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公文書開示審査会答申第125号

更新日:2011年9月20日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県警察本部長(以下「実施機関」という。)に対し、平成22年7月22日付けで、以下の開示請求を行った。

  • 「法定苦情受理・処理簿(群馬県公安委員会苦情処理規程の別記様式第4号)のうち、受理月日が平成21年度のもの」(以下「本件請求1」という。)
  • 「法定苦情受理・処理簿(群馬県公安委員会苦情処理規程の別記様式第4号)のうち受理月日が平成22年度のもの(ただし当該公文書の日付が平成22年7月22日以後のものを除く)」(以下「本件請求2」という。)

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成22年8月6日、本件請求1及び本件請求2(以下「本件請求」という。)に係る公文書をそれぞれ「法定苦情受理・処理簿(群馬県公安委員会苦情処理規程の別記様式第4号)のうち、受理月日が平成21年度のもの」(以下「本件公文書1」という。)及び「法定苦情受理・処理簿(群馬県公安委員会苦情処理規程の別記様式第4号)のうち受理月日が平成22年度のもの(ただし当該公文書の日付が平成22年7月22日以後のものを除く)」(以下「本件公文書2」という。)であると判断し、本件請求1に対する公文書不存在決定(以下「本件処分1」という。)及び本件請求2に対する公文書不存在決定(以下「本件処分2」という。)をそれぞれ行い、不存在の理由を次のとおり付して、請求人に通知した。
 (不存在の理由)

  • 開示を請求された公文書は、作成又は取得していないため

3 審査請求

 請求人は、行政不服審査法第5条の規定に基づき、平成22年10月5日付けで、本件処分1及び本件処分2(以下「本件処分」という。)を不服として群馬県公安委員会(以下「諮問庁」という。)に対し審査請求を行った。

4 諮問

 諮問庁は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成22年12月8日、本件審査請求事案(以下「本件事案」という。)の諮問を行った。

第3 争点

 本件公文書1及び本件公文書2(以下「本件公文書」という。)を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 請求人の主張要旨

 公文書不存在決定通知書の公文書が存在しない理由欄には、「開示を請求された公文書は、作成又は取得していないため」とあるが、この記述が虚偽であることが、平成○○年○月○○日○○地方裁判所における平成○○年(ワ)第○○○号損害賠償請求事件第1回口頭弁論時の被告群馬県の弁論および同被告が提示した書証により明らかになったため。

2 諮問庁の主張要旨

 群馬県公安委員会文書管理規程(平成14年群馬県公安委員会規程第4号)(以下「文書管理規程」という。)第14条第1項では、「文書のうち次に掲げるものは、公安委員会が保有する。」とし、同項第1号から4号で文書の種類を掲げて、諮問庁が保有する公文書を規定している。同項第3号には、「公安委員会又は公安委員会の委員長若しくは委員あての苦情及びその処理に関する文書」とあり、本件公文書は、諮問庁が保有することを明確に規定している。

 本件公文書である「法定苦情受理・処理簿」は、群馬県公安委員会苦情処理規程(平成13年群馬県公安委員会規程第6号)(以下「苦情処理規程」という。)に基づいて諮問庁が作成するものであり、さらに、作成された文書は、上記のとおり、諮問庁が保有するものであって、実施機関が作成、取得するものではなく、保有するものでもない。

 以上のとおり、実施機関はそもそも本件公文書については、作成、取得するものではなく、保有するものでもないことから、「開示を請求された公文書は、作成又は取得していないため」と理由を付して、本件処分としたものである。

第5 審査会の判断

 当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおり判断する。

1 争点(本件公文書の公文書不存在決定について)

 請求人は、「本件処分の不存在理由が虚偽であることが平成○○年○月○○日○○地方裁判所における平成○○年(ワ)第○○○号損害賠償請求事件(以下「損害賠償請求事件」という。)第1回口頭弁論時の被告群馬県の弁論および同被告が提示した書証により明らかになった」と主張するが、これは実施機関が本件請求がなされた時点で、既に本件公文書を保有していたため当該口頭弁論期日に書証として提出できたのであり、保有していなかったとする実施機関の説明は虚偽であるという趣旨と考えられる。

 一方、諮問庁は、本件公文書は、苦情処理規程に基づき諮問庁が作成するものであり、さらに、作成された文書は、前記第4 2のとおり、諮問庁が保有するものであって、実施機関が作成、取得するものではなく、保有するものでもないと主張する。
 「公文書を保有していない」という類型には、(1)そもそも作成又は取得していない、(2)作成又は取得したが保存期間満了により廃棄済み、及び(3)開示請求の対象となる「公文書」ではないという3つの場合があるが、諮問庁は、開示を請求された公文書は、実施機関が作成、取得するものではなく、保有するものでもないと主張しているので、本件公文書が実施機関における事務処理において作成又は取得されるものであるか否かを検討する。

 審査会は、諮問庁に対して条例第30条第4項に基づく調査を実施し、本件公文書を含む関連する公文書を確認したところ、諮問庁の文書事務について規定する文書管理規程では、第14条第1項で「文書のうち次に掲げるものは、公安委員会が保有する。」とされており、同項第3号において「公安委員会又は公安委員会の委員長若しくは委員あての苦情及びその処理に関する文書」と明確に規定されていた。また、本件公文書については、苦情処理規程第9条で、公安委員会室が「備え付け、苦情の受理及び処理について集約し、及び整理するものとする。」とされていることからも、諮問庁が本件公文書を保有するものであることは明らかである。

 その上で、審査会が本件事案についての概要説明を諮問庁及び実施機関から受けたところ、群馬県公安委員会及び群馬県警察本部に係る事案について群馬県が被告となった場合は、群馬県警察本部監察官室で訴状を受理し、当該監察官室の担当職員が中心となって訴訟事務を執行するとのことである。訴訟事務の内容とすると、当該担当職員が訴状の内容を確認した後、当該事案に関係する所属を特定し、事案概要の聴取を行い、協議を重ねて主張内容や立証方法を固めていくというものであり、当該文書の写しは、その際の書証の一つとして使用するため、公安委員会室から実施機関が提出を受けたものであるとのことである。

 確かに、損害賠償請求事件において、被告群馬県は本件公文書の一部の写し(請求人以外の苦情申出者の氏名欄を黒塗りしたもの)を書証として、平成22年9月6日付けで、当該裁判所に提出したことが確認された。

 しかし、実施機関が当該損害賠償請求事件の訴状を受理したのは平成22年7月22日であるのに対し、本件請求を受理したのは翌7月23日である。

 上記の訴訟事務の実態を考慮すれば、当該訴状を受理した翌日に書証等の関係文書の作成、検索及び確認等の準備が遺漏なく完了しているものとは到底考えられない。

 よって、本件請求時点において、実施機関では諮問庁から当該文書の写しを取得しておらず、本件公文書については、作成、取得するものではなく、保有するものでもないとする実施機関の説明に、特段不合理な点は認められなかった。

 以上のことから、本件公文書について、不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過

年月日

内容

平成22年12月8日

諮問

平成22年12月13日

実施機関からの理由説明書を受領

平成23年1月14日

審査請求人へ意見書の提出を求めたが不提出

平成23年4月19日
(第131回 審査会)

審議(本件事案の概要説明)

平成23年5月23日
(第132回 審査会)

審議

平成23年7月5日
(第133回 審査会)

審議(実施機関の口頭説明)

平成23年8月24日
(第134回 審査会)

審議

平成23年9月15日

答申