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公文書開示審査会答申第196号

更新日:2018年2月19日 印刷ページ表示

「群馬県人事課職員(以下甲という)が、一般県民から知事部局の職員の苦情や当該職員の懲戒処分を求める連絡を受けても、甲は何もしなくてよい・又はしてはならない、という内容」の公文書不存在決定に対する審査請求に係る答申書

群馬県公文書開示審査会 第一部会

第1 審査会の結論

 群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成29年9月13日付けで、「群馬県人事課職員(以下甲という)が、一般県民から知事部局の職員の苦情や当該職員の懲戒処分を求める連絡を受けても、甲は何もしなくてよい・又はしてはならない、という内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成29年9月26日に、本件請求に係る公文書について存在しないことを確認し、公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、請求人に通知した。
(不存在の理由)
 当該請求に係る文書は、当該実施機関では保有及び作成していないため。

3 審査請求

 請求人は、実施機関に対し、本件処分を不服として平成29年11月1日付け審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

4 弁明書の送付

 実施機関は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定に基づき、平成29年11月27日付けで弁明書を作成し、その副本を請求人に送付した。

5 口頭意見陳述の実施

 実施機関は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第31条第1項の規定に基づき、平成29年12月21日、口頭意見陳述を実施した。

6 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成29年12月26日、本件審査請求事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

 本件請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 請求人の主張要旨

 条例第14条(2)イ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業等の地方公務員法違反・憲法違反を隠蔽するものであるため。

2 弁明書における実施機関の主張要旨

(1)地方公務員の服務等人事行政に関する根本基準を定めたものとしては、地方公務員法(以下「法」という。)(昭和25年法律第261号)があるが、同法第30条には、「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」として、服務の根本基準が定められており、第32条には、「職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」として、法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められている。
(2)地方公務員である群馬県人事課職員は、これら法その他の法令を遵守すべき義務があり、今回の開示請求で求めているような、服務の根本基準から外れる行為を示す公文書を作成または取得することはない。

3 口頭意見陳述における請求人の主張要旨

 前記第2の5の口頭意見陳述について、実施機関から提出された口頭意見陳述聴取結果記録書には、請求人の主張として、おおむね以下のことが記されている。
(1)私が通報している○○課の件には、○○課も絡んでいることが分かった。人事課はそれを知っていて野放しにしているのではないか。
(2)私が審査請求をするまでは所属を通じて伝えると言うだけで実際行っていなかったのではないか。
(3)結局本人が知らないでいる以上は何もしていないのと一緒であって、私が請求した文書が存在することが容易に推測できる。

4 口頭意見陳述における実施機関の主張要旨

 前記第2の5の口頭意見陳述について、実施機関から提出された口頭意見陳述聴取結果記録書には、実施機関の主張として、おおむね以下のことが記されている。
 一般県民からの苦情等の意見を人事課内で留め置く行為は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するという規定に反するため、そのような服務の根本基準に反する公文書を作成又は取得することはない。

第5 審査会の判断

1 争点(本件請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

(1)請求人は、「条例第14条(2)イ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業等の地方公務員法違反・憲法違反を隠蔽するものである」と主張している。一方、実施機関は、地方公務員法に照らして本件請求に係る公文書を作成することはないと主張する。そこで、本件請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成又は取得されたか否か検討する。
 なお、本審査会の判断に当たっては、本件請求の記載内容に照らして、不特定多数の県民に対しての公文書が存在するか否かの観点から判断する。
(2)実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は法の適用を受けるが、法第30条には職務専念義務が定められており、法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められている。
群馬県人事課職員は、群馬県の人事管理に係る事務を業務内容としており、一般県民からの苦情等の意見を受けても、それを人事課内で留め置き何もしないことは職務専念義務に反するものである。したがって、連絡を受けても何もしなくてもよい・又は何もしてはならないという趣旨の法令に反する公文書を作成又は取得することは通常想定し難い。
(3)したがって、本件請求に係る公文書を不存在とする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められず、判断は妥当であると認められる。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、請求人は審査請求書において、本件処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件請求に係る公文書が存在することを前提とした請求人の当該主張は是認することはできない。
 また、請求人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成29年12月26日 諮問
平成30年1月5日
(第65回第一部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成30年2月14日
(第66回第一部会)
審議
平成30年2月15日 答申

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