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平成28年度答申第4号

更新日:2017年2月7日 印刷ページ表示

1 件名

保護変更申請却下処分に対する審査請求

2 処分庁

伊勢崎市福祉事務所長

3 審査会の結論

審査請求人の主張には理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により棄却すべきものである。

4 審査関係人の主張の要旨

(1)審査請求人

 処分庁の行った保護変更申請却下処分は、次のとおり、違法又は不当なものなので、撤回すべきである。

ア 平成28年9月2日付け保護変更申請却下処分(以下「本件処分1」という。)

 自転車の市場価格が上昇し、通常支給される生活扶助費の範囲では購入できない上、クレジットカードのリボルビング払いにより購入したため、利子を含めた支払額が大きくなり、購入費用相当額の生活扶助費の追加支給がなければ最低限度の生活を維持できないにもかかわらず、これを求める保護変更申請を却下したのは、違法又は不当である。

イ 平成28年9月2日付け保護変更申請却下処分(以下「本件処分2」という。)

 障害基礎年金の収入認定の削除とこれに基づく保護費の増額支給は、平成28年9月から行うべきであったにもかかわらず、これを求める保護変更申請を却下したのは、違法又は不当である。

ウ 平成28年9月2日付け保護変更申請却下処分(以下「本件処分3」という。)

 審査請求人に300万円の借金があり、問題の根本的な解決のためには、その補塡が必要であるにもかかわらず、これを求める保護変更申請を却下したのは、違法又は不当である。

エ 平成28年10月5日付け保護変更申請却下処分(以下「本件処分4」という。)

 生活保護法(昭和25年法律第144号)第37条の2による住宅扶助の代理納付は特例であり、同条に規定する「保護の目的を達成するため」の必要性は存在しないにもかかわらず、住宅扶助の代理納付の解除を求める保護変更申請を却下したのは、違法又は不当である。

※ 審理員意見書には、法的な誤りが多数ある。

(2)審査庁

 審理員意見書のとおり、棄却が適当である。

5 審理員意見書の要旨

 次のとおり、本件審査請求には理由がないので、棄却されるべきである。

(1)本件処分1について

 被保護者は、経常的最低生活費の範囲内において通常予測される生活需要を全て賄うべきであり、日常生活用の自転車の購入費はその通常予測される生活需要にほかならないことから、既定の最低生活費のほかに自転車の購入費を最低生活費として認めなかった本件処分1は、法令の規定及びその解釈に従い適正になされたものであり、違法又は不当な点は存在しない。

(2)本件処分2について

 要保護者の収入の認定に当たっては、年金は受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定しなければならないことから、8月分と9月分の平成28年8月15日支給の障害基礎年金について同年8月分及び9月分に分割して認定したものであり、収入認定の取消し及び減額相当額の給付を認めなかった本件処分2は、法令の規定及びその解釈に従い適正になされたものであり、違法又は不当な点は存在しない。

(3)本件処分3について

 借金に係る債務の返済は、通常予測される生活需要ではないことから、仮に審査請求人主張の借金が存在するとしても、経常的最低生活費の内容として認められず、また、所定の特別の需要を有する者にも該当しない以上、臨時的最低生活費としても認められないことから、借金債務の返済を最低生活費として認めなかった本件処分3は、法令の規定及びその解釈に従い適正になされたものであり、違法又は不当な点は存在しない。

(4)本件処分4について

 審査請求人は代理納付先が家賃を受け取る権利を失っていると主張しており、代理納付を解除すれば、住宅扶助費が家賃支払いに的確に充てられず住居が確保できなくなるおそれがあることから、代理納付の解除を認めなかった本件処分4は、法令の規定及びその解釈に従い適正になされたものであり、違法又は不当な点は存在しない。

(5)その他

 他に審査請求人の主張するような違法又は不当な点は認められない。

6 調査審議の経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。

  • 平成28年12月22日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受した。
  • 平成29年 1月 6日 審査請求人から審理員意見書に対する意見を収受した。
  • 同月27日 調査・審議

7 審査会の判断の理由

(1)審理手続の適正について

本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

(2)審査請求人の主張について

ア 本件処分1について

 生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの等を給付するものである。
 最低生活費は、要保護者の衣食等月々の経常的な最低生活需要の全てを満たすための費用として認定するとされている経常的最低生活費と、特別の需要のある者について、最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると認められる場合であって、それらの物資を支給しなければならない場合に限り臨時的に認めるものである臨時的最低生活費とに区分される。
 被保護者は、経常的最低生活費の範囲内において通常予測される生活需要を全て賄うべきであるとされているとともに、臨時的最低生活費は出生、入学、入退院等による臨時的に生じた特別需要等に対応するものとされている。
 日常生活用の自転車の購入費は、通常予測される生活需要にほかならないことから、その購入費用は経常的最低生活費の範囲内において賄うべきものであり、既定の最低生活費のほかに自転車の購入費を最低生活費として給付するよう求める保護変更申請を却下した処分庁の判断は、法令の規定及びその解釈に従い適正になされたものであり、違法又は不当な点は存在しない。

イ 本件処分2について

 要保護者の収入の認定に当たっては、恩給、年金等の収入は、実際の受給額を原則として受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定することとされている。
 審査請求人の障害年金は平成28年8月分及び同年9月分が同年8月15日に審査請求人に支給されていることから、処分庁は同日の障害年金の収入の事実を確認し、同年8月分及び同年9月分に分割して収入認定を行っている。これは、法令の規定及びその解釈に従って適正に行われたものであり、収入認定の取消し及び減額相当額の給付を求める保護変更申請を却下した処分庁の判断に、違法又は不当な点は存在しない。

ウ 本件処分3について

 借金に係る債務の返済は、通常予測される生活需要を満たす費用に当たらないため、経常的最低生活費として認められない。また、審査請求人については上記アに記載の臨時的最低生活費を支給する要件にも該当しないことから、借金債務の返済に要する費用相当額の給付を求める保護変更申請を却下した処分庁の判断は、法令の規定及びその解釈に従い適正になされたものであり、違法又は不当な点は存在しない。

エ 本件処分4について

 本件処分4の前提となる住宅扶助の代理納付は、被保護者の賃料を市が直接賃貸人に支払うことにより、被保護者の住居を確保し、保護の目的を確実にするために行われるものである。
 審査請求人は、賃貸人が賃料を受け取る権利を失った旨を主張しており、保護変更申請を認めて代理納付を解除すれば、両者の間に賃料の支払に係る争いが発生する可能性が高く、住宅扶助費が家賃支払に的確に充てられず住居が確保できなくなるおそれがあることから、保護の目的を達成するため住宅扶助の代理納付を行う必要性は存在すると考えられる。
 したがって、審査請求人の現状を考慮した結果、住居扶助の代理納付を継続すべきであるとして、変更申請に対して却下処分を行った処分庁の判断は、妥当なものであり、違法又は不当な点は認められない。

オ その他

その余の点について、違法又は不当な点は認められない。

以上のとおり、審査請求人の主張には理由がないから、審理員意見書のとおり、棄却すべきである。

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