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オオクチバス

更新日:2019年10月17日 印刷ページ表示

オオクチバスの画像

 「生態系を破壊する」「湖のギャング」。オオクチバスを紹介する記事は、大概このようなショッキングな文章で始まっています。確かにずんぐりした体型や独特の斑紋、色調などから、あまりスマートな印象を受けないことは確かです。しかし、一方ではルアーに対する反応性、攻撃性、鈎に掛かった後の引きの強さなど、ゲームフィッシュとしての人気は群を抜くものがあります。

 俗称、ブラックバス、または単にバスと呼ばれるオオクチバスは、北アメリカが原産で、大正14年にオレゴン州から芦の湖へ移殖されたのが最初で、移殖後はほかの場所への持ち出しが禁止されていましたが、昭和50年頃から急激にその分布域を広げ、今では日本各地に生息するようになりました。

 オオクチバスがいわゆる「悪者」となってしまう理由の一つにその食性があげられます。全長で約5cmの稚魚期を過ぎると、生きた魚やエビ類を選択的に食べるようになります。これらの食性から、湖に放流されたワカサギを食べ、全滅させてしまうのではないかと心配されていました。これについて多くの湖沼で調査しましたが、小型の湖沼ではワカサギとオオクチバスの生息域が重なり合ってしまうため捕食される確率が高くなりますが、大型の湖沼では棲み分けのため捕食される機会は少ないことが分かりました。湖沼に生息する魚種のうち、最も多く食べられていたのはヨシノボリでした。また、スジエビ、ザリガニなどのエビ類がいる湖沼では、これらもかなりの割合で捕食されることが確認されました。

 オオクチバスの産卵は5月から7月、本県では6月がピークとなります。雄が水深0.5~1.5メートルの湖底に産卵床を掘り、ここに雌を導いて行われます。雌は全長で25cm以上になると卵を生むことができ、卵は水温によって異なりますが、ほぼ2、3日でふ化します。成長は、水温と餌生物の多寡によって違ってきますが、県内の湖沼での平均的な大きさは1年で12cm程になり、その後は年に4センチメートルずつ成長していきます。寿命はほぼ10~15年で、雌の方が長生きすることが知られています。

 オオクチバスは法律により飼育や生きた状態での運搬、移植等が原則禁止になっています。釣りファンも取り扱いには注意が必要です。

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