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公文書開示審査会答申第133号

更新日:2012年5月14日 印刷ページ表示

「平成○○年度○○PTA総会の議事録」の公文書不存在決定に対する審査請求に係る答申書

群馬県公文書開示審査会

第1 審査会の結論

 実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県教育委員会教育長(以下「実施機関」という。)に対し、平成23年7月28日付けで、「(1)(略)、(2)(略)、(3)平成○○年度○○PTA総会の議事録、(4)(略)」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、本件請求のうち、(1)乃至(3)について、平成23年8月11日付けで公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を「(1)(2)(略)、(3)本校では以前からPTA総会の議事録を文書として残していないため」と付記して、請求人に通知した。
 なお、(4)については、決定期間を延長したのち、平成23年8月24日付けで公文書部分開示決定を行った。

3 審査請求

 請求人は、行政不服審査法第5条の規定に基づき、平成23年9月29日、本件処分のうち、「(3)平成○○年度○○PTA総会の議事録」(以下「本件公文書」という。)に関する不存在決定を不服として、実施機関の上級行政庁である群馬県教育委員会委員長(以下「諮問庁」という。)に対し審査請求を行った。

4 諮問

 諮問庁は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成23年10月25日、本件審査請求事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点

 本件公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 請求人の主張要旨

 ○○は、以前からPTA総会の議事録を作成していないとのことであるが、このことは総会に出席できなかった会員等に対し知る権利を保障していない。
諮問庁は理由説明書において、「これまでの総会では、特に質疑もなく議案が承認されてきたことから、○○PTAでは議事録を作成していなかった。」としているが、議事録は、法的に作成義務はないかもしれないが、社会通念上作成しておくことが一般的とされるものであり、議事について質疑がなく承認されればその旨を、質疑応答があればその旨を残しておくために作成しておくべきものではないか。平成○○年度の総会では質疑が出たのだから作成する必要があったのではないか。
 また、諮問庁は理由説明書において「PTAは、社会教育関係団体という独立した組織として、会長を中心に自主的に運営されているのであるから、その総会の議事録を『○○』が作成しないことに違法性はない。」としているが、PTA役員の書記○名の中に、教職員○名が入っている以上、作成に関与するのが一般的であり、○○に事務局が置かれているということは「○○PTA」と「○○」は一心同体であり、共同責任を有しているのではないか。

2 諮問庁の主張要旨

 ○○PTA総会は、主に、○○PTAの活動内容やその活動に必要な経費に係る予算・決算、役員改選等について、○○PTA会員に承認を求めることを目的に開催されるものである。議事の内容は、予め、運営委員会で承認が得られたものが提出されることになるが、これまでの総会では、特に質疑もなく議案が承認されてきたことから、○○PTAでは議事録を作成していなかった。そのため、総会の議事録は○○に送付されることはなく、○○が当該議事録を保有することもなかった。
 「○○PTA会則(以下「会則」という。)」において、書記は○名(父母から○名、教頭○名、教職員から○名)と規定されているが、「平成○○年度本部役員」を見ると、教頭は、本部役員から除かれている。そのため、書記の教職員○名のうち○名に総会議事録の作成について確認したところ、○名の書記とも、総会議事録を作成していないとのことであった。
 学校は、学校長の責任のもとに管理運営され、一方PTAは、社会教育関係団体という独立した組織として、会長を中心に自主的に運営されているのであるから、その総会の議事録を「○○」が作成しないことに違法性はない。「総会に出席できなかった会員等に対し知る権利を保障していない」と請求人は主張するが、そもそも、それを求める権利は、PTA会員が、○○PTA会長に対して要望・提案等をするべき事項である。
 「○○」は、議事録を作成する法律上の義務がないのであるから、議事録が作成されていない遺憾の矛先を○○に向ける請求人の主張も適切ではない。

第5 審査会の判断

1 争点(本件公文書の不存在について)

 「公文書を保有していない」という類型には、(1)そもそも作成、取得していない、(2)作成又は取得したが保存期間満了により廃棄済み、及び(3)開示請求の対象となる「公文書」ではないという3つの場合があるが、諮問庁は、(1)のそもそも作成、取得していないと主張しているので、本件公文書が実施機関における事務処理において作成、取得されるものであるか否かを検討する。
 会則は、第○条で年1回総会を開く旨を定めており、第○条ではPTA役員の任務として、第○項で「書記は会議の議事を記録するほか庶務に当たる。」としている。
 また、会則第○条第○項は、書記を「○名」とし、さらに「父母から○名、教頭○名、教職員から○名」と内訳を示している。
 こうした会則の規定や、「書記」という役職が一般に意味するところからすれば、会則上は、PTA総会では書記が議事録を作成することが想定されていると判断できる。
 これに対して諮問庁は、これまでのPTA総会において、特段の質疑もなく、原案のとおり議案が承認されてきたことから、○○PTAでは議事録を作成しておらず、従って実施機関が議事録を保有することもなかったと主張している。
 確かに、PTAとして総会の議事録を作成し、構成員がいつでも議事録を閲覧できる体制が望ましいことは言うまでもないが、議案が原案のとおり承認されることが長年継続していたため、総会の議事録を作成する習慣がなかったという状況は理解できる。
 そして、平成○○年度に実施された○○のPTA総会においても、議案は原案のとおり承認されており、○○PTAにおいてその議事録を作成していないという諮問庁の説明に、不自然な点があるとまでは認められない。
 さらに、審査会は、実施機関に対して条例第30条第4項に基づく調査を実施し、本件公文書の作成、保有の有無を確認するため、○○において公文書の確認を行ったが、本件公文書として特定するべき文書の存在は認められなかった。
 以上のことから、本件公文書について、作成、取得しておらず不存在であるとする諮問庁の判断に、特段不合理な点は認められない。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成23年10月25日 諮問
平成23年11月28日 実施機関からの理由説明書を受領
平成23年12月16日 審査請求人からの意見書を受領
平成24年2月14日
(第138回 審査会)
審議(本件事案の概要説明)
平成24年3月19日
(第139回 審査会)
審議(実施機関の口頭説明等)
平成24年5月7日
(第140回 審査会)
審議(条例第30条第4項による調査を実施)
平成24年5月11日 答申