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公文書開示審査会答申第185号

更新日:2017年3月28日 印刷ページ表示

「県立○○センター(以下甲という)の当直・日直看護職員(以下乙という)が、甲の外来患者(以下丙という)からの甲の当直・日直医(以下丁という)に電話を繋いでくれという依頼を、乙の独断と偏見で丙を騙してまで断ってよい・又は断らなくてはならない、及びこの事案に対して、甲の管理者を含む丁が一切責任を取らなくてよい・又は取ってはならない、という内容」外4件の公文書不存在決定に対する審査請求に係る答申書

群馬県公文書開示審査会第一部会

第1 審査会の結論

 群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、本件各請求に係る公文書について存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、請求人に通知した。
(不存在の理由)
 当該請求に係る文書は保有していないため。

3 審査請求

 請求人は、実施機関に対して、本件各処分を不服として平成28年11月1日付けで審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

4 弁明書の送付

 実施機関は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定に基づき、平成28年11月22日付けで弁明書を作成し、その副本を請求人に送付した。

5 口頭意見陳述の実施

 実施機関は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第31条第1項の規定に基づき、平成28年12月8日、口頭意見陳述を実施した。

6 諮問

 実施機関は、条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成29年1月17日、本件審査請求事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

 本件各請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 請求人の主張要旨

 条例第14条(2)イ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業等の地方公務員法違反・刑法犯である詐欺罪・憲法違反等を隠蔽するものである。

2 実施機関の主張要旨

 地方公務員である群馬県立○○センター(以下「センター」という。)職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、本件各請求に示すような服務の根本基準から外れる行為や不法行為、信用を失墜するような内容を示す公文書を作成又は取得することはない。

3 口頭意見陳述における請求人の主張要旨

 前記第2の5の口頭意見陳述について、実施機関から提出された口頭意見陳述聴取結果記録書には、請求人の主張として、おおむね以下のことが記されている。

  1. センター職員は、本件各請求にある内容のことをやっていたり、そのような発言、記録があるため、そういう公文書があるはずである。
  2. 医師の氏名は病院に掲げる義務があるので、病院に掲示されている氏名を写真に撮っている。当直の師長との電話のやり取りの録音もある。
  3. 病院に掲示されたリストに無いため、当直師長に確認したところ、先ほどの録音で認めているではないか。

第5 審査会の判断

1 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

  1. 請求人は、「条例第14条(2)イ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業等の地方公務員法違反・刑法犯である詐欺罪・憲法違反等を隠蔽するものである」と主張している。一方、実施機関は、大要、地方公務員であるセンター職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、本件各請求にあるような趣旨の公文書を作成又は取得することはないと主張する。そこで、本件各請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成又は取得されたか否か検討するものとする。
     なお、本審査会の判断に当たっては、本件各請求の記載内容に照らして、不特定多数の県民に対しての公文書が存在するか否かの観点から判断するものとする。
  2. 本件各請求のうち別表項番2の(い)欄に記載の趣旨の公文書については、実施機関があえて作成又は取得する理由がなく、また、その必要性も認められないものである。
     本件各請求のうち別表項番3の(い)欄に記載の趣旨の公文書については、センターにおける個別具体的な電話対応の根拠となる公文書を請求しているものと認められる。この電話対応については答申第139号において示したとおり、作成又は取得していないということに特段の不合理な点は認められない。
    また、実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は地方公務員法(昭和25年法律第261号)の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務、同法第33条には信用失墜行為の禁止並びに同法第35条には職務に専念する義務が定められている。センターは地方公共団体の一機関であるため、職員が法令に従うのは当然のことであるが、そもそも一般的に不法行為その他の信用を失墜するような行為を公的機関の職員が行うことを認める趣旨の公文書を作成又は取得することは通常想定し難いことである。そのため、本件各請求のうち別表項番1、4及び5に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。
  3. したがって、本件各請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、請求人は審査請求書において、本件各処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件各請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件各請求に係る公文書が存在することを前提とした請求人の当該主張は是認することはできない。
 また、請求人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成29年1月17日 諮問
平成29年2月7日
(第58回第一部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成29年3月15日
(第59回第一部会)
審議
平成29年3月22日 答申
別表
項番 (あ)
請求年月日
(い)
開示を請求する公文書の内容又は件名
(う)
決定年月日
(え)
決定
1 平成28年9月7日 県立○○センター(以下甲という)の当直・日直看護職員(以下乙という)が、甲の外来患者(以下丙という)からの甲の当直・日直医(以下丁という)に電話を繋いでくれという依頼を、乙の独断と偏見で丙を騙してまで断ってよい・又は断らなくてはならない、及びこの事案に対して、甲の管理者を含む丁が一切責任を取らなくてよい・又は取ってはならない、という内容 平成28年9月20日 不存在
2 平成28年9月15日 県立○○センター(以下甲という)の職員が、甲の外来患者に、平日の営業時間外は、緊急診察の時以外は一切会わなくてよい・又は会ってはならない、という規則の具体的内容 平成28年9月29日 不存在
3 平成28年9月21日 県立○○センター(以下甲という)の○○(以下乙という)が、群馬県内規に違反して、甲の外来患者(以下丙という)の電話に出なくてもよい・又は出てはならない、及び乙が丙の電話に出られなくても、群馬県内規に違反して、乙が手の空いたときに丙に架電し直さなくてよい・又は架電してはならない、という内容 平成28年10月5日 不存在
4 平成28年10月8日 県立○○センター(以下甲という)の精神障害1級が認められている外来患者(以下乙という)が、国内の旅行先で精神錯乱に陥った、と乙が甲の職員(以下丙という)に電話しても、丙は乙を救助しなくてよい・又はしてはならない、という内容 平成28年10月24日 不存在
5 平成28年10月15日 県立○○センター(以下甲という)の○○医師職員が、甲の患者に対して、自身の名前を「○○」等と偽称してよい・又はしなければならない、という内容 平成28年10月28日 不存在

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