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令和2年度答申第10号

更新日:2020年11月20日 印刷ページ表示

件名

 生活保護申請却下処分についての審査請求

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 令和2年6月25日付けで処分庁が行った生活保護申請却下処分(以下「本件処分」という。)の取消し及び生活保護を同月8日に遡って開始することを求めるものであり、その理由は次のとおりである。
 (1) 本日多額の引き落としがあるからそれまで決定を待つように言ったのに、処分庁はそれを待たずに決定した。これは、憲法第25条違反、偽計業務妨害罪、○○個人情報保護条例第6条及び第7条違反であり、また、令和2年6月22日付けの審査請求と併せると、生活保護を同月8日から開始するのが適法と思料するため。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 審査請求人は、処分庁に対して、銀行口座から多額の引き落としがあるので、それまで決定を待つように伝えていたにも関わらず、それを待たずに決定したことをもって、取り消すべきであると主張する。
 一方、生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)第24条第3項によれば、「保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。」と規定されている。また、同条第5項によれば、「第3項の通知は、申請のあつた日から14日以内にしなければならない。」と規定されている。
 処分庁は、法に基づき、速やかに最低生活費と収入充当額を認定した上で、保護を要する状況にないと判断したものであり、妥当なものであったと認められる。
 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、棄却すべきである。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和2年9月29日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和2年10月6日 調査・審議
 令和2年11月5日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件処分に係る法令等の規定について

(1) 保護の基準及び程度等

 法第8条第1項は、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うもの」とし、その厚生労働大臣の定める基準として「生活保護法による保護の基準」(昭和38年4月1日厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)が定められるとともに、法定受託事務である保護実施の処理基準(地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項)として「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知。以下「次官通知」という。)、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知。以下「局長通知」という。)その他の通知が厚生労働省から発出されている。

(2) 申請による保護の開始

 法第24条第3項は、「保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。」と、同条第5項は、「第3項の通知は、申請のあつた日から14日以内にしなければならない。ただし、扶養義務者の資産及び収入の状況の調査に日時を要する場合その他特別な理由がある場合には、これを30日まで延ばすことができる。」と規定している。

(3) 保護の決定

 次官通知第10において、「保護の要否及び程度は、原則として、当該世帯につき認定した最低生活費と、第8によって認定した収入(以下「収入充当額」という。)との対比によって決定すること。」とされている。

3 本件処分の妥当性について

  1. 処分庁は、令和2年6月19日に審査請求人から生活保護申請がなされた後、最低生活費及び収入充当額を認定した上で、審査請求人の収入充当額が最低生活費を上回っていることから保護を要する状況にないと判断し、同月25日に本件処分を行ったものと認められる。
     審査請求人は、処分庁に対して、本日多額の引き落としがあるからそれまで決定を待つように伝えていたにもかかわらず、それを待たずに決定したことをもって、取り消すべきであると主張するが、法令上、申請者の要望に従って生活保護の要否の決定を待たなければならない規定はなく、本件処分は、法第24条第3項及び第5項の規定に基づき、速やかに行われたものであり、違法又は不当な点はなく、審査請求人の主張は採用することができない。
     なお、処分庁に確認したところによれば、審査請求人の預金口座から「多額の引き落とし」と思われる事実があったのは令和2年6月29日である。
  2. 本件処分における最低生活費及び収入充当額の認定についてみると、審査請求人の収入充当額について、処分庁は、審査請求人が受給する障害厚生年金及び年金生活者支援給付金が2か月ごとに支給されることから、障害厚生年金については受給額○○円を2分割して○○円を、年金生活者支援給付金については受給額○○円を2分割して○○円を認定し、そのほか、手持金として○○円を認定し、これらの合計額○○円を収入充当額としたことが認められる。
     また、審査請求人の最低生活費について、処分庁は、保護基準により、生活扶助費○○円、障害者加算○○円を認定し、国民健康保険税として、年額○○円を月額に割り戻した金額○○円を認定し、医療費については福祉医療が利用可能として0円とし、これらの合計額○○円を最低生活費としたことが認められる。
     これらのことから、処分庁は、保護基準、次官通知等にのっとり、収入充当額及び最低生活費を認定したことが認められ、本件の申請時の審査請求人の収入充当額は、最低生活費を上回っており、保護を要するものとは認められない。
  3. よって、本件処分には、これを取り消すべき違法又は不当な点はないものと認められる

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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