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公文書開示審査会答申第182号
「県立○○センター(以下甲という)の職員が、平成25年に民法が改正されて違法になった甲のルールを、甲の患者に守らせてよい・又は守らせなければならない、という内容」外8件の公文書不存在決定に対する審査請求に係る答申書
群馬県公文書開示審査会第一部会
第1 審査会の結論
群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。
第2 諮問事案の概要
1 公文書開示請求
審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、本件各請求に係る公文書について存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、請求人に通知した。
(不存在の理由)
当該請求に係る文書は保有していないため。
3 審査請求
請求人は、実施機関に対して、本件各処分を不服として平成28年8月3日付けで審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。
4 弁明書の送付
実施機関は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定に基づき、平成28年9月15日付けで弁明書を作成し、その副本を請求人に送付した。
5 口頭意見陳述の実施
実施機関は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第31条第1項の規定に基づき、平成28年12月8日、口頭意見陳述を実施した。
6 諮問
実施機関は、条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成29年1月17日、本件審査請求事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。
第3 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
本件各請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。
第4 争点に対する当事者の主張
1 請求人の主張要旨
条例第14条(2)イ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業等の地方公務員法違反・刑法犯である詐欺罪・群馬県職員の大醜聞・憲法違反等を隠蔽するものである。
2 実施機関の主張要旨
地方公務員である群馬県立○○センター(以下「センター」という。)職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、本件各請求に示すような服務の根本基準から外れる行為や不法行為、信用を失墜するような内容を示す公文書を作成又は取得することはない。
3 口頭意見陳述における請求人の主張要旨
前記第2の5の口頭意見陳述について、実施機関から提出された口頭意見陳述聴取結果記録書には、請求人の主張として、おおむね以下のことが記されている。
- センター職員は、本件各請求にある内容のことをいずれも行っている。
- センターは、不法な条件を色々と付けている。例えば、携帯電話の使用について、群馬県の迷惑防止条例には携帯電話の使用については規定されていない。管理権はあるだろうが、はっきり決まっていないことは原則自由ということが憲法の精神であって、条例にうたわれていないものを制限するのは明らかに不法な条件である。
- 都内の高級ホテルは何十万円もの請求がくるか分からないにも関わらず、センターの職員はそういう心配をしてくれない。センターの職員は、そういう心配をしなければならないのに、心配をしてくれないということは、その根拠をセンターは保有しているはずである。
- 私が個人情報開示請求をして開示された文書には、「心配していない」というようなことが書かれていた。
- 出張をしてパソコンを修理してもらうには1万円以上の費用がかかるが、何の報酬ももらっていないため、「報酬を払わなくてもよい又は払ってはならない」という公文書があるはずである。
- 刑法その他の法令があるから犯罪が起こらないかというと、そうではなく実際に色々な犯罪が起きている。だから禁じられているからそのような公文書は存在しないという主張は最初から崩れている。それは不存在の証明にはならない。
第5 審査会の判断
1 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
- 請求人は、「条例第14条(2)イ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業等の地方公務員法違反・刑法犯である詐欺罪・群馬県職員の大醜聞・憲法違反等を隠蔽するものである」と主張している。一方、実施機関は、大要、地方公務員であるセンター職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、本件各請求にあるような趣旨の公文書を作成又は取得することはないと主張する。そこで、本件各請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成又は取得されたか否か検討するものとする。
なお、本審査会の判断に当たっては、本件各請求の記載内容に照らして、不特定多数の県民に対しての公文書が存在するか否かの観点から判断するものとする。 - 本件各請求のうち別表項番5、6、7、8及び9の(い)欄に記載の趣旨の公文書については、実施機関があえて作成又は取得する理由がなく、また、その必要性も認められないものである。
また、実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は地方公務員法(昭和25年法律第261号)の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務、同法第33条には信用失墜行為の禁止並びに同法第35条には職務に専念する義務が定められている。センターは地方公共団体の一機関であるため、職員が法令に従うのは当然のことであるが、そもそも一般的に不法行為その他の信用を失墜するような行為を公的機関の職員が行うことを認める趣旨の公文書を作成又は取得することは通常想定し難いことである。そのため、本件各請求のうち別表項番1、2、3及び4に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。 - したがって、本件各請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。
2 結論
以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
なお、請求人は審査請求書において、本件各処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件各請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件各請求に係る公文書が存在することを前提とした請求人の当該主張は是認することはできない。
また、請求人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。
第6 審査の経過
当審査会の処理経過は、以下のとおりである。
年月日 | 内容 |
---|---|
平成29年1月17日 | 諮問 |
平成29年2月7日 (第58回 第一部会) |
審議(本件事案の説明) |
平成29年3月15日 (第59回 第一部会) |
審議 |
平成29年3月22日 | 答申 |
項番 | (あ) 請求年月日 |
(い) 開示を請求する公文書の内容又は件名 |
(う) 決定年月日 |
(え) 決定 |
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1 | 平成28年5月24日 | 県立○○センター(以下甲という)の職員(○○・○○・○○・○○・○○を含む)が、平成25年に民法が改正されて違法になった甲のルールを、甲の患者に守らせてよい・又は守らせなければならない、という内容 | 平成28年6月6日 | 不存在 |
2 | 平成28年6月13日 | 県立○○センター(以下甲という)の職員(○○・○○・○○・○○・○○・○○を含む)が、甲の外来患者で精神障害一級の認定を受けている者が合衆国大統領が利用したりテレビにもよく放映される東京の高級ホテルに行くと聞いても、そんなところで飲食をしたり宿泊したらいくら吹っ掛けられるかわからないというのに、当該患者を心配しなくてよい・又はしてはならない、という内容 | 平成28年6月24日 | 不存在 |
3 | 平成28年6月18日 | 県立○○センター(以下甲という)の○○(以下乙という)が、甲の外来患者から別の甲の患者の自傷他害の恐れのある言動について聞かされても、乙はこれについて何もしなくてもよい・又はしてはならない、という内容 | 平成28年6月30日 | 不存在 |
4 | 平成28年6月29日 | 県立○○センターの○○医師職員と○○看護職員が、たまたま名字が同じであることを利用して夫婦と偽称して不倫旅行に行ってよい・又は行かなくてはならない、という内容 | 平成28年7月12日 | 不存在 |
5 | 平成28年7月5日 | 県立○○センター(以下甲という)の管理者と甲の○○職員(以下丙という)が、甲の外来患者(以下乙という)に、甲のデイケア室のネットに接続できなくなったパソコンを乙に半日で直すという神業をさせておいて、丙は乙に何の報酬も払わなくてよい・又は払ってはならない、という内容 | 平成28年7月15日 | 不存在 |
6 | 平成28年7月5日 | 県立○○センターの○○職員が国際法違反を犯しても、国際法に強制管轄権を持つ裁判所がないからといって、これに対する償いをしなくてもよい・又はしてはならない、及びその上司の○○職員もこれを容認してよい・又はしなければならない、という内容 | 平成28年7月15日 | 不存在 |
7 | 平成28年7月6日 | 県立○○センター(以下甲という)の○○職員(以下乙という)が、日本最古の国立大学の医学部長(以下丙という)にも知らない人だから敬称をつけないと公言するので、甲の患者で乙が丙に会えるような推薦状(以下丁という)を書いてもらえる者が、乙に丙に対して丁を渡すから実際に丙に会っても敬称を付けないように言っても、乙は自身が公言している前述の行為を実行しなくてよい・又はしてはならない、という内容 | 平成28年7月20日 | 不存在 |
8 | 平成28年7月9日 | 県立○○センターの職員(○○・○○・○○・○○・○○・○○・○○・○○・○○・○○・○○・○○を含む)が、明治時代から慣例として認められている博士号取得者に対する礼遇を守らなくてよい・又は守ってはならない、という内容 | 平成28年7月22日 | 不存在 |
9 | 平成28年7月10日 | 県立○○センターの○○看護師長(以下甲という)が、ずうずうしくも日本最高峰の私立大学(以下Wという)の学位取得者(以下乙という)に、甲の意に沿うような結果の出そうな情報開示請求を依頼してもよい・又はしなければならない、及びその際Wの学則で定める料金を乙が甲に請求しても、甲はこれを払わなくてよい・又は払ってはならない、という内容 | 平成28年7月22日 | 不存在 |