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公文書開示審査会答申第129号

更新日:2012年3月29日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成23年3月1日付けで、以下の開示請求を行った。
「道路台帳図(区域指定関係図面を含む)○○郡○○町大字○○字○○地区(現在国道○○号線)
 1 昭和36年拡幅工事前
 2 昭和37年拡幅工事後
 3 昭和47年拡幅工事後
 前記1から3以外のこの路線部分のものがあればそれを含む。」(以下「本件請求」という。)

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成23年3月12日、本件請求に係る公文書を「○○郡○○町大字○○字○○地区の道路台帳附図」及び「道路台帳図(区域指定関係図面を含む)○○郡○○町大字○○字○○地区(現在国道○○号線)
 1 昭和36年拡幅工事前
 2 昭和37年拡幅工事後
 3 昭和47年拡幅工事後
 前記1から3以外のこの路線部分のものがあればそれを含む。」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、前者について公文書開示決定をするとともに、本件公文書について、既に保存年限が経過しているところ、文書の不存在を念のために確認するために所用の期間を要することから、条例第19条第2項の規定による決定期間の延長をした上で、平成23年4月8日、公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
(不存在の理由)
 群馬県文書館で昭和35年から昭和58年の区域変更にかかる文書を調べましたが、請求箇所にかかる文書を確認することができませんでした。
 なお、現在の形の道路台帳は、昭和58年以降に整備されたものです。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成23年5月27日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成23年6月27日、本件異議申立て事案(以下「本件事案」という。)の諮問を行った。

第3 争点

 本件公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 申立人の主張要旨

 道路台帳図又は区域指定関係図面等道路測量図は、あったが廃棄してしまったのか、紛失したということか。
 公図上の細い旧赤道を拡幅した赤道に大がかりに経路が変わるほどの長い区間変更しているにもかかわらず、拡幅した赤道の実際の道路状況が分かる資料は何も残っていないのか。昭和36、37年工事の工事前と工事後の状況は測量した形跡もないのか。
 実施機関は、「現在の道路台帳の附図では、比較的小規模のものであったと推察できることから、道路の区域変更の事務処理が行われず、よって、請求された文書が存在しないことが考えられる。」と主張するが、比較的小規模なものではない。上記旧赤道から拡幅工事後の新赤道のほか、昭和37年前後、当家宅地、近隣のみならず、この路線においては道路拡幅工事が行われている。(実施機関の)添付資料に本件請求箇所と記載されているが、工事範囲は広く誤解されている。近隣だけでも工事が行われている。昭和47年前後は更に大規模である。

2 実施機関の主張要旨

 本件請求箇所について、区域変更等の処理台帳には記載がなかった。記載漏れのおそれもあることから、群馬県立文書館(以下「文書館」という。)で昭和35年から昭和58年の区域変更等の事務処理に係る文書を調べたが、開示請求の箇所に係る文書を確認できなかった。
 道路の区域決定(変更)の事務処理について、特に、ア 災害等の緊急の場合や、イ 小規模の工事である場合には、行われていない事案はこれまでにもある。
 本件請求箇所で行われた工事は、現在の道路台帳附図では、比較的小規模のものであったと推察できることから、道路の区域変更等の事務処理が行われず、よって、請求された公文書が存在しないということが考えられる。
 なお、申立人の主張するとおり、確かに、同一路線内では工事が行われているが、本件請求箇所に係る工事については、文書は存在しなかった。請求の目的が申立人自宅の筆界に関するものであるため、自宅付近の工事に限って文書を探索したが、このことについては、請求の際に確認済みである。

第5 審査会の判断

 当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおり判断する。

1 争点(本件公文書の公文書不存在決定について)

 審査会は、本件事案についての概要説明を実施機関から受けたところ、道路の区域決定及び変更(以下「区域決定」という。)に係る事務処理は以下のとおりである。
 県道の道路管理者である実施機関は、道路法(昭和27年法律第180号。以下「法」という。)第18条に基づき、路線認定等の公示後、遅滞なく、道路の区域を決定して、これを公示し、かつ、これを表示した図面を道路管理者の事務所において、一般の縦覧に供しなければならないとされている。
 区域決定に係る一般的な事務処理では、土木事務所から上申がなされ、それを受けて道路管理課で区域決定を行っている。上申及び区域決定に係る文書並びに縦覧に供する図面等については、道路管理課及び土木事務所で保存され、事績については、路線別に整理された道路管理課及び土木事務所備え付けの処理台帳に記載することになっている。なお、道路管理課で作成する区域決定に係る文書については、毎年度大量に発生することから、その保存を文書館に管理委任している。
 実施機関の説明によると、上記事務処理に沿って、文書の所在を確認したが、本件請求箇所に係る文書については存在が確認できなかった。区域決定の事務処理について、特に、ア 災害等の緊急の場合や、イ 小規模の工事である場合には、行われていない事案はこれまでにもある。本件請求箇所で行われた工事は、現在の道路台帳附図では、比較的小規模のものであったと推察できることから、道路の区域変更等の事務処理が行われず、よって、請求された公文書が存在しないと判断し、本件処分を行ったというものであった。
 そこで、審査会は、実施機関に対して条例第30条第4項に基づく調査を実施し、本件公文書が当時作成されていたかどうか、また、現在保有しているかを確認するため、道路管理課、藤岡土木事務所及び文書館に出向き、公文書の確認を行った。
 (1) 藤岡土木事務所において
 藤岡土木事務所が作成する道路管理課への上申に係る文書(「昭和38年以降の道路区域変更綴」)及び藤岡土木事務所備え付けの処理台帳(「道路の区域決定(変更)及び供用開始処理台帳」)を見分したところ、いずれも本件請求箇所に係る記載は確認できなかった。
 なお、昭和37年以前の道路区域変更綴については、執務室・書庫等を捜索したが確認できなかった。
 (2) 文書館において
 文書館に管理委任されている区域決定に係る文書(「国県道の区域変更及び供用開始綴」昭和35年~昭和48年)を見分した。区域決定に係る文書について、本件請求年度の前後1年を含む昭和35年~昭和48年までの文書を見分したが、本件請求箇所に係る記載は確認できなかった。
 (3) 道路管理課において
 道路管理課備え付け処理台帳(「道路の区域決定(変更)及び供用開始処理台帳」)を見分したが、本件請求箇所に係る記載は確認できなかった。

 以上のことから、審査会が確認した限りでは、本件公文書と特定すべき文書の存在は認められなかった。
 この理由として、実施機関は上記のとおり区域決定の事務処理が行われないことがあることを挙げる。このことは本件公文書が作成されなかった可能性をうかがわせるものといえるが、これまで実施機関が行ってきた事務処理の実態を踏まえての推測に止まるものであり、作成、保有及び廃棄に係る事実経過を明らかにするには至っていない。
 このように本件公文書が存在しない理由は明確ではないものの、現地調査の結果、実施機関が現に本件公文書を保有していることを確認できなかったことから、審査会としては、本件処分は妥当であるとせざるを得ない。
 なお、当審査会は、条例第26条の規定に基づく実施機関からの諮問に応じ、本件処分の妥当性について判断するものであり、実施機関が行った区域決定の事務処理の適否については、当審査会の判断するところではない。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成23年6月27日 諮問
平成23年8月9日 実施機関からの理由説明書を受領
平成23年9月26日 申立人からの意見書を受領
平成23年10月3日 申立人からの追加意見書を受領
平成23年11月7日
(第136回 審査会)
審議(本件事案の概要説明)
平成23年12月12日
(第137回 審査会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成24年2月14日
(第138回 審査会)
審議(条例第30条第4項による調査を実施)
平成24年3月19日
(第139回 審査会)
審議
平成24年3月28日 答申