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令和元年度答申第2号

更新日:2019年9月19日 印刷ページ表示

件名

特別障害者手当認定請求却下処分についての審査請求

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

(1) 審査請求人

 〇年〇月〇日に認定請求した際には該当となり手当を受給できていた。今回は全身状態は変わりないのに、非該当との結果になった理由に不服がある。

(2) 審査庁

 棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 次のとおり、本件審査請求には理由がないから、棄却されるべきである。

  • 特別障害者の障害程度については、特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令(昭和50年政令第207号。以下「令」という。)第1条第2項各号において定められており、その具体的な基準は「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準について」(昭和60年12月28日付け社更第162号厚生省社会局長通知)の別紙「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準」(以下「認定基準」という。)によることとされている。
  • 特別障害者の障害程度の認定方法については、認定基準第一の3により、原則として特別障害者手当認定診断書(以下「診断書」という。)によって行うこととされている。本件審査請求についても審査請求人から提出された診断書により判断することが適正である。
  • 診断書により審査請求人の障害程度は、令第1条第2項各号のいずれにも該当しないことから、平成30年12月13日付けで処分庁が行った審査請求人に対する特別障害者手当認定請求却下処分(以下「本件処分」という。)に違法又は不当な点はない。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和元年7月16日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和元年7月26日 調査・審議
 令和元年8月28日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

(1) 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

(2) 審査会の判断について

ア 本件に係る法令等の規定について

(ア) 特別障害者手当とは、特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和39年法律第134号。以下「法」という。)に基づき、精神又は身体に著しく重度の障害を有する者の福祉の増進を図るために支給されるものである。
(イ) 法第2条第3項に規定された「政令で定める程度の著しく重度の障害の状態」については、令第1条第2項各号に掲げられており、その具体的な基準は認定基準により、厚生労働省が定めている。また、当該認定基準第一の3では、障害程度の認定は、原則として、診断書によって行うこととされている。
(ウ) 令第1条第2項第1号で定める著しく重度の障害の状態とは、令別表第2各号に掲げる障害が重複するものである。令別表第2各号に掲げる障害のうち審査請求人の障害の状態に関する認定基準は以下のとおりである。
a 第3号(両上肢の機能障害)
 両上肢の機能に著しい障害を有するもの又は両上肢のすべての指を欠くもの若しくは両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの。両上肢の機能に著しい障害を有するものとは、おおむね両上肢のそれぞれについて肩、肘及び手の3大関節中いずれか2関節以上が用を廃する程度の障害を有するもの。
b 第4号(両下肢の機能障害)
 両下肢の機能に著しい障害を有するもの又は両下肢を足関節以上で欠くもの。両下肢の機能に著しい障害を有するものとは、おおむね両下肢のそれぞれについて、股、膝及び足の3大関節中いずれか2関節以上が用を廃する程度の障害を有するもの。
c 第5号(体幹の機能障害)
 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの。座っていることができないとは、腰掛、正座、横座り、長座位及びあぐらのいずれもできないものをいい、立ち上がることができないとは、臥位又は座位から自力のみで立ち上がれず、他人や器物の介護又は補助によってはじめて立ち上がることができるものをいう。体幹のみならず四肢に障害が及ぶ症例であっ ても、四肢の機能障害を一応切り離して、体幹のみの障害の場合を想定して判定したものをいうため、体幹と下肢の重複障害として認定するときは慎重に行うこととされている。
(エ) 令第1条第2項第2号で定める著しく重度の障害の状態とは、次の2つのいずれかの状態である。1つは、令別表第2のいずれか1つの  障害を有し、かつ、認定基準第三の2(1)の表に規定する障害を重複して有するものである。もう1つは、令別表第2第3号から第5号までのいずれか1つの障害を有し、かつ、認定基準第三の2(2)の日常生活動作評価表の日常生活動作能力の各動作の該当する点を加算したものが10点以上のもの、以上の2つである。令別表第2の認定基準に該当する障害については、上記(ウ)のとおりであり、認定基準第三の2(1)の表に規定する障害のうち、審査請求人の障害の状態に関する認定基準は以下のとおりである。
a 第7号(1上肢の機能障害)
 1上肢のおおむね肩、肘及び手の3大関節中いずれか2関節以上が用を廃する程度の障害(関節の可動域が10度以下。なお、肩関節  については30度以下。)又は関節に目的運動を起こさせる筋力が著減。
b 第8号(1下肢の機能障害)
 1下肢の股、膝及び足の3大関節のいずれの関節とも用を廃する程度の障害(関節の可動域10度以下。なお、足関節の場合は5度以下。)又は下肢に運動を起こさせる筋力が著減している場合で起立歩行に必要な動作を起こし得ない程度のもの。
c 第9号(体幹機能障害)
 体幹の機能に歩くことが出来ない程度の障害を有するものであり、室内においては、つえ、松葉づえその他の補助用具を必要とせず、起 立移動が可能であるが、野外ではこれらの補助用具の助けをかりる必要がある程度又は片脚による起立保持が全く不可能な程度のもの。
(オ) 令第1条第2項第3号で定める著しく重度の障害の状態とは、次の2つのいずれかの状態である。1つは、認定基準第二の4又は5にお  ける「内部障害」又は「その他の疾患」に該当する障害を有し、かつ、認定基準第三の1(7)ウの「安静度表」の1度(絶対安静)に該当する状態を有するもの。もう1つは、認定基準第二の6における「精神の障害」に該当する障害を有し、かつ、認定基準第三の1(8)エの「日常生活能力判定表」の該当する点を加算したものが14点となるもの、以上の2つである。

イ 本件処分について

(ア) 認定方法について
 障害程度の認定については、上記ア(イ) のとおり、原則診断書に基づいて行うこととされている。本件において処分庁が審査請求人から提出された診断書により判断することは適正である。
 なお、審査請求人の障害の程度については、本件処分に当たり、処分庁の嘱託医1名が診断書に基づいて判定をしている。また、〇年〇月〇日付けで処分庁から群馬県知事に審査請求人の障害の程度について照会がされた際、同年〇月〇日付けの群馬県からの回答に当たり、群馬県心身障害者福祉センターの医師1名が、審査請求人から提出された同年〇月〇日付け診断書に基づいて確認している。よって、審査請求人の障害の程度については、複数の医師による確認がされている。
 診断書には、関節可動域及び筋力において、体幹は 、股、膝、足関節の3関節においては、〇〇となっている。日常生活動作の障害程度においては、〇〇が〇〇、〇〇 、〇〇 、〇〇 のいずれの動作においても〇〇と記載されている。
(イ) 令第1条第2項各号の該当性の有無について
 審査請求人の障害程度が令第1条第2項各号に該当するかについて、上記診断書記載事項より判断すると以下のとおりと考えられる。
a 令第1条第2項第1号の該当性の有無について
(a) 両上肢の機能障害について
 審査請求人の障害は〇〇であり、両上肢の機能の障害ではないことから、両上肢の機能障害は該当しない。
(b) 両下肢の機能障害について
 審査請求人の障害は〇〇であり、両下肢の機能の障害ではないことから、両下肢の機能障害は該当しない。
(c) 体幹機能障害について
 診断書によれば、体幹の関節運動筋力は、〇〇となっている。しかし、日常生活動作においては、〇〇が〇〇、〇〇が 〇〇となっている。
 体幹の機能障害は四肢の機能障害とを一応切り離して判断するとする判断基準に鑑み、体幹の関節運動筋力は、〇〇であることから、〇〇が〇〇、〇〇が〇〇のは、〇〇に基づくものと判断し、体幹機能障害は該当しない。
b 令第1条第2項第2号の該当性の有無について
(a) 令別表第2のいずれか1つの障害を有し、かつ、認定基準第三の2(1)の表に規定する障害を重複して有するものについて
 上記aより、審査請求人の障害程度のうち、令別表第2の基準を満たす障害はないため、該当しない。
(b) 令別表第2第3号から第5号までのいずれか1つの障害を有し、かつ、日常生活動作評価表の点を加算したものが10点以上のものについて
 上記(a)と同様、令別表第2の基準を満たす障害はないため、該当しない。
 以上のとおり、令第1条第2項第2号の障害程度には該当しない。
c 令第1条第2項第3号の該当性の有無について
 審査請求人から提出された診断書は肢体不自由用であり、当該診断書からは、審査請求人が「内部障害」、「その他の疾患」又は「精神の障害」を有することは確認できないため、令第1条第2項第3号の障害程度には該当しない。

 以上のとおり、審査請求人の障害状態については、処分庁の主張にある令第1条第2項第1号の規定のみならず、同項第2号及び第3号の規定にも該当しない。

(ウ) 上記以外の違法性又は不当性についての検討
 他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。

 よって、処分庁が特別障害者手当の認定請求を却下したことに違法又は不当な点はない。

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり答申する。

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