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平成30年度答申第8号

更新日:2019年2月5日 印刷ページ表示

件名

生活保護変更決定処分に対する審査請求

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 処分庁による生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)に基づく平成30年9月3日付け生活保護変更決定処分(以下「本件処分」という。)は、不明瞭な点が多い上に、処分庁からの説明も不十分であり、正当な処分かどうか判断する根拠に乏しい。処分庁は説明責任を果たしておらず、不服があるので本件処分の取消しを求める。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

1 審査請求人に係る生活保護費の決定について

 処分庁は、審査請求人の平成30年10月分に係る生活保護費の決定を平成30年9月4日付け厚生労働省告示第317号による改正後の「生活保護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)(以下「改正保護基準」という。)に基づき行っており、本件処分に違法性はない。

2 処分庁の説明責任について

 処分庁として、説明責任を果たすための努力の余地はあるとは思量されるが、次の事項を考慮すれば、本件処分が不当とまではいえない。

  1. 審査請求人は、生活保護費の見直しが5年に1度の頻度で行われること及び本件処分がこの見直しによるものであることを理解していること。
  2. 処分庁は、審査請求人に対して、保護基準が見直されること等を周知するため作成した文書を郵送していること。
  3. 平成30年10月3日に審査請求人が処分庁を訪問した際に、処分庁は、厚生労働省作成のリーフレットを手交し、審査請求人の十分な理解は得られないながらも、保護基準の改正等を説明していること。

第4 調査審議の経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
平成30年11月30日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
平成30年12月6日 調査・審議
平成31年1月30日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 審査会の判断について

(1)本件に係る法令等の規定について

ア 法第1条では「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する」と規定されており、法第3条では「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」と規定されている。
イ 保護の基準及び程度について、法第8条第1項では「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うもの」と規定されており、その厚生労働大臣の定める基準として保護基準が定められている。なお、保護基準をいかに設定するかは、厚生労働大臣の裁量の範囲内に属するものであり、保護の実施機関である処分庁に裁量の権限はない。

(2)本件処分の違法性の有無について

 改正保護基準及び関係資料によれば、審査請求人の平成30年10月分に係る最低生活費(医療扶助等の現物給付分を除く。)は、生活扶助費○○円、住宅扶助費○○円、合計○○円となる。この額は、同年9月分(合計○○円)と比べ○○円減額となるが、改正保護基準に基づき算定されており、この算定に誤りは認められず、本件処分に違法な点はない。

(3)処分庁の説明責任について

 審査請求人と処分庁の主張において、以下について争いはないものと認められる。
ア 審査請求人は、生活保護費の見直しが5年に1度の頻度で行われること及び本件処分がこの見直しによるものであることを理解していること。
イ 処分庁は、審査請求人に対して、保護基準が見直されること等を周知するため作成した文書を郵送していること。
ウ 平成30年10月3日に審査請求人が処分庁を訪問した際に、処分庁は、厚生労働省作成のリーフレットを手交し、保護基準の改正等について説明していること。
 審査請求人は処分庁の説明を十分に理解するまでに至っておらず、処分庁の説明責任の欠如を主張しているが、上記アからウまでを考慮すれば、処分庁は必要な説明を行っており、本件処分が不当とまではいえない。

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり答申する。

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