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公文書開示審査会答申第180号

更新日:2017年3月27日 印刷ページ表示

「消費生活課の消費者支援係員(嘱託相談員を含む)らが、一般県民(以下甲という)から消費相談を受け、書証も示されているというのに、それに反する確たる情報も証拠もなく、また自身らに消費者保護法で斡旋の権限があるにもかかわらず、甲の甲とトラブルになっている業者との斡旋の依頼を断ってよい・または断らなくてはならない、という内容」の公文書不存在決定に対する審査請求に係る答申書

群馬県公文書開示審査会第二部会

第1 審査会の結論

 群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成28年5月17日付けで、「消費生活課の消費者支援係員(嘱託相談員を含む)らが、一般県民(以下甲という)から消費相談を受け、書証も示されているというのに、それに反する確たる情報も証拠もなく、また自身らに消費者保護法で斡旋の権限があるにもかかわらず、甲の甲とトラブルになっている業者との斡旋の依頼を断ってよい・または断らなくてはならない、という内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成28年5月31日、本件請求に係る公文書について存在しないことを確認し、公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、請求人に通知した。
(不存在の理由)
 開示を請求された公文書の内容又は件名に関する公文書は保有していないため。

3 審査請求

 請求人は、実施機関に対して、本件処分を不服として平成28年6月20日付けで審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

4 弁明書の送付

 実施機関は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定に基づき、平成28年7月14日付けで弁明書を作成し、その副本を請求人に送付した。

5 口頭意見陳述の実施

 実施機関は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第31条第1項の規定に基づき、平成28年8月25日、口頭意見陳述を実施した。

6 諮問

 実施機関は、条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成28年10月12日、本件審査請求事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

 本件請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 請求人の主張要旨

 条例第14条(2)イ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業等の地方公務員法(昭和25年法律第261号)違反・憲法違反を隠蔽するものである。

2 実施機関の主張要旨

  1. 消費者安全法(平成21年法律第50号)第10条第1項で、都道府県には「消費生活センター」の設置義務があり、同法第8条第1項第2号で消費者安全の確保に関する事務を行うこととされている。そして、群馬県消費生活センター(以下「県センター」という。)は、消費者からの苦情相談等に応じることをその役割としている。
  2. あっせんは、当事者間の合意により迅速かつ円満に紛争を解決することが期待できる一方、行政処分や裁判手続と異なりあっせん案に法的拘束力がないこと、当事者のあっせん手続への参加が任意であり、一方が参加を拒否した場合、手続が打切りとならざるを得ない等の特徴がある。従って、苦情の内容を踏まえ、あっせんを行うことが適当と認められる場合には、あっせんを行うこととなる。このように、苦情相談の内容に応じあっせんを行うことが県センターの役割である。
  3. また、地方公務員法第32条には、法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められており、また、群馬県非常勤嘱託職員就業要領第13条第2項には、非常勤嘱託職員の法令等に従う義務が定められている。
  4. 消費生活課職員及び相談員は消費者安全法その他の法令を遵守する義務があり、あっせんを行わなくてもよい、又は行ってはならない、というような法令に反する趣旨の公文書を作成又は取得することはない。

3 口頭意見陳述における請求人の主張要旨

 前記第2の5の口頭意見陳述について、実施機関から提出された口頭意見陳述聴取結果記録書には、請求人の主張として、おおむね以下のことが記されている。

  1. 消費生活課の消費者支援係員(嘱託相談員を含む)らが、一般県民から消費相談を受け、書証も示されているというのに、それに反する確たる情報も証拠もなく、また自身らに消費者保護法であっせんの権限があるにもかかわらず、一般県民と一般県民のトラブルになっている業者とのあっせんの依頼を断ってよい・または断らなくてはならない、という請求内容にあることが、実際にあった。
  2. 実際に消費者事故にあって、消費生活課職員から、購入店で買った証明を求められたので、その領収書の画像ファイルを実施機関に送った(当該証明を提示)。
  3. 今年の春にホテルに泊まったことの証明がある(当該証明を提示)。当ホテルは、こういう泊まった証拠があると、領収書を書かないと言っている。
  4. 私が買った延長電源ケーブルの型番が○○だというのに、消費生活課職員は、おそらくメーカーから送らせただろうが、○○と表記されているものをFaxで送ってきた(当該印刷物を提示)。製造番号や型番が1文字でも違っていると保証の対象外とされてしまう。
  5. 消費者の言うことは聞かず、事業者側の言い訳ばかり鵜呑みにしている。
  6. 消費生活課内に、こういうめちゃくちゃなあっせんを認める公文書があるはずである。
  7. こういうものを全て、電子データかFaxで実施機関は受けているので、保有している。したがって、提出書類等の閲覧の求めについて、実施機関が保有していないというのは全くのデタラメである。

第5 審査会の判断

1 争点(本件請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

  1. 請求人は、「条例第14条(2)イ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業等の地方公務員法違反・憲法違反を隠蔽するものである」と主張している。一方、実施機関は、大要、苦情相談の内容に応じあっせんを行うことが県センターの役割であり、消費者安全法その他の法令を遵守する義務があるため、あっせんを行わなくてもよい、又は行ってはならない、というような法令に反する趣旨の公文書を作成又は取得することはないと主張する。そこで、本件請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成又は取得されたか否か検討するものとする。なお、本審査会の判断に当たっては、本件請求の記載内容に照らして、不特定多数の県民に対しての公文書が存在するか否かの観点から判断するものとする。
  2. 消費者安全法第10条第1項により都道府県に設置義務がある「消費生活センター」は、同法第8条第1項のとおり消費生活相談等の事務を実施する役割がある。そのため、県センターでは県民等から消費生活に関する相談を受けた場合、その内容を聴取し必要な助言や情報提供のほか相談者と事業者との間に立って交渉する、あっせんを行うなど相談内容の解決に向けた業務を行っている。また、県センターに対する相談内容は、「契約・取引に関する相談」や「製品トラブルに関する相談」、「多重債務の相談」など多種多様なものがあり、不特定多数の県民から広く相談が寄せられるものである。
  3. そのため、上記のような役割がある県センターにおいて、不特定多数の県民からの相談の解決に向けた業務を行うなかで、一般的に、事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんをしなくてよいというような趣旨の公文書を作成又は取得することは通常はあり得ないことであることから、本件請求に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。
  4. したがって、本件請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、請求人は審査請求書において、本件処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件請求に係る公文書が存在することを前提とした請求人の当該主張は是認することはできない。
 また、請求人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成28年10月12日 諮問
平成28年12月20日
(第57回第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成29年1月31日
(第58回第二部会)
審議
平成29年3月22日 答申

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