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公文書開示審査会答申第168号
「群馬県消費生活課○○と相談員が、一般県民(以下甲という)と甲とトラブルになっている事業者(以下乙という)に、製造物責任法は法律の話だからと称して法律家にたらい回しにして自分たちは甲と乙のあっせんを消費者保護法を無視してしなくてよい・又はしてはならない、という内容」外1件の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書
群馬県公文書開示審査会第二部会
第1 審査会の結論
群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。
第2 諮問事案の概要
1 公文書開示請求
異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、本件各請求に係る公文書について存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
(不存在の理由)
開示を請求された公文書の内容又は件名に関する公文書は保有していないため。
3 異議申立て
申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成27年5月21日付けで本件各処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
4 諮問
実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成27年8月19日、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。
第3 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
本件各請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。
第4 争点に対する当事者の主張
1 申立人の主張要旨
- 条例第14条2のイ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業・詐欺・憲法違反・群馬県内務規定違反を隠蔽するものであるため。
- 申立人は群馬県消費生活課の職員らが実際に本件各請求の言動があったことを見聞・体験している。申立人は群馬県消費生活課の利用者であり、条例第14条2のイで定められたように本件各請求で特定した公文書があることが容易に推測される。
- 消費生活課の職員らは「斡旋はやっていない」と口を揃えて言っておったが、消費者安全法で「あっせん」も業務のうちに入っている。一般市民の無知を利用して騙してきたもので、これは悪質な業者の刑法犯である詐欺罪を見破るべき消費生活課の職員が、詐欺を自身がやっている証しである。
- 総合的にみると、上記の不法行為は各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである。
- 本件各請求で実施機関がしたことは、群馬県の内務規定違反・条例違反の隠蔽・地方公務員法でいう職権濫用罪・怠業罪及び刑法犯である詐欺罪・憲法違反にあたる。
2 実施機関の主張要旨
- 消費者安全法(平成21年法律第50号)第10条第1項で、都道府県には「消費生活センター」の設置義務があり、同法第8条第1項第2号で消費者安全の確保に関する事務を行うこととされている。そして、群馬県消費生活センター(以下「県センター」という。)は、消費者からの苦情相談等に応じることをその役割としている。
- あっせんは、当事者間の合意により迅速かつ円満に紛争を解決することが期待できる一方、行政処分や裁判手続と異なりあっせん案に法的拘束力がないこと、当事者のあっせん手続への参加が任意であり、一方が参加を拒否した場合、手続が打切りとならざるを得ない等の特徴がある。従って、苦情の内容を踏まえ、あっせんを行うことが適当と認められる場合には、あっせんを行うこととなる。このように、苦情相談の内容に応じあっせんを行うことが県センターの役割である。
- また、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第32条には、法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められており、また、群馬県非常勤嘱託職員就業要領の第13条第2項には、非常勤嘱託職員の法令等に従う義務が定められている。
- 消費生活課職員及び相談員は消費者安全法その他の法令を遵守する義務があり、あっせんを行わなくてもよい、又は行ってはならない、あるいは、苦情相談等に応じなくてもよい、又は応じてはならないというような法令に反する趣旨の公文書を作成又は取得することはない。
第5 審査会の判断
1 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
- 申立人は、大要、(申立人が前述のとおり主張した)不法行為は各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずと主張している。一方、実施機関は、消費者からの苦情相談等に応じることが県センターの役割であり、消費者安全法その他の法令を遵守する義務があるため、苦情相談等に応じなくてもよい、又は応じてはならないというような法令に反する趣旨の公文書を作成又は取得することはないと主張する。そこで、本件各請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成・取得されたか否か検討するものとする。なお、本件は公文書開示請求であるため、不特定多数の県民に対しての文書が存在するか否かの観点から判断するものとする。
- 消費者安全法第10条第1項により都道府県に設置義務がある「消費生活センター」は、同法第8条第1項のとおり消費生活相談等の事務を実施する役割がある。そのため、県センターでは県民等から消費生活に関する相談を受けた場合、その内容を聴取し必要な助言や情報提供のほか相談者と事業者との間に立って交渉する、あっせんを行うなど相談内容の解決に向けた業務を行っている。また、県センターに対する相談内容は、「契約・取引に関する相談」や「製品トラブルに関する相談」、「多重債務の相談」など多種多様なものがあり、不特定多数の県民から広く相談が寄せられるものである。
- そのため、上記のような役割がある県センターにおいて、不特定多数の県民からの相談の解決に向けた業務を行うなかで、一般的に、事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんをしなくてよいとか、相談者に対して折り返しの電話をしなくてよいというような趣旨の公文書を作成及び取得することは通常はあり得ないことであることから、本件各請求に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。
- その他、申立人は「各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張するが、この主張は実施機関が本件各請求に係る公文書を作成・取得したものと言うには根拠に乏しいものである。
- したがって、本件各請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。
2 結論
以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
なお、申立人は異議申立書において、本件各処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人識別情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件各請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件各請求に係る公文書が存在することを前提とした申立人の当該主張は是認することはできない。
また、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。
第6 審査の経過
当審査会の処理経過は、以下のとおりである。
年月日 | 内容 |
---|---|
平成27年8月19日 | 諮問 |
平成27年10月1日 | 実施機関からの理由説明書を受領 |
平成27年11月9日 | 申立人から意見書を受領 |
平成28年1月28日 (第50回 第二部会) |
審議(本件事案の概要説明) |
平成28年5月20日 (第52回 第二部会) |
審議(実施機関の口頭説明) |
平成28年7月11日 (第53回 第二部会) |
審議 |
平成28年8月3日 | 答申 |
項番 | (あ) 請求年月日 |
(い) 開示を請求する公文書の内容又は件名 |
(う) 決定年月日 |
(え) 決定 |
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1 | 平成27年5月1日 | 群馬県消費生活課○○と○○相談員が、一般県民(以下甲という)と甲とトラブルになっている事業者(以下乙という)に、製造物責任法は法律の話だからと称して法律家にたらい回しにして自分たちは甲と乙のあっせんを消費者保護法を無視してしなくてよい・又はしてはならない、という内容 | 平成27 年5月15日 |
公文書不存在決定 |
2 | 平成27年5月1日 | 消費生活課○○(以下甲という)と○○相談員(以下乙という)が、一般県民(以下丙という)から相談を受けながら、甲と乙が不在等で丙と電話連絡がつかない場合、甲と乙及びその同僚は「折り返しの電話は行っていない」と丙に嘘をついて群馬県内規に反して折り返しの電話をしなくてよい・又はしてはならない、という内容 | 平成27年5月15日 | 公文書不存在決定 |