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シンガポール現地レポート2020年3月~シンガポールの新型コロナウイルス対策~

更新日:2020年3月10日 印刷ページ表示

 アジアのハブ空港、チャンギ空港を擁し、世界中からの多くの方が訪れるシンガポールでは、日本よりも早い段階で新型コロナウイルスの感染が拡大し、政府主導の対策が行われています。以下主な対策やシンガポール国内の状況についてご紹介します(2020年3月9日現在)

入国制限関係

 シンガポールに入国する14日以内に、中国本土、韓国、イラン及び北イタリアへの渡航歴を持つ全ての新規入国者のシンガポール入国又はトランジットが制限されています。また、上記4か国への渡航歴を持つシンガポール国籍保持者、長期滞在ビザ所持者及び就労ビザ所持者は、入国後14日間は一切の外出禁止となっております。

 この外出措置の内容は、かなり厳しいもので、食事や日用品を購入するための外出も禁止されており、対象者は、食事の配達サービスや知人の助けにより、14日間の待機期間を過ごす必要があります。また、政府は、自宅待機の状況について、訪問や電話により確認を行っており、違反者については、伝染病予防法により厳しく罰せられます。実際に政府は、同自宅待機命令に違反した中国籍男性の永住権を剥奪しています。

企業に対する注意喚起

 政府から企業に対して下記の措置を講じるよう求めています。

不要不急な大型イベントの開催の中止・延期

 大規模な旅行博から小規模なセミナーまで軒並み延期や中止となっています。
 予定どおりセミナーを開催する場合でも、ウェブ配信形式でのセミナーとするパターンが多くなっています。

1日2回程度の体温測定の実施等を含めた職員の健康管理の徹底

 ほとんどのビルで入館時の体温測定が行われています。感染者が確認された場合に、感染経路の把握が容易に出来るよう、訪問者情報の各種情報(パスポート番号、住所、連絡先等)を把握する取組が行われています。

在宅勤務等を含めた業務継続体制(BCP)の整備

 在宅勤務を実施しやすい業種では、既に在宅勤務を実施している会社も多いようです。しかし、シンガポール日本商工会議所が実施した調査によると、現地の日系企業の37.4%が「在宅勤務の環境整備が準備できていない」と回答しており、対応に苦慮している企業が多いのが実情です。

エントランスの写真
当事務所が入居するビルの入口(来所者はビルに入る際にスマートフォンで連絡先等の必要事項の登録が必要)

体温チェックエリアの写真
ビルに入る際には、サーモグラフィカメラで体温をチェックされます。

日常生活等への影響

 2月上旬にシンガポール政府が感染症警戒レベルを引き上げた際には、一時的にトイレットペーパーなどの日用品の買い占め騒動が発生しました。現在においてもマスクや消毒用アルコールの品薄状態が続いている点は、日本同様です。

 また、普段であれば、シンガポールでは、マスクを着用する方はほとんどいませんが、現在は電車内でも3割程度の人はマスクを着用しており、国民のコロナウイルスへの警戒心はかなり高まっています。そのような状況下で外出を控える方も多く、普段であれば、お昼時は混雑が激しく、席を確保するのに一苦労するホーカーセンター(屋台を集めた食堂のようなところ)でも簡単に席が確保出来る状況です。

 しかしながら、シンガポールでは、学校の休校措置などは実施されておらず、日本と比べて日常生活への影響は最小限に抑えられていると感じます。

シンガポール経済への影響

 シンガポールのチャンギ空港グループは、2020年2月前半のチャンギ空港の空港旅客数(乗降客と乗継ぎ客の合計)は、前年同月比で25%以上減少したと発表しています。また、報道によると、シンガポールのホテル稼働率は、2月は50%程度まで低下したようです。観光業は、年間271億Sドル(2018年統計、約2兆1,680億円)もの収入をもたらす一大産業であることから、シンガポール経済への影響は計り知れないものがあります。

 今後、新型コロナウイルスの影響が終息し、再び世界中から多くの人が訪れるシンガポールの姿を見られることが待ち望まれます。

マリーナベイサンズの写真
シンガポール名物のマリーナベイ・サンズの夜のライトショーも一時休止されています。(3月9日現在)

(クレアシンガポール事務所派遣 打木 伸和)