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平成30年度答申第1号

更新日:2018年8月9日 印刷ページ表示

件名

審査請求人に対するみどり市福祉事務所長が行った処分又は不作為についての審査請求

処分又は不作為庁

みどり市福祉事務所長

第1 審査会の結論

 一時扶助(医療)についての審査請求のうち、平成29年9月22日付け福第509号保護変更決定処分に係る平成29年7月分の通院移送費については、理由がないから、行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「法」という。)第45条第2項の規定により棄却されるべきであり、その他申請済みの保護変更申請書(移送費明細書)に関する部分については、理由があるので、法第49条第3項の規定により当該不作為が違法である旨を宣言すべきである。転居に係る費用に関する部分については、不適法であることから、同条第1項の規定により却下すべきである。

第2 審査請求人の主張の要旨

(1) 一時扶助(医療)についての審査請求

  • 平成29年9月22日付け処分の移送費部分について、700円は根拠がないからその内訳を求めるとともに、医師記載給付意見書に基づき、支給された700円を除く○○居住地からの移送費全額の支給を求める。

(2) 転居に係る費用についての審査請求

  • 平成29年7月6日に転居費用についてみどり市福祉事務所職員に口頭で申請したところ、同日同職員に支給できない旨の話をされたが、申請した転居費用計12,777円の支給を求める。
  • 前居住地荷物については、みどり市社会福祉課から引っ越し業者に連絡して転居完了を求める。平成28年8月26日移管は決定している。

第3 審理員意見書の要旨

(1) 平成29年9月22日付け福第509号保護変更決定処分に係る平成29年7月分の通院移送費については、理由がないから、法第45条第2項の規定により棄却されるべきである。
 なお、給付を受けた700円の内訳については、自宅近くのバス停(○○前)から○○駅までのバス代として200円、○○駅から○○病院(以下「病院」という。)までのバス代として150円の合計額350円の往復代として認定しているものである。
(2) みどり市福祉事務所長が、病院への移送費明細書平成29年9月分及び10月分の保護変更申請書を受理したのは、同月27日付けである。この約1か月後になされた同年11月21日付け処分において、この申請に対する処分はなされていない。
 みどり市福祉事務所長においては、平成29年9月分及び10月分の通院移送費の申請に対し、通院の実態を調査の上、速やかに処分内容を決定し、審査請求人に通知すべきであり、法第49条第3項の規定により、当該不作為が違法である旨を宣言するべきである。
(3) 上記(1)及び(2)を除く申請済みの通院移送費についても、処分の決定内容を通知しなかったことは不作為があったといわざるを得ず、法第49条第3項の規定により、当該不作為が違法である旨を宣言するべきである。
(4) みどり市福祉事務所長が審査請求人の転居の必要性を認めた上で、新居のカーテン等、必要物品の支給決定を行ったり、一部家財の移送支援まで行ったりしている経過を踏まえれば、みどり市福祉事務所長において口頭による保護変更申請を認めていると推認されるものであり、電話機移設工事及びテレビ等家財の移送に係る保護変更決定を行わないことについて、合理的理由は存在しないというべきである。
  インターネットのホームページなどで大手宅配業者の見積りが簡易に入手できる現代社会にあって、一般的な物品の移送費用について合理的な価格の範囲内であれば、事前に見積書の提出を厳格に求めることは過度な指導といわざるを得ない。
(5) 以上により、審査請求人が主張する(2)から(4)までの本件不作為の違法性について、理由があるので、法第49条第3項の規定により、当該不作為が違法である旨を宣言するべきである。

第4 諮問に係る審査庁の考え方

 審理員意見書のとおりの裁決が妥当と考える(第3-(1)なお書き以外の部分を除く。当該処分の取消しを求める趣旨の審査請求はされていない。)。ただし、審理員意見書では明確には触れられていない「前居住地荷物については、みどり市社会福祉課から引っ越し業者に連絡して転居完了を求める。平成28年8月26日移管は決定している。」という審査請求の部分については、下記理由から当該不作為は違法である旨宣言するのが相当と考える。
 なお、審査請求人及び代理人は、福祉事務所が見積りをとり引っ越しを進める約束になっていると主張しているが、本来自ら見積りをとることが原則であり、転居の速やかな完了を望むのであれば自ら見積りをとり福祉事務所に提出すればよいのであり、転居費用の決定の遅れについては一定程度審査請求人及び代理人にも責任があることを付言する。

  • 平成28年8月29日に福祉事務所長は転居を承認していること及び同年9月9日以降引っ越し業者から見積りをとることについて双方調整していることを踏まえれば福祉事務所側は移送費の申請を認めていると捉えられ、不作為は生じていると解される。
  • 生活保護法(昭和25年法律第144号)第24条第5項によれば最大で30日以内に何らかの処分を行い通知することとされており、違法な不作為が生じていることは免れ得ない。
  • 本件不作為はあまりに長期間にわたっており、処分に至る間の手続上で様々な事情が生じているとしても、生活保護法の趣旨を踏まえれば、それらの事情を理由として長期にわたる不作為を正当化できるものではないといわざるを得ない。

第5 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。

  • 平成30年5月 2日 審査庁から諮問書等を収受
  • 平成30年5月 8日 調査・審議
  • 平成30年6月11日 調査・審議
  • 平成30年7月 9日 調査・審議

第6 審査会の判断の理由

(1) 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

(2) 審査会の判断について

ア 法令等の規定について

(ア) 生活保護法第24条第9項では「第1項から第7項までの規定は、第7条に規定する者からの保護の変更の申請について準用する」としており、同条第3項では「保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない」とし、同条第4項では「前項の書面には、決定の理由を付さなければならない」とし、同条第5項では「第3項の通知は、申請のあつた日から14日以内にしなければならない。ただし、扶養義務者の資産及び収入の状況の調査に日時を要する場合その他特別な理由がある場合には、これを30日まで延ばすことができる」としている。
(イ) 生活保護法による保護の基準及び程度については、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとされ(生活保護法第8条第1項)、その厚生労働大臣の定める基準として「生活保護法による保護の基準」(昭和38年4月1日厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)が定められるとともに、法定受託事務である保護実施の処理基準(地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項)として「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号)、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号。以下「実施要領」という。)、「生活保護法による医療扶助運営要領について」(昭和36年9月30日社発第727号。以下「運営要領」という。)その他の通知が厚生労働省から発出されている。
(ウ) 医療扶助における移送給付について運営要領は、「給付については、療養に必要な最小限度の日数に限り、傷病等の状態に応じて経済的かつ合理的な経路及び交通手段によって行うものであること」、「経済的かつ合理的な経路及び交通手段についての判断に当たっては、同一の病態にある当該地域の他の患者との均衡を失しないようにすること」との給付方針のもと(第3医療扶助実施方式9(1))、
 a 給付の範囲について「受診する医療機関については、原則として要保護者の居住地等に比較的近距離に所在する医療機関に限るものであること」とした上で「ア 医療機関に電車・バス等により受診する場合で、当該受診に係る交通費が必要な場合」、「イ 被保護者の傷病、障害等の状態により、電車・バス等の利用が著しく困難な者が医療機関に受診する際の交通費が必要な場合」等において給付を行うこととしている(9(2))。
 b 給付の手続について「移送の際に利用する交通機関については、地域の実態料金や複数事業者の見積り等により検討を行った上で、最も経済的な交通機関を福祉事務所において決定すること」、「福祉事務所において給付を決定する以前に交通機関を利用した際の交通費や、福祉事務所において決定した医療機関、受診日数の程度、経路、交通機関と異なることにより生じた交通費については、原則として給付の対象にならないものであること」としている(9(3)イ)。
 c 事後の給付については「緊急の場合等であって、事前の申請が困難なやむを得ない事由が認められる場合であって、当該事由が消失した後速やかに申請があったときは、事後の申請であっても内容確認の上、給付を行って差し支えない」としている(9(3)ウ)。
 d 費用について「移送に要する費用は、傷病等の状態に応じ、経済的かつ合理的な方法及び経路により移送を行ったものとして算定される最小限度の実費」としている(9(4))。
(エ) 口頭による申請について、生活保護法第24条第1項は、「保護の開始を申請する者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは、この限りでない」としている。ここでいう「特別の事情」については、政省令や告示、通知等で明らかにされていないが、心身に障害又は傷病があり、書類の準備に時間がかかる場合など客観的な事情が必要になると解される。また、大阪高裁平成13年10月19日判決では「口頭による保護開始申請については、特にこれを口頭で行う旨を明示して申請するなど、申請意思が客観的に明確でなければ、これを申請と認めることはできないというべきである」としている。また、大阪地裁平成23年3月17日判決では、「係員から家具什器費の支給要件を満たしていないなどの説明を受けた後、原告は、重ねて支給の希望を伝えたり、必要な手続について確認したりすることはなかったというのであるから、原告の態度・行動から家具什器費の支給に係る申請意思が客観的に明らかにされていたということはできない」としている。
(オ) 引っ越し等における移送費について実施要領は、「必要最小限度の交通費、宿泊料及び飲食物費の額」との範囲を定めた上で、「被保護者が転居する場合又は住居を失った被保護者が家財道具を他に保管する場合及びその家財道具を引き取る場合で、真にやむを得ないとき。この場合、荷造費及び運搬費を要するときは、実施機関が事前に承認した必要最小限度の額を認定して差しつかえない」としている(第7-2(7)ア(サ))。

イ 本件不作為の違法性等の有無について

(ア) 一時扶助(医療)について

a 平成29年9月22日付け福第509号保護変更決定処分について
 みどり市福祉事務所長は、平成29年9月22日付け福第509号保護変更決定処分により平成29年7月分の病院への通院移送費として、700円を支給している。その積算は自宅近くのバス停(○○前)から○○駅までのバス代として200円、○○駅から病院までのバス代として150円の合計額350円の往復分として認定している。
 この積算は上記第6(2)ア(ウ)にある「傷病等の状態に応じて経済的かつ合理的な経路及び交通手段」と認めることができ、バス以外の交通手段や付添人を必要とするなどの特段の事情も認められず、平成29年7月分の病院への通院移送費の支給については違法又は不当な点はないと認められる。
 なお、みどり市福祉事務所長は弁明書の中で「審査請求人が最も利用しやすいバス停は○○○」としているが、このバス停は○○市が運営する巡回バスのものであり、路線図から判断して合理的とはいえない。審査請求人が反論書の中で主張している「本来、バス停は○○○前バス停から○○駅経由で○○前」の経路の方がより経済的であることを付言する。
 b 平成29年9月17日受理分の保護変更申請書(移送費明細書)について
 平成29年9月17日受理分だけでも、審査請求人は、病院への通院移送費として9件の保護変更申請書(移送費明細書)を提出している。
 みどり市福祉事務所長は、このうち、前記aのとおり平成29年7月に病院に通院した分について700円の通院移送費を給付する決定をし、平成29年9月22日付け福第509号保護変更決定処分をした。
 残り8件の平成29年6月分以前の通院分の申請については、給付決定前の通院分であり事後の申請が認められる緊急性等があったとは認めがたいが、申請を受理した以上生活保護法第24条第9項において準用する同条第3項及び第4項の規定に基づき決定した処分を審査請求人に理由を付し書面をもって通知すべきであり、同条第5項に規定する30日を経過してもこれを怠っていることについて違法な不作為がある。
 c  平成29年10月27日受理分の保護変更申請書(移送費明細書)について
 みどり市福祉事務所長が、病院への保護変更申請書(移送費明細書)平成29年9月分及び10月分を受理したのは、同月27日付けである。この約1か月後になされた同年11月21日付け福第689号保護変更決定処分において、この申請に対する処分はなされていない。
 みどり市福祉事務所長は同月2日に審査請求人に電話で審査請求人が利用しているバス停を明らかにするよう求め、その回答がない限り通院移送費の支給ができない旨伝えているが、上記第6(2)ア(ウ)bに記載のとおり「地域の実態料金や複数事業者の見積り等により検討を行った上で、最も経済的な交通機関を福祉事務所において決定」すれば足り、実際に利用するバス停を審査請求人に確認する必要はないと思量する。
 また、「移送に要する費用は、傷病等の状態に応じ、経済的かつ合理的な方法及び経路により移送を行ったものとして算定される最小限度の実費」であり、審査請求人がみどり市福祉事務所長の定めた通院方法であるバスによらなかったとしても、通院のための交通費を審査請求人が負担している場合、最小限度の実費としてバス代相当を給付すべきと解する。
 みどり市福祉事務所長においては、平成29年9月分及び10月分の通院移送費の申請に対し、通院の実態を調査の上、速やかに処分内容を決定し、生活保護法第24条第9項において準用する同条第3項及び第4項の規定に基づき、決定した処分を審査請求人に理由を付し書面をもって通知すべきであり、同条第5項に規定する30日を経過してもこれを怠っていることについて違法な不作為がある。
d その他受理している保護変更申請書(移送費明細書)について
 みどり市福祉事務所長は、××病院への通院に係る、平成29年1月分ほか4件の保護変更申請書(移送費明細書)を同年9月26日付け受理し、同月分及び11月分の保護変更申請書(移送費申請書)を同月14日付け受理している。また、△△病院への通院に係る、同年10月分の保護変更申請書(移送費明細書)を同年11月2日付け受理し、同月分の保護変更申請書(移送費明細書)を同月14日付け受理している。これらの申請についても、給付決定前の通院分であり事後の申請を認めるだけの緊急性等があったとは認めがたいが、申請を受理した以上生活保護法第24条第9項において準用される同条第3項及び第4項の規定に基づき、処分の決定内容を理由を付し書面をもって通知すべきであり、同条第5項に規定する30日を経過してもこれを怠っていることについて違法な不作為があるといわざるを得ない。

(イ) 転居に係る費用について

a 12,777円の申請について
 審査請求人提出の録音記録(平成29年7月6日録音)によれば、様々な内容を審査請求人及び代理人が福祉事務所職員に対し話している中で、確かにテレビや冷蔵庫の配送代の支給を求める話はしているものの、約1時間半の録音記録の中でわずかに代理人が触れているのみであるとともに、代理人自ら「それはいいわ。刑事告訴するから」と話を終わらせている。重ねて支給の希望を伝えたり、必要な手続について確認したりすることはなかったのであるから、審査請求人及び代理人の態度・行動から引っ越し代の支給に係る申請意思が客観的に明らかにされていたということはできない。よって、申請が行われたとは認められず、不作為は生じておらず、審査請求は却下するのが妥当と考えられる。
b 転居完了の求めの申請について
 審査請求人は、前居住地に残っている家財等の引っ越しを完了させ引っ越し代の支給を求めていると解される。また、審査請求人は、移管が行われるに当たっては転居及び引っ越し代の支給が当然必要であり、移管の決定及び新居の敷金等の申請を行ったことをもって、引っ越し代支給の申請は行われていると主張していると解される。しかし、転居に引っ越し業者による引っ越しが必ずしも必要とまでは言い切れず、引っ越しを自分自身や親族・知人の協力により行い、引っ越し業者に頼まずに荷物等を運搬することもありうることである。また、もし新居の敷金等の申請が引っ越し代の支給申請を兼ねているとするならば、引っ越し代が不要な者にも却下処分を行わなくてはならなくなり、不合理な処分が行われる結果となると考えられる。よって、引っ越し代の支給を求めるのであれば、別途引っ越し代の支給に関する申請が必要であると認められ、移管の決定及び新居の敷金等の申請を行ったことをもって、引っ越し代支給の申請が行われたとは認められない。
 また、引っ越し代の支給という事柄の性質上、保護基準をもとに算定される生活扶助等とは異なり、福祉事務所が支給を審査するには具体的な金額を把握する必要がある。見積書の提出がない中で支給申請について審査し実施要領第7-2(7)ア(サ)に規定するところの必要最小限度の額を承認することは不可能であり、引っ越し代の支給を求めるのであれば当然当該求めと同時に見積書の提出が必要であると解される。また、みどり市福祉事務所の運用上の取扱いとして様式としての申請書は必要とせず、決定に必要な添付書類のみをもって申請として扱っていることが見受けられるとともに、審査請求人が見積書をとるよう福祉事務所に依頼していることに鑑みれば、審査請求人も見積書の提出が引っ越し代の支給に必要な書類であることは認識していると考えるのが合理的であり、双方の認識として見積書の提出が引っ越し代の支給に係る始点であったと考えられる。
 よって、本件審査請求においては、見積書の提出がない以上申請は行われていないと解すべきであり、不作為は生じておらず、審査請求は却下することが妥当である。
 なお、審査請求人及び代理人は、福祉事務所が見積りをとり引っ越しを進める約束になっていることを主張しているが、本来自ら見積りをとることが原則であり、転居の速やかな完了を望むのであれば、自ら見積りをとり福祉事務所に提出すれば済むことであり、転居完了の遅れについては一定程度審査請求人及び代理人にも責任があることを付言する。また、福祉事務所は、平成28年11月22日に審査請求人から「何を持って行くかを決めるのに少し時間が必要なので一旦保留にしてくれと息子(代理人)が言っている」との連絡を受け、審査請求人からの連絡を待つこととなった後、平成29年7月6日に審査請求人及び代理人と話し合うまで、福祉事務所から引っ越しについて調整を行おうとした記録は見受けられず、引っ越しの必要性を福祉事務所も認識していたことに鑑みれば、当該連絡を待つだけでなく随時審査請求人の引っ越しに係る状況を確認し、必要な調整を行うべきであったことを付言する。

(ウ) 審理員意見書及び諮問に係る審査庁の考え方と審査会の結論とが異なることについて

 第3(4)記載の審理員の意見は、転居を認めている等の経緯を踏まえればテレビ等の移送費についても当然支給すべきという考えに基づいた上で、見積りの事前提出を徹底することは過度な指導であり、申請は行われていると推認すべきであるという意見であると解されるが、第6(2)イ(イ)bに記載のとおり、転居を認めていることと引っ越し代の支給は別の事柄であると解すべきであり、申請が行われているとは認めることはできず、審理員の意見は妥当とはいえない。
 第4ただし書以降記載の審査庁の考え方については、「平成28年8月29日に福祉事務所長は転居を承認していること及び同年9月9日以降引っ越し業者から見積りをとることについて双方調整していることを踏まえれば福祉事務所側は移送費の申請を認めていると捉えられ、不作為は生じていると解される」としているが、第6(2)イ(イ)bに記載のとおり、見積書の提出をもって申請が行われると捉えるべきであり、審査庁の考え方は妥当ではない。

 以上のとおり、一時扶助(医療)についての審査請求のうち、平成29年9月22日付け福第509号保護変更決定処分に係る平成29年7月分の通院移送費については、理由がないから、棄却されるべきであり、その他提出済みの保護変更申請書(移送費明細書)については、理由があるから、違法な不作為がある旨を宣言すべきである。転居に係る費用についての審査請求は、不適法であることから、却下すべきである。

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