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リポーター番号19 八田信江さん(伊勢崎市)のページ8


◇ 豪農屋敷で「能に親しむつどい」(5月15日 伊勢崎市)

旧森村家住宅
増改築の際に伊勢崎藩陣屋から移築した式台。透かし彫りが見事
 『羽衣』の装束をつける光景。髪を結い髪帯(かずらおび)をつけている
能面を手に取り、その神秘的な美しさに見入る。面の素材はヒノキで、軽いが柔らかいので慎重に扱われている
第1・第3日曜日に一般公開される旧森村家住宅。2階と小屋裏は養蚕に使われた

古い時間が穏やかに流れる屋敷で『羽衣』の天人の舞いを鑑賞 伊勢崎市連取町の旧森村家住宅は江戸時代の豪農屋敷の遺構で、市指定重要文化財です。
 寺院建築を思わせる軒の深い瓦葺(かわらぶき)の屋根、連子と白壁の対比も美しい主屋は、江戸時代後期に建てられ明治9年に増改築されたといわれます。玄関の風格ある式台や「新座敷」と呼ばれる部分は、払い下げた伊勢崎藩陣屋の御殿から移築したもの。かつて、連取村領主・旗本駒井氏の地方代官を勤めた家柄をしのばせます。
 毎月第1・第3日曜には屋敷内が一般公開されていて、5月15日の公開日には「能に親しむ集い」が催されました。縁側のガラス戸から庭の緑越しに差し込む柔らかな光のなかで、100人近くの観衆は心地よく幽玄の世界に誘われました。
 講師は観世流能楽師の加藤眞悟さん。平成4年に国立能楽堂で独立披露能を催し、以来、神事能での演能をはじめ海外公演、能楽入門講座や謡曲・仕舞の指導を通じて、能の魅力を内外に広めています。

 この日は能の歴史や能舞台について、わかりやすく解説。主人公シテは「見えない世界の人」であり、シテが舞台に登場する通路は「見えない世界との掛け橋」という説明に、かすみに包まれたような能の世界がぱっと晴れた思いでした。また、貴重な実物を披露しながら、能面や装束について説明。角度をわずかに変えることで、面の表情が大きく変わることや、『羽衣』の天人の着付けを通して、大柄な男性のシテが優美な天女に変身していく様を目の当たりにし、能楽への興味をかきたてられました。そして羽のような美しい衣をまとった天女の舞いに、一同うっとり。文化遺産の邸宅を舞台に古典芸能の魅力に触れ、日本古来の文化の奥深さを再認識しました。


八田信江さんのこれまでのリポート

◇ 心を澄ませて香りを聞く/相川考古館で香遊び(2005年5月5日 伊勢崎市)
◇ 春の花レポート伊勢崎編(2005年4月27日 伊勢崎市)
◇ 明治の洋館、市民の集いの場に(2005年4月23日 伊勢崎市)
◇ 上州の地酒が勢ぞろい、「群馬のお酒フェスタ」(2005年4月22日 伊勢崎市)
◇ 伝統文化、次の世代へ/伊勢崎茶道会が大茶会(2005年4月3日 伊勢崎市)
◇ 揺れる明かりのなかで、夜の茶会(2005年3月26日 桐生市)
◇ 骨董市は現代人のオアシス(2004年6月5日 桐生市)


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