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公文書開示審査会答申第173号
「県立○○○○センター(以下甲という)の職員(以下乙という)が、自らに不都合な法令(例:最高裁大法廷の昭和35年7月20日の判例)を甲の患者(以下丙という)に指摘されても、乙は丙に乙と丙の法解釈の違いと言い放って誤魔化そうとする趣旨の甲の内部文書」外4件の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書
群馬県公文書開示審査会第一部会
第1 審査会の結論
群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。
第2 諮問事案の概要
1 公文書開示請求
異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、本件各請求に係る公文書について存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
(不存在の理由)
当該請求に係る文書は保有していないため。
3 異議申立て
申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成28年2月12日付けで本件各処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
4 諮問
実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成28年2月25日付けで本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。
第3 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
本件各請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。
第4 争点に対する当事者の主張
1 申立人の主張要旨
条例第14条2のイ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用、怠業、憲法違反及び刑法犯である詐欺罪、県職員の大醜聞を隠蔽するものであるため。
2 実施機関の主張要旨
地方公務員である群馬県立○○○○センター(以下「センター」という。)職員は、地方公務員法(昭和25年法律第261号)その他の法令を遵守すべき義務があり、地方公務員法に定められた服務に関する規定に反する行為のほか、その他具体的に「法解釈の違いと言い放って誤魔化そうとする趣旨の内部文書」や「地方公務員法違反の怠業罪を犯してよい、または犯さなくてはならない」、「群馬県個人情報保護条例に背いて、丙の承諾なしに、警察に公開してよい、またはしなければならない」、「不倫旅行に行ってよい、または行かなくてはならない」などを認める趣旨の公文書を作成又は取得することはない。
また、別表項番2の「昭和35年7月20日の最高裁大法廷の判例の解釈の具体的内容」については、センターの業務に関連性が無いため、作成又は取得することはない。
したがって、当該請求に係る公文書は、作成又は取得しておらず、保有もしていないため、不存在としたものである。。
第5 審査会の判断
1 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
- 申立人は、「原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用、怠業、憲法違反及び刑法犯である詐欺罪、県職員の大醜聞を隠蔽するものである」と主張している。一方、実施機関は、大要、地方公務員であるセンター職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、本件各請求にあるような趣旨の公文書を作成又は取得することはないと主張する。
- そこで、本件各請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成、取得されたか否かを検討する。本件各請求のうち別表項番2の「職員の、昭和35年7月20日の最高裁大法廷の判例の解釈の具体的内容」という趣旨の公文書については、実施機関が主張するとおりセンターの業務に関連性が無いものであることから、あえて作成又は取得する理由がなく、また、その必要性も認められないものである。さらに、実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は地方公務員法の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務、同法第33条には信用失墜行為の禁止並びに同法第35条には職務に専念する義務が定められている。センターは地方公共団体の一機関であるため、職員が法令に従うのは当然のことであるが、そもそも一般的に不法行為その他の信用を失墜するような行為を公的機関の職員が行うことを認める趣旨の公文書を作成又は取得することは通常想定し難いことである。そのため、本件各請求のうち別表項番1、3、4及び5に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。
- したがって、本件各請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。
2 結論
以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
なお、申立人は異議申立書において、本件各処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件各請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件各請求に係る公文書が存在することを前提とした申立人の当該主張は是認することはできない。
第6 審査の経過
当審査会の処理経過は、以下のとおりである。
年月日 | 内容 |
---|---|
平成28年2月25日 | 諮問 |
平成28年6月24日 | 実施機関からの理由説明書を受領 |
平成28年8月17日 (第55回 第一部会) |
審議(本件事案の概要説明) |
平成28年11月24日 (第56回 第一部会) |
審議 |
平成28年11月25日 | 答申 |
項番 | (あ) 請求年月日 |
(い) 開示を請求する公文書の内容又は件名 |
(う) 決定年月日 |
(え) 決定 |
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1 | 平成28年1月9日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の職員(○○○○○、○○○○、○○○○○、○○○○、○○○○○を含む、以下乙という)が、自らに不都合な法令(例:最高裁大法廷の昭和35年7月20日の判例)を甲の患者(以下丙という)に指摘されても、乙は丙に乙と丙の法解釈の違いと言い放って誤魔化そうとする趣旨の甲の内部文書 | 平成28年1月25日 | 不存在 |
2 | 平成28年1月9日 | 県立○○○○センターの職員(○○○○○、○○○○、○○○○○、○○○○○、○○○○、○○○○○を含む)の、昭和35年7月20日の最高裁大法廷の判例の解釈の具体的内容 | 平成28年1月25日 | 不存在 |
3 | 平成28年1月20日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の○○女性医師職員と○○○○看護職員が、甲にて当直勤務中、地方公務員法違反の怠業罪を犯してよい、または犯さなくてはならない、という内容 | 平成28年2月3日 | 不存在 |
4 | 平成28年1月20日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の○○女医(以下乙という)が、甲の患者(以下丙という)の乙の作成したカルテを、群馬県個人情報保護条例に背いて、丙の承諾なしに、警察に公開してよい、またはしなければならない、という内容 | 平成28年2月3日 | 不存在 |
5 | 平成28年1月21日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の○○女性医師職員が、甲の男性看護職員(○○○○を含む)と不倫旅行に行ってよい、または行かなくてはならない、という内容 | 平成28年2月3日 | 不存在 |