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公文書開示審査会答申第124号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 群馬県病院管理者が行った公文書部分開示決定のうち、次の部分については開示すべきであるが、その他の部分については非開示が妥当である。
 「群馬県立病院における医療系廃棄物収集運搬及び処分業務委託契約に係る予定価格について」の、「予定価格積算票」のうち、各単価及び各単価に予定数量を掛けた積算金額の部分。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県病院管理者(以下「実施機関」という。)に対し、平成22年3月29日付けで、「平成22年度感染性廃棄物処理業務の入札仕様書、指名通知から落札まで、その付帯書面、予定価格、最低制限価格等々」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成22年4月9日、本件請求に係る公文書を「平成22年度感染性廃棄物処理業務の入札仕様書、指名通知から落札まで、その付帯書面、予定価格、最低制限価格等々」であると判断し、次の(1)~(4)の公文書(以下「本件公文書」という。)を特定した上で、公文書部分開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、本件公文書の一部を開示しない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
 (1)医療系廃棄物収集運搬及び処分業務委託仕様書について(以下「本件公文書1」という。)
 (2)群馬県立病院における廃棄物収集運搬及び処分業務委託に係る指名競争入札の実施について(以下「本件公文書2」という。)
 (3)群馬県立病院における医療系廃棄物収集運搬及び処分業務委託契約に係る予定価格について(以下「本件公文書3」という。)
 (4)群馬県立病院の医療系廃棄物収集運搬及び処分業務委託に係る入札結果について(以下「本件公文書4」という。)

○条例第14条第3号イ該当
 (非開示部分)
 本件公文書4のうち「入札書」中の、収集運搬及び中間処分の単価及び単価に予定数量を掛けた金額
 (非開示理由)
 開示することにより、各法人独自の積算等が明らかになり、他の法人や取引相手が知ることで、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。

○条例第14条第6号ロ該当
 (非開示部分)
 本件公文書3のうち「予定価格積算票」中の、単価及び積算金額
 (非開示理由)
 開示することにより、積算金額が明らかになり、今後、同様の入札を開催する場合にあたって、公正な競争に支障を及ぼすおそれがあるため。

3 異議申立て

申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成22年5月7日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成22年5月26日、本件異議申立て事案(以下「本件事案」という。)の諮問を行った。

第3 争点

争点1(条例第14条第3号イ該当性)

本件公文書4で非開示とされた部分が条例第14条第3号イに該当するか。

争点2(条例第14条第6号ロ該当性)

本件公文書3で非開示とされた部分が条例第14条第6号ロに該当するか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 申立人の主張要旨

(1)争点1(条例第14条第3号イ該当性)
 非開示理由について、正当な利益を害するおそれがあるためとの判断は理解できない。黒塗りしたものの開示は理解しかねる。

(2)争点2(条例第14条第6号ロ該当性)
 非開示理由はおかしいと思う。黒塗りしたものの開示は理解しかねる。

2 実施機関の主張要旨

 (1)本件公文書の特定について
 本件公文書は、群馬県立病院における医療系廃棄物収集運搬及び処分業務委託(以下「本件業務委託」という。)について、平成22年度~23年度契約(複数年契約)を締結するため、実施機関が実施した入札(以下「本件入札」という。)に係る仕様書の作成から執行までの一連の文書である。
 (2)争点1(条例第14条第3号イ該当性)
 当該非開示部分を開示することにより、各法人独自の積算等が明らかになり、他の法人や取引相手が知ることで、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると判断した。
 (3)争点2(条例第14条第6号ロ該当性)
 当該非開示部分を開示することにより、今後、同様の入札を開催する場合にあたって、公正な競争に支障を及ぼし、契約に係る事務に関し、県の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれがあると判断した。

第5 審査会の判断

当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおり判断する。

1 条例第14条第3号イ該当性について

 本件公文書4のうち「入札書」には、(1)収集運搬に係る各容器一箱当たりの単価、実施機関が示した予定数量、収集運搬に係る各容器一箱当たりの単価に予定数量を掛けた金額及び小計額(A)並びに(2)中間処分に係る1キログラム当たりの単価、実施機関が示した予定数量、中間処分に係る1キログラム当たりの単価に予定数量を掛けた金額及び小計額(B)並びに(3)小計額(A)及び(B)の合計金額が記載されている。
 このうち、実施機関が条例第14条第3号イに該当すると主張する本件公文書4の非開示部分は、落札業者以外の各入札参加者が記載した(1)及び(2)から、実施機関が示した予定数量を除いた部分である。すなわち、(1)のうち収集運搬に係る各容器一箱当たりの単価、収集運搬に係る各容器一箱当たりの単価に予定数量を掛けた金額及び小計額(A)に係る部分(以下「本件非開示部分(1)’」という。)並びに(2)のうち中間処分に係る1キログラム当たりの単価、中間処分に係る1キログラム当たりの単価に予定数量を掛けた金額及び小計額(B)に係る部分(以下「本件非開示部分(2)’」という。)である。
 当審査会は、本件事案についての概要説明を実施機関から受けたところ、本件入札については、医療系廃棄物の収集運搬業務と処分業務を併せて行ったものであり、収集運搬業者が入札参加者になるものとしているとのことである。そして、入札に参加する収集運搬業者は、自らが処分業者となる場合を除き、処分業務に係る費用として入札書に記載する処分単価については、自らが選定した処分業者と調整の上、処分業者の意向を反映させた金額を記載しているものであり、各事業者の財務状況や経営状況、収集運搬業者と処分業者間の関係性等が総合的に検討された結果算出されるものであるとのことである。
 当審査会において、本件公文書4を見分し、実施機関に確認したところによれば、異なる収集運搬業者が同じ処分業者を選定した場合で、処分業務に係る費用として入札書に記載された処分単価が異なる事例があることが確認された。このことは、特定の処分業者と各収集運搬業者との関係性等が、処分単価の多寡に影響することをうかがわせるものであり、これらの情報を公にした場合、特定の処分業者及び各収集運搬業者の営業上の秘密やノウハウ等が明らかになり、それらの業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるため、本件非開示部分(2)’は、条例第14条第3号イに該当すると判断される。
 また、本件非開示部分(1)’については、それらが開示された場合、(3)小計額(A)及び(B)の合計金額が開示されていることから、本件非開示部分(2)’を容易に求めることができるため、条例第14条第3号イ該当性を判断するまでもなく、非開示とすることが妥当である。

2 条例第14条第6号ロ該当性について

 実施機関が条例第14条第6号ロに該当すると主張する本件公文書3の非開示部分は、「予定価格積算票」のうち、各単価及び各単価に予定数量を掛けた積算金額の部分である。実施機関は、本件公文書3の当該非開示部分を開示することで、入札参加者等が、より正確に実施機関が設定した予定価格を推察し得ることになり、その結果として、今後の契約金額が高止まりするおそれがあり、公正な競争に支障を及ぼし、契約に係る事務に関し、県の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれがあるため、条例第14条第6号ロに該当すると主張する。
 確かに、本件公文書3の当該非開示部分を開示することで、実施機関の主張するような「より正確に実施機関が設定した予定価格を推察し得る」ことの結果として、「今後の契約金額が高止まりするおそれ」があることは否定できない。
 しかし、契約締結を目指す入札参加者等間の競争原理が正しく働いているならば、予定価格を公にしたとしても、提供し得るより低い価格で入札をすることが考えられ、その結果として、今後の契約金額が高止まりする可能性は低いといえる。
 また、当審査会が実施機関に確認したところ、本件業務委託の次回入札予定は、2年後の平成23年度であり、本件入札業務に係る単価は、本件入札業務にのみ用いられるとのことである。そもそも「予定価格積算票」の各単価の積算については、容器本体の価格に加え、人件費、燃料費等が考慮されているのが通常である。そうだとすると、次回入札までの間に、諸経費が経年によって変動することは十分に考えられ、各単価の積算についても一定ということはありえない。したがって、本件入札業務に係る単価が公になったとしても、実施機関が行う今後の入札業務には支障がないと認められる。
 以上を考慮すると、実施機関の主張する「今後の契約金額が高止まりするおそれ」に法的保護に値する蓋然性があるとまでは認められず、条例第14条第6号ロには該当しないと判断される。

3 結論

以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
なお、申立人は、その他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成22年5月26日 諮問
平成22年6月24日 実施機関からの理由説明書を受領
平成22年8月4日 異議申立人からの意見書を受領
平成22年9月10日
(第35回 第一部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成22年11月4日
(第127回審査会)
審議
平成22年12月14日
(第128回審査会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成23年1月19日
(第129回審査会)
審議
平成23年3月7日
(第130回審査会)
審議
平成23年4月19日
(第131回審査会)
審議
平成23年4月26日 答申