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平成27年度公営企業会計決算審査意見書

更新日:2016年10月13日 印刷ページ表示

群監第131-1号
平成28年8月23日

群馬県知事 大澤 正明 様

群馬県監査委員 横田 秀治
群馬県監査委員 丸山 幸男
群馬県監査委員 岩井 均
群馬県監査委員 須藤 和臣

平成27年度群馬県公営企業会計決算審査意見について

 地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第30条第2項の規定に基づき審査に付された平成27年度群馬県公営企業会計の決算について審査した結果は、別紙のとおりです。
(以下、別紙)

第1 審査の概要

1 審査の対象

  • 平成27年度群馬県電気事業決算(企業局所管)
  • 平成27年度群馬県工業用水道事業決算(企業局所管)
  • 平成27年度群馬県水道事業決算(企業局所管)
  • 平成27年度群馬県団地造成事業決算(企業局所管)
  • 平成27年度群馬県駐車場事業決算(企業局所管)
  • 平成27年度群馬県施設管理事業決算(企業局所管)
  • 平成27年度群馬県病院事業決算(病院局所管)

2 審査の手続

 平成27年度の公営企業会計決算の審査は、決算書類が事業の経営成績及び財政状態を適正に表示しているかを検証するため、財務諸表と関係帳票、証拠書類などを照合するとともに、地方公営企業法その他の関係法規に準拠して作成されているかを審査した。
 また、事業が常に経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されているかどうか、経営の分析を行うとともに、関係職員から説明を求め、定期監査及び例月現金出納検査等の結果も考慮して慎重に実施した。

第2 審査の結果

 決算諸表は経営成績及び財政状態を適正に表示しており、その計数は正確である。
 事業の運営に当たっては、経営の基本原則に従って、経済性の発揮と、その本来の目的である公共の福祉の増進に意を用い、おおむね適正に運営されたものと認められた。
 なお、定期監査等における指摘事項等の状況は次のとおりである。

定期監査等における指摘事項等(平成27年度)
監査結果 内容
指摘事項
(適正を欠くと認められ、改善を要するもの)
該当なし
注意事項
(軽易な誤りがあり、改善を要するもの)
資金前渡された社会参加費について、資金前渡精算書の作成等が行われていなかったもの(病院局)
臨時雇用者の賃金について、欠勤となった日時分を過大に支給していたもの(病院局)

1 事業運営

(1)企業局事業

ア 総括意見

 企業局所管の6事業全般にわたる経営状況をみると、経常収益は19,980百万円で前年度に比べ1,613百万円、8.8%増加し、経常費用は15,911百万円で前年度に比べ1,202百万円、8.2%増加した。経常収益と経常費用との差引は、4,069百万円となり、前年度に比べ412百万円、11.3%増加したことにより経常利益となった。
 当年度は、電気事業において販売電力料が87百万円減少した一方で、団地造成事業において土地造成事業の分譲収益が1,420百万円、ニュータウン事業の土地売却収益が340百万円増加したことなどにより経常収益が増加した。また、電気事業において修繕費などの営業費用が166百万円、団地造成事業において土地造成事業の造成原価が857百万円、ニュータウン事業の土地売却費用が310百万円増加したことなどにより経常費用も増加した。この結果、経常収益の増加が経常費用の増加を上回ったため、全体としては増収増益となったものである。
 また、この経常利益に特別損益を加えた純損益は、4,390百万円の純利益となり、前年度に比べ622百万円、16.5%増加した。これは、経常利益のほか、福島第一原子力発電所事故に伴う損害賠償金が135百万円増加したことなどによるものである。
 平成25年3月に策定した第2期「群馬県企業局中期経営計画」(平成25~27年度)(以下「第2期計画」という。)における進捗状況は、全体として、おおむね順調に進んでいると認められるが、今後の事業運営に当たっては、平成28年3月に策定された「群馬県企業局経営基本計画」(平成28~31年度)(以下「基本計画」という。)及び県議会総務企画常任委員会における附帯決議を踏まえ、各事業を将来にわたって安定的に継続していくため、効率的な経営に努めることが望まれる。なお、事業別の審査意見は次のとおりである。

イ 事業別意見
(ア)電気事業

 事業収支の状況をみると、総収益は6,836百万円で前年度に比べ1,810百万円、20.9%減少し、総費用は5,416百万円で前年度に比べ2,230百万円、29.2%減少した。これは主に、前年度計上した新会計基準の適用に伴う特別利益(修繕準備引当金及び渇水準備引当金の取崩益など)及び特別損失(特別修繕引当金繰入など)が皆減したことによるものである。この結果、純利益は1,420百万円で前年度に比べ420百万円、41.9%増加し、減収増益の決算となった。
 経常損益では、販売電力料が87百万円、事業外収益が61百万円減少するとともに、発電設備の修繕費が95百万円、退職給付引当金の繰入が43百万円増加するなどしたため、経常利益は前年度に比べ296百万円、17.3%減少して1,410百万円となった。
 当年度は、5月の少雨や小平発電所の落雷による停止などの影響により水力発電所の電力量が目標を下回ったため、供給目標達成率は90.9%と前年度に比べ19.7ポイント低下したものの、一定の純利益及び内部留保資金は確保されている。
 また、平成25年度から再生可能エネルギー固定価格買取制度の適用を受け、安定した電力料金収入の確保が図られている。
 第2期計画の進捗状況については、当年度の目標としていた田沢発電所の運転開始が天候不順による建設工事の遅れにより平成28年度に先送りになるなどしたが、このほかの目標はほぼ達成されており、経営はおおむね順調に推移している。
 しかし、平成25年4月に閣議決定された「電力システムに関する改革方針」に基づき、平成28年4月には卸規制の撤廃や小売事業の全面自由化が実施されるなど、電気事業を取りまく環境は先行き不透明な状況となっており、今後も電力の安定供給、効率的な事業運営、新規開発への取り組み及び地域との関係強化について、着実な事業推進に努めていく必要がある。

参考:第2期計画期間における経常損益等の推移(単位:百万円)
区分 平成25年度 平成26年度 平成27年度
経常損益 833百万円 1,706百万円 1,410百万円
純損益 833百万円 1,001百万円 1,420百万円
販売電力料 6,252百万円 6,746百万円 6,658百万円
供給電力量
(百万キロワットアワー)
計画値 842百万円 873百万円 874百万円
実績値 722百万円 948百万円 747百万円

(注1)各年度の計画値は、第2期計画作成当時の計画値である。以降、各表とも同じ。

(イ)工業用水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は2,143百万円で前年度に比べ546百万円、20.3%減少し、総費用は1,872百万円で前年度に比べ38百万円、2.0%減少した。これは主に、前年度計上した新会計基準の適用に伴う特別利益(修繕準備引当金取崩益など)が皆減したことによるものである。この結果、純利益は271百万円で前年度に比べ508百万円、65.2%減少し、減収減益の決算となった。
 経常損益では、給水収益が25百万円減少した一方で、減価償却費の減などにより営業費用が21百万円減少し、企業債利息などの支払利息が16百万円減少するなどしたため、経常利益は前年度に比べ7百万円、4.3%増加して183百万円となった。
 当年度の企業債及び他会計借入金の償還額は1,112百万円、年度末の残高は9,768百万円で、前年度末に比べ9.7%減少したが、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 平成27年度の1日当たり契約水量は、渋川工業用水道は前年度と同量となっているものの、東毛工業用水道は前年度に比べ1.7%減少し、年間契約水量で第2期計画の計画量を1.5%下回る結果となった。
 今後も引き続き老朽化した施設の計画的な改修、耐震化の推進及び放射性物質を含む浄水発生土への対応等を通じて工業用水の安定供給を図るとともに、基本計画期間における目標である年間契約水量の確保を達成できるよう、受水企業の契約水量の維持や新規の受水契約獲得などの営業活動を強化して、収入の確保に努める必要がある。

参考:第2期計画期間における経常損益等の推移(単位:百万円)
区分 平成25年度 平成26年度 平成27年度
経常損益 195百万円 176百万円 183百万円
純損益 342百万円 779百万円 271百万円
契約水量(注2)
(千立方メートル)
計画値 76,419百万円 76,327百万円 76,327百万円
実績値 76,545百万円 75,538百万円 75,177百万円
水道料金収入(注2) 1,730百万円 1,702百万円 1,677百万円

(注2)渋川市上水道給水受託に係る契約水量及び水道料金収入は含まない。

(ウ)水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は7,179百万円で前年度に比べ2,840百万円、28.3%減少し、総費用は5,173百万円で前年度に比べ269百万円、4.9%減少した。これは主に、前年度計上した新会計基準の適用に伴う特別利益(修繕準備引当金取崩益など)及び特別損失(退職給付引当金繰入など)が皆減したことによるものである。この結果、純利益は2,006百万円で前年度に比べ2,571百万円、56.2%減少し、減収減益の決算となった。
 経常損益では、給水収益が35百万円増加するとともに、減価償却費の減などにより営業費用が37百万円減少し、企業債利息など支払利息が48百万円減少するなどしたため、経常利益は前年度に比べ152百万円、9.2%増加して1,809百万円となった。
 県央第一水道、新田山田水道、東部地域水道、県央第二水道の4施設の年間給水計画量に対する給水実績量は99.2%で、安定した水道用水供給が行われていると認められる。
当年度の企業債及び他会計借入金の償還額は1,790百万円、年度末の残高は20,644百万円で、前年度末に比べ8.0%減少したが、今後も長期間にわたって償還するため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 第2期計画に基づく平成27年度の目標は、ほぼ達成され、計画は順調に進捗した。
 今後も引き続き老朽化した施設の計画的な改修、耐震化の推進及び放射性物質を含む浄水発生土への対応等を通じて安全で安心な水道用水の安定供給を図るとともに、基本計画期間における目標である年間給水量の確保等により経営の健全性維持に努められたい。

参考:第2期計画期間における経常損益等の推移(単位:百万円)
区分 平成25年度 平成26年度 平成27年度
経常損益 968百万円 1,658百万円 1,809百万円
純損益 949百万円 4,577百万円 2,006百万円
給水量
(千立方メートル)
計画値 82,293百万円 82,982百万円 83,731百万円
実績値 80,968百万円 81,906百万円 82,683百万円
水道料金収入 6,323百万円 6,273百万円 6,309百万円
(エ)団地造成事業

a 全体

 事業収支の状況をみると、総収益は3,149百万円で前年度に比べ18,166百万円、85.2%減少し、総費用は2,663百万円で前年度に比べ21,559百万円、89.0%減少した。これは主に、前年度計上した新会計基準の適用に伴う特別利益(価格調整引当金の取崩益など)及び特別損失(販売用土地の評価損など)が皆減したことによるものである。この結果、純利益は486百万円で、減収増益の決算となり、前年度の純損失から利益に転じた。
 経常損益では、土地造成事業及びニュータウン事業(以下「分譲2事業」という。)で計462百万円の経常利益と前年度の経常損失から利益に転じた。
 平成27年度より、団地造成事業会計から格納庫、賃貸ビル及びゴルフ場の管理運営に係る事業(以下「施設管理事業」という。)の会計を分割したことから、分譲2事業の収支がより明確になっている。
 なお、当年度の企業債及び他会計借入金の償還額は497百万円で、年度末の残高は2,212百万円となっており、当年度は経常利益を計上しているものの、当面償還し続ける状態となっている。また、平成28年3月には基本計画を策定したところであり、第2期計画の課題等を踏まえ、基本計画の目標達成に向けてより一層努力することが必要である。
今後の事業の運営に当たっては、事業別に記された留意点を踏まえ、取り組むことを望むものである。
(注3)団地造成事業の前年度比率については、平成27年度決算と比較するため、平成26年度の団地造成事業の決算数値を分譲2事業に振り分けた金額により算出している。

参考:第2期計画期間における経常損益等の推移(単位:百万円)
区分 平成25年度 平成26年度 平成27年度
経常損益 -1,701百万円 -178百万円 462百万円
純損益 -248百万円 -2,907百万円 486百万円

b 土地造成事業

 団地造成事業の中核を占める土地造成事業においては、工業団地など産業系団地の分譲が増加したことにより、分譲収益は1,763百万円と前年度に比べ1,420百万円、413.4%増加した。
 経常損益では、前年度、新会計基準の適用に伴い販売用土地の帳簿価額を切り下げたことにより、販売価格が造成原価を下回る状況がほぼなくなったことや、産業系団地の分譲面積の増加などにより、前年度の経常損失から経常利益に転じた。
 当年度の分譲状況は、産業団地分譲約8.1ヘクタール、住宅団地分譲0区画であった。産業団地分譲については、第2期計画に定めた平成27年度の分譲目標面積6.7ヘクタールを達成したものの、住宅団地分譲については、前年度に引き続き、平成27年度の分譲目標区画数15区画に達しなかった。また、第2期計画では、平成25年度から27年度までの間に、産業団地分譲21.9ヘクタール、住宅団地分譲45区画の目標を定めていたが、第2期計画期間の分譲実績は、産業団地分譲約15.2ヘクタール、住宅団地分譲8区画となった。
 新規産業団地の整備を進める中で、企業誘致や住宅団地分譲についてさまざまな販売戦略を展開し取り組んでいるところであるが、住宅団地分譲は、その取組みが分譲実績の増加につながらなかった状況であることから、営業方法の効果を検証のうえ、販売戦略の見直しなど抜本的な対策を講じる必要がある。

参考:第2期計画期間における経常損益等の推移(単位:百万円)
区分 平成25年度 平成26年度 平成27年度
経常損益 -1,236百万円 -141百万円 460百万円
純損益 216百万円 14,053百万円 463百万円
産業団地分譲
(ヘクタール)
目標値 8.5百万円 6.7百万円 6.7百万円
実績値 5.8百万円 1.3百万円 8.1百万円
住宅団地分譲
(区画)
目標値 15百万円 15百万円 15百万円
実績値 5百万円 3百万円 0

(注4)各年度の目標値は、第2期計画作成当時の目標値である。以降、各表とも同じ。

c ニュータウン事業

 ニュータウン事業においては、県内の新設住宅着工戸数が前年度に比べ16.9%増加する状況のなか、住宅用地の分譲(一般分譲)は6区画と前年度に比べ4区画増加した。産業用地の分譲は3件と前年度に比べ1件減少したものの、分譲面積は増加しており、分譲収益は1,314百万円と前年度に比べ340百万円、34.9%の増加となった。
 経常損益では、土地造成事業と同様の理由により前年度の経常損失から経常利益に転じたものの、住宅地区で63区画(分譲面積16,280.78平方メートル)の土地在庫を抱えている状況にある。
 当年度の分譲状況は、産業用地分譲約5.7ヘクタール、一般宅地分譲(一般分譲)6区画であった。産業用地分譲面積、一般宅地区画とも、前年度に比べ増加したものの、いずれも、第2期計画に定めた平成27年度の産業用地分譲目標面積6.0ヘクタール、一般宅地分譲(一般分譲)目標区画数20区画に達しなかった。また、第2期計画では、平成25年度から27年度までの間に、産業用地分譲24.4ヘクタール、一般宅地分譲(一般分譲)60区画の目標を定めていたが、第2期計画期間の分譲実績は、産業用地分譲約12.7ヘクタール、一般宅地分譲(一般分譲)23区画となった。
 平成28年3月に新住宅市街地開発事業を廃止したことに加え、住宅用地の一部を産業用地に変更するなど、事業計画を大幅に見直したところである。今後、産業用地分譲及び一般宅地分譲に当たっては、分譲済み住宅地及び居住者への住環境を配慮して進めていく必要がある。

参考:第2期計画期間における経常損益等の推移(単位:百万円)
区分 平成25年度 平成26年度 平成27年度
経常損益 -465百万円 -37百万円 1百万円
純損益 -465百万円 -16,959百万円 23百万円
産業用地分譲
(ヘクタール)
目標値 12.4百万円 6.0百万円 6.0百万円
実績値 2.6百万円 4.5百万円 5.7百万円
一般宅地分譲(一般分譲)
(区画)
目標値 20百万円 20百万円 20百万円
実績値 15百万円 2百万円 6百万円
(オ)駐車場事業

 駐車場事業については、高崎市との基本協定により、収入が維持管理費を上回った場合は当該差額を市に負担金として支出し、収入が維持管理費に不足する場合は当該不足額を市から収入することとされており、収支は均衡する仕組みとなっている。
 事業収支の状況をみると、総収益は130百万円で前年度に比べ14百万円、10.3%減少している。高崎市との基本協定に基づき、総収支は均衡となっているが、基本協定に基づく市への負担金を除いた支出は119百万円であり、実質的な損益は、前年度の損失から11百万円の利益に転じた。また、定期駐車が増加したことなどにより、前年度に比べ駐車台数は2.9%、駐車利用料金は4.8%それぞれ増加した。
 駐車台数及び駐車利用料金は前年度実績を上回ったものの、ウエストパーク1000がある高崎駅周辺は、民間の低料金の駐車場と競合する立地環境にあり、大型商業施設の出店に合わせ、民間の大型立体駐車場の建設が予定されるなど、駐車場運営を取り巻く環境は更に厳しい状況となることが予測される。
 引き続き、駐車場特約店舗の開拓促進等、利用者の増加に向けた対策を講じて実質的な損益のより一層の改善を図るとともに、施設の移譲、移管を含め、今後の事業のあり方について検討する必要がある。

参考:駐車台数などの推移(単位:百万円)
区分 平成25年度 平成26年度 平成27年度
駐車台数(台) 264,001百万円 221,271百万円 227,783百万円
駐車利用料金 90百万円 77百万円 81百万円
(カ)施設管理事業

a 全体

 施設管理事業については、平成26年度まで団地造成事業の一部として運営していたが、事業ごとの財務状況をより明確にするため、平成27年度より施設管理事業の会計を団地造成事業から分割したものである。
 事業収支の状況をみると、総収益は905百万円で前年度に比べ40百万円、4.2%減少し、総費用は700百万円で前年度に比べ72百万円、11.4%増加した。これは主に、ゴルフ場事業において、降雪や台風の影響により営業できなかった期間についての指定管理者納付金の減額調整を行ったことにより使用収益が減少したこと、玉村ゴルフ場の旧クラブハウスの撤去により固定資産除却費が増加したことによるものである。この結果、純利益は205百万円となったものの、減収減益の決算となった。
 経常損益では、全ての事業において経常利益を計上し、全体では計205百万円の経常利益となったものの、前年度の利益額に比べ100百万円減少した。
 また、当年度の電気事業会計から借り入れた借入金の償還額は169百万円、年度末の残高は1,809百万円で、前年度末に比べ8.5%減となったが、今後も長期間にわたって償還するため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 今後の事業の運営に当たっては、事業別に記された留意点を踏まえ、取り組むことを望むものである。
 (注5)施設管理事業の前年度比率については、平成27年度決算と比較するため、平成26年度の団地造成事業の決算数値を各事業に振り分けた金額により算出している。

参考:第2期計画期間における経常損益等の推移(単位:百万円)
区分 平成25年度 平成26年度 平成27年度
経常損益 248百万円 306百万円 205百万円
純損益 248百万円 317百万円 205百万円
格納庫貸付面積
(平方メートル・長期貸付分)
2,122.55百万円 2,169.95百万円 2,169.95百万円
公社総合ビル
年間平均貸付面積
(平方メートル)
4,705.71百万円 4,595.39百万円 4,510.56百万円
ゴルフ場
年間利用者数(人)
計画値 260,000百万円 260,000百万円 260,000百万円
実績値 251,578百万円 252,217百万円 251,599百万円

b 格納庫事業

 格納庫事業においては、23百万円の純利益を計上し、ほぼ前年度並みであった。これは、電気事業会計から借り入れた借入金の償還額7百万円を上回っている。今後も、空きスペースをより一層活用するなど、引き続き効率的に事業運営を行う必要がある。

c 賃貸ビル事業

 賃貸ビル事業においては、賃貸収益は146百万円とほぼ前年度並みであったものの、公社総合ビル管理費が141百万円と前年度に比べ8.5%減少したことなどにより、26百万円の純利益となった。
 当該事業においては、賃貸面積の減少により、施設利用率は89.3%と前年度に比べ1.3ポイント低くなった。
 なお、平成28年4月に入居者資格要件について見直したところであり、見直し後の入居者資格要件での新規入居団体の確保など、施設利用率の向上に努めるとともに、より一層経営努力が必要である。

d ゴルフ場事業

 ゴルフ場事業においては、156百万円の純利益を計上したものの、前年度に比べ116百万円、42.6%減少し、電気事業会計から借り入れた借入金の償還額162百万円を下回っている。
 年間利用者数は251,599人と、降雪や台風の影響があったものの、ほぼ前年度並みを維持した。また、18ホール当たり利用人員は県内ゴルフ場の平均を上回っている。今後も利用者サービスのより一層の向上を図ることが必要である。

(2) 病院局事業

 事業収支の状況をみると、総収益は26,884百万円で、患者数の増加に加え、患者1人1日あたりの診療報酬単価が増加したことにより医業収益が777百万円増加するなどしたため、前年度に比べ768百万円、2.9%増加した。総費用は27,050百万円で、患者数が増加したことに伴い薬剤や手術器具などの材料費などが増加したものの、前年度計上した新会計基準の適用に伴う特別損失(退職給付引当金繰入など)が減少したことなどにより、前年度に比べ4,073百万円、13.1%減少した。この結果、純損失は166百万円で、前年度に比べ赤字額が4,841百万円減少した。
 病院別にみると、精神医療センターは306百万円の純利益となり、黒字決算となった。心臓血管センターは215百万円、がんセンターは117百万円、小児医療センターは140百万円の純損失となり、赤字決算となった。
 県立病院は、それぞれの専門分野において高度専門医療を担い、施設整備や高額医療器械導入などの設備投資が行われており、その財源として発行した企業債の残高は21,890百万円となっている。今後、多額の償還資金が必要となることに加え、診療報酬は近年抑制傾向であり、改定による大きな収入増は見込めないことや、消費税率の引き上げによる影響などにより、病院経営は依然として厳しい状況が続くことが予想される。
 このような経営環境の中、医療技術の向上を図り、県民に安全で安心な高度・専門医療サービスの提供を続けていくためには、人材の確保と定着及び職員の資質向上に向けた取り組みを強化することに加え、地域医療連携などによる病床利用率の向上など、経営の健全化に向け、より一層経営改善に努める必要がある。今後の事業運営に対しては、次の事項を望むものである。
 (注6)上記において表示した各病院の金額・比率は、病院局総務課分として計上された収益及び費用を各病院に振り分けて算出したものである。(総務課は管理部門であり、医業を実施していないため)

参考:直近3カ年の経常損益などの推移(単位:百万円)
区分 平成25年度 平成26年度 平成27年度
経常損益 -193百万円 -505百万円 -228百万円
純損益 -202百万円 -5,007百万円 -166百万円
1日平均入院患者数(人) 計画値 734百万円 764百万円 708百万円
実績値 679百万円 662百万円 668百万円
1日平均外来患者数(人) 計画値 988百万円 999百万円 1,042百万円
実績値 1,033百万円 1,049百万円 1,067百万円

(注7)計画値は、第二次改革プラン及び第三次改革プランによる。

ア 経営の健全化を図るための取組みについて

 県立病院の経営の健全化については、平成27年3月に「第三次群馬県県立病院改革プラン」(平成27~29年度)(以下「第三次改革プラン」という。)を策定し、「第二次群馬県県立病院改革プラン」(平成24~26年度)(以下「第二次改革プラン」という。)で定めた役割を継承しつつ、高度先進医療や今まで培った専門性の充実・強化、職員の経営意識の向上などを重点的に取り組み、一般会計繰入金を抑制しながら平成29年度末までに病院事業全体の収支を均衡させることを目標としている。
 第三次改革プランに定めた平成27年度の経常収支、医業収支などの目標数値と、決算数値とを比較すると、病院局全体では目標値を上回っており、経営の健全化を図るための取り組みが、おおむね順調に進んでいることがうかがえる。
 第二次改革プランの実施状況の評価、検証を踏まえ、第三次改革プランに定めた年度毎の目標数値の達成と収支の均衡に向けて、引き続き健全化に努める必要がある。

イ 高度先進医療従事者の確保と資質の向上について

 県立病院には、地域における高度先進医療を担う役割がある。医療従事者の確保と資質の向上は、第三次改革プランにおいて重点的に取り組む項目の一つとしている。
 新しい医療施設や高度医療器械が十分にその機能を発揮し、県民に高度な先進医療を安定的に提供することができるよう、また、必要な医療サービスの提供を維持できるよう、引き続き、医師、看護職員をはじめとする専門性の高い医療従事者の確保及び定着に努めるとともに、研修などによる在職医療従事者の育成及び資質の向上に努める必要がある。

ウ 安全・安心な医療の提供について

 近年の医療事故に係る報道により、県内の医療機関における医療の透明性、医療に関わる場所での安全性について、県民の意識が高まっている。
 県立病院において、平成26年度に発生した医療事故及びヒヤリ・ハット事例の報告件数は、医療事故が32件で前年度と比べ14件増加し、ヒヤリハット事例が4,210件で前年度と比べ58件増加した(平成27年度公表)。また、第三次改革プランにおいて取り組む重点項目の一つに、安全・安心な医療の提供を挙げている。
 地域の拠点病院として、県民が安心して安全な医療を受けられるように、職員の意識を向上させるとともに、今後も、徹底した医療安全対策に取り組む必要がある。

平成27年度群馬県公営企業会計決算審査意見書(PDF形式)

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