ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 生活こども部 > 県民活動支援・広聴課 > 公文書開示審査会答申第136号

本文

公文書開示審査会答申第136号

更新日:2013年12月3日 印刷ページ表示

「県政写真誌『グラフぐんま』の製作、発行委託について(平成24年度)」及び「県政写真誌『グラフぐんま』配達委託について(平成24年度)」の公文書部分開示決定に対する異議申立てに係る答申書に係る答申書

群馬県公文書開示審査会 第二部会

第1 審査会の結論

 実施機関が行った公文書部分開示決定は妥当ではなく、「予定価格調書」中の予定価格(金額部分)は、開示すべきである。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成24年4月11日付けで、「毎月10日発行の『グラフぐんま』に関する次の情報」として、以下(1)から(5)までの開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(1)価格350円(税込み)の設定から決定に至る過程と根拠が分かるもの。また、その内訳。
(2)「多くの県民の皆さんに見てもらえるよう、図書館をはじめ、金融機関、理、美容院、旅館、飲食店などに置いてあります」とあるが、その具体的な内訳(配置先、配置部数、配置先として制定した基準と根拠、配置に必要な費用)
(3)過去3年間の毎号の発行部数。それに占める販売部数と、上記(2)の配置部数、および残った部数の処分措置(廃棄部数、保管部数を含む)
(4)『グラフぐんま』には、「企画/群馬県 編集、発行/上毛新聞社」とあるが、上毛新聞社との間で編集、発行に関して取り交わした全ての契約や覚書等
(5)上毛新聞社による編集記事を県でチェックする場合の基準と根拠、及び担当部署と担当者、決裁者の職名

2 実施機関の決定

(1) 実施機関は、平成24年4月25日、本件請求に係る公文書を、「『グラフぐんま』配達契約締結伺いの起案及び添付書類並びに『グラフぐんま』製作、発行契約締結伺いの起案及び添付書類等々」であると判断し、次の1~7の公文書(以下「本件公文書」という。)を特定した上で、公文書開示決定を行った。また、実施機関は、同日、本件請求の(1)、(3)のうち残った部数の処分措置(廃棄部数、保管部数を含む)及び(5)のうち決裁者の職名について公文書不存在決定を行い、不存在の理由を、「(1)『グラフぐんま』は、平成4年5月号からこの価格であり、その後仕様に大幅な変更はないため、同価格を維持している。(3)残った残部の処分措置について規定していないため(※残部は発行後1年保存し、その後資料用12部、閲覧用1部を除いて廃棄している)。(5)取材した記事の内容のチェックは、取材先である担当部署が各々で確認している。」と付記して、請求人に通知した。

  1. 県政写真誌『グラフぐんま』の製作、発行委託について(平成24年度)(以下「本件公文書1」という。)
  2. 県政写真誌『グラフぐんま』の製作、発行に係る契約書の供覧について(平成24年度)
  3. 県政写真誌『グラフぐんま』配達委託について(平成24年度)(以下「本件公文書2」という。)
  4. 県政写真誌『グラフぐんま』の配達委託契約に係る契約書の供覧について(平成24年度)
  5. 県政写真誌『グラフぐんま』の製作、発行に係る契約書(平成21~23年度)
  6. 県政写真誌『グラフぐんま』の配達委託業務に係る契約書(平成21~23年度)
  7. 『グラフぐんま』台割(平成23年度)

(2) しかし、実施機関は、本件公文書1及び本件公文書2の一部に交付漏れがあったため、平成24年4月25日付け公文書開示決定の一部を取り消し、平成25年1月15日、改めて公文書部分開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、本件公文書の一部を開示しない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

条例第14条第6号ロ該当
 (非開示部分)
 本件公文書1及び本件公文書2のうち「予定価格調書」中の予定価格(金額部分)
 (非開示理由)
 開示することで、今後予定される同様の発注業務の予定価格が類推され、入札が適切に実施されないなど、契約事務における県の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれがあるため。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号。以下「法」という。)第6条の規定に基づき、平成25年1月21日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

4 異議申立ての一部却下及び諮問

 実施機関は、本件異議申立てのうち一部について法第45条に規定する異議申立期間の経過後に提起されたものが含まれており、その部分を不適法なものとして、平成25年2月20日、却下決定を行い、残りの部分(以下「本件事案」という。)を条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して諮問を行った。

第3 争点

 本件公文書1及び本件公文書2で非開示とされた部分が条例第14条第6号ロに該当するか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 申立人の主張要旨

 『グラフぐんま』は、毎年、同様な内容で契約を継続しており、予定価格を開示しても事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないため条例第14条第6号ロに該当しない。むしろ開示しないことによる不透明感を県民に抱かせるおそれのほうが高く、原則開示という条例の基本的な目的により、予定価格は公にされるべきである。
 また、予定価格の公表は、業者と公務員の癒着を防ぐために有効だとされており、多くの都道府県で導入されている制度である。以前は、予定価格を入札後も公表しない自治体がほとんどだったが、入札を有利に運ぼうとする業者の働きかけにより価格情報を漏らした自治体職員が逮捕される事件が後を絶たず、不正の原因そのものをなくすため予定価格を事前に公表する動きが広がっていた。その後の傾向として、予定価格が入札前に明らかになると価格のたたき合いが広がるということから、最近は事前公表から事後公表に移行する傾向がみられる。

2 実施機関の主張要旨

(1) 一般競争入札の状況
 『グラフぐんま』の製作、発行及び『グラフぐんま』の配達は、毎年業務を委託しており、いずれも仕様は毎年ほぼ同様で、大幅な変更はしていない。製作、発行業務は、多くの企業に契約の機会を与え、競争原理のもと経費節減を図るため、平成14年度から一般競争入札による契約に移行したが、業務の専門性等から一般競争入札の導入後も入札者は限られ、平成17年度以降は応札は2者の状況が続いている。また、配送業務も同様に一般競争入札に付しているが、導入以降、入札参加者は1者の状況が続いている。

(2) 予定価格の非開示について
 申立人は、異議申立書の中で、「『グラフぐんま』は毎年、同様な内容で契約を継続しており、開示しても事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがない」と主張している。しかし、前述のとおり、例年ほぼ同様な仕様での業務委託であることや、入札参加者が寡少な中での入札が続いている実情を勘案すると、予定価格を開示することは、今後同様の入札を実施するに当たり、事前に予定価格が類推されてしまうおそれがある。そのため、入札参加者の企業努力が減殺されたり、落札価格の高止まりや不正等が生じることが懸念される。その結果、県として有利な価格での契約を締結できないおそれがあり、公正で自由な競争を阻害し、県の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれがあると考えられるため、条例第14条第6号ロに該当し、非開示と判断したものである。

第5 審査会の判断

 当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおり判断する。

1 争点(条例第14条第6号ロ該当性)について

 実施機関が条例第14条第6号ロに該当すると主張する非開示部分は、「予定価格調書」のうち、予定価格である。実施機関は、予定価格を開示することで、今後同様の入札を実施するに当たり、事前に予定価格が類推されてしまうおそれがあり、その結果として、入札参加者の企業努力が減殺されたり、今後の契約金額が高止まりするおそれがあり、公正な競争に支障を及ぼし、契約に係る事務に関し、県の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれがあるため、条例第14条第6号ロに該当すると主張する。
 しかしながら、予定価格については、既に公共工事の分野において、「建設工事等に関する情報の公表要領」に基づき、群馬県が競争入札に付した建設工事の予定価格を事後公表しており、予定価格の事後公表は、申立人が主張するように、多くの自治体で行われているところであり、予定価格を積極的に公表しつつ、公正かつ自由な競争の確保を目指すのが最近の傾向である。行政機関が保有する情報の原則公開という条例の本旨に照らすと、予定価格についても特段の「おそれ」がない限り非開示は認められないと解するべきであり、予定価格が条例第14条第6号ロの非開示に該当するものとしては、本審査会答申第67号で示したとおり、同一年度中に同一の物品について複数回入札の予定があり、以後の入札における予定価格の事前公表的な面が明らかな事案について認められるものである。
 そこで、これらの状況を踏まえて本件事案について検討すると、確かに、本件公文書の非開示部分を公にすれば、今後、同様の入札を実施するに当たり、入札参加者が寡少な中で競争原理が十分に機能しないため、落札価格の高止まりや公正な競争に支障を及ぼす「おそれ」が全く認められないわけではない。しかし、以後の入札における予定価格の事前公表的な面が明確に認められるとまでは言えず、客観的な「おそれ」の程度も僅かなものにとどまると判断されるため、予定価格の開示による透明性の確保と開示されることによる「おそれ」を比較した場合、前者の方が優先されるべきものと解される。
 よって、今後の事務事業の適正な執行に対して著しい支障を生じるおそれがあるとまでは認められず、条例第14条第6号ロに該当しない。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成25年2月21日 諮問
平成25年3月25日 実施機関からの理由説明書を受領
平成25年4月23日 異議申立人からの意見書を受領
平成25年6月27日
(第36回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成25年8月22日
(第37回 第二部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成25年11月5日
(第38回 第二部会)
審議
平成25年12月10日 答申

公文書開示審査会へ戻る