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公文書開示審査会答申第178号

更新日:2017年3月29日 印刷ページ表示

「健康福祉課保護係の職員が、一般県民が行政不服審査法を所管している総務省に『国がそんな通達を出すわけがない』と確認したにもかかわらず、厚生労働省に言われていると称して、行政不服審査法第57条2項・3項を守らなくてよい・または守ってはならない、という内容」外1件の公文書不存在決定に対する審査請求に係る答申書

群馬県公文書開示審査会第二部会

第1 審査会の結論

 群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、本件各請求に係る公文書について存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、請求人に通知した。
(不存在の理由)
 厚生労働省が行政不服審査法第57条第2項・第3項を守らなくてよいと言った事実はなく、当該請求に係る文書は保有していないため。

3 審査請求

 請求人は、実施機関に対して、本件各処分を不服として平成28年4月29日付けで審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

4 弁明書の送付

 実施機関は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定に基づき、平成28年7月15日付けで弁明書を作成し、その副本を請求人に送付した。

5 口頭意見陳述の実施

 実施機関は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第31条第1項の規定に基づき、平成28年8月25日、口頭意見陳述を実施した。

6 諮問

 実施機関は、条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成28年10月12日、本件審査請求事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

 本件各請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 請求人の主張要旨

 条例第14条2のイ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業・憲法違反及び刑法犯である詐欺罪・偽計業務妨害罪を隠蔽するものである。

2 実施機関の主張要旨

(1)健康福祉課の役割

 地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項により、県は第一号法定受託事務として生活保護法(昭和25年法律第144号)に基づく事務を処理することとされている。健康福祉課では、群馬県行政組織規則(昭和32年群馬県規則第71号)第13条の3に基づき、「生活保護法の施行に関すること。」を事務分掌の一部として所管している。本県内の福祉事務所が行った、生活保護の決定及び実施に関する事務に係る処分(以下「生活保護法による処分」という。)について、生活保護法第64条及び行政不服審査法(昭和37年法律第160号。以下「旧行審法」という。)第5条第1項、同第2項に基づき、県知事に対し審査請求があった場合は、健康福祉課が審査事務を行うこととなる。このように、生活保護法による処分に係る審査請求に対し、生活保護法及び旧行審法の規定に基づき、公正、公平かつ適法に審査事務を行うことが健康福祉課の役割であり、本件各請求にある「行政不服審査法第57条2項・3項を守らなくてよい・または守ってはならない」というような内容の文書は存在しない。

(2)職員の法令遵守義務について

 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第32条では、「職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」とされ、地方公務員は法令等及び上司の職務上の命令に従う義務がある。このように、地方公務員である健康福祉課職員は、行政不服審査法その他の法令を遵守する義務があり、本件各請求にある「行政不服審査法第57条2項・3項を守らなくてよい・または守ってはならない」というような法令に反する趣旨の公文書を作成又は取得することはない。

3 口頭意見陳述における請求人の主張要旨

 前記第2の5の口頭意見陳述について、実施機関から提出された口頭意見陳述聴取結果記録書には、請求人の主張として、おおむね以下のことが記されている。

  1. 開示請求を2件したが、1件目では文言が不足していると思い、もう少し念入りに書いた方がよいと思って2件目を出したものであり、実質的には同じものである。
  2. 開示請求の「一般県民」とは私のことであるが、固有名詞を書くと存否応答拒否になるので一般県民とした。
  3. 旧行審法第57条第2項の申立てをした。申立てを受けたら文書で教示をしなければならないにもかかわらず、現に文書が届いていない。これは1人の職員の判断でできる訳がなく、健康福祉課でそういうことを企んだ公文書があるはずだと思っている。
  4. 弁明書には地方公務員法で禁じられているので、そのようなものは存在しないとあるが、刑法等に罰則があるから犯罪が起こらないという訳ではなく、実際に犯罪が起きている。
  5. 群馬県職員であっても地方公務員法を守るとは限らない。
  6. 組織ぐるみでやっている以上、そういう公文書があるはずである。
  7. 却下でも再審査請求はできる。もちろん却下裁決の判断を変えるべき証拠が必要だが、その有無はともかく再審査請求はできる。どうせ却下されるだろうと思って教示をしないのは明らかに違法である。不服があれば再審査請求自体は何でもできる。

第5 審査会の判断

1 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

  1. 実施機関は、本件各処分における不存在の理由を、「厚生労働省が行政不服審査法第57条第2項・第3項を守らなくてよいと言った事実はなく、当該請求に係る文書は保有していないため」としているが、弁明書においては、この事実についての主張がないため、弁明書における主張から判断して、この不存在の理由の意味するところを、単に事実関係を明確にした上で「行政不服審査法第57条第2項・第3項を守らなくてよい」という趣旨の公文書が存在しない旨を述べたものであると解し、請求人及び実施機関の主張を踏まえて審査することとする。
  2. 請求人は、「条例第14条2のイ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業・憲法違反及び刑法犯である詐欺罪・偽計業務妨害罪を隠蔽するものである」と主張している。一方、実施機関は、大要、地方公務員である職員は、行政不服審査法その他の法令を遵守する義務があり、本件各請求にあるような法令に反する趣旨の公文書を作成又は取得することはないと主張する。そこで、本件各請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成又は取得されたか否か検討するものとする。なお、本審査会の判断に当たっては、本件各請求の記載内容に照らして、不特定多数の県民に対しての公文書が存在するか否かの観点から判断するものとする。
  3. 実施機関における一般職に属する全ての地方公務員は地方公務員法の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められている。そのため、職員が法令に従うのは当然のことであるが、そもそも一般的に不法行為その他の信用を失墜するような行為を公的機関の職員が行うことを認める趣旨の公文書を実施機関において作成又は取得することは通常想定し難いことであることから、本件各請求に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。
  4. したがって、本件各請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、請求人は審査請求書において、本件各処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件各請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件各請求に係る公文書が存在することを前提とした請求人の当該主張は是認することはできない。
 また、請求人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理状況
年月日 内容
平成28年10月12日 諮問
平成28年12月20日
(第57回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成29年1月31日
(第58回 第二部会)
審議
平成29年3月22日 答申
別表
項番 (あ)
請求年月日
(い)
開示を請求する公文書の内容又は件名
(う)
決定年月日
(え)
決定
1 平成28年3月24日 健康福祉課保護係の職員が、一般県民が行政不服審査法を所管している総務省に「国がそんな通達を出すわけがない」と確認したにもかかわらず、厚生労働省に言われていると称して、行政不服審査法第57条2項・3項を守らなくてよい・または守ってはならない、という内容 平成28
年4月6日
公文書不存在決定
2 平成28年3月24日 健康福祉課保護係の職員(以下甲という)が、一般県民(以下丙という)が行政不服審査法(以下乙という)を所管している総務省に「国がそんな(乙に反するの意)通達を出すわけがない」と確認したにも関わらず、厚生労働省に乙で定められている丙に対する甲及び県知事の義務を履行しなくてもよいと言われていると称して、乙第57条2項・3項を守らなくてよい・または守ってはならない、という内容 平成28
年4月6日
公文書不存在決定

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