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公文書開示審査会答申第165号
「県立●●●●センター(以下甲という)の看護師長(以下乙という)が、群馬県内規に背いて、甲の外来患者(以下丙という)からの電話に出なくてもよい・又は出てはならない、及び、乙が手が空いたときでも丙に電話を架け直さなくてもよい・又は架け直してはならない、という内容。」外3件の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書
群馬県公文書開示審査会第一部会
第1 審査会の結論
群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。
第2 諮問事案の概要
1 公文書開示請求
異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、本件各請求に係る公文書について存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
(不存在の理由)
当該請求に係る文書は保有していないため。
3 異議申立て
申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成27年7月21日付けで本件各処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
4 諮問
実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成27年8月3日、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。
第3 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
本件各請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。
第4 争点に対する当事者の主張
1 申立人の主張要旨
- 条例第14条第2号イ違反である。
- 本件各請求に係る公文書が存在しない理由として実施機関は地方公務員法を挙げているが、例えば刑法その他の法で罰則があるから犯罪が発生しないとかいうとそうではなく実際に様々な犯罪が発生しており、この実施機関の主張は証明にはならない。
- 今回の請求で実施機関がしたことは、群馬県の内務規定違反・職員の越権行為・条例違反・地方公務員法でいう職権濫用罪・怠業罪及び刑法犯である詐欺罪・偽計業務妨害罪・憲法違反を隠蔽するものである。
- これら不法行為は各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである。
2 実施機関の主張要旨
地方公務員である群馬県立●●●●センター(以下「センター」という。)職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、地方公務員法に定められた服務に関する規定に反する行為の他、その他具体的に「外来患者からの電話に出なくてもよい」や「地方公務員法違反を指摘されてもわからないふりをしてよい」「ナイチンゲール誓詞の解釈の間違いを放置してよい」などを認める趣旨の公文書を作成又は取得することはない。したがって、当該請求に係る公文書は、作成又は取得しておらず、保有もしていないため、不存在としたものである。
第5 審査会の判断
1 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
- 申立人は、大要、「センターの職員が群馬県の内務規定違反、職員の越権行為、条例違反、地方公務員法でいう職権濫用罪、怠業罪、刑法犯である詐欺罪、偽計業務妨害罪及び憲法違反をしたため、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張している。一方、実施機関は、「地方公務員であるセンター職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、本件各請求にあるような趣旨の公文書を作成又は取得することはない」と主張する。
- そこで、本件各請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成・取得されたか否かを検討する。
実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は地方公務員法(昭和25年法律第261号)の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められており、同法第35条には職務に専念する義務が定められている。センターは地方公共団体の一機関であるため、職員が法令に従うのは当然のことであるが、そもそも一般的に公的機関の職員が不法行為その他の信用を失墜するような行為を「行ってよい又は行わなければならない」という趣旨の公文書を作成又は取得することは通常想定し難いことである。そのため、本件各請求に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。
その他、申立人は「各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張するが、この主張は実施機関が本件各請求に係る公文書を作成・取得したものと言うには根拠に乏しいものである。 - したがって、本件各請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。
2 結論
以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
なお、申立人は異議申立書において、本件各処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人識別情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件各請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件各請求に係る公文書が存在することを前提とした申立人の当該主張は是認することはできない。
また、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。
第6 審査の経過
当審査会の処理経過は、以下のとおりである。
年月日 | 内容 |
---|---|
平成27年8月3日 | 諮問 |
平成27年10月1日 | 実施機関からの理由説明書を受領 |
平成27年11月9日 | 異議申立人から意見書を受領 |
平成27年12月9日 (第51回 第一部会) |
審議(本件事案の概要説明) |
平成28年1月27日 (第52回 第一部会) |
審議(実施機関の口頭説明) |
平成28年3月22日 (第53回 第一部会) |
審議 |
平成27年3月29日 | 答申 |
項番 | (あ) 請求年月日 |
(い) 開示を請求する公文書の内容又は件名 |
(う) 決定年月日 |
(え) 決定 |
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1 | 平成27年6月7日 | 県立●●●●センター(以下甲という)の●●●●看護師長(以下乙という)が、群馬県内規に背いて、甲の外来患者(以下丙という)からの電話に出なくてもよい・又は出てはならない、及び、乙が手が空いたときでも丙に電話を架け直さなくてもよい・又は架け直してはならない、という内容 | 平成27 年6月17日 |
公文書不存在決定 |
2 | 平成27年6月16日 | 県立●●●●センター(以下甲という)の●●●●看護師長(以下乙という)が、群馬県内規に背いて、甲の外来患者(以下丙という)からの電話に出なくてもよい・又は出てはならない、及び、乙が手が空いたときでも丙に電話を架け直さなくてもよい・又は架け直してはならない、という内容 | 平成27年6月29日 | 公文書不存在決定 |
3 | 平成27年6月16日 | 県立●●●●センター(以下甲という)の●●医師職員(以下乙という)が、乙自身も地方公務員であるのに、甲の外来患者から乙の地方公務員法(以下丁という)違反を指摘されても、乙は丁をわからないふりをしてよい・又はしなくてはならない、という内容 | 平成27年6月29日 | 公文書不存在決定 |
4 | 平成27年6月24日 | 県立●●●●センター(以下甲という)の●●●●●・看護部長の●●●●●らが、甲の看護職員(●●●●●・●●●●らを含む)のナイチンゲール誓詞の解釈の間違いを放置してよい・又は放置しなければならない、という内容 | 平成27年7月7日 | 公文書不存在決定 |