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公文書開示審査会答申第179号

更新日:2017年3月29日 印刷ページ表示

「病院局総務課(以下甲という)の職員が、甲は県立病院の上部機関なのに、県立病院の職員の不法行為(群馬県内規違反・医師法違反・医療法違反・地方公務員法違反・刑法犯である詐欺罪・偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪・強要罪、等)を一般県民から通報されても、地方公務員法29条に基づく当該職員の懲戒処分をろくに調査もせずに放置してよい・またはしなければならない、という内容」の公文書不存在決定に対する審査請求に係る答申書

群馬県公文書開示審査会第二部会

第1 審査会の結論

 群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成28年4月29日付けで、「病院局総務課(以下甲という)の職員が、甲は県立病院の上部機関なのに、県立病院の職員の不法行為(群馬県内規違反・医師法違反・医療法違反・地方公務員法違反・刑法犯である詐欺罪・偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪・強要罪、等)を一般県民から通報されても、地方公務員法29条に基づく当該職員の懲戒処分をろくに調査もせずに放置してよい・またはしなければならない、という内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成28年5月11日、本件請求に係る公文書について存在しないことを確認し、公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、請求人に通知した。
(不存在の理由)
 当該請求に係る文書は保有していないため。

3 審査請求

 請求人は、実施機関に対して、本件処分を不服として平成28年5月20日付けで審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

4 弁明書の送付

 実施機関は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定に基づき、平成28年7月19日付けで弁明書を作成し、その副本を請求人に送付した。

5 口頭意見陳述の実施

 実施機関は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第31条第1項の規定に基づき、平成28年8月25日、口頭意見陳述を実施した。

6 諮問

 実施機関は、条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成28年10月12日、本件審査請求事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

 本件請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 請求人の主張要旨

 条例第14条(2)イ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業等の地方公務員法(昭和25年法律第261号)違反・憲法違反を隠蔽するものである。

2 実施機関の主張要旨

 今回の審査請求に係る開示請求の内容は、県民から県立病院職員の不法行為を通報された際の病院局総務課の対応についての根拠を求めていると思われるが、地方公務員の服務等人事行政に関する根本基準を定めたものとしては、地方公務員法がある。同法第30条には服務の根本基準が定められており、第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務、第35条には職務に専念する義務が定められている。また、同法第29条には、「職員が、次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。」とあり、懲戒処分に該当する場合として「この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合」、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」、「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」とある。
 地方公務員である県立病院職員は、法令等を遵守すべき義務があり、これに違反した場合は、地方公務員法第29条に基づき懲戒処分を受ける可能性がある。しかしながら、職員の懲戒処分に該当する行為の有無は調査しなければ判断できないものであるから、同じく法令等を遵守し、職務に専念すべき義務のある病院局総務課職員が、県立病院の職員の不法行為を一般県民から通報されても「ろくに調査もせずに放置してよい・またはしなければならない」などを認める趣旨の公文書を作成又は取得することはない。
 したがって、当該請求に係る公文書は、作成又は取得しておらず、保有もしていないため、不存在としたものである。

3 口頭意見陳述における請求人の主張要旨

 前記第2の5の口頭意見陳述について、実施機関から提出された口頭意見陳述聴取結果記録書には、請求人の主張として、おおむね以下のことが記されている。

  1. 電話を勝手に切ってはいけなく、どうしても切らなければならなければ架け直さなければならないが、架け直してくるのは事務職員ばかりで看護職員と医師職員は全く架け直してこない。
  2. 薬を飲まないと一睡もできない人間に向かって「医師の職権だからお前には薬を出さない」というのは、明らかに医療法(昭和23年法律第205号)違反である。
  3. 通報されても1名しか引責辞任をされた者がいないということは、明らかに放置している。これは一職員の判断でできるわけでなく、現に請求のとおりの公文書が存在すると想定される。そうでなければ、もっと処分される者が出ないとおかしい。
  4. 医師の判断であっても間違いがあり得る。
  5. セカンドオピニオンをどこかに求めたりしないのか。明らかに医師がおかしなことを言っているのに、鵜呑みにするのは上部機関の意味がない。車の免許を持っている人間が、実際に事故や交通違反を起こさないのか。

第5 審査会の判断

1 争点(本件請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

  1. 請求人は、「条例第14条(2)イ違反であり、また原処分は群馬県条例を持ち出すまでもなく職権濫用・怠業等の地方公務員法違反・憲法違反を隠蔽するものである」と主張している。一方、実施機関は、大要、地方公務員である県立病院職員は法令等を遵守すべき義務があり、これに違反した場合は地方公務員法第29条に基づき懲戒処分を受ける可能性があるが、職員の懲戒処分に該当する行為の有無は調査しなければ判断できないものであるから、同じく法令等を遵守し、職務に専念すべき義務のある病院局総務課職員が、県立病院の職員の不法行為を一般県民から通報されても「ろくに調査もせずに放置してよい・またはしなければならない」などを認める趣旨の公文書を作成又は取得することはないと主張する。そこで、本件請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成又は取得されたか否か検討するものとする。なお、本審査会の判断に当たっては、本件請求の記載内容に照らして、不特定多数の県民に対しての公文書が存在するか否かの観点から判断するものとする。
  2. 実施機関における一般職に属する全ての地方公務員は地方公務員法の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務、同法第33条には信用失墜行為の禁止並びに同法第35条には職務に専念する義務が定められている。そのため、職員が法令に従うのは当然のことであるが、そもそも地方公務員法第29条に懲戒処分の規定があり、その懲戒処分をするにあたり必要があれば調査するのが当然であるため、それを一般的に「ろくに調査もせずに放置してよい」ということを認める趣旨の公文書を作成又は取得することは通常想定し難いものであることから、実施機関の主張に不自然な点は認められない。
  3. したがって、本件請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、請求人は審査請求書において、本件処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件請求に係る公文書が存在することを前提とした請求人の当該主張は是認することはできない。
 また、請求人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成28年10月12日 諮問
平成28年12月20日
(第57回第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成29年1月31日
(第58回第二部会)
審議
平成29年3月22日 答申

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