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公文書開示審査会答申第189号

更新日:2017年10月26日 印刷ページ表示

「群馬県警の職員(司法警察員・嘱託職員を含む)が、明治時代から慣例として認められている博士号取得者に対する礼遇を守らなくてもよい・又は守ってはならない、という内容」外2件の公文書不存在決定に対する審査請求に係る答申書

群馬県公文書開示審査会第一部会

第1 審査会の結論

 群馬県警察本部長が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県警察本部長(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、本件各請求に係る公文書について存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、請求人に通知した。
 (不存在の理由)
 請求のあった公文書については、作成し、又は取得していないため。

3 審査請求

 請求人は、実施機関に対し、本件処分を不服として平成28年9月13日付け審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

4 弁明書の送付

 実施機関は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定に基づき、弁明書を作成し、その副本を請求人に送付した。

5 口頭意見陳述の実施

 実施機関は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第31条第1項の規定に基づき、平成29年1月13日、口頭意見陳述を実施した。

6 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成29年6月7日、本件審査請求事案(以下「本件事案」という。)の諮問を行った。

第3 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

 本件各請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 請求人の主張要旨

 条例第14条2のイ違反であり、原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業・警察法違反・憲法違反を隠蔽するものであるため。

2 実施機関の主張要旨

(1)別表項番1に係る公文書について
実施機関では、適切な市民応接は職務執行の基本であり、あらゆる活動を通じて実践することが必要であるとの基本的な考え方に基づき、業務を行っているものである。博士号取得者に限らず、市民に対する礼遇を守らなくてよいとは、いずれの法令等にも規定されておらず、別表項番1に係る公文書は作成又は取得していない。
(2)別表項番2に係る公文書について
 審査請求人の認識は誤りであり、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年8月13日法律第128号)(以下、「不正アクセス防止法」という。)違反で被害者とされるアクセス管理者とは、プロバイダーであって、個々のインターネットの利用者ではない。
 実施機関では適正な法解釈に基づき、警察業務を行っており、別表項番2に係る公文書は作成又は取得していない。
(3)別表項番3に係る公文書について
実施機関は、警察法(昭和29年法律第162号)第2項に規定する「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ること」をもってその責務としており、詐欺罪・偽計業務妨害罪の刑法犯に限らず、犯罪を認知すれば、法令等に基づき検挙等に向けた捜査を行う機関である。
警察相談に限らず、実施機関の職員が、犯罪者に与して、被害者からの通報を放置してよいことは、いずれの法令等にも規定されておらず、別表項番3に係る公文書は作成又は取得していない。
(4)請求人の条例第14条第2号イ違反の主張について
請求人は、本件審査請求において条例第14条第2号イ違反である旨を主張するが、請求人の主張は本件請求に係る公文書が存在することを前提としたものであり、そもそも、実施機関は同公文書を作成又は取得しておらず、同公文書は存在しないのであるから、同公文書が同規定にいう情報に該当するか否かを検討することはできない。
(5)その余の主張について
請求人によるその余の主張については、本件決定を取り消し又は変更させるものではない。

3 口頭意見陳述における請求人の主張要旨について

 前記第2の5の口頭意見陳述について、実施機関から提出された口頭意見陳述審理録には、請求人の主張として、おおむね以下のことが記されている。
(1)私は○○大学の論文博士である。○○大学は長い歴史があり、現在では、日本最高峰の大学である。○○大学の論文博士は、相当な学力や人格がないと、とれない。
それにも関わらず、伊勢崎署の女性相談員は、下品な物言いをし、私に「先生」も「様」もつけない。したがって、開示請求を求めた文書が存在するはずである。
(2)処分庁の法解釈や情報機器の知識は時代遅れである。
処分庁は捜査をしたくないから、無理やり不正アクセス防止法の解釈を捻じ曲げて誤った「被害者」の解釈をしていると言わざるを得ない。
したがって、開示請求を求めた公文書が存在するはずである。
(3)伊勢崎署の○○は、私の相談に対して、「聞きたくない。言いたくない。」と言い放つ等、めちゃくちゃな対応をしている。
現場の警察官が、私の学力、経験に追いついていない。したがって、そういうコンセンサス、すなわち、私が開示請求を求めた文書が存在するはずである。

第5 審査会の判断

1 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

(1)請求人は、「原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業・警察法違反・憲法違反を隠蔽するものであるため。」と主張している。一方、実施機関は警察法及び不正アクセス防止法の規定等に照らし、本件各請求を内容とする公文書を作成し、又は取得することは通常想定し難いことであって、実際に実施機関では同内容に合致する公文書は、作成又は取得していないと主張する。そこで、本件請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成又は取得されたか否か検討する。
 なお、本審査会の判断に当たっては、本件請求の記載内容に照らして、不特定多数の県民に対しての公文書が存在するか否かの観点から判断する。
(2)別表項番1に係る公文書について
すべての地方公務員は、地方公務員法(昭和25年法律第261号)の適用を受け、同法第32条には、法令等に従う義務が定められており、また、同法第33条には、信用失墜行為の禁止が定められており、実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は地方公務員法の適用を受ける。これらの規程に照らし、適切な市民応接は職務執行の基本であることから、博士号取得者に限らず、市民に対する礼遇を守らなくてよい、又は守ってはならないという趣旨の公文書を作成することは通常想定し難いことである。
 したがって、別表項番1に係る公文書は作成又は取得していないという実施機関の説明に不自然な点はない。
(3)別表項番2に係る公文書について
上記(2)で述べたとおり、実施機関におけるすべての地方公務員は地方公務員法の適用を受け、法令等に従う義務が定められており、法を適正に解釈し、執行する必要がある。したがって、審査請求人が主張するように、不正アクセス防止法における「被害者」について誤って解釈し、被害を放置してよい、又はしなければならないという趣旨の公文書を作成又は取得することは通常想定し難いことである。
 したがって、別表項番2に係る公文書は作成又は取得していないという実施機関の説明に不自然な点はない。
(4)別表項番3に係る公文書について
上記(2)で述べたとおり、実施機関におけるすべての地方公務員は地方公務員法の適用を受け、法令等に従う義務が定められており、また、警察法2条で規定するとおり、犯罪捜査等をその責務とする実施機関は、犯罪を認知すれば、法令等に基づき検挙等に向けた捜査を行う機関である。したがって、一般県民から犯罪の被害に遭ったと通報されても、悪徳業者の肩を持つばかりで、一般県民を放置してよい、又はしなければならないという趣旨の公文書を、作成又は取得することは通常想定し難いことである。
 したがって、別表項番3に係る公文書は作成又は取得していないという実施機関の説明に不自然な点はない。
(5)以上より、本件各請求に係る公文書を不存在とする実施機関の説明に特段不自然な点はなく、決定は妥当であると認められる。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、請求人は審査請求書において、本件各処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件各請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件各請求に係る公文書が存在することを前提とした請求人の当該主張は是認することはできない。
 また、請求人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成29年6月7日 諮問
平成29年8月9日
(第62回第一部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成29年10月4日
(第63回第一部会)
審議
平成29年10月16日 答申
別表
項番 (あ)
請求年月日
(い)
開示を請求する公文書の内容又は件名
(う)
決定年月日
(え)
決定
1 平成28年7月9日 群馬県警の職員(司法警察員・嘱託職員を含む)が、明治時代から慣例として認められている博士号取得者に対する礼遇を守らなくてもよい・又は守ってはならない、という内容 平成28年7月21日
群広第225号
不存在
2 平成28年7月22日 警察本部サイバー犯罪対策課の職員(以下甲という)が、不正アクセス防止法違反の被害に遭った一般県民(以下乙という)からその犯罪の申告を受けても、甲は乙に「被害者はプロバイダーだ。プロバイダーから被害届が出ない限り捜査はしない」と真の被害者を取り違えて言い放って乙の被害を放置してもよい、又はしなければならない、という内容 平成28年7月28日
群サ対第63号
不存在
3 平成28年8月5日 一般県民(以下甲という)が、悪徳業者(以下乙という)に悪徳商法(罪名で言えば刑法犯である詐欺罪・偽計業務妨害罪、以下丙という)に遭った、と甲から群馬県警警察安全相談員(以下丁という)に通報されても、丁は乙の肩を持つばかりして丙を放置してよい・又はしなければならない、という内容 平成28年8月18日
群広第239号
不存在

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