![]() |
東洋大学国際地域学部国際観光学科
|
東洋大学国際地域学部国際観光学科の古屋ゼミでは、板倉町の観光振興計画策定のプロジェクトに参加し、それぞれ興味を持ったテーマに取り組んでいます。
パソコンを使って、視覚に訴える資料をスクリーンに映し出し、持論を展開する学生や、それに対して質問を投げかける学生。ゼミでは、「板倉町の観光資源活用」について真剣に議論を交わす学生たちの姿を見ることができます。
担当の古屋秀樹助教授は、観光交通計画や観光地形成の歴史、観光によるまちづくりなどの研究をされていて、県内外の自治体の観光振興プロジェクトにも関わり、行政と連携して地域活性化の方策を打ち出している人物。「板倉町の観光振興計画の策定で、大学側の幹事を務めています。若い人の意見を反映させて、切り口のかわった計画を作りたい。ということで、研究室の学生に参加してもらっています」。
中沢さん(コスモスの油を利用したせっけん)観光資源として板倉町は「物販」が弱いんじゃないかと思うんです。町で毎年行っているコスモス祭りと物販を結びつけられないか、と考えて。コスモスの種から油が採れるんですよ。それを利用して、せっけんを作ったらどうかと思っています。自分で実際に作ってみようと、種を手に入れたところです。
藤本さん・正田さん(来訪者対象アンケート)計画を策定しようといっても、誰が来ているのか・どういう動機で来ているのか現状がわからない。ということで二人が中心になって、イベントなどに来た人にアンケート用紙を配って、情報を収集しています。
室崎さん(観光による経済効果分析)来訪者のアンケートの集計結果や事業所の売り上げなどのデータを分析し、板倉町の観光による経済波及効果を調査しています。観光振興に力を入れることで、これだけメリットがありますよ、ということを示したい。
鈴木さん(水資源など観光資源の活用)観光資源の現状を把握して、あるべき姿を提示したいと考えています。たとえば、揚げ船、遊水池などの「水」は、水自体が汚れているという現状がある。持続的に観光資源を生かす方策を考えたい。
井上さん(板倉町観光振興計画のウェブサイト)まだ検討中なんですけど、板倉町観光振興計画のウェブサイトを作ろうと考えています。
大塚さん(グリーンツーリズム)「貸し農園」の可能性を考えています。ここは東京からも近いし、レジャー感覚で農業を楽しめる環境を整備してはどうかと。具体的には、板倉は公園が多いのでそれに隣接した農園を作り、農業公園を作る。都心に住む人が休日にドライブがてら板倉に来て、野菜作りを楽しむ、という集客を考えています。
板倉町の総合計画を見たとき、最初は観光施策の項目に、なぜこういう項目があるのかわからないんですね。現場を実際に見て回って、行政が実現しようとしていることがわかりました。学校での勉強だけではわからなかったことが、行政の人と関わったことで考えられるようになった、と思っています。
現地に行ったり本を読んだりして真剣に考えると、いろいろなアイデアが浮かんできます。すぐに実現可能かどうかは別として、板倉町の可能性は多方面に広がっていると思っています。
板倉町はいいところですが、情報が不足していると思う。原生林がきれいな場所があることを、3年住んでいるのに最近知りました。
今まであまり考えなかったことですが、計画の策定に関わるようになって板倉町のいいところをもっとPRしたいという気持ちになりました。今ある観光資源をただPRしていくだけじゃなくて、資源の使い方も考えた方がいい。そういうことを時間を使って考えるのが学生の使命かな、と感じています。
計画づくりを聞いたときは、正直、きっと行政の方で筋道を作っていて、私たちが何かを考えても取り入れられないんじゃないかって思ったんです。
まだまだ始動したばかりで、本格的に行政と関わっていくのはこれからだと思うんですけど、古屋先生の前例の話を聞いていて、行政の方も真剣に、私たちと一緒にこのプロジェクトに取り組もうとしているんだな、ということがわかってきました。
お互い真剣だから、やる気がでますよね。
私は町外に住んでいるんですが、以前は、板倉町っておもしろい場所がないなと思っていたので、学校の往復だけという日が多かったんです。板倉町のことに目を向けて、雷電神社が全国のいろいろな雷電神社の総本宮であることを知ったりして、板倉町が急に身近に感じるようになりました。
観光の活性化に私たちが協力することで、活性化したらいいな、本当に活性化できるんじゃないかなと思ってきました。自分の住んでいるところと同じくらい好きになりました。
引っ張っていくのはやはり行政。こうしていきましょう、ああしていきましょうと、もっと先導して欲しい。そのなかでぼくらの意見や研究成果を取り入れてもらえれば、と思います。
揚げ舟の船頭さんをやっているのは高齢の人が多い。継ぐ人がいない。「水辺の景観をいかす」土台作りにも力を入れていかなきゃならないですよね。
行政と大学が関わるということはとても良いことだと思っています。多くの人の意見を取り入れる、という意味でもそうですが、私たちのような観光について学んでいる学生の意見を行政が必要としているということがとてもうれしい。
観光振興などは、考えるだけではなく、どう実現するか具体的に示していければいいんじゃないかと思います。「こうしよう」と示してほしい。どうしたらいいかわからない人が多数なんじゃないかと思うんです。
こうして観光振興計画に携わっていることは、貴重な体験だと思っています。せっけんも製品化できるかもしれないし(笑)。
板倉町っていいところがたくさんあると思うんですけど、PRが足りないんじゃないかと思います。行政側が謙そんしているので、地域住民もひっこんじゃう。自分の町を「いいところですよ」と自信を持って言える雰囲気が必要なんじゃないかなと思います。
コスモス祭りでアンケートをしているときに、地域の人に「大学があるんだから、こういうお祭りにもっと学生が参加したり、大学という資源を利用してもいいのにね」と言われて、期待されているんだなあと感じたんですね。大学が地域に関わるこういう取り組みはあまりないし、知られてもいないんじゃないかと思うんです。私たちの取り組みが後に続いていけばいいなと思います。
板倉の観光課の方と話をしたとき、たくさんの仕事を同時進行で進めていると聞いて、とても大変なんだろうなと思いました。そういう面でも学生の力を借りるという手があるんじゃないかと。アンケートなど基礎データをとったりすることは、学生にとっても研究資料になりますので、「やりたい」と手を挙げる人がいると思うんですよね。積極的に大学の資源を活用してもらえればと思います。
自分の意見をはっきり伝える学生たちの自発的な態度がとても頼もしい。
「協働」によってお互いがわかりあうこと、役割を確認しあうこと、意見を言い合うこと。学生の皆さんの熱を帯びた口調から、そのステップを確実に踏んでいることがうかがわれます。
「板倉町観光振興計画」、完成が待ち遠しいかぎりです。
東洋大学国際地域学部 http://frds.itakura.toyo.ac.jp/
東洋大学国際地域学部国際観光学科古屋研究室 http://www2.toyo.ac.jp/~furuya/
(聞き手 藤川)