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公文書開示審査会答申第140号
「群馬県立○○○○センター(以下甲という)の作業療法士職員(以下乙という)が、群馬県職員の内規を破って甲の外来患者(以下丙という)からの電話に出なかったり、丙の乙に対する架電を丙の用が終わっていないのに乙の勝手で切電してよい、又は切電しなければならない、という内容」外11件の公文書不存在決定に対する異議申立て
群馬県公文書開示審査会 第二部会
第1 審査会の結論
群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。
第2 諮問事案の概要
1 公文書開示請求
異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、本件各請求に係る公文書について存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
(不存在の理由)
当該請求に係る文書は保有していないため
3 異議申立て
申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成26年1月22日付けで本件各処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
4 諮問
実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成26年2月5日、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。
第3 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
本件各請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。
第4 争点に対する当事者の主張
1 申立人の主張要旨
(1)条例第14条第2号イ違反である。
(2)昭和35年7月20日の最高裁大法廷の判例では、憲法第11条、13条、21条等を根拠として、人権を抑圧してくる公務員を侮辱、罵倒、非難することは合憲であるという結果が出ている。また、申立人は憲法第16条をもとに損害の救済を求めているわけである。
(3)群馬県立○○○○センター(以下「センター」という。)は公立病院であり、したがってそこの職員も公務員なのであり、上記の判例が適用される。申立人が職員を非難していることをもって当該職員が電話を勝手に切ったりするのは明らかに憲法違反である。
(4)群馬県の内規では、群馬県の機関にかかってきた電話は勝手に切ってはならないのであり、当該職員は内規違反も恒常的に犯している。
(5)職員の都合で外来患者からの電話に出られないのなら、慣習で折り返し架電してきた当該患者に電話をかけ直すべきである。
(6)医師職員らは申立人に医師法第19条違反をやって、群馬県庁内の精神保健室に不服申立人がこの件を通報しても、その件に関する同室からの連絡を受けたセンターの事務職員は、「医師法違反だとは思っておりません」と申立人に電話で言い放ち、こうした事案は握り潰された様である。
(7)日本国憲法を公務員なのに把握していない、または知らないふりをしており、外来患者に対する奉仕にもなっておらず憲法第15条違反である。
(8)○○病では○○科の職員を続けてはならないはずであるが、同職員が辞めたという話は申立人は現在聞いていない。
(9)今回の請求で実施機関がしたことは、群馬県の内務規定違反、地方公務員法でいう職権濫用罪、怠業罪及び憲法違反にあたるため、意見書で名指ししている職員は処罰されるべきである。
(10)これら不法行為は各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである。
2 実施機関の主張要旨
地方公務員であるセンター職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、地方公務員法に定められた服務に関する規定に反する行為の他、その他具体的に「切電してよい、又はしなければならない」とか「診察治療を拒んでよい、又は拒まなければならない」などの趣旨の公文書を作成または取得することはない。また、センターの職員は、外来患者に対して「法令に違反するような対応」を行っていない。
したがって、当該請求に係る公文書は、作成または取得しておらず、保有もしていないため、不存在としたものである。
第5 審査会の判断
1 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)
(1)申立人は、大要、「センターの職員が群馬県の内務規定違反、地方公務員法でいう職権濫用罪、怠業罪及び憲法違反をしたため、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張している。一方、実施機関は、「地方公務員であるセンター職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、地方公務員法に定められた服務に関する規定に反する行為の他、その他具体的に「切電してよい、又はしなければならない」などの趣旨の公文書を作成または取得することはない」として、「当該請求に係る公文書は、作成または取得しておらず、保有もしていない」と主張する。
(2)そこで、本件各請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成・取得されたか否かを検討する。
申立人は「当該職員の都合でセンターの外来患者からの電話に出られないのなら、慣習で折り返し架電してきた当該患者に電話をかけ直すべき」や、「群馬県の機関にかかってきた電話は勝手に切ってはならない」と主張している。そのため、これら電話対応に関してセンター職員に確認したところ、「業務の円滑な遂行を考慮したうえで対応をしている」ということであった。もっとも、電話対応などは臨機応変に対応することも求められるものであるため、「センターでは、これらの運用についての文書は作成していない」という実施機関の説明にも特段不合理な点は認められない。
(3)さらに、実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は地方公務員法(昭和25年法律第261号)の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められている。また、医療法(昭和23年法律第205号)第1条の4第2項には、「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。」と規定されている。センターは地方公共団体の一機関であり医療機関でもあるため、職員がこれらの法令に従うのは当然のことであるが、そもそも一般的に公的機関の職員が不法行為その他の信用を失墜するような行為を「行ってよい又は行わなければならない」という趣旨の公文書を作成及び取得することは通常想定し難いことである。そのため、本件各請求に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。
その他、申立人は「各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張するが、この主張は実施機関が本件各請求に係る公文書を作成・取得したものと言うには根拠に乏しいものである。
(4)したがって、本件各請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。
2 結論
以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
なお、申立人は異議申立書において、本件各処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人識別情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件各請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件各請求に係る公文書が存在することを前提とした申立人の当該主張は是認することはできない。
また、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。
第6 審査の経過
当審査会の処理経過は、以下のとおりである。
年月日 | 内容 |
---|---|
平成26年2月5日 | 諮問 |
平成26年3月12日 | 実施機関からの理由説明書を受領 |
平成26年3月31日 | 異議申立人からの意見書を受領 |
平成26年5月30日 (第39回 第二部会) |
審議(本件事案の概要説明) |
平成26年7月29日 (第40回 第二部会) |
審議(実施機関の口頭説明) |
平成26年9月24日 (第41回 第二部会) |
審議 |
平成26年10月14日 | 答申 |
項番 | (あ) 請求年月日 |
(い) 開示を請求する公文書の内容又は件名 |
(う) 決定年月日 |
(え) 決定 |
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1 | 平成25年12月10日 | 群馬県立○○○○センター(以下甲という)の○○○○作業療法士職員(以下乙という)が、群馬県職員の内規を破って甲の外来患者(以下丙という)からの電話に出なかったり、丙の乙に対する架電を丙の用が終わっていないのに乙の勝手で切電してよい、又は切電しなければならない、という内容 | 平成25年12月19日 | 公文書不存在決定 |
2 | 平成25年12月10日 | 群馬県立○○○○センター(以下甲という)の○○○○作業療法士職員(以下乙という)が、群馬県職員の内規を破って甲の外来患者(以下丙という)からの電話に出なかったり、丙の乙に対する架電を丙の用が終わっていないのに乙の勝手で切電してよい、又は切電しなければならない、等の地方公務員法違反の怠業罪を犯してよい、又は犯さなければならない、という内容 | 平成25年12月19日 | 公文書不存在決定 |
3 | 平成25年12月10日 | 群馬県立○○○○センター(以下甲という)の職員(○○○○○・○○○○を含む。以下乙という)が憲法違反・地方公務員法違反・群馬県職員の内規違反等をしたため、甲の○○○○○が主治医の甲の外来患者(以下当該患者という)が乙を非難しただけで、この行為を乙(○○○を含む)が当該患者の乙に対する脅迫と見做してよい、又は見做さなければならない、という内容 | 平成25年12月19日 | 公文書不存在決定 |
4 | 平成25年12月13日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の○○○○作業療法士職員(以下乙という)が、乙の法令違反を甲の外来患者(以下丙という)から口頭で指摘され、懲戒請求されたことを以って丙の乙に対する脅しと認識してよい、又はしなければならない、及び乙自身の不法行為・犯罪を丙に糾弾されて当然なことに対して乙が被害妄想を抱いたまま○○科の職員を続けてよい、又は続けなければならない、という内容 | 平成25年12月19日 | 公文書不存在決定 |
5 | 平成25年12月13日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の○○○○医師職員(以下乙という)が、甲の外来患者に医師法第19条に背いて診察治療を拒んでよい、又は拒まなければならない、及びこの違反による責任(行政処分・民事責任等)を逃れてもよい、又は逃れなければならない、という内容 | 平成25年12月19日 | 公文書不存在決定 |
6 | 平成25年12月13日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の○○○○医師職員(以下乙という)が、甲の外来患者に医師法第19条に背いて診察治療を拒んでよい、又は拒まなければならない、及びこの違反による責任(行政処分・民事責任等)を乙が逃れてもよい、又は逃れなければならない、という内容 | 平成25年12月19日 | 公文書不存在決定 |
7 | 平成25年12月13日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の○○○○○・○○○○医師職員(以下乙という)が、甲の外来患者に医師法第19条に背いて診察治療を拒んでよい、又は拒まなければならない、及びこの違反による責任(行政処分・民事責任等)を乙が逃れてもよい、又は逃れなければならない、という内容 | 平成25年12月19日 | 公文書不存在決定 |
8 | 平成25年12月13日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の職員(○○○○を含む。以下乙という)が群馬県障害政策課精神保健室から、甲の外来患者(以下丙という)から甲の医師職員の医師法や医療法違反(以下本件という)があったという苦情の電話を受けても、乙の勝手な法解釈をして違反ではないと乙が丙に説明してよい、又は説明しなければならない、及び乙が本件の事後の対応を丙に説明しなくてもよい、又はしてはならない、という内容 | 平成25年12月19日 | 公文書不存在決定 |
9 | 平成25年12月16日 | 県立○○○○センターの○○○○○・○○○○○看護職員らが、公務員であるにもかかわらず、日本国憲法を把握しなくてよい、又はしてはならない、という内容 | 平成25年12月19日 | 公文書不存在決定 |
10 | 平成25年12月16日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の○○○○作業療法士職員(以下乙という)が乙の携わる甲のデイケアの判例違反・群馬県条例違反の項が含まれたルールを適法にするように改善しなくてよい、又はしてはならない、という内容 | 平成25年12月25日 | 公文書不存在決定 |
11 | 平成25年12月17日 | 県立○○○○センター(以下甲という)の○○○○・○○○○職員ら(以下乙という)が甲で当直・日直勤務中に主治医が甲の○○○○○の外来患者(以下丙という)から電話で相談を受けた際、憲法違反(例:13・16条)の対応(以下当該対応という)を丙に対してしてよい、又はしなければならない、及び当該対応を丙が乙になじったり、当該対応を丙が受け入れなかったら、乙は切電してよい、又はしなければならない、という内容 | 平成25年12月25日 | 公文書不存在決定 |
12 | 平成26年1月10日 | 県立○○○○センターの○○○○○・○○○○・○○○○職員らが、群馬県の公務員であるにもかかわらず、日本国憲法・群馬県職員内務規定を把握しなくてよい、又はしてはならない、という内容 | 平成26年1月20日 | 公文書不存在決定 |