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公文書開示審査会答申第167号

更新日:2016年7月21日 印刷ページ表示

「消費生活センターの相談員が、通信事業者(以下甲という)が約款を守らないことについて、一般県民(以下乙という)から要請を受けても、甲と乙の連絡調整をしなくてもよい、又はしてはならない、という内容」外3件の公文書不存在決定等に対する異議申立て」に係る答申書

群馬県公文書開示審査会第二部会

第1 審査会の結論

群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、別表項番1については当該請求に係る公文書を「行政不服審査法第40条の概要(「不服申立てに理由がないときは棄却する。」が記載された文書)」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、別表項番2、3及び4に係る公文書については存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、公文書不存在決定にあっては不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
 (不存在の理由)
 開示を請求された公文書の内容又は件名に関する公文書は保有していないため。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成27年2月16日付けで本件各処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成27年6月2日、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点

1 争点1(公文書開示決定について)

 別表項番1について、実施機関が本件公文書を特定したことは妥当であるか。

2 争点2(公文書不存在決定について)

 別表項番2、3及び4について、当該請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 申立人の主張要旨

(1)争点1について

  1. 資料、実態を調べ直して本当の理由を開示せよ。
  2. 諮問庁は、「本件請求の内容から、申立人は、知事が異議申立てに対する決定において、公文書開示審査会が法解釈を明示しなかった場合においても、自らの法解釈が妥当と考えるときには決定書にその旨を記載してよい根拠、が記載された公文書を求めているもの」と書いてあるが、申立人はそんなものは求めていない。
  3. 平成22年2月5日付(3件)で群馬県知事名で「群馬県消費生活課(以下同課という)にある、どういう場合に製造物責任法第2条の2項に基づく欠陥と同課が認めるのか、という同課の法解釈の内容」、「同課にある、同課は個人情報の保護に関する法律を所管しているか否かについての内容」、「同課にある、製造物責任法で保障される構成要件の法解釈」及び同年同月19日付(1件)のこれも群馬県知事名で「群馬県消費生活センターの相談員(以下甲という)が、製造物責任法(以下同法という)第3条、第4条を曲解し、消費者に義務のない立証責任を、甲があると言い放って、一般県民(以下当該県民という)の相談や同法に係るトラブルの生じた業者と当該県民との連絡調整を甲が受け付けなくてよい、という内容」という4件すべてが「公文書不存在」の結果が出ている。要するに同課にはどこをどう突っついても製造物責任法や個人情報の保護に関する法律の法解釈はないのであり、こういう主張をするのは一事不再理の原則に反している。

(2)争点2について

  1. 申立人は群馬県消費生活課の職員らが実際に別表項番2、3及び4の請求の言動があったことを見聞、体験している。申立人は群馬県消費生活課の利用者であり、条例第14条2のイで定められたように別表項番2、3及び4の請求で特定した公文書があることが容易に推測される。
  2. 消費生活課の職員らは「斡旋はやっていない」と口を揃えて言っておったが、消費者安全法で「あっせん」も業務のうちに入っている。一般市民の無知を利用して騙してきたもので、これは悪質な業者の刑法犯である詐欺罪を見破るべき消費生活課の職員が、詐欺を自身がやっている証しである。
  3. 総合的にみると、上記の不法行為は各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである。
  4. 本件各請求で実施機関がしたことは、群馬県の内務規定違反、条例違反の隠蔽、地方公務員法でいう職権濫用罪、怠業罪及び刑法犯である詐欺罪、憲法違反にあたる。

2 実施機関の主張要旨

(1)争点1について

  1. 別表項番1の公文書開示請求の内容から、申立人は、知事が異議申立てに対する決定において、公文書開示審査会が法解釈を明示しなかった場合においても、自らの法解釈が妥当と考えるときには決定書にその旨を記載してよい根拠、が記載された公文書を求めているものと判断した。
  2. 実施機関において、請求の対象となる公文書を保有しているか確認したところ、行政不服審査法第40条の概要(「不服申立てに理由がないときは棄却する。」)が記載された文書を保有しており、当該文書が上記請求内容に合致すると判断したため、公文書として特定した。
  3. 本件公文書のほかに同法に関する公文書を作成又は取得する必要がなく、実際に保有していない。

(2)争点2について

  1. 消費者安全法(平成21年法律第50号)第10条第1項で、都道府県には「消費生活センター」の設置義務があり、同法第8条第1項第2号で消費者安全の確保に関する事務を行うこととされている。そして、群馬県消費生活センター(以下「県センター」という。)は、消費者からの苦情相談等に応じることをその役割としている。
  2. また、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第32条には、法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められており、また、群馬県非常勤嘱託職員就業要領の第13条第2項には、非常勤嘱託職員の法令等に従う義務が定められている。
  3. 消費生活課職員及び相談員は消費者安全法その他の法令を遵守する義務があり、苦情相談等に応じなくてもよい、又は応じてはならないというような法令に反する趣旨の公文書を作成又は取得することはない。

第5 審査会の判断

1 争点1について

  1. 実施機関は、別表項番1の公文書開示請求の内容から、「申立人は、知事が異議申立てに対する決定において、公文書開示審査会が法解釈を明示しなかった場合においても、自らの法解釈が妥当と考えるときには決定書にその旨を記載してよい根拠、が記載された公文書を求めているものと判断した」と主張する。一方、申立人は、「そんなものは求めていない」と主張する。
  2. そこで、別表項番1の「開示を請求する公文書の内容又は件名」から実施機関が本件公文書を特定したことの妥当性について判断する。なお、本件は公文書開示請求であるため、不特定多数の不服申立人に対しての文書が存在するか否かの観点から判断するものとする。
  3. 別表項番1の「開示を請求する公文書の内容又は件名」には、「群馬県公文書開示審査会」と「群馬県知事の決定書」という文言があることから、ここでいう「決定書」は、行政不服審査法に基づく異議申立てに対する決定書のことであると解するのが自然である。
  4. また、異議申立てに対する決定が処分庁の判断を示すものである以上、「決定書に一方的に甲の法解釈が正しいと記述してよい・又はしなければならない」との記載中の「法解釈」とは、異議申立てに対する決定の根拠となる処分庁の法解釈であると解される。
  5. 以上のことから、実施機関が、別表項番1の請求について、行政不服審査法に基づく異議申立てに対する決定において「自らの法解釈が妥当と考えるときには決定書にその旨を記載してよい根拠、が記載された公文書を求めているもの」と判断したことは、請求の解釈として是認できる。
  6. そして、実施機関が特定した「審査請求に対する裁決(異議申立てに対する決定・再審査請求に対する裁決についても同様)(第40条)」について記載された文書は、処分庁が自身の権限に基づいて決定することについて記された文書であることから、これを本件公文書として特定したことは妥当である。
  7. なお、申立人は、前述のとおり過去の公文書開示請求における公文書不存在決定を理由として、「同課にはどこをどう突っついても製造物責任法や個人情報の保護に関する法律の法解釈はない」と主張している。しかし、そもそも、別表項番1の「開示を請求する公文書の内容又は件名」から「製造物責任法や個人情報の保護に関する法律の法解釈」を当該請求に係る法解釈と読み取ることはできない以上、申立人の当該主張の是非について判断しない。

2 争点2について

  1. 申立人は、大要、(申立人が前述のとおり主張した)不法行為は各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずと主張している。一方、実施機関は、消費者からの苦情相談等に応じることが県センターの役割であり、消費者安全法その他の法令を遵守する義務があるため、苦情相談等に応じなくてもよい、又は応じてはならないというような法令に反する趣旨の公文書を作成又は取得することはないと主張する。そこで、別表項番2、3及び4の公文書開示請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成・取得されたか否か検討するものとする。なお、本件は公文書開示請求であるため、不特定多数の県民に対しての文書が存在するか否かの観点から判断するものとする。
  2. 消費者安全法第10条第1項により都道府県に設置義務がある「消費生活センター」は、同法第8条第1項のとおり消費生活相談等の事務を実施する役割がある。そのため、県センターでは県民等から消費生活に関する相談を受けた場合、その内容を聴取し必要な助言や情報提供のほか相談者と事業者との間に立って交渉する、あっせんを行うなど相談内容の解決に向けた業務を行っている。また、県センターに対する相談内容は、「契約・取引に関する相談」や「製品トラブルに関する相談」、「多重債務の相談」など多種多様なものがあり、不特定多数の県民から広く相談が寄せられるものである。
  3. そのため、上記のような役割がある県センターにおいて、不特定多数の県民からの相談の解決に向けた業務を行うなかで、一般的に、相談者と事業者との間の連絡調整をしなくてもよいとか、相談者に対して電話してはならないというような趣旨の公文書を作成及び取得することは通常はあり得ないことであることから、別表項番2、3及び4の公文書開示請求に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。
  4. その他、申立人は「各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張するが、この主張は実施機関が別表項番2、3及び4の公文書開示請求に係る公文書を作成・取得したものと言うには根拠に乏しいものである。
  5. したがって、別表項番2、3及び4の公文書開示請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。

3 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、申立人は異議申立書において、条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は条例第14条第2号本文に該当する情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、別表項番1にあっては非開示部分のない公文書開示決定であり、別表項番2、3及び4にあっては不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、その性質上、申立人の当該主張を是認することはできない。
 また、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理状況
年月日 内容
平成27年6月2日 諮問
平成27年7月24日 実施機関からの理由説明書を受領
平成27年11月6日 実施機関からの補充理由説明書を受領
平成27年12月9日 申立人から意見書を受領
平成28年1月28日
(第50回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成28年5月20日
(第52回 第二部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成28年7月11日
(第53回 第二部会)
審議
平成28年8月3日 答申
別表
項番 (あ)
請求年月日
(い)
開示を請求する公文書の内容又は件名
(う)
決定年月日
(え)
決定
1 平成27年1月8日 群馬県の知事部局の実施機関から諮問された群馬県公文書審査会が知事部局の職員(以下甲という)と不服申立人(以下乙という)の法解釈が違う場合甲と乙のどちらの法解釈が適法なのか明示しなかったからといって、甲が群馬県知事の決定書に一方的に甲の法解釈が正しいと記述してよい、又はしなければならない、という内容 平成27
年1月22日
公文書開示決定
2 平成27年1月20日 消費生活センターの○○相談員が、通信業者(以下甲という)が約款を守らないことについて、一般県民(以下乙という)から要請を受けても、甲と乙の連絡調整をしなくてもよい、又はしてはならない、という内容 平成27年1月29日 公文書不存在決定
3 平成27年1月27日 消費生活課の○○と○○相談員(以下甲という)が一般県民(以下乙という)から証拠となる捏造、偽造していないデータ(以下丙という)を送付されても、甲は乙に丙についてケチを付け、乙とトラブルになっている業者との連絡調整を、甲はしなくてもよい、又はしてはならない、という内容 平成27年2月9日 公文書不存在決定
4 平成27年1月27日 消費生活課の○○と○○相談員(以下甲という)が一般県民(以下乙という)から証拠となる捏造、偽造していないデータ(以下丙という)を送付されても、甲は乙に丙についてケチを付け、その上乙の携帯電話に電話してはならない、という内容 平成27年2月9日 公文書不存在決定

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