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令和2年度答申第8号

更新日:2020年11月2日 印刷ページ表示

件名

 不動産取得税課税処分についての審査請求

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 ○○年○○月に取得した土地及び家屋(以下「本件家屋等」という。)に対して、処分庁が行った令和2年6月1日付け不動産取得税課税処分(以下「本件処分」という。)について、本件家屋等の購入価格に対し、評価額が高いため、本件処分の税額の減額を求める。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 不動産の評価額である課税標準は、地方税法(昭和25年法律第226号。以下「法」という。)第73条の13第1項及び群馬県県税条例(昭和25年群馬県条例第32号。以下「条例」という。)第71条第1項において「不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格とする」と規定されている。
 処分庁は、法第73条の21第1項及び条例第81条第1項の規定により、本件家屋等が所在する○○町の固定資産課税台帳における登録価格を基に、課税標準となる価格を決定し、令和2年6月1日付けで本件処分を行っている。
 なお、本件家屋等については、法第73条の21第1項ただし書及び条例第81条第1項ただし書に規定する特別の事情は生じていない。
 以上のとおり、処分庁は、法第73条の21第1項及び条例第81条第1項の規定により固定資産課税台帳に登録されている価格を本件家屋等の評価額として決定していることから、当該価格に基づき行われた本件処分は適法であると認められる。

第4 調査審議の経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
令和2年9月3日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
令和2年9月11日 調査・審議
令和2年10月6日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 審査会の判断について

(1) 本件における法令等の規定について

ア 不動産取得税の課税標準について

 法第73条の13第1項及び条例第71条第1項は、「不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格とする」と規定し、不動産の価格については、法第73条第5号において「適正な時価をいう」と規定している。

イ 課税標準の価格の決定について

 法第73条の21第1項及び条例第81条第1項は、「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については、当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。但し、当該不動産について増築、改築、損かい、地目の変換その他特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いときは、この限りではない」と規定している。

ウ 固定資産の価格の決定について

 法第410条第1項は、「市町村長は、(中略)固定資産の価格等を毎年3月31日までに決定しなければならない」と規定し、法第411条第1項は、「市町村長は、(中略)固定資産の価格等を決定した場合においては、直ちに当該固定資産の価格等を固定資産課税台帳に登録しなければならない」と規定している。

(2) 本件処分について

 処分庁は、法第73条の2第1項及び第4項並びに条例第70条第1項及び第4項の規定により、本件処分を行っており、この課税標準の価格の決定に当たっては、法第73条の21第1項及び条例第81条第1項により、固定資産課税台帳に登録されている本件家屋等の評価額を基としている。固定資産課税台帳への登録については、法第410条第1項及び第411条第1項の規定により、審査請求人が本件家屋等を取得した○○年○○月○○日時点の課税基準日である平成31年1月1日の固定資産の価格が、本件家屋等の所在する○○町の固定資産課税台帳に登録されている。また、本件処分の課税額の算定に当たっては、課税標準の価格に税率(土地3%、家屋4%)を乗じている。
平成6年4月21日の最高裁判所第一小法廷判決(平成4年(行ツ)196号)では、「固定資産税の課税対象となる土地及び家屋と不動産取得税の課税対象となる土地及び家屋とは同一であり、両税の課税標準である不動産の価格も等しく適正な時価をいうものとしている。(中略)そこで、道府県知事が不動産取得税の課税標準である不動産の価格を定めるに当たっては、原則として、固定資産課税台帳の登録価格によることとし、両税間における不動産の評価の統一と徴税事務の簡素化を図ったものである」と述べており、本件審査請求の争点となっている評価額とは、固定資産課税台帳の登録価格であることが認められる。
 また、本件処分において登録価格によらない課税標準となるべき価格を採用するに当たっては、本件家屋等の時価と登録価格にかい離があることだけでは足りず、同判決では、「法第73条の21第1項ただし書にいう「当該固定資産の価格により難いとき」とは、当該不動産につき、固定資産税の賦課期日後に増築、改築、損壊、地目の変換その他特別の事情が生じ、その結果、右登録価格が当該不動産の適正な時価を示しているものということができないため、右登録価格を不動産取得税の課税標準としての不動産の価格とすることが適当でなくなった場合をいうものと解すべきである」と述べており、本件家屋等の時価と登録価格とのかい離が固定資産税の賦課期日後に生じた特別の事情によるものであることが必要であるが、このような事情は生じていない。
 以上のことから、処分庁は、法令にのっとり不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定し、本件処分を行ったものであることから、本件処分は適法であると認められる。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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