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令和2年度答申第7号

更新日:2020年11月2日 印刷ページ表示

件名

 措置費等負担額決定処分についての審査請求

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 令和2年5月12日付け処分庁による措置費等負担額決定処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求めるものであり、その理由は次のとおりである。

  1. 審査請求人は被措置児童(以下「本児」という。)の祖母であって親ではなく、扶養義務者ではない。措置費の請求は審査請求人ではなく、扶養義務のある親に対してすべきである。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)第27条、第50条及び第56条では、都道府県が児童養護施設への入所措置を採った場合において、入所等に要する費用について、本人又はその扶養義務者から、その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができると規定している。
 群馬県児童福祉法施行細則(昭和42年群馬県規則第26号。以下「施行細則」という。)第30条及び別表第2の規定により、知事は、措置等を決定したときは、措置児童等の属する世帯の階層区分により、本人又はその扶養義務者が負担する費用の額を認定するものとされており、さらに、法第56条による費用徴収に係る取扱いについて定めた県の「児童福祉法第56条費用徴収事務取扱要領」(以下「取扱要領」という。)では、児童の属する世帯とは、措置児童等と生計を一にする通常の消費経済上の一単位をいうとされている。
 処分庁による調査の結果、審査請求人は本児の祖母であって扶養義務者に該当し、また、本児の母が本児と別世帯である一方、審査請求人は本児と住民票上同一世帯かつ生活の実態においても生計を一にしていたことが認められた。
 以上のことから、審査請求人を費用の負担義務者と決定し、費用の額については世帯の階層区分に応じ、施行細則別表第2に基づき認定したものであり、処分庁が法令等の規定に則り適正に行ったものであるから、本件処分に違法又は不当な点は認められない。

第4 調査審議の経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
令和2年9月3日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
令和2年9月11日 調査・審議
令和2年10月6日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件処分に係る法令等の規定について

(1) 入所の措置について

 法第27条第1項第3号は、都道府県の措置として、「児童を小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託し、又は乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させること。」を規定している。

(2) 費用の徴収について

 法第50条は、「次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。」として、同条第7号で、「都道府県が、第27条第1項第3号に規定する措置を採つた場合において、入所又は委託に要する費用及び入所後の保護又は委託後の養育につき、第45条第1項又は第45条の2第1項の基準を維持するために要する費用」を挙げ、また、法第56条第2項で、法第50条第7号に規定する費用を支弁した都道府県の長は、「本人又はその扶養義務者から、その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができる」と規定している。

(3) 扶養義務者について

 扶養義務者とは、法第56条第1項で「民法に定める扶養義務者をいう。」とされており、民法(明治29年法律第89号)第877条第1項では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」と規定している。

(4) 費用の負担について

 施行細則第30条は、第1項で、「知事は、措置等を承諾又は決定したときは、別表第2及び別表第3に示す基準に従い、当該世帯の階層区分の認定及び法第56条第2項又は第5項の規定による本人又はその扶養義務者が負担する費用の額(以下「措置費等負担額」という。)の認定を行うものとする。」と、第2項で「知事は、前項の規定により措置費等負担額を認定したときは、措置費等負担額決定書(別記様式第62号)により、本人又はその扶養義務者に通知するものとする。」と規定している。さらに、額の認定に当たっては、別表第2において、「各月初日の措置児童等の属する世帯の階層区分」により決定するものと規定している。
 取扱要領第5の1(1)では、「世帯階層区分の認定は、措置児童等の属する世帯の扶養義務者の市町村民税額、所得税額の課税額の合算に基づいて行う。」とし、第3の5において、「児童の属する世帯」とは「措置児童等と生計を一にする通常の消費経済上の一単位をいう。」と規定している。
 本件処分と直接の関係性はないが、厚生労働省は、法による児童入所施設措置費等国庫負担金の交付に係る通知を発出しており、その中で、国庫負担金を算定するための法第56条第2項の規定による徴収金を算定する基準を定めている。「児童福祉法による児童入所施設措置費等国庫負担金について」(平成11年4月30日付け厚生省発児第86号厚生事務次官通知)の「第5 徴収金基準額」においては、「各年度における徴収金基準額は、その措置児童等単位に、表の施設種別及び各月初日の措置児童等及びその措置児童等の属する世帯の扶養義務者の税額等による階層区分によって定まる基準額により算定した額の年間の合算額とする」と、また、「「児童福祉法による児童入所施設措置費等国庫負担金について」通知の施行について」(平成11年4月30日付け児発第416号厚生省児童家庭局長通知)の「第20 徴収金基準額等について」においては、「その世帯の課税階層区分の認定については、その児童及びその児童と同一世帯に属して生計を一にしている扶養義務者のすべてのものについて、それらの者の課税額の合計額により行う」とされており、本人又は扶養義務者からの徴収金について、施行細則及び取扱要領と同様の考え方に基づく規定となっている。

3 本件処分について

  1. 審査請求人は、本児の母の母にあたることが確認されており、本児の直系血族であり扶養義務者であることから、法第56条第2項の規定により、本児の児童養護施設入所(以下「本件入所」という。)に係る費用を徴収することのできる者の範囲に入ることが認められる。
  2. 処分庁による調査の結果、本児の親権者たる母は、本児の児童養護施設入所当時も本児と別世帯であったことが認められた一方、審査請求人は、住民票上本児と同一の世帯に属していること、生活の実態においても生計を一にしていたことが認められたため、処分庁は、審査請求人を本件入所に係る費用の負担義務者と決定した。
  3. 本件処分に係る世帯の階層区分の認定及び本人又はその扶養義務者が負担する費用の額の認定については、施行細則第30条の規定により施行細則別表第2に基づいて行うこととされているが、処分庁による所得調査や課税調査の結果、審査請求人の平成31年度市町村民税が均等割額及び所得割額が○○であることから、別表第2中「○○世帯」として「○○階層」と認定し、本人又はその扶養義務者が負担する費用の額を○○円と認定し、施行細則第30条第2項の規定により審査請求人あて通知を行った。
  4. なお、審査請求人は、審査請求人の夫(以下「継祖父」という。)と別居状態である旨主張している。しかし、継祖父は、本児の母や本児と養子縁組をしておらず、本児の直系血族に当たらず扶養義務者ではないため、本件処分において、本件入所に係る費用を徴収することができる者に該当せず、また、世帯の階層区分の認定に当たって、課税額の合算の対象外としている。したがって、審査請求人の主張は、審査請求の結論に影響しない。
  5. 以上のことから、本件処分は、本件入所に係る費用の負担義務者の決定や費用の額の認定について、処分庁が法令等の規定に則り、審査請求人の世帯の負担能力の認定を行った上で適正に行ったものであり、違法又は不当な点は認められない。

4 その他

 審査請求人は、主張書等において、生活が経済的に苦しいこと、本件入所措置に係る費用は本児の母に請求すべきこと等を主張しているが、上記のとおり、本件処分は法令等の規定に則って行われたものであり、審査請求の結論には影響がないことを申し添える。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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