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公文書開示審査会答申第162号

更新日:2016年3月23日 印刷ページ表示

「平成25年度国立がん研究センター職員が群馬県から依頼を受けて実施した講演会等の情報全てのうち、別表の書類。(保健予防課に係る部分)」の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会第二部会

第1 審査会の結論

 群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成26年9月27日付けで、「平成25年度に国立がん研究センター職員が群馬県から贈与を受けて実施した講演等の情報全て。少なくとも、同年2月2日に講演等が行われたと確認している。たとえば、起案、議事録、会議報告書、アンケート、チラシ広告及びインターネット上の告知の印刷・設置・配布、講師の選定、礼金の有無や金額、旅費、講演・講座の依頼文、レジュメ、写真、映像、音声、発表の原稿、参加者数、キャンセル数、申込数、職員側の出席者、上記の添付文書、上記の関連文書等々、とにかく全て。なお、非開示・部分開示・不存在・存否応答拒否の部分については、全てその通知が必要です。請求した情報を全部であれ一部であれ廃棄した場合には、当該情報は破棄したということを示す情報も全て開示請求の対象に含めます。そして、当該情報の保存期間および保存期間の変更および保存期間に関する分類等を示す情報も、全て開示請求の対象に含めます。」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成26年10月14日、本件請求に係る公文書のうち、下記公文書(以下「本件公文書」という。)について存在しないことを確認し、公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
 なお、本件公文書以外の本件請求に係る公文書について、別途、公文書開示決定及び公文書部分開示決定を行った。

本件公文書

  • 議事録、アンケート、チラシ広告、インターネット上の告知の印刷・設置・配布、写真、映像、音声、発表の原稿、廃棄したということを示す情報。

不存在の理由

  • 請求のあった公文書については、文書を作成していないため、文書は保有して いない。
  • 請求のあった公文書については、昨年度作成した文書であり、いずれも保存期間を満了していないため、文書の廃棄は行われていない。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成26年10月17日付けで本件処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成26年11月21日付けで本件異議申立事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件公文書の公文書不存在決定について)

 本件公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 申立人の主張要旨

  1. 申立人に対する本件処分を取り消して、請求した情報のうち、廃棄したことを示す情報を除いた情報を全部開示するとの決定を求める。
  2. 不存在部分は、全く作成も取得もともにしていないとは考えられず、実施機関が気付いていない情報がまだ他にもあるのではないか。

2 実施機関の主張要旨

  1. 請求内容から、対象公文書は、平成25年9月11日に国立がん研究センター職員等を講師に招いて開催した「平成25年度第2回市町村がん検診担当者会議・平成24年度がん検診受診率向上モデル事業事例発表会」(以下「本件研修会」という。)に関連する文書と判断し、より具体的に特定を行うため、申立人に対し電話にて確認を行った。その結果、本件研修会に関連する公文書のうち、国立がん研究センター職員が関わる文書(部分)を特定したが、本件公文書については存在しないため、本件処分を行った。
  2. 本件公文書は、いずれも、作成又は取得していないものである。
  3. 本件研修会は、市町村及び保健福祉事務所のがん対策担当者に対する事業説明、平成24年度に実施した「がん検診受診率向上モデル事業」に関する事業説明及び国立がん研究センターの職員を講師にした受診率向上のための研修で構成されており、がん検診を担当する市町村及び保健福祉事務所の職員を対象とした研修という位置づけである。
  4. 県の附属機関である審議会等の会議については、条例第4条第1項第3号に基づき、会議録又は会議結果の概要を公開する必要があるため、審議会委員等の発言の全てを記録した議事録を作成しているが、本件研修会は、条例第4条第1項第3号に規定する会議に該当しないことから、全ての発言等を記録する必要がないと判断し、議事録は作成しておらず、録音も行っていない。なお、研修内容等を要約した復命書を作成しており、当該復命書については、別途、公文書部分開示決定をしている。
  5. 本件研修会のうち、市町村及び保健福祉事務所のがん対策担当者に対する事業説明については、定例的に開催しているものであり、また「がん検診受診率向上モデル事業」に関する事例発表会については、翌年度も同様の内容で事例発表会(平成25年度事業)を開催する必要があったことから、研修内容に工夫の余地がないと判断し、来場者へのアンケートは実施しなかった。
  6. 本件研修会の対象者は、市町村及び保健福祉事務所の担当者であり、広く一般県民へ周知し参加を呼びかける必要がなかったことから、案内チラシは作成しておらず、インターネット上の告知も行っていない。なお、担当者への出席を依頼する開催通知については、別途、公文書開示決定をしている。
  7. 研修会等の記録写真については、次回以降の研修会の企画の参考となるものであり、人的対応に余裕がある場合に撮影を行っているが、「がん検診受診率向上モデル事業」の事例発表会は初めての取組であったことから、人的対応に余裕がなく、写真撮影を行っていない。
  8. 担当課である保健予防課においては、ビデオカメラ等の映像撮影機器を有していないため、映像を撮影することはしていない。
  9. 研修会資料として、来場者に配布するように講師から依頼のあった資料については、事前に講師から取得し、研修会資料として来場者に配布しているが、講師の発表原稿は取得していない。なお、来場者へ配布した研修会資料については、本件研修会の復命書として、別途、公文書部分開示決定をしている。

第5 審査会の判断

1 争点(本件公文書の公文書不存在決定について)

(1)「公文書を保有していない」という類型には、1そもそも作成又は取得していない、2作成又は取得したが保存期間満了により廃棄済み、及び3開示請求の対象となる「公文書」ではないという3つの場合があるが、実施機関は、1のそもそも作成又は取得していないと主張しているので、本件公文書が実施機関における事務処理において作成又は取得されるものであるか否かを検討する。
なお、申立人は、本件請求において「廃棄したということを示す情報」の開示を求めていたものの、本件異議申立てにおいて「廃棄したということを示す情報」を異議申立ての対象から除くとしていることから、当審査会においては審査しない。

(2)本件公文書が作成又は取得されたかの検討

  1. 議事録及び音声
     実施機関は、本件研修会が条例第4条第1項第3号の会議に該当しないため、議事録を作成する必要はなく録音も行っていない旨主張する。
    実施機関の主張する条例第4条第1項第3号は、実施機関に「その他実施機関が定める事項」の公表を義務付けており、その「定める事項」の内容の一つとして、情報公開の総合的な推進に関する事務取扱要綱(以下「公開要綱」という。)第2条第3項第4号において、「地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項に基づき設置されている附属機関(以下「附属機関」という。)の会議結果の概要」を公表することが定められている。また、条例第8条において実施機関は、附属機関及び要綱又は要領に基づき設置された附属機関に類するもの(以下「類するもの」という。)の会議の公開に努めるものと定められ、さらに、意思決定の透明性の確保を目的として、審議会等の会議の公開に関する指針及びその運用において、附属機関の議事録又は会議結果の概要を公表することとされ、類するものについても、公表に努めることとされている。
     この点について、地方自治法第138条の4第3項は「地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員会、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる」と規定しているところ、本件研修会は、実施機関が主催した、がん検診を担当する市町村及び保健福祉事務所の職員を対象とした研修であって、法律又は条例に基づき設置される自治紛争処理委員会、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関のいずれにも当たらず、要綱又は要領に基づき設置されたものでもないことから、附属機関及び類するものに当たらない。さらに、本件研修会は、今後継続して審議又は検討を行い、何らかの意思決定を予定した会議ともいえないことから、条例第4条第1項第3号の内容を規定する公開要綱第2条第3項第4号及び条例第8条の会議に該当しない。
     そうであれば、本件研修会については、条例上、議事録又は会議結果の概要の公表が義務づけられているものとはいえず、また、公表の努力義務を課されているものともいえない。
    実施機関は「平成25年度第2回市町村がん検診担当者会議・平成24年度がん検診受診率向上モデル事業事例発表会の開催結果について」(以下「本件復命書」という。)を別途部分開示しており、本件研修会の開催結果の概要をまとめた公文書を作成しているところ、条例上議事録又は会議結果の概要の公表が義務づけられておらず、努力義務も課されていない本件研修会について、実施機関の事務処理上、重ねて議事録又は会議結果の概要を作成していないことに、何ら不自然、不合理な点はない。また、議事録又は会議結果の概要の作成が義務づけられておらず、努力義務も課されていないことから、それらを作成するための音声を取得していないことについても、何ら不自然、不合理な点はない。
     なお、本件復命書を確認したところ、本件研修会全体の概要が記されているに過ぎないことから、本件復命書の作成過程において、音声は必要不可欠なものとはいえず、実施機関が本件復命書を作成するための音声を取得しなかったことに不都合な点があるとは認められない。
     したがって、事務処理において議事録及び議事録を作成するために取得される音声を保有していないとする実施機関の上記主張に特段の不合理な点があるとはいえない。
  2. 来場者へのアンケート
     実施機関は、本件研修会は定例的に開催され、翌年度も同内容の研修にする必要があることから工夫の余地はなく、アンケート調査は実施しなかった旨主張する。
     この点について、研修会等において、今後の参考とするため参加者に対しアンケートを実施することは多々あるが、そもそもアンケートを実施するか否かは主催者の裁量に属するところであり、本研修会に関してアンケートを作成しなかった理由についての実施機関の説明に不合理な点は認められない。
     したがって、事務処理においてアンケートを保有していないことに不都合な点があるとは認められないことから、実施機関の上記主張に特段の不合理な点があるとはいえない。
  3. 映像及び写真
     実施機関は、映像及び写真について取得していない旨主張する。
     この点について、実施機関の事務処理上、記録として映像又は写真を取得することはあるが、そもそも映像又は写真を取得するか否かは実施機関の裁量に属するものであり、必要に応じて取得するものである。
     したがって、事務処理において映像及び写真を保有していないことに不都合な点があるとは認められないことから、実施機関の上記主張に特段の不合理な点があるとはいえない。
  4. 案内チラシ及びインターネット上の告知
     実施機関は、本件研修会の対象者は各市町村及び保健福祉事務所のがん対策担当者であり、一般県民に周知するための案内チラシ及びインターネット上の告知は作成していない旨主張する。
     この点について、本件研修会の出席者名簿を確認したところ、確かに各市町村及び保健福祉事務所のがん対策担当者が出席しており、一般県民が出席している事実は認められない。
     したがって、事務処理において案内チラシ及びインターネット上の告知を保有していないことに不都合な点があるとは認められないことから、実施機関の上記主張に特段の不合理な点があるとはいえない。
  5. 講師の発表原稿について
     実施機関は、配布用の研修資料は取得したが講師自らの発表原稿については取得していない旨主張する。
     この点について、研修会等を開催する場合、実施機関が講師から研修資料を取得し受講者に配布することで足り、講師自身の発表原稿を受講者に配布する必要はないことから、当該原稿を取得していないとする実施機関の説明に不合理な点は認められない。
     したがって、事務処理において講師の発表原稿を保有していないことに不都合な点があるとは認められないことから、実施機関の上記主張に特段の不合理な点があるとはいえない。

(3)審査会の調査について

 申立人は、「全く作成も取得もともにしていないとは考えられず、実施機関が気付いていない情報がまだ他にもあるのではないか」と主張しているため、当審査会は、実施機関に対して条例第30条第4項に基づく調査を実施し、本件公文書を作成、取得又は保有の有無を確認するため、保健予防課において公文書の確認を行ったが、本件公文書として改めて特定すべき公文書の存在は認められなかった。

(4)以上のことから、本件公文書を不存在とした実施機関の判断に、特段の不合理な点は認められない。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成26年11月21日 諮問
平成27年 1月13日 実施機関から理由説明書を受領
平成27年 3月 9日 異議申立人から意見書を受領
平成27年 6月 3日
(第45回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成27年 7月16日
(第46回 第二部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成27年 8月31日
(第47回 第二部会)
審議
平成27年10月26日
(第48回 第二部会)
審議
平成27年11月27日
(第49回 第二部会)
審議
平成28年 1月28日
(第50回 第二部会)
審議
平成28年 3月22日
(第51回 第二部会)
審議
平成28年 3月28日 答申

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