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指定管理者導入施設の管理運営状況等に係るモニタリングガイドライン

更新日:2022年5月25日 印刷ページ表示

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 本ガイドラインは、公の施設の指定管理者制度運用に関する基本方針(平成21年6月24日付け総第30063-7号総務部長通知)(以下「基本方針」という。)の規定に基づき、地方自治法第244条の2第7項に規定する指定管理者による事業報告書の作成・提出及び同条第10項に規定する県の調査や指示等、指定管理者による公の施設の適正な管理を期するために行うモニタリングに関して、準拠すべき基本的事項や留意事項等を示したものである。
 なお、本ガイドラインに定める事項の実施に当たっては、それぞれの施設の特性を勘案し、各部局又は各施設所管課で必要な修正を加えた上で、適正に執行するものとする。

1 モニタリングの考え方

 地方自治法第244条の2第7項は「指定管理者は、毎年度終了後、その管理する公の施設の管理の業務に関し事業報告書を作成し、当該公の施設を設置する普通地方公共団体に提出しなければならない。」、第10項は「普通地方公共団体の長又は委員会は、指定管理者の管理する公の施設の管理の適正を期するため、指定管理者に対して、当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。」としている。
これらを受けて、基本方針は「5 設置者としての監督責任」で次のとおり規定している。

  • 施設の適正な管理運営を確保するため、指定管理者の管理運営状況や業務継続能力を随時把握し、監督する。
  • 管理運営及び制度運用の改善に資するため、利用者の意見等も踏まえた上で、指定管理者の管理運営状況を評価し、結果を公表するとともに、選定等に活用する。

(1)モニタリングとは

ア 目的

 指定管理者のサービス提供及び管理能力に問題がないかを確認し、施設の適正な管理を確保する。

  • 約定(協定書、事業計画書、仕様書等)の履行確認
  • サービス水準(質)の確認
  • サービス提供の安定性(事業の継続性)の確認

イ 実施に当たっての留意事項

(ア)県は、仕様書等において、成果目標及び業務ごとの要求水準等を明確にし、指定管理者は、県と協議の上、事業計画において県の設定した目標等のほか、施設及び指定管理業務の目的を達成するための業務目標を適宜設定するものとする。指定管理者は各目標に対する進捗状況を定期的に点検して、サービスの維持向上のための課題把握と対応策の立案・実施(マネジメントサイクル(PDCAサイクル)の確立)に努めるものとする。

(イ)県は、施設の設置者としての監督責任を確実に果たす必要があるが、施設の管理者である指定管理者の創意工夫が十分に発揮できるように、過重な関与とならないよう留意するものとする。

(ウ)モニタリングの過程における指定管理者との緊密なコミュニケーションを通じ、指定管理者の要望や意見を把握するとともに、県の考え方や評価をフィードバックしながら、指定管理者による自主的なマネジメントサイクルの確立を促進し、管理運営の改善充実を図るものとする。

(2)モニタリングの方法

ア 指定管理者によるセルフモニタリング

  • 管理運営業務の記録、自己評価、改善
    (業務日報・月例報告書・事業報告書の作成、管理標準遵守状況の把握、自己評価、管理運営業務の改善)
  • 危機管理対応の記録、原因分析、改善
    (事件・事故等報告書の作成、原因分析、危機管理体制の改善)
  • 施設・設備の安全管理・点検の記録、改善
    (施設・設備等点検簿、業務点検簿等の作成、施設・設備の修繕及び安全管理業務の改善)
  • 利用者の意見、要望等の把握、分析、管理運営の改善
    (利用者満足度調査の実施及び分析、管理運営業務の改善)

イ 県によるモニタリング

  1. 各種報告書の点検、改善指示及び指導助言
  2. 実地調査、指示・指導助言
    (原簿及び実際の管理運営状況の確認、改善指示及び指導助言)
  3. 指定管理者との運営協議会
    (情報・要望・意見交換、県からの指示・指導助言、県及び評価委員会の評価のフィードバック)
  4. 利用者満足度調査の点検・分析、管理運営の指導助言
  5. 毎年度の管理運営状況の評価及び公表
  6. 指定管理者の業務継続能力の確認
  7. 暴力団等の排除措置
  8. 指定の取消し、管理の業務の一部停止

ウ 第三者によるモニタリング

  1. 利用者満足度調査
    (指定管理者による実施・分析、県による点検・分析)
  2. 第三者評価委員会による評価
    (県職員以外の委員で構成する委員会を原則部局ごとに設置)
  3. 監査委員及び外部監査人による監査(必要に応じて、随時)
モニタリングの概念図

モニタリングの概念図画像(指定管理者、県、第三者によるモニタリングの相互の関係を図化したもの)

2 指定管理者によるセルフモニタリング

 指定管理者団体固有のセルフモニタリングの方法を尊重しつつ、必要に応じ、施設の設置者として指示・指導助言し、指定管理者の自主的なマネジメントサイクルの確立による管理運営の改善充実を図る。

(1)管理運営業務の記録、自己評価、改善

ア 業務日報(週報)

 指定管理者は、各業務及び指定管理業務全体について業務日報(施設及び利用の状況によっては週報)を作成し、業務全体の状況を確認することにより日常的に課題を把握し、管理運営業務の改善充実を図る。

記載事項例
  • 施設利用者数
  • 経理状況
  • 従事者及び業務内容
  • 事件・事故、苦情・要望等の内容
  • よかった点、反省点、気付いた点
  • その他特記事項等

イ 月例報告書

 基本協定書等に基づき、毎月の業務の実施状況を翌月10日までに県に提出する。月例報告書を作成することにより、指定管理者自身が1か月間の管理運営業務全体を確認し、目標・計画等に対する実績を評価することで、翌月以降の管理運営の改善充実を図る。

記載事項例
  • 利用実績(利用件数、利用人数等)
  • 使用料又は利用料金の収入実績
  • 管理費用の支出状況
  • 施設の維持管理業務(修繕・保守点検等)に関する事項
  • 苦情等への対応状況
  • その他重要又は異例な事項
  • 利用者満足度調査の状況(実施の都度、データ等の概要を報告する。年間を通じた分析、改善等の対応状況は事業報告書で報告する。なお、最低年1回は実施するものとする。)
  • 指定管理業務の項目ごとの成果・課題及び改善充実の方策(指定管理者のマネジメントサイクルの周期に応じて報告する。ただし、半期に1回以上実施するものとする。)

ウ 管理標準遵守状況の定期的な把握

 省エネルギー関係法令に基づき作成した管理標準の遵守状況を定期的に把握し、県民サービスを低下させないように留意しつつ、環境負荷の低減に向けた適切な管理に努める。

エ 事業報告書

 基本協定書等に基づき、毎年度終了後2か月以内に県に提出する。1年間の施設利用実績、指定管理業務に係る会計決算、事業内容等を報告するとともに、指定管理者自身が、目標・計画等に対する最終的な実績を評価することで、翌年度の管理運営の改善充実を図る。
 なお、実績に関する項目(経費内訳、事業内容等)は、事業計画書の該当箇所と比較できる様式で記載するものとする。

記載事項例
  • 利用実績(利用件数、利用人数等)
  • 使用料又は利用料金の収入実績
  • 管理経費の収支決算(自主事業についても、分けて報告するものとする。)
  • 事業実施結果
  • 利用者満足度調査の状況(年間を通じた分析及び改善等の対応状況)
  • 指定管理業務の各項目のサービス改善状況及び自己評価

※ 指定管理業務の自己評価の方法

 施設ごとに、協定締結の際に県と指定管理者とが協議の上、施設及び利用の形態に応じて、選定時の選定基準、仕様書・事業計画等と整合性を持った評価項目を定める(次の(ア)評価項目例を参照)。
 各評価項目及び総合評価について、次の(イ)の評価基準により4段階の評価を行うものとする。

(ア)評価項目例
評価項目例

評価項目

評価の視点

平等利用の確保

  • 施設の設置目的、管理運営方針に沿った管理運営が行われたか。
  • 県民に対して、平等・公平にサービスを提供したか。
    • 使用許可、使用料(利用料金)減免は適切であったか。
    • 自主事業における施設利用は適正であったか。

サービスの提供内容

  • サービス向上のための取組は十分であったか。
  • 利用促進を図るための取組は十分であったか(運営や広報等の工夫改善、自主事業の実施状況等)。
  • 成果目標を達成したか。
  • 各業務において、仕様書等の要求水準及び事業計画を満たしたか。
  • 業務における工夫改善や指示事項への対応は十分であったか。
  • 施設、設備の維持管理は適切であったか。

管理費用の執行状況

  • 経理処理は適正であったか。
  • 収支の状況は適正であったか(支出超過又は過度の剰余の有無、事業計画に対する収支実績等)。

管理運営体制

  • 管理運営組織や従業員の勤務体制・配置状況は管理基準・事業計画に適合していたか。
  • 従業員に対する研修は十分であったか。
  • 障害者雇用計画は達成されているか。(該当施設)
  • 外部委託は適正に行われたか。

法令遵守等

  • 協定、関係法令の違反はなかったか。
  • 労働保険や社会保険への加入は適切であったか。
  • 障害者雇用への取組は十分であったか。

利用者対応

  • 接遇の状況は良好であったか。
  • 苦情・要望等の把握及びそれらへの対応は適切であったか。
  • トラブルの未然防止及び発生時の対策は適切であったか。

地域貢献

  • 地域団体・住民との連携、地域貢献は十分であったか。

環境問題への取組

  • 環境保全に対する取組は十分であったか。

防災対策及び緊急時の対応

  • 防災対策及び事件・事故等緊急時の対応は適切であったか。

個人情報保護及び情報公開

  • 個人情報保護及び情報公開の取組は適切であったか。

総合評価

  • アピールポイント
  • 特に改善すべき課題
(イ)評価基準
評価基準表

評価

評価内容


(優良)

  • 事業計画、仕様書等の内容を上回る成果、実績がある。
    又は
  • おおむね事業計画、仕様書等どおりの成果、実績があり、かつ、施設の設置目的及び指定管理業務の目的達成に向けて非常に努力している。


(良好)

  • おおむね事業計画、仕様書等どおりの成果、実績がある。
    又は
  • 成果、実績が事業計画、仕様書等の内容を一部下回っているが、サービス向上のための取組や課題等の改善を積極的に行っている。


(要努力)

  • おおむね事業計画、仕様書等どおりの成果、実績は出ているが、管理運営に一部適正を欠く事項がある、又は積極的な取組が不足している。
    又は
  • 管理運営において工夫改善の必要な事項が散見される。


(要改善)

  • 事業計画、仕様書等の内容の重大な不履行がある、又は非常に不適切な管理運営が見られる。
(ウ)様式例

 指定管理業務評価表(例)(別記様式1)を参照

(2)危機管理対応の記録、原因分析、改善

ア 随時報告書

 基本協定書等に基づき、事件・事故、災害等があった場合には速やかに県に報告し、必要に応じて対応を協議する。

イ 原因及び対応状況の分析並びに危機管理体制の改善

 対応終了後、事件・事故等の発生原因や危機管理への対応状況を分析し、問題のあった部分については、危機管理体制や対応マニュアル等を見直す。

(3)施設・設備等の安全管理・点検の記録、改善

 施設・設備等の点検簿を整備し、日常的な点検及び定期的な一斉点検を行い、安全管理及び必要な修繕等を行う。また、備品については、年1回以上、現物と台帳とを突合して確認する。

(4)利用者の意見、要望等の把握、管理運営の改善

ア 要望・苦情等対応整理簿

 利用者からの日常的な要望・苦情等に誠実に対応するとともに、その内容及び対応状況を整理簿に整理する。概要を月例報告書及び事業報告書で県に報告するとともに、必要な改善策を講じるものとする。

イ 利用者満足度調査

(ア)調査方法

 施設利用者に対する満足度調査を、年1回以上、実施するものとする。
 なお、調査方法は、施設及び利用の形態に応じ、適切な方法を選択し、類似の県有施設との内容の統一性等を図るため、県と協議の上、実施するものとする。

調査方法例
  • 意見箱の常設や受付時の調査票配付による日常的なアンケート調査(一定期間ごとに集計する。回収率が低い場合は、以下の方法も併用する。)
  • 期間を定めて集中的に行う、利用者への調査票自書依頼や聞き取りによるアンケート調査
  • 利用実績のある個人・団体等への郵送によるアンケート調査
(イ)調査項目

 施設及び利用の形態に応じ、適切な項目を設定する。また、各項目の満足度だけでなく、必要に応じて、重要度も測定する。
 なお、評価を求める項目の評価水準は4段階とする。

調査項目例
  • 回答者の属性(必要最低限にとどめる)
  • 利用状況(利用目的、時間帯、利用頻度、来場手段等)
  • 利用(申込み)のしやすさ(手続き、開館日・時間等)
  • 施設・設備の状態
  • 職員の対応
  • 事業、催し、展示等の内容
  • 施設への要望等(自由記述)
  • 施設の総合評価
評価を求める項目の選択肢の例
  • 満足度=「大変よい」「よい」「悪い」「非常に悪い」(「わからない」)
  • 重要度=「大変重要」「重要」「重要でない」「全く重要でない」(「わからない」)
(ウ)調査結果

 調査結果は、直近の月例報告書と併せて、データ等を県に報告するとともに、項目ごとの評価の高低、満足度と重要度のクロス集計、総合評価に対する寄与度等を分析し、管理運営を改善充実する。
 なお、当該分析結果及び課題への対応状況は、事業報告書で県に報告する。

3 県によるモニタリング

(1)各種報告書の点検、改善指示・指導助言

ア 各種報告書

 指定管理者から県に提出された書類の内容について、問題点や疑義がないか点検し、必要に応じて、実地調査を実施するとともに、指定管理者に改善の指示、指導助言を行う。
 なお、改善指示・指導助言に対する対応状況については、月例報告書又は事業報告書により指定管理者から報告を求めるものとする。

イ 指定管理業務に係る収支状況の把握

 サービスが安定的・継続的に提供されているか確認するため、四半期又は半期ごとに、収入及び支出の内訳事業計画と実績との比較を行う。また、必要に応じて、以下の指標等により、事業の安定性を確認する。

安定性に関する指標例
(ア)事業収支(収入-支出)

 赤字の場合は、収支の見通しを確認する。

(イ)利用料金の状況(収入-計画)

 マイナスの場合は、他の収入を含めた今後の収入見通しを確認し、必要に応じて、事業計画の見直し等を協議する。

(ウ)人件費比率(人件費/支出)

 事業計画に対する増減が大きい場合は、原因を確認し、適正化を図る。

(エ)外部委託費比率(外部委託費合計/支出)

 事業計画に対して増えている場合は、原因を確認し、適正化を図る。

(オ)利用者当たり管理コスト(支出/延べ利用者)

 前年度実績や事業計画に対する増減が大きい場合は、原因を確認し、必要に応じて、適正化を図る。

(2)実地調査、改善指示・指導助言

ア 定期調査

 施設の管理運営の適正を期するため、基本協定等に基づき実地調査を行い、各種報告書の内容及び管理運営状況の確認・点検(書類確認、原簿突合、現場視認、従業員ヒアリング等)を行う。確認・点検項目は「実地調査チェックリスト(例)」(別記様式2)を参考に、施設及び利用の形態に応じて、適宜具体的に設定する。
 例えば、施設の特徴を踏まえてチェックリストにない事項を追加することや、利用料金制を採用していない施設であって、かつ指定管理料を支払っていない施設について、確認・点検事項を施設管理に係る分野に限定することができる。
 実地調査は、原則年1回以上行うものとし、必要に応じて改善指示・指導助言を行う。
 なお、改善指示・指導助言に対する対応状況については、月例報告書又は事業報告書により指定管理者から報告を求めるものとする。また、省エネルギー関係法令に基づく管理標準の遵守状況については、群馬県知事部局エネルギーの使用の合理化に係る取組方針に定める方法により、定期的に確認し県のエネルギー管理統括者に報告する。

イ 随時調査

 苦情等の内容、事件・事故の状況、財務経理上の問題等を確認するため、随時実地調査を実施し、必要に応じて、改善指示・指導助言を行う。
 なお、改善指示・指導助言に対する対応状況については、月例報告書又は事業報告書により指定管理者から報告を求めるものとする。

(3)指定管理者との運営協議会

 施設の管理運営業務の調整、県と指定管理者との情報、要望、意見の交換、県からの指示・指導助言、県及び評価委員会の評価のフィードバック等を行い、県と指定管理者との緊密なコミュニケーションを図るため、定期的に、半期に1回以上、運営協議会を開催するものとする。

(4)利用者満足度調査の点検・分析、管理運営の指導助言

 指定管理者の実施する利用者満足度調査について、類似の県有施設との統一性等の観点から調査方法・内容を事前に指定管理者と協議するとともに、報告された調査結果データ等を基に、県の視点からも分析を行い、課題を抽出して、指定管理者に管理運営の改善に向けた指導助言を行う。
 なお、利用者満足度調査の分析結果及び課題への対応状況は、管理運営状況の評価の一つとして公表する。

(5)毎年度の管理運営状況の評価及び公表

 指定管理者から事業報告書の提出を受けた後、前年度の指定管理者の管理運営状況について評価を行う。評価項目及び評価水準は、指定管理者の自己評価と同一のものとし、評価結果は、「指定管理者による公の施設の管理運営状況」(別記様式3)に管理運営状況、利用者満足度調査の結果と合わせて記載する。
 「指定管理者による公の施設の管理運営状況」は、県議会に報告するとともに、県ホームページで公表する。また、運営協議会等において、指定管理者に対して評価結果のフィードバックを行い、管理運営の改善充実を図る。

(6)指定管理者の業務継続能力の確認

ア 目的

 公の施設の管理運営の安定性を確保するため、指定管理者の業務継続能力について経理状況や財務諸表の分析等により確認し、指定管理業務の継続的な運営に関する指導助言を行う。
 ただし、当該指導助言を行うに当たっては、指定管理業務に関係のない指定管理者の他の業務及び経理について、県が直接調査又は指示する権限がないこと、また、指定管理者の団体全体としての財務運営の健全化は、指定管理者の自己責任で行うものであることに留意する。

イ 確認方法

(ア)定期調査時の確認

 定期調査において経理状況を点検する際に、買掛金や職員給与の支払状況、その他管理費用の入出金状況等を確認し、疑義がある場合は理由及び団体の財務状況を指定管理者に確認する。

(イ)財務諸表の分析

 基本協定書等において、指定管理者団体の財務諸表等、経営の状況を示す書類(損益計算書、貸借対照表、株主資本等変動計算書、個別注記表、事業報告書、附属明細書、キャッシュフロー計算書、主な資産及び負債の内容(財産目録)、監査報告書等)を、指定管理者の事業年度決算(中間決算を含む)ごとに速やかに提出するよう求め、業務継続能力について分析する。
 財務指標について、「財務諸表チェックリスト」(別記様式4)により確認し、異常値がある、期ごとの変動が大きい、経営的に不安定な状態である可能性を示す指標が多い等、疑義がある場合は、県顧問公認会計士に相談するなど、さらに詳しい分析を行った上で、財務数値の内容及び理由並びに団体の財務状況を指定管理者に確認する。

財務諸表チェックリストの確認項目

a 貸借対照表

  • 流動比率<100%(短期的な資金不足の可能性あり)
  • 自己資本比率<20~30%(長期的な資金不足の可能性あり)
  • 固定比率>200%(資金繰りに問題がある可能性あり)
  • 固定長期適合率>100%(資金繰りに問題がある可能性あり)

b 損益計算書

  • 営業利益がマイナス(本業が赤字)
  • 営業利益がプラスだが経常利益がマイナス(支払利息等の負担が大きい可能性あり)
  • 売上高経常利益率<0.5%(業績の悪化や支払利息等の負担が大きい可能性あり)

c その他財務指標

  • 総資本経常利益率が漸減傾向(収益性が低下)
  • 手許流動性<1.5か月(資金繰りに問題がある可能性あり)
  • 売上債権回転期間>仕入債務回転期間(資金繰りに問題がある可能性あり)

d 監査報告書

  • 適正な会計手続がなされているか。
  • 偶発債務・簿外債務等の存在が指摘されるなど、財務健全性に問題がないか。
  • 事業の存続にかかわる異常事項が指摘されていないか。

e キャッシュフロー計算書(作成している場合は提出を求める。)

  • 営業キャッシュフローがマイナス(本業で出金過多)
  • 財務キャッシュフローがプラス(借入金が増加)
  • 営業キャッシュフローがマイナス、投資キャッシュフローがプラス、財務キャッシュフローがマイナス、現預金増減額がマイナス(資金繰りに問題がある可能性あり)

(7)労働条件評価の実施

労働条件評価を指定管理期間中に少なくとも1回以上実施する。通常の実地調査と併せて、「労働条件評価シート」(別紙様式4-2)の各項目の確認を行う。
ただし、市町村が指定管理者となっている場合や、雇用関係がない人員体制となっている場合、労働条件評価を実施する必要はない。

ア 労働条件等

  • 雇用契約や36協定をはじめとする労使協定は適正な内容となっているか。
  • 労働者に対し、労働条件を明示しているか。

 →労働条件通知書、時間外労働・休日労働に関する協定届等の確認

イ 労働時間・休暇・休日

 時間管理の手法、残業時間の集計方法、休暇・休日の状況は適切か。
 →タイムカード、出勤簿、変形労働時間制に関する協定届等の確認

ウ 賃金

 賃金は、地域別最低賃金、産業別最低賃金のいずれも上回っているか。
 →賃金台帳の確認

エ 各種保険加入手続

 社会保険及び労働保険の加入手続を適正に行っているか。

オ 法定帳簿等の整備

 労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、労働条件通知書等が整備されているか。

カ 安全衛生関係

 健康診断の実施、産業医等の選任、業務災害への対策の状況は適正か。

(8)暴力団等の排除措置

ア 対象事由に該当する疑いがある場合の確認

 指定管理者が次の事由に該当する疑いがある場合は、「指定管理者が行う公の施設の管理業務からの暴力団排除の措置等に関する要領」(平成22年3月15日付け総務部長通知)に基づき、県警察本部に該当の有無を照会し確認する。

(ア)代表者及び役員等が暴力団員等である。

(イ)暴力団員等が事業活動を実質的に支配している。

(ウ)親会社等が(ア)又は(イ)に該当する。

(エ)暴力団員等を雇用又は使用している。

(オ)暴力団員等に金銭、物品その他財産上の利益を与え、又は便宜を提供している((ア)から(ウ)までに該当する団体等に供与している場合を含む。)。

(カ)代表者及び役員等が暴力団員等と密接な交際その他の社会的に非難されるべき関係を有している((イ)又は(ウ)に該当する団体等の代表者及び役員等との交際等を含む。)。

イ 対象事由に該当する場合の措置

 アの確認の結果、指定管理者がアの(ア)から(ウ)までに該当していたときは、指定を取り消す。
 (エ)から(カ)までに該当していたときは、指定管理業務等にかかわる事由の場合は、暴力団員等との関係を解消するよう指示するとともに必要に応じ管理の業務の一部を停止する。また、指定管理者業務等にかかわらない事由の場合は、当該関係を解消するよう要請する。当該指示又は要請にもかかわらず当該関係が解消されない場合は、指定を取り消す。

ウ その他介入行為があった場合の措置

 暴力団等による不当要求その他の公の施設の管理等への介入行為があった場合は、速やかに当該施設を管轄する警察署へ届け出るよう指定管理者を指導するとともに、警察と協力して対応する。

エ 警察との連携協力

 イ及びウの措置を行う場合に暴力団等の関係者からの苦情等のトラブル又は妨害等が予想されるときは、警察に対し必要に応じあらかじめ対応への協力及び警察官の出動の要請を行うとともに、警察と相互に情報交換を行い連携協力して対応する。

(9)指定管理者の法人格等変更

 指定管理者の法人格等変更の対応は、以下のとおりとする。

ア 単なる名称、主たる事務所の所在地又は代表者の変更

 団体の名称が変更となる場合は、施行規則第7条の変更事項の届出等による。

イ 法人格変更(法人格変更は、法人格取得も含む。以下同じ。)

 団体の法人格が変更される場合は、原則として議会の議決を経た上で再度の指定を行うものとする。
 ただし、指定の根拠となる事項(団体の特性や経営基盤、構成する人員及び事業計画等)及び管理運営体制に変更がなく、団体としての同一性を持って存続する場合はこの限りではない。

ウ 法人の統合

 法人の合併が行われる場合で、指定管理者である法人が存続法人であり、新たな法人に指定管理者である法人の権利義務が承継され、施設の管理運営体制に変更がないと認められる場合は、再度の指定は要しないものとする。
 それ以外の場合については、原則として議会の議決を経た上で再度の指定を行うものとする。

 議会の議決を経た上で再度の指定をしなければならない場合があるので、早期に情報を把握する必要がある。

(10)指定の取消し、管理の業務の一部停止

 モニタリングを通じて、指定管理者が次のいずれかに該当し、指定管理業務を継続することが適当でないと認められた場合は、指定管理者の指定を取り消す、又は業務の全部若しくは一部を停止する。指定を取り消す場合は、行政手続条例に基づく聴聞を行った上で、指定管理者に対して、書面により通知する。併せて、指定管理料を確定し、協定を解除する。

ア 指定管理業務等の実施に際し、不正行為があったとき。

イ 県に対して虚偽の報告をし、又は正当な理由なく報告等を拒んだとき。

ウ 協定に定める事項を履行しない、又は協定に定める事項に違反したとき。

エ 暴力団等との関係その他申請の際の欠格事項に該当することが判明し、公の施設の指定管理者として指定管理業務等を継続することが適当でないと認められるとき。

オ その他当該施設の指定管理者として指定管理業務等を継続することが適当でないと認められるとき。

4 第三者によるモニタリング

(1)利用者満足度調査

 施設利用者に対する満足度調査を実施し、利用者の評価を分析する。
 利用者へのアンケート等は、指定管理者が行い、分析結果を県に報告するとともに、管理運営の改善充実に生かす。
 県は、指定管理者による調査内容を点検するとともに、報告を踏まえた上で、県の視点から調査結果を分析し、指定管理者に対して管理運営の改善に向けた指導助言を行う。また、分析結果及び課題への対応状況を、管理運営状況の評価の一つとして公表する。
 ※指定管理者が行うことについては2(4)、県が行うことについては3(4)を参照

(2)第三者評価委員会による評価

ア 目的

 指定管理者制度を導入しているすべての施設について、管理運営状況を客観的な立場から評価し、指定管理者にフィードバックすることで、サービスの改善充実を図る。

イ 設置

 原則として部局ごとに「指定管理者評価委員会」を設置する。ただし、施設及び利用の形態が著しく異なる施設がある、又は所管の施設数が多い場合は、特定の施設のみを評価する委員(以下、専門委員という。)をおく、若しくは一定の施設単位で部会又は別の評価委員会を設置することができるものとする。
 評価委員会は、県職員以外の5程度の外部有識者をもって構成する。ただし、専門委員又は部会をおく場合は、一つの施設について評価を行う委員数が5名程度となるように組織する。

<設置方法例>

設置方法

評価対象施設

委員数等

部局単位

部局の全施設

  • 委員:5名程度

専門委員形式

部局の全施設

  • 委員:3名
  • 施設ごとの専門委員:各2名程度(専門委員は特定の施設の現地調査及び評価のみ参画)

部会形式

部会の対象施設

  • 各部会共通の委員2名程度(共通の委員は各部会の評価に参画)
  • 部会ごとの専門委員:各3名程度

一定の施設単位

一定の施設

  • 委員:設置単位ごとに5名程度

 なお、評価委員会からの評価を参考に、県が、指定管理者への指示・指導助言、次回の指定管理者の候補者選定等への活用を行う。

ウ 評価委員会の構成

(ア)評価委員(専門委員を含む。)は、以下の分野を参考に、施設の性質に応じて選任する。
  • 評価対象施設の分野に関する専門的知識を有する者
  • 施設利用者又は地元住民
  • 評価対象施設の指定管理者の選定を行った選定委員会の委員(ただし、選定審査結果が過度に評価に反映されることで客観的な評価が阻害されないよう、選定委員からの選任は、評価委員の過半数を超えない範囲とするものとする。)
  • 財務諸表の審査に精通している者(公認会計士、中小企業診断士等)
  • 労働法制や労務管理に精通している者(弁護士、社会保険労務士等)
  • その他の有識者等
(イ)留意事項

 施設の実情を熟知した者として、評価委員を次回の候補者選定に係る選定委員会の委員に選任する場合は、評価結果が過度に選定審査に反映されることで公正な競争が阻害されないよう、選定委員の過半数を超えない範囲で選任すること。ただし、以下の(a)~(c)の条件をすべて満たす施設については、この限りでない。
(a)利用料金制を導入していない
(b)年間の指定管理料が0円
(c)非公募で市町村を指定しようとするもの

エ 評価の時期

(ア)年度評価

 評価委員会は、原則として年度ごとに各施設の評価を行う。ただし、実地調査を行わない年度については、年度評価を行わないこととすることができる。県は、評価結果を指定管理者にフィードバックし、サービスの改善充実に生かす。また、管理運営状況と併せて、県議会に報告し、県ホームページで公表する(評価委員会の年度評価結果概要(別記様式5))。

(イ)総括評価

 評価委員会は、指定の期間が最終年度の施設について、年度評価のほかに、当該最終年度の上半期末(最終年度の前年度分の年度評価と併せて実施も可)に、指定の期間を通じた総括的な評価を行う。
 県は、評価結果を指定管理者にフィードバックし、サービスの改善充実に生かす。また、評価結果を次回の候補者選定に活用するとともに、県議会に報告し、県ホームページで公表する(様式は年度評価結果概要(別記様式5)に準じる)。

オ 評価の方法

(ア)実地調査及び指定管理者ヒアリング

 年1回以上、実地調査及び指定管理者ヒアリングを行うものとする。ただし、以下の条件を共に満たす施設については、隔年実施(さらに、年間の指定管理料が0円の場合は総括評価のみ)とするなど、回数を緩和することができる。
 a 指定管理業務及び自主事業に係る年間の収入(指定管理料、利用料金、その他)の合計額が5千万円以下(※指定初年度の事業計画で判断)
 b 管理運営状況に関して年度間の変動が少ない

 実地調査及び指定管理者ヒアリングの具体的な実施方法(調査項目、調査体制等)は、施設及び利用の形態に応じて、適切な方法を所管部局において定めるものとする。

(イ)モニタリングの状況の確認

 県は、評価委員会に対し、「指定管理者によるセルフモニタリング」及び「県によるモニタリング」の状況を報告するものとする。
 ただし、「県によるモニタリング」の状況を報告する際は、客観的な情報提供に努めるものとする。

カ 評価項目及び評価基準

(ア)評価項目

 評価項目は、実地調査の方法等に応じ、所管部局において定め、施設の設置目的等に沿った管理運営が行われたか評価するものとする。各評価委員は、それぞれの評価項目について、独立して評価を行う。

<評価項目例>

評価項目

評価の視点

管理運営体制

  • 組織体制や従業員の配置状況は適切であったか。
  • 障害者雇用計画は達成されているか。(該当施設)

法令遵守等

  • 協定、関係法令の違反はなかったか。
  • 障害者雇用への取組は十分であったか。

施設等の維持管理の状態

  • 施設、設備の維持管理は適切であったか(施設、維持管理業務ごとの維持管理の質的評価等)。

サービスの提供内容

  • 接遇の状況は良好であったか。
  • 各業務のサービスの質は十分であったか(業務ごとのサービスの質的評価等)。

サービス向上の取組

  • 施設等の維持管理及びサービス提供の質を高めるための取組は十分であったか。
  • 利用促進を図るための取組は十分行われていたか(運営や広報等の工夫改善、自主事業の実施状況等)。

総合評価

  • 施設の設置目的、管理運営方針に沿った管理運営が行われたか。
    • 特に評価できる事項
    • 特に改善すべき課題
(イ)評価基準

 評価基準は、原則として、指定管理者による自己評価及び県による評価と同一の基準(4段階)とする。

(ウ)評価結果

 県は、各評価委員の評価結果を取りまとめ、以下の基準に当てはめて評価委員会の評価とする。

 <評価委員会の評価>
 a 各評価委員の評価(総合評価、評価項目別の評価、細目別の評価)を点数化する。

各評価委員の評価の点数の一覧
各評価委員の評価 点数
A(優良) 3点
B(良好) 2点
C(要努力) 1点
D(要改善) 0点

b 上記aの平均点により、評価委員会としての評価(総合評価、評価項目別の評価、細目別の評価)を算出する。

各評価委員の平均点の一覧
評価委員会の評価 各評価委員の平均点
A(優良) 2.5点超
B(良好) 1.5点超2.5点以下
C(要努力) 0.5点超1.5点以下
D(要改善) 0.5点以下

キ 情報の公表

 評価の透明性を高めるため、評価の公平性を阻害しない範囲で、評価委員会に関する情報を逐次公表する。

公表内容
  • 評価委員名(委員会設置時に公表する。)
  • 評価委員会議事概要(開催ごとに速やかに公表する。)
  • 評価報告書(ただし、個別の委員の評価については、委員名が特定されないようにする。)

ク 評価結果に対する対応の報告

 県は、評価結果における指摘・意見に対する指定管理者及び県の対応状況をとりまとめ、書面等により評価委員に報告するものとする。

(3)監査委員及び外部監査人による監査

 監査委員は、必要があると認めるとき、又は知事の要求があるときは、指定管理者の業務のうち、公の施設の管理に関する業務に関し、出納その他の事務の執行について監査することができる。(地方自治法第199条第7項)
 また、包括外部監査人や個別外部監査人も同様に監査することができる。(群馬県外部監査契約に基づく監査に関する条例第2条第1項第5号及び第3条)

モニタリングガイドライン(PDFファイル)

印刷の際は、以下のPDFファイルをご利用ください。(令和4年4月版)

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