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特集 「野菜王国・ぐんま」の担い手 2

更新日:2017年11月7日 印刷ページ表示

多彩なぐんまの野菜

 県は、県内全域で生産が盛んな8品目を県の重点推進品目に定め、戦略的、総合的に生産を振興しています。
 重点8品目の他にも、県内で生産されている多くの種類の野菜の中から、地域の特徴を生かして生産が盛んに行われている18品目を県の地域推進品目に選定しています。

重点8品目・地域推進品目

重点8品目

キュウリ、トマト、ナス、イチゴ、キャベツ、ホウレンソウ、レタス、ネギ

地域推進品目

地域推進品目一覧
地区 推進品
前橋地区 ブロッコリー、エダマメ
渋川地区 ブロッコリー、チンゲンサイ、パプリカ
伊勢崎地区 ブロッコリー、エダマメ、ニラ
高崎地区 タマネギ、チンゲンサイ、ブロッコリー
藤岡地区 タマネギ、カリフラワー
富岡地区 タマネギ、ブロッコリー、ニラ
吾妻地区 ズッキーニ、スイートコーン、エダマメ、サヤインゲン
利根沼田地区 ダイコン、エダマメ、フキ、ウド、コマツナ
太田地区 スイカ、ヤマトイモ、エダマメ、コマツナ
桐生地区 ブロッコリー
館林地区 ハクサイ、ニガウリ

重点8品目・地域推進品目一覧の画像
重点8品目・地域推進品目一覧

 中でもキュウリは長い間出荷量が日本一でしたが、20年以降出荷量が減少して2位になってしまいました。
 そのため県は「きゅうり日本一プロジェクト」を掲げ、生産者と協力して生産量を増やすための施設や機械の整備、販路拡大などに戦略的に取り組んでいます。

きゅうり日本一プロジェクト

きゅうり日本一プロジェクトイメージ画像
きゅうり日本一プロジェクトのイメージ

キュウリ農家の挑戦

 新しい生産方法に取り組む、JA前橋市の赤城南麓きゅうり協議会の並木会長にお話を伺いました。

並木淳さんの画像
並木 淳(なみきあつし)さん

おいしいキュウリを作る

 「祖父の代から前橋で農業をしていて、キュウリ栽培は父が始めました。自分もいつかは農業をするものと思っていたので、大学では農業に関係する分野を専攻しました。その後、県外で会社員をしていましたが、農業を継ぐため20代後半で群馬に戻りました。
 キュウリはインド原産の野菜で、暖かく湿度の高い環境を好みます。ハウス内の環境を適切に保たないと病気になったり生育が悪くなったりします。出荷の規格に合ったキュウリを作るためにも、作業上の細かな配慮が必要です。
 教科書どおりの育て方では思うように成果が上がらなかったこともあり、4年前からはハウス内の環境を統合的に制御する管理方法に取り組んでいます。光、温度、湿度、風、養分、水分など植物の生育に必要な要素のバランスを制御し、植物の光合成速度を効率よく上げることで、収穫量を増やすことができました。
 また甘みがあっておいしいキュウリを作るために肥料の与え方にも気を配っています。暑い時期のキュウリは成長が早く、1日に2回収穫できます。いつでも同じ味のキュウリが収穫できるよう、生育過程に合わせて肥料の量や配分などを工夫しています」

品質向上・安定出荷のために

 「私が所属しているJA前橋市の赤城南麓きゅうり協議会では、前橋・大胡・富士見・宮城・粕川の5地区から年2回会員が集まり、苗を植える時期や品種、キュウリを育てる上での注意点などについて話し合っています。市場の人から消費者の嗜好(しこう)などを聞くこともあります。
 また収穫したキュウリを持ち寄り、協議会で定めた規格に合っているかどうかを互いの目で確認して品質の統一を図っています。
 収穫したキュウリは、主に東京の市場に出荷されています。他県の人にも、群馬のキュウリはおいしいと言ってもらえるよう、これからも品質の良いものを作っていきたいです」

葉を摘みながら生育状況を確認する画像
葉を摘みながら生育状況を確認する

ヤマトイモ農家の誇り

 地域の若手リーダーとして太田市でヤマトイモの生産に取り組む里見さんにお話を伺いました。

里見雄三さんの画像
里見雄三(さとみゆうぞう)さん

地域の特産品として

 「旧尾島町で生まれ育ち、幼い頃からヤマトイモ畑が身近にありました。約5年間会社に勤めた後、15年前に実家の農業を継ぎました。
 農業は想像以上に大変な仕事ですが、地元のヤマトイモに誇りを持っていることが原動力となっています。他の生産者たちも同じ気持ちだと思います。
 尾島地区では、農家の約9割がヤマトイモを作っています。ここは、利根川の水や肥沃(ひよく)な土、温暖な気候など、ヤマトイモ作りに適した環境があります。
 ヤマトイモの収穫時期は11月~3月です。収穫したヤマトイモは、泥が付いたまま保冷庫で保管しておくことで安定的に出荷できます。
 ヤマトイモの栽培で一番気を遣うのは土作りです。酸素を多く含んだ土には根がたくさん張り、栄養や酸素を取り込みやすくなります。
 最近では平たいイチョウ型だけでなく、流通の過程で扱いやすい棒状のヤマトイモも多く生産しています。
 この辺りにはヤマトイモ畑はたくさんありますが、何を栽培している畑か分かりにくいため、子どもたちにも地域の特産品に愛着を持ってもらえるよう、地元の小学校で春と秋にヤマトイモについての特別授業をしています」

海外に売り出す

 「地元の農協と協力し、産地が一丸となって輸出にも取り組んでいます。27年から県主催のシンガポール向け輸出事業に参加し、昨年はシンガポールで開催された食品見本市の県ブースに出展して、現地でヤマトイモを売り込みました。さらに今年からはマレーシアへの輸出も手掛けています。
 海外での売り上げは、まだそれほど多くありませんが、今回の輸出を足掛かりにさらに市場を広げていきたいです。海外での流行をきっかけに尾島のヤマトイモの知名度が上がり、国内での販売量も増えるようになるとうれしいですね」

輸出にも積極的に取り組む生産者仲間の画像
輸出にも積極的に取り組む生産者仲間

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