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公文書開示審査会答申第138号

更新日:2014年10月8日 印刷ページ表示

「群馬県立○○○○センター(以下当該病院という)の○○○○医師職員(以下当該医師という)が当該病院の当直医の際、当該医師が憲法違反の棄業や怠業の労働争議行為を当該病院の外来患者に対して行ってよい、又は行わなければならない、という内容」の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会 第二部会

第1 審査会の結論

 群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成25年9月27日付けで、「群馬県立○○○○センター(以下当該病院という)の○○○○医師職員(以下当該医師という)が当該病院の当直医の際、当該医師が憲法違反の棄業や怠業の労働争議行為を当該病院の外来患者に対して行ってよい、又は行わなければならない、という内容」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、平成25年10月3日、本件請求に係る公文書について存在しないことを確認し、公文書不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
 (不存在の理由)
○当該請求に係る文書は保有していないため

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成25年10月15日付けで本件処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成25年11月13日付けで本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

 本件請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 申立人の主張要旨

(1)条例第14条第2号イでは、慣行として知ることができるものは個人情報であっても開示する旨、条例第14条第2号ハでは、公務員の職・氏名を開示する旨定めてあるが、本件請求で名指しした医師職員は、申立人に対して明らかな怠業をしており、これは最低でも地方公務員法違反(怠業罪)でなおかつ前述の県条例違反である。

(2)今回の請求で実施機関がしたことは、地方公務員法でいう職権濫用罪・怠業罪及び憲法違反にあたる。したがって、開示請求に係る公文書の特定で名指しした医師職員は処罰されるべきである。それでも処分されたという話は申立人は聞いていないので、本件実施機関が特定した公文書の存在を隠したとしか考えられない。

(3)一医師職員が独断でできるはずのない職権濫用罪・怠業罪及び憲法違反を犯したのであり、今現在も群馬県立○○○○センター(以下「センター」という。)の医師職員が恒常的に同様の職権濫用罪・怠業罪及び憲法違反を繰り返しており、何かセンターの職員が示し合わせた文書がなければこういうことはできないはずであり、センター及び諮問庁が情報隠蔽していることは明らかである。

2 実施機関の主張要旨

 地方公務員であるセンター職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、地方公務員法に定められた服務に関する規定その他の法令に反する趣旨の公文書を作成または取得することはない。また、センターの医師は、当直の際に、請求者の主張するような「憲法違反の棄業や怠業の労働争議行為」をセンターの外来患者に対して行っていない。
 したがって、当該請求に係る公文書は、作成または取得しておらず、保有もしていないため、不存在としたものである。

第5 審査会の判断

1 争点(本件請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

(1)申立人は、大要、「センターの職員が、一医師職員の独断でできるはずのない職権濫用罪・怠業罪及び憲法違反をしているため、何かセンターの職員が示し合わせた文書がなければこういうことはできないはず」と主張している。一方、実施機関は、「センターの医師は、当直の際に、請求者の主張するような憲法違反の棄業や怠業の労働争議行為を外来患者に対して行っておらず、地方公務員法に定められた服務に関する規定その他の法令に反する趣旨の公文書を作成または取得することはない」として、「本件請求に係る公文書は、作成または取得しておらず、保有もしていない」と主張する。

(2)そこで、本件請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成・取得されたか否かを検討する。実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は地方公務員法(昭和25年法律第261号)の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められている。また、同法第37条第1項では「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。」と規定され、争議行為等を禁止している。センターは地方公共団体の一機関であるため、職員がこれらの法令に従うのは当然のことであるが、そもそも一般的に公的機関の職員が不法行為その他の信用を失墜するような行為を「行ってよい又は行わなければならない」という趣旨の公文書を作成及び取得することは通常想定し難いことである。そのため、本件請求に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。
 また、申立人は「何かセンターの職員が示し合わせた文書がなければこういうことはできないはず」や「開示請求に係る公文書の特定で名指しした乙は処罰されるべきである。それでも乙は処分されたという話は不服申立人は聞いてないので、本件実施機関が当該請求で特定した公文書の存在を隠したとしか考えられない」と主張するが、これらの主張は実施機関が本件請求に係る公文書を作成・取得したものと言うには根拠に乏しいものである。

(3)したがって、本件請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、申立人は意見書において、本件処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人識別情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件請求に係る公文書が存在することを前提とした申立人の当該主張は是認することはできない。
 また、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成25年11月15日 諮問
平成25年12月25日 実施機関からの理由説明書を受領
平成26年1月24日 異議申立人からの意見書を受領
平成26年2月26日 実施機関からの補充理由説明書を受領
平成26年3月17日 異議申立人からの補充意見書を受領
平成26年5月30日
(第39回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成26年7月29日
(第40回 第二部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成26年9月24日
(第41回 第二部会)
審議
平成26年10月14日 答申

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