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平成21年9月23日 前原国土交通大臣と群馬県知事及び地元自治体との挨拶

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

大臣・知事・両町長挨拶

前原大臣

 改めて知事始め首長、議長、地元県議に対し、時間を設けて頂いたことを御礼申し上げます。

 率直な思いを話しに来ました。

 八ッ場ダム計画は、昭和27年(57年前)に計画が立ち上がり、最初は地元全員の反対運動から始まったと聞いています。

 賛成・反対のしがらみを経験し、最終的には苦渋の選択をして国政に応じていただいたものと理解しています。政権交代があったとはいえ、政策変更にあたり苦労・心労・迷惑を掛けたことには担当大臣として率直にお詫び致します。

 我々のスタンスは、八ッ場ダムは治水・利水を目的とした多目的ダムと言うことでありますが、まず、治水については、石関議員の閣議での質問主意書と閣議決定で答弁された国交省回答によりますと、1947年のカスリーン台風が契機となった計画であるにもかかわらず、カスリーン当時の雨の降り方、台風の通り方なら政府の答弁として効果無しと回答を得ています。(八ッ場ダムがあったとしても、伊勢崎市(基準地点の八斗島)での洪水容量は変わらないと回答されている。)ダムの効用が全くないということではありません。ダムの上流で降ったなら、一定の洪水対策となります。あの台風の時と同様なものがきた場合は、効果無しと、我々の調査で明らかになっています。

 一方で、ゲリラ豪雨は地域で頻発しています。このため、洪水対策は極めて重要と考えています。年間1千億の河川整備費のうち大半は八ッ場ダムに充てられている状況です。我々としては、出来るだけダムに頼らない治水対策・河川整備を中心に取り組みたいと考えています。流域の住民の方の生命・財産を守り、安全を確保するために弛まざる河川整備を進める方針であります。

 次に利水です。生活用水と工業用水に関してですが、生活用水の需要は1990年をピークに首都圏全体は横ばい又は減少傾向にあります。一方で人口は増えています。工業用水の需要は1972年をピークに下降傾向であり、これが実態です。八ッ場ダムはこれ以前に計画されたものです。

 暫定水利権設定に関しては、ダム建設を中止としてもこれを延長し、今まで通り確保するようにしたいと考えています。夏季の渇水期の効果も利根川水系全体では既存11ダムで八ッ場ダムの効果は5%と効果が低いものとなっています。

 このように、治水・利水とも計画策定時点とは状況・環境が大きく変化しました。

 民主党はダムに頼らない治水(河川整備)を進めます。ダムを造ると水質悪化を招きます。現に東北(気仙沼)では漁協が上流に広葉樹を植える取り組みなども行っています。このように水質悪化や全体の背景から考えています。

   今日は、100%意見を伺って帰りたいと考えています。どんな意見でも全て飲み込んで帰るつもりです。政策変更に単に従ってくださいとは言いません。どうすればこの地域が自立できるか?どうすれば明るい展望を抱けるか?の意見を十二分に承って補償措置を前提にしていきたいと思います。

大澤知事

 大臣が就任されて八ッ場ダム中止を表明されました。私は、表明する前に白紙の気持ちを持って地元の切なる声に耳を傾けていただくことが、国として、大臣として最低限の責任ではないかと思っています。半世紀以上苦しんできた地元の住民の声に耳を傾けることなく、ダム中止を表明されたことは大変遺憾でございます。

 地元住民は中止ありきのままでは話はできない。それで今回、会合に出席を拒否したわけであります。その悲痛な心の叫びを真摯(しんし)に私は受け止めていただきたい思いで一杯であります。

 これまで半世紀にわたりまして長野原町、東吾妻町の皆さまは大変なご苦労をされてきました。長い間反対闘争があったわけですが、国の執拗(しつよう)な説得がありまして、首都圏を洪水から守ろう、首都圏の水がめになろうという、大きな崇高な気持ちの中で犠牲になりまして、苦渋の決断がなされました。国策としての「八ッ場ダム建設事業」に賛成し、国家プロジェクトに参加したわけであります。

 そして国と地方との約束であります八ッ場ダム建設事業に係る基本協定書が平成4年、7年に締結されました。平成4年には長野原町と平成7年には東吾妻町と、当時は吾妻町でしたけれども締結されて、そこからですね代替地、付替道路の工事が一気に進んでいったわけであります。

 その平成7年の時の総理大臣は社会党の委員長でありました村山さんであります。そしてその当時の政権は「自社さ政権」でありました。さきがけの代表幹事は鳩山さんで、さきがけの政調会長は菅副総理でありました。前原大臣もさきがけの一員であったと思います。このような歴史を考えてみましても八ッ場ダム建設は政党だけの約束ではなく、国との約束であったわけです。締結したときの政権与党であり、前原大臣は自らが推進した一員でもあります。

 政権が変わったからといって国が一方的に中止することはあり得ない、できないというのがわれわれの基本的な考え方であります。さらに本ダムは国の直轄事業でありますけれど、群馬県のほか、東京、埼玉、千葉、茨城、栃木の1都5県が法律に基づいての事業を実施しているところであります。これまで治水、利水の面から必要不可欠な施設であるとして、ダム事業に膨大な負担をしてきている関係都県とも協議、話し合いを十分に行った上で事業の今後の方針を決めていくべきでありまして、これら1都5県とも何ら協議をせず一方的に中止をすることが、あり得るのでしょうか。

 民主党は地方主権をうたっております。国と地方とが対等な関係を築くとも言われています。それなのに今回のようなことが友愛精神にのっとったことなのでしょうか。現在、平成27年度のダム完成に向けまして、今年度末には8割に近い進捗状況となるわけでございます。ようやく最終段階となって地元の皆さまが、新しい地域づくりや生活再建を行おうとしている矢先に選挙のマニフェストに記述がある、今後の公共事業の入り口だという理由で、国がここまで進捗している事業を中止することを承知するわけにはいきません。まるで無駄な公共事業の象徴として、八ッ場ダムを捨て石にして、この地域を切り捨て、住民生活を一粒の小石のごとく蹴(け)飛ばすようなことが絶対にあってはならないと思っております。

 本日、大臣と地元の住民の皆さまとの意見交換が開催できなかったことは、大変残念で悔しくてなりません。住民の皆さまの一言では語れない大変なご苦労、つらい気持ちを考えると、中止ありきで、補償するから理解してくれ、というやり方は政治家としていかがなものかと私は考えます。ダム中止を表明する前に地元の皆さまや長野原町、東吾妻町の切なる声や意見に耳を傾けるべきではなかったかと思っております。

 まずは、大臣が言われたように虚心坦懐(きょしんたんかい)に住民の皆さまの意見を真摯に聞いていただきたいと思います。無駄な事業を中止することは私も賛成です。地方を預かる身としても大いに結構でございます。しかしながらこれまでの歴史的な経過や、地元住民のご苦労や気持ち、特に首都圏の水がめになろう、首都圏の洪水を守ろう、そういう気持ちに至った住民の皆さまの気持ち、さらには共同事業者であります関係都県のご意見を踏まえて、八ッ場ダム建設につきましては中止をいったん白紙に戻して、今後のダム事業の進め方につきまして、地元や関係都県と協議を行う場を早急に、速やかに設置し、協議、開催することを、ここに強く申し入れたいと思います。

 なお、大臣はできるならば、せっかくこの地まで来られたのですから、地元の皆さまが今日ここに出られる環境をつくっていただければ心からありがたいと思います。是非とも弱い立場の人間の心を十分察知して行動していただきたい、適切な行動を期待申し上げます。ありがとうございました。

高山町長

 私たち長野原町の水没住民というのは57年間、最初は全員が反対でした。その中で平成4年に出されました生活再建案、第二次土地利用計画これであればやむを得ず再建が出来るかなということで、永年の反対闘争から条件付き賛成ということで、これは八ッ場ダム湖の湖畔を利用しての生活再建でありますので、これを認めまして国と約束、契約したわけであります。それが選挙の時にマニフェストに出されまして、それは私は民主党のマニフェストであると思っていたわけですが、それが与党として鳩山政権になって大臣が就任されるというのが分かっていましたので、大臣が就任会見でどのように言うのか見てましたら、8月6日に私ども民主党に東吾妻町の町長、議長と私たち行政という形で伺いました。その時、選挙準備中に入っておりましたので、代議士の先生がいらっしゃらないことは承知でお伺いしました。そして対応頂いたのは政策調査会の副部長さんが対応頂きまして、その時は住民との意見を聞きながら党方針を決めると言われました。私はそうあるべきであろうと思っておりましたが、大臣が就任され、八ッ場ダムは中止。そしてその後に付け加えたのが、今後住民との話し合いのなかでやっていくと言われました。これは私どもが大臣と会ったわけではないですが、民主党の党の方から伺ったものですから、そうあるであろうと思っていたら、いきなりの中止ということで非常にがっかりしています。それから私どもが国との約束が、第一だろうと思います。民主党が掲げましたマニフェスト以前に、私どもが国と契約したことを遵守することが筋ではないかと思っています。それにも係わらずマニフェストに有りますからって言いますけども、マニフェストに掲げるのに私どもに相談されたわけでもありませんし、地元の方達と懇談を重ねたと言われますが、どなたと話されたかは存じませんが、私も町長になってもうじき4年ですが、先日鳩山総理が幹事長の時に見えたのですが、その際に鳩山幹事長にはお会い出来ました。しかし民主党のみなさんとはお会いしていません。それで八ッ場ダムを無駄の一言で決めつけられたようですが、無駄な公共事業を省くというのは知事と同じように私も賛成ですが、この八ッ場ダムが無駄という決め方ですが、何を持って無駄なのかは分かりませんが、もし仮にこれを中止にした時には、今まで投じたもの全てが無駄になりますので、今後の142基のダム、河川の必要性を精査するとすれば入口にしたいと申しますが、あえて、入口にしなくても、そのものを精査して頂ければありがたいと思っております。57年間、住民と致しますと、完成を待たずに亡くなった方がたくさんいます。そしてダムのためにやむを得ず町を去った方も居られます。それがダムが中止となって出来ないというのであれば、その人たちはどうするのですか。だから是非、私どもはダム湖畔での生活しか目途がたっておりませんので、再検討頂きまして、中止を撤回して頂きたいと思っております。

茂木町長

 私の町はダムに沈むわけではありません。ダムの本体工事をするために国道の付替、JRの付替、そういった準備事業のため、関連事業のため、私どもの地元住民が31戸の家屋移転、先祖代々の田畑をやむを得ず手放した。そしてその間、ずっと騒音であるとか工事関係に悩まされ続けてきた状況であります。

 私は八ッ場ダム事業につきましては理論的にも、人道的にも中止が出来ないダムだと考えております。ここまで進んできた八ッ場ダム事業を中止にすることこそ本当の無駄使いになるのではないかと思います。国の負担は間違いなく大きくなると試算されています。

 9月17日、大臣就任直後に「マニフェストに書いてあることなので中止する」と八ッ場ダム中止を明言されました。脱官僚、政治主導とはこういうことなのか、こういう手法なのかと思いました。我々の57年の歴史が、たった2、3時間前に大臣に就任された方によって、その一言によって、全てが覆されたという思いでございます。あまりにも独裁的、そして、その時点では理論もなく、ましてや議論もなく、そのように感じました。一般的には事業の見直し、これにつきましては基準、指針、そういったことから、議論が始まるのではないかと思っております。先程来、知事も、高山町長もおっしゃっていましたが、この席の前に中止を明言することなく、こちらに来て頂けたらもっと本当の意味での議論を戦わせたのではないかと、そのように思えて残念でなりません。

 ダム中止という明言を受けて、私どもの町なりに今までの歴史や経緯、地元住民の協力、生活再建案、そしてダムの財源論、治水や利水の効果、そして受益者側の見解、負担金の差し止め住民訴訟、自然環境の保護、中止の法手続であるとか、また地域振興の取り組み等々、様々な関係から改めてダム事業を検証してみました。やはりここまで進めてきた八ッ場ダム事業を中止することは不可能であり、決して地元を犠牲にしたままで終わりには出来ないという考え方でございます。

 先祖代々の田畑や山林、そして家屋までを手放した方々にとっては、流域の方々への治水、利水のためという大義があったためです。人のためという、他人の為に自分がいるんだといった人間の本来的な大義に基づいた中での決断だったと考えております。この大義が足下から崩された、そんな地元の住民の焦燥感、焦り、うつろな気持ち、そういったものを、このままには出来ない、私はそう考えております。この大義により国の事業に協力してきた方々の想いと、それに関連工事により耐え難い毎日を余儀なくされてきた地域住民の心情を考えると、やはり八ッ場ダムの早期完成を求める以外にはありません。

 是非とも、一日でも早く作って頂けるようにお願いを申し上げる次第です。今回の中止という言葉を聞いて、一番感じたのは我々には今回は切り札がないんだと感じました。前回のダム建設反対の時には、自分の土地を渡さない、ハンコをつかないという一縷の望みがありました。ところが今回、我々がどのような切り札を持っているか。非常に辛い選択でございます。そのように考えると住民の怒りは、どこに向けたらよいのか、ふんまんやるかたない想いで一杯だろうと思います。

 さて、理論上と、先ほど申し上げましたが、国土交通省の国の事業評価によれば、八ッ場ダムについては厳格なチェックが行われております。国の平成21年2月、この時に行った治水面での再評価においては、治水に係わる便益で1兆589億円、建設費に維持管理費用を含めた費用が3,072億円であり、費用対効果B/C=3.4であると、十分な効果がある事業だと確認されております。これは先ほど大臣がおっしゃった昨年6月だったでしょうか、石関議員のあれより、ずっと後の今年の2月にです。利水についてもそれぞれの利水事業者が適時、事業評価を行っており、効果が確認されており、そしてそれぞれの6都県の知事が八ッ場が必要だとおっしゃって下さるのは非常に心強いところであります。実際に暫定水利権の問題につきましても、皆様が応援して下さっている。このような中で、地域住民の心情をご察し頂き、理論的ななかでも効果を認めて頂いた中で、八ッ場ダムの早期完成を願っております。

高山町長

 本日、意見交換会が出来なかった理由を地区の方から述べたいということで、お集まり頂きました。それから私どもから大臣に向けた要請書がございますのでお渡ししたいと思います。よろしくお願いします。

坂井課長

 まだご意見の場でありますので、このご意見の場が終わった後でお願いしたいと思います。それではまだ時間に余裕がありますので、せっかくの機会ですので懇談をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

大澤知事

 私は専門的なことは細かくは分かりませんが、八ッ場ダムは長い間地元の方々にご苦労いただいて、今日まで来ました。あと6年ですべて完成する。例えば治水対策一つとってみても、あと6年で首都圏の治水対策に大きく貢献する八ッ場ダムが完成するわけですが、下流の土手をかさ上げしたり改良したりして対応できると言われましたが、これに見合ったお金で治水対策ができるのかと思います。私は埼玉や東京地域においては相当莫大(ばくだい)なお金が築堤、改修工事においてかかり、なかなか難しいのではないかと思います。それが1点です。

   暫定水利権を延長させるとのことですが、ダムの工事が中止されて暫定水利権が延長されるというのはよく分かりませんが、通常、ダムができなくなれば暫定水利権はなくなるわけです。その水利権は、今、目の前にあるから大丈夫だと言います。水利権というのはそんなレベルの問題でよいのでしょうか。江戸時代から、相当昔から水利権の問題では争いが絶えませんでした。水利権というのはそんなに簡単に大臣の一言でどうにでもなるような問題なのでしょうか。水利権の問題は机上の空論ではないでしょうか。実際に、農業用水の問題一つを見ても大変な苦労や難しい問題があると思います。この辺は河川局長に聞いてみたいと思っています。

   57年間、国は一貫して治水利水で大切な事業として進めてきたわけなので、その責任が国にはあるはずです。それが政権が変わったから今度は必要ないでは地元はたまったものではありません。これが本音です。みんな自分の土地を犠牲にして、家族を犠牲にして首都圏のために協力してきた地域の方にそんな簡単に暫定水利権がどうなる、治水がどうなるということが言えますでしょうか。本当にこの6年間で対応ができますか。是非、大臣の真摯なお答えを頂きたいと思います。

前原大臣

 最後にみなさんのお話しを伺った上で、ご意見を頂戴したことについて、私の思いも含めてお話ししたいと思います。

 今知事から技術的なことに質問がありましたので、そのことに限ってお話ししたいと思います。八ッ場ダムの治水効果について数字を上げて申し上げる気はありませんが、まず一つ懸念しているのは、貯水池には22箇所の地すべりがあります。3箇所は簡易的に修復してあるとのことですが、かなりの容量のダム湖になりますが試験湛水をしたときに本当にもつのか、心配をしています。これまで国土交通省で実施したダムで例えば奈良県の大滝ダムは、私も行きましたが、当初230億円で始まったダムは2003年に完成しましたが、最終的には4600億円もかかりました。このダムはさらに10年間耐水工事を施工し地割れをおこし補修工事をやって、さらに10年間延長、総工費も増えるということになりました。他にもそういったダムがあります。また熊本県の大蘇(おおす)ダムなんかは水がたまらないというようなダムもあります。先ほどは申し上げませんでした。もちろん、無ければいいのだが皆さん方が計画延長で長野原町や東吾妻町の方はご苦労されて、受け入れを決定していただきました。工期が延びたことにつきましては、補償もありません。もちろん仮の話しですが、我々が懸念している22箇所の地すべりについて、試験湛水をしたときにまた延びると、そしてさらにお金がまたかかるということについては非常に心配しています、率直に申し上げておきたいです。その上で、仮にこのダムができたとしても、それなりの洪水調整はできますが、それだけで利根川水系の全ての治水が完成するかというと完成しないと思います。大事なことは国土交通省がやってきているような、破堤をしないような、今までやっているような河川整備をやらなければなりません。ダムも満水になれば放水します。そういう意味でも河川の強化も併せてやっていかなければなりません。八ッ場ダムができれば全てが解決するような認識にはたっていません。

 暫定水利権は前例がありまして、徳島県の細川内ダムや新潟県の清津川などはダムを中止しています。これは自民党政権の時に中止していますがダムができるという前提で発行した暫定水利権を毎年毎年の延長を今でもやっています。従いまして、知事のお訪ねについては技術的には可能であると考えています。仮に八ッ場ダムを作らないとなっても造る前提で設定した暫定水利権を延長させてもらいたい、1年ごとに延長させていただきたいと考えております。

大澤知事

 大臣が聞かれている意見は反対派の意見です。賛成派の意見も聞いて、大臣として判断していただきたい。民主党がマニフェストに書く時に、地元に何度も来て地元自治体の人たちと意見交換をしたといいますが、私は一度も会ったことがありません。去年、鳩山さんが来たとき、わずか1分しか高山町長は話をさせてもらえませんでした。そのほか、民主党のどなたが話をしたのか、本当に話をしたのか、一貫してダムに反対している人が若干います。その方の意見を聞いているだけでは私は違うと思います。やはり苦渋の選択をして賛成に回った方の意見も聞かなくて、一貫して反対している人の意見だけを聞かれるのは、苦渋の選択をして賛成に回った人の気持ちはちっとも大臣には伝わらないと思います。賛成に回った人の方がどのくらいつらい思いをしてきているでしょうか。その辺の方からも聞いている話というのは私の調べたデータにはありません。民主党の人が何回も来て地元との話、地元自治体との話、いろんな住民と話をしてマニフェストをまとめたと言われますが、それほど大臣が胸を張っておられるマニフェストは徹底的に調査をされたうえでのマニフェストなのでしょうか。

前原大臣

 10年前に次の内閣というのが作られまして、初めて国土交通担当となったのが私です。全国10を超えるダム、諫早、中海、吉野川の第十堰、長良川などダムに限らず、様々な河川の現場を歩きました。私は残念ながら八ッ場ダムには来ていませんが、これは正直に言っておかないといけないですが…そのときには当然ながら反対運動をしている方の意見を聞いているだけでは政策決定になりませんので、反対されている方々からもかなり厳しい意見を伺うという場も設けさせて頂きながら、お話しをさせて頂きました。3日後に川辺川のダムの予定地に行きます。あそこには何度か足を運びました。人吉という球磨川と川辺川が合流するところで、賛成派と反対派の方が合計して200名を超えていたと思いますが、そこで相当活発な議論をしてきました。何よりも水没予定地域でありました五木村の方々とは車座になって議論させてもらいました。まさに知事が言っていたように、初めはみんな反対していましたが、苦渋の選択の中で飲み込んで受け入れていただきました。また、今だに反対されている方とも話しをさせて頂きました。何度かで何十年も辛酸をなめられた方の気持ちがわかるというような生意気なことを言うつもりはありませんし、皆さんの話を伺って、やはり私自身に配慮が欠けていた面が多々あったことは率直にお詫びしなければならないと思っています。今日がスタートと思って、そしていろいろと皆さんの意見を伺いたいと思っています。

 皆さんにご意見を伺って、それに対しての私の思いを発言したいと思います。自由に発言して欲しいと思います。

萩原県議

 地元の県議会委員の萩原です。今日は忙しいところ、ありがとうございます。また、群馬県の民主党の議員組の皆さんがお越しに頂いて誠にありがとうございます。

 この八ッ場ダムの問題につきましては、3年前ぐらいから急に県議会の方でも議論になってきたところでございます。

 何で、八ッ場ダムが中止にならなければならないのか?

 また、このマニフェストで八ッ場ダムの中止、何で出てきたんだろうか?

 その辺が我々には非常に疑問なところでございました。

 先程来から地元の町長さんや知事のお話になっているとおりでございます。

 そういう中で今、大臣が今、お話になりましたけど、石関議員、地元の衆議院議員石関さんが国会でですね、そういう八ッ場ダムについての道路とかした時に、カスリーン台風のお話が出ました。で、この治水に対して、実はカスリーン台風の時にですね、確かにそれが問題で八ッ場ダムの建設になったのですが、実際には、八ッ場ダムの上流にはカスリーン台風の時に雨がそんなに降らなかったんですね。

 従って、国交省の答えの一つとして、カスリーン台風の時には、それが今後起きるとしたらという意味合いとしては、同じように八ッ場ダムの上流に降るという想定ではなくて、それほど影響はないと、いうような話になったと聞いております。

 また、その他の沢山な降雨のシミュレーションがございます。その中では多くの場合、八ッ場ダムの必要性が言われているところでございます。従いまして、ナカナカその一部分を取ると、八ッ場ダムが必要か必要じゃないかと言うような事がありますけど、私どもはこれからのこの大変な自然環境の中でいつ大きな災害が来るとも限らないと、いうふうに思います。

 従いまして、議員として、そして、国民の安全や安心のためにはですね、やはりこういったダムを将来のために造って、ま、ここまで来ているわけですから、造っていかなければならない、と思います。

 それともう一点は是非、「ダム中止」の中止の文字をですね、是非撤回して頂きたい。やはり、地元の声を聞いて頂いて、1都5県のみなさんの声も聞いて頂いて、もう一度シミュレーションして頂いたりですね、アセスメントして頂いたりして、考え直して頂きたい。これがもうホントにこの場に来れなかった住民達の大臣と一生懸命語っていきたい、個人としても語っていきたい、そういう風に地元の人たちは思っているわけですね。是非、そういった肩書きとかそういった物を取って頂いてですね、住民達とホントに一緒になって話をしていって頂きたいな、と思います。

 もう一つは、治水利水の問題で、平成16年から、八ッ場ダムの裁判が1都5県で行われているわけで御座います。そして4年半という長い審議を得てそして八ッ場ダムの必要性、妥当性について司法の場で認められているわけで御座います。もちろん、今又上告をされたり、これからも審議は続くと思いますが、一つの結論という物はですね、そういった司法の場で出て、そしてその時に八ッ場ダムにつきまして事業者の責務として住民の生活が極力影響を受けないように努力することが、そういう責務を事業者が負うという事を裁判でも出ているわけでございます。

 是非そのようなですね、なぜ、その裁判そのことを受けて、また、もう一度八ッ場ダムのマニフェストっていうのは、考えて頂けるのかな~、というふうに思っていました。

 しかしながら、そのまま八ッ場ダム中止という形で進んでこられたわけで御座います。是非本当にこれから地域の住民とですね、ホントに膝をつき合わせて、色々と御議論を頂いて、もう一度再考して頂きたい。これが地元の思いで御座いますので、どうか宜しくお願いしたいと思います。

南波県議

   昭和55年に群馬県が生活再建案を掲げてダム事業に入ったわけです、それまで、国と建設省と地元住民との間の対立というのは、極めて厳しい、そしてその事はにっちもさっちもいかない所まできてしまっています。そうした中で、なにゆえ県が入っていかなければならなかったか?

   地元の方が当時言っておられました、「国はいつ逃げるか判らない」、「国はいつ方針を変えるか判らない」だから、群馬県にでも中に入って貰わなければ、我々は信頼は置けないと、そのような思いの中で群馬県が生活再建案を担う事になったんだろうと、考えております。

   そして、先程来のお話を伺っておりますと、まさに30年後に同じ事が起きた、その時代の先輩の言われた通りの事が起きてしまった、国はアッという間に方針が変わる。それは地元の住民の事なんかはやはり昔も考えていなかったし、今も考えていないんだ、そのような思いがして、非常に残念に思う所であります。

   前原大臣が、地元の事を真摯にという思いの中でその事を捉えて頂くのなら虚心坦懐という言葉を使って頂くのなら、是非とも地元住人がその時代に決して国は信用置けないと、言った言葉を覆す事をお願いしたい。そしてまたしっかり話をして頂ける体制づくりという物を作って頂きたい。そうでなければ地元住民は納得出来ないだろうと思っております。

   私達地元の県会議員も下流都県の為にやるんだ、下流都県が大変なんだよ、水が足りないんだ、そして洪水が起きた時に困るんだ、そのような事の中で地元の方々を説得していったわけでもあります。

   価値観が変わるという事はこれほど変わるのかという思いが致します。是非そのような中でですね、下流都県はこの問題というのについて傍観者で見ているだけでいいのだろうか、下流都県に対しては全く大丈夫だと云えるんだろうか、各それぞれの都県のリーダーの方々の意見を聞いた上でシッカリと対処していって頂きたい、そのような思いがするわけであります。

   私たちは地元の人間の声をどの様に代弁すればいいのか、これからの進め方という物に今大変迷っているところであります。是非、大臣にもよろしくお願い致します。

竹内議長

 我々五十数年ですね、国のために準備したんですよ、それで今やっと先が見えた時に、これでまた苦しめられる状況の中に入りつつあります。

 こんな事があっていいもんでしょうか?さっき町長が言ったように、8月6日に民主党本部に行って、最後に事務の方が言う事を信じて、大臣が決まったら地元の住民とよく相談して、今後の対応を協議しますと云う話を聞きました。安心して帰ってきました。

 ところが、大臣が決まった数時間後ですか、八ッ場ダム中止と発表されました。そして今回の選挙でもマニフェストに八ッ場ダム中止と掲げたに際して、民主党は立候補を群馬5区だけは出さなかった。そこで民意を問うて欲しかったです。我々は。

 もしこれでダムが出来なければ、水没住民はもちろん長野原町も明日の未来がありません。是非その辺は十分に考えて頂きたいと思いますのでよろしくお願いします。

一場議長

 大臣におかれましては、就任早々多方面の所管事項に対して精力的に取り組まれておられる事に心から敬意を表します。本当に有難う御座います。

 しかし、このダム問題に関する一方的な中止宣言については私も民主主義のルールを逸脱していると言わざるを得ないと思っております。

 当町議会でも、先の9月定例会で決議し、「関係自治体及び住民の意向を尊重し、ダムの早期完成と生活再建の実現を求める。」という主旨の意見書を過日大臣宛に提出させて頂きました。どうか宜しくお願い致します。

 大臣や関係住民以外の多くの国民の皆さんにとっては、生活再建対策が出来れば、中止しても良いのではないかと思われるかもしれません。

 しかし私たち、特に長野原町の住民の方々にとっては、町の存亡と生活がかかった非常に大きな問題である事を認識して頂きたいと思います。

 ですから、言いたい事はいっぱいあると思いますが、本日、「地域住民の皆さんが、中止有りきの意見交換会では安易に参加するべきではない。」と断腸の思いで判断されたのだと思います。下流都県の治水や利水を目的に、国土交通省が進めてきたダム建設であり、私たちのダム促進の行動が「地域のエゴで片付けられるような問題でない。」と言う事を大臣や国民の皆さんに先ずご理解頂きたいと思います。

 私たちは、8月に民主党本部に要請にお伺いしました。この時もハッキリ「中止の前に地元住民や町と協議・調整をする。」という回答を頂いております。友愛政治を掲げる鳩山内閣である事を鑑みる時、今回のやり方では私たちはとても納得出来ませんので、大臣として責任ある部分については率直に反省して頂き、早い時期にスタート時点に戻して、地域住民や関係機関との協議・調整から始められる事を、大臣として勇気を持って英断されるよう心からご期待申し上げます。私の言いたい事は以上です。どうか宜しくお願いします。

茂原副知事

 副知事の茂原です。私、県庁の職員だったものですから、若いころに八ッ場ダムの生活再建案の策定に携わりました。そのときは、国の役人が来たんじゃ、会わないよと。国の話、建設省の話は聞かないよという状況でした。そういう中で県が再建計画を作りました。県の話なら少し聞いてみるかという雰囲気の中で携わりました。そんな立場から2つお願いをしたいと思います。

 今でもマスコミで拝見すると、地元の人の希望で造るダムという誤解をされている方が多いです。大臣からはそうではないという理解を頂いているようなのでこれは結構です。

 もう1点は大臣の後ろに絵が3枚張ってあります。これらが再建計画の絵です。こういう絵を描いて地元の皆さんは夢を描いていました。今日も現地を見て、川原湯温泉、各集落、旅館も昔は20軒近くあったのですが今は7軒です。一般の住宅も昔は340戸が移転計画だったのですが、今は130戸になりました。そういうわけで、抜け殻のような廃虚のような状態です。こういう中で上に旅館が引っ越しても夢が描けるのか、非常に疑問です。湖畔に水をたたえた状態で街をつくれるよう、もう一度ご検討をお願いしたい。

前原大臣

 皆さん方の率直なご意見ありがとうございました。初めは、皆様方が反対して苦渋の選択の中でこのダム事業を受け入れて頂いてここまできたということに、言葉の重さ感じました。

 ただ、私は地域のエゴだとは全く思っていません。皆様方が100%被害者だと思っています。皆様方のエゴで進めてくれと言っているとは全く思っていません。また、地域の明るい未来が描けないというのは当然だろうと思います。苦渋の選択の中で受け入れられて、今副知事がおっしゃったように、ああいう将来の図の中で地域の再生について考えてこられたわけなので、それ以外の選択肢を提示できていないので、ダム建設を前提として物事をもう一度考えて欲しいと言うのはよく理解できます。

 また、何人の方が共通しておっしゃったことも我々は重く受け止めなければならないと考えています。皆様が苦渋の選択を受け入れられたのは、下流住民の命、そして水を守っていくんだという大義の中で皆様方が苦渋の選択を最終的には受け入れられたことについても重く受け止めなければならないという思いを持たせていただきました。

 私は、このまま議論をつづけていくことは、大変結構ですが、一言だけ誠に言いにくいことで恐縮ですが、改めて皆さんに申し上げておきたいのは、この八ッ場ダムの中止と言う考え方を白紙に戻すと言うことは考えておりません。私は、一番最初に申し上げたように、次の内閣を作ったときに社会資本整備の担当として公共事業基本法を作りました。八ッ場には来ておりませんが様々な地域を回りました。昔は16本の公共事業計画があって、この枠が決まっていて、5カ年計画、7カ年計画を使い切るということで公共事業が割り振りをされる中で、国がどういう財政事情になろうが公共事業が繰り返し計画され行われていくことになっています。このままいったら、この国は企業であったり家庭であれば完全に破綻していると思っています。520兆円といわれるGDPを抱えるこの国で1.8倍を超える長期債務を抱えていて、そして、今までの自民党政権で公共事業を減らされたとしても、まだまだ公共事業は止まらない仕組みであります。

 われわれは、地元でご苦労された方の思いはできる限り敬意を表し、その方々の労苦に感謝をし、そして、申し訳ないという気持ちを持ちながらも、これから八ッ場ダムだけではありません、一つ一つの公共事業の見直しについて全てで行わなければならないと考えています。また、できるだけダムに頼らない治水というものを考えてまいりたいと考えております。その結果として今回のマニフェストに具体的に掲げさせて頂いたのが、八ッ場ダムであり川辺川ダムでありました。われわれ、国民の皆様に対してマニフェストの一つとしてしっかりお約束をさせて頂き、しっかりやりきる責務があると考えています。地元の皆様に対しては極めて失礼な物言いをしていることに対して、心からお詫び申し上げます。是非、我々の日本の税金の使い道を変えていく、公共事業のあり方を変えていく、止まらなかった公共事業を止め、そして、あらたな治水・利水の方策を見いだしていく、こうしたことをトータルで今の公共事業費を大きく見直していきたいのです。そういった取り組みを民主党政権でやりたいと考えており、また、その責務をもってやりたいと考えております。

 しかし、虚心坦懐という言葉に嘘はありません。ダムの建設を推進して欲しい、その前提がなければ物事が考えられないという話しはしっかり受け止めないといけないと理解しています。では、どうやって将来に希望を持って頂けるか、どういった補償措置を作ればよいか、この57年間の皆様の労苦にわれわれは応えることができるのか。そういったことを皆様にご意見を頂戴させて頂く中で考えさせてもらいたいのです。そういった一定の結論が出るまでは法律で物事を進めることはしません。また、付替の道路の工事、鉄道の工事を見ました。皆さんがおっしゃるようにかなり進んでいました。鉄道についてはJRとの話し合いが必要になりますが、道路については完成させなければいけないと視察をさせて頂いてそう思いました。本体工事を中止させて頂いたとしても、付替道路あるいは移転の事業についてはこのまま継続をさせて頂きたいとみなさんにお約束させて頂きたいと思います。これで御納得頂けるとは思っていませんが、是非、政権交代にかける思いの一つとして、国民からお預かりしている税金の使い道を変えていくための、一つの大きな公共事業の見直しについては、民主党が政権をとって国民の付託をいただいた金看板の一つだと思っています。このことも皆さんにご理解頂ければと思います。

 皆さんに本当に失礼な物言いをしていると思う事は十二分に理解しています。このことについても改めてお詫び申し上げます。萩原先生から肩書きを外してこいとのことであれば、前原誠司という人間として、よろこんで伺いたいと思います。

 皆さんの言っていることを100%聴きたいと思っています。住民の方は中止というのが前提であれば来れないと言っておられましたが、苦渋の選択の中で、この場に来られて、堂々と意見をしていただいたことについてありがたく思っています。どうぞ、これからもいろいろ議論させて頂く中で最善の策を模索できればと思っておりますので、ご指導ご鞭撻をお願い致します。

議事録(PDFファイル:50KB)