください。 Get ADOBE Reader

このページについてのお問い合わせ

コンベンション推進局コンベンション推進課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-897-2707
FAX 027-223-4371
E-mail konbensi@pref.gunma.lg.jp
迷惑メール対策のため、メールアドレスの一部(@pref.gunma.lg.jp)を画像化しております。