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公文書開示審査会答申第159号
「県立○○○○センター(以下甲という)の職員(以下乙という)が、刑事訴訟法第239条2項(以下丙という)を守らなくてよい・又は守ってはならない、及び乙が丙を守っていないと甲の患者(以下丁という)に指摘されても、乙はどこにでも通報しろと丁に開き直ってよい・又は開き直らなければならない、という内容」の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書
群馬県公文書開示審査会第二部会
第1 審査会の結論
群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。
第2 諮問事案の概要
1 公文書開示請求
異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成27年1月26日付けで、「県立○○○○センター(以下甲という)の職員(以下乙という)が、刑事訴訟法第239条2項(以下丙という)を守らなくてよい・又は守ってはならない、及び乙が丙を守っていないと甲の患者(以下丁という)に指摘されても、乙はどこにでも通報しろと丁に開き直ってよい・又は開き直らなければならない、という内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
実施機関は、平成27年2月2日、本件請求に係る公文書について存在しないことを確認し、公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
(不存在の理由)
- 当該請求に係る文書は保有していないため。
3 異議申立て
申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成27年2月19日付けで本件処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
4 諮問
実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成27年3月6日付けで本件異議申立事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。
第3 争点(本件請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
本件請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。
第4 争点に対する当事者の主張
1 申立人の主張要旨
- 原処分は条例第14条2のイ違反及び群馬県立病院職員の越権行為を隠蔽するものであり、また本件処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業・刑事訴訟法違反・憲法違反及び刑法犯である詐欺罪・群馬県職員の大醜聞を隠蔽するものである。
- 申立人は群馬県立○○○○センター(以下「センター」という。)の職員らが実際に本件請求の言動があったことを体験しているため、条例第14条2のイで定められたように本件請求で特定した公文書があることが容易に推測される。
- しかも、陰でこうした不法行為を指揮・指示しているのが●●●●医師職員であることが判明した。また、■■■■■はセンターの管理者であり、この件と無関係の訳がない。
- 本件請求に係る公文書が存在しない理由としてセンターは地方公務員法を挙げているが、例えば刑法その他の法で罰則があるから犯罪が発生しないかというとそうではなく実際に様々な犯罪が発生しており、センターの主張は本件請求に係る公文書が存在しない証明にはならない。
- 上記の不法行為は各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである。本件請求で実施機関がしたことは、群馬県の内務規定違反・職員の越権行為・条例違反・地方公務員法でいう職権濫用罪・怠業罪及び刑法犯である詐欺罪・偽計業務妨害罪・刑事訴訟法違反・憲法違反を隠蔽するものである。
2 実施機関の主張要旨
地方公務員であるセンター職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、地方公務員法に定められた服務に関する規定その他の法令に反する趣旨の公文書を作成又は取得することはない。
したがって、当該請求に係る公文書は、作成又は取得しておらず、保有もしていないため、不存在としたものである。
第5 審査会の判断
1 争点(本件請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
- 申立人は、大要、「(申立人が前述のとおり主張した)不法行為は各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはず」と主張している。一方、実施機関は、「地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、地方公務員法に定められた服務に関する規定その他の法令に反する趣旨の公文書を作成又は取得することはない」として、本件請求に係る公文書は、「作成又は取得しておらず、保有もしていない」と主張する。
- そこで、本件請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成又は取得されたか否かを検討する。実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は地方公務員法(昭和25年法律第261号)の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められている。センターは地方公共団体の一機関であるため、職員が法令に従うのは当然のことであるが、そもそも一般的に公的機関の職員が不法行為その他の信用を失墜するような行為を「してよい又はしなければならない」という趣旨の公文書を作成及び取得することは通常想定し難いことである。そのため、本件請求に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不合理な点は認められない。その他、申立人は「各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張するが、この主張は実施機関が本件請求に係る公文書を作成又は取得したものというには根拠に乏しいものである。
- したがって、本件請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。
2 結論
以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
なお、申立人は異議申立書において、本件処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人識別情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件請求に係る公文書が存在することを前提とした申立人の当該主張は是認することはできない。
また、申立人は実際に不法行為が行われており、実施機関の地方公務員法を根拠とした理由説明では、本件請求に係る公文書が存在しない証明にはならないとも主張するが、前述のとおり法令の趣旨に反するような公文書を作成及び取得することは通常想定し難いのであって、当該主張は実施機関の合理的な説明を覆すに足る根拠とは言い難く、実施機関が本件請求に係る公文書を作成又は取得したと認めることはできない。
この外、申立人は種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。
年月日 | 内容 |
---|---|
平成27年 3月 6日 | 諮問 |
平成27年 3月24日 | 実施機関からの理由説明書を受領 |
平成27年 4月13日 | 異議申立人からの意見書を受領 |
平成27年 7月16日 (第46回 第二部会) |
審議(本件事案の概要説明) |
平成27年 8月31日 (第47回 第二部会) |
審議(実施機関の口頭説明) |
平成27年10月26日 (第48回 第二部会) |
審議 |
平成27年11月 6日 | 答申 |