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公文書開示審査会答申第143号

更新日:2015年1月26日 印刷ページ表示

「県立○○○○センターの看護職員が、公務員であるにもかかわらず、憲法第12条を守らなくてよい、又は守ってはならない、という内容」外3件の公文書不存在決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会 第一部会

第1 審査会の結論

 群馬県知事が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

 異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

 実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、本件各請求に係る公文書について存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
 (不存在の理由)
 当該請求に係る文書は保有していないため。

3 異議申立て

 申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成26年6月5日付けで本件各処分を不服として実施機関に対し異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

4 諮問

 実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成26年6月18日、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

 本件各請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 申立人の主張要旨

(1)条例第14条第2号イ違反である。
(2)昭和35年7月20日の最高裁大法廷の判例では、憲法第11条、13条、21条等を根拠として、人権を抑圧してくる公務員を侮辱、罵倒、非難することは合憲であるという結果が出ている。また、申立人は憲法第16条をもとに損害の救済を求めているわけである。
(3)群馬県立○○○○センター(以下「センター」という。)は公立病院であり、したがってそこの職員も公務員なのであり、上記の判例が適用される。申立人が職員を非難しているだけであり、この非難を当該職員が電話で聞いても当該職員が自由と権利を守るために不断の努力をした形跡は申立人には認められず、明らかに憲法第12条違反である。
(4)申立人は以前の居所から実際に官公署から立退き命令が出たが、別表の項番2で名指しした職員は「病院はアパートを紹介しません。緊急連絡先にもなりません」等と言い放ち、現在の居所は申立人自身で見つけたのである。申立人は現実にこういう体験をしているのであるから、条例第14条第2号イで定められたように、別表の項番2で特定した公文書があることが容易に推測される。
(5)別表の項番4で名指しした職員は○○○○○○○○○○○○○に併任辞令が出ていることを口頭で認めているが、当該職員は申立人から再三に亘って○○○○○○○○○○○○○の職員としての職務を遂行するよう依頼されても一向に現在でも応じない。
(6)本件各請求で実施機関がしたことは、群馬県の内務規定違反、地方公務員法でいう職権濫用罪、怠業罪及び憲法違反にあたる。
(7)これら不法行為は各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである。

2 実施機関の主張要旨

 地方公務員であるセンター職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、地方公務員法に定められた服務に関する規定に反する行為の他、その他具体的に「憲法第12条に違反する行為」や「患者に対する援助の拒絶」「職務放棄」などを認める趣旨の公文書を作成または取得することはない。したがって、当該請求に係る公文書は、作成または取得しておらず、保有もしていないため、不存在としたものである。

第5 審査会の判断

1 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

(1)申立人は、大要、「センターの職員が群馬県の内務規定違反、地方公務員法でいう職権濫用罪、怠業罪及び憲法違反をしたため、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張している。一方、実施機関は、「地方公務員であるセンター職員は、地方公務員法その他の法令を遵守すべき義務があり、本件各請求にあるような趣旨の公文書を作成または取得することはない」と主張する。
(2)そこで、本件各請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成・取得されたか否かを検討する。
 実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は地方公務員法(昭和25年法律第261号)の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められている。また、医療法(昭和23年法律第205号)第1条の4第2項には、「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。」と規定されている。センターは地方公共団体の一機関であり医療機関でもあるため、職員がこれらの法令に従うのは当然のことであるが、そもそも一般的に公的機関の職員が不法行為その他の信用を失墜するような行為を「行ってよい又は行わなければならない」という趣旨の公文書を作成又は取得することは通常想定し難いことである。そのため、本件各請求に係る公文書は存在しないとする実施機関の説明に特段の不自然な点は認められない。
 その他、申立人は「各職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張するが、この主張は実施機関が本件各請求に係る公文書を作成・取得したものと言うには根拠に乏しいものである。
(3)したがって、本件各請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当であると認められる。

2 結論

 以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、申立人は異議申立書において、本件各処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人識別情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件各請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件各請求に係る公文書が存在することを前提とした申立人の当該主張は是認することはできない。
 また、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成26年6月18日 諮問
平成26年8月25日 実施機関からの理由説明書を受領
平成26年9月26日 異議申立人からの意見書を受領
平成26年11月21日
(第44回 第一部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成27年1月9日
(第45回 第一部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成27年2月12日
(第46回 第一部会)
審議
平成27年2月24日 答申
(別表)
項番 (あ)
請求年月日
(い)
開示を請求する公文書の内容又は件名
(う)
決定年月日
(え)
決定
1 平成26年5月1日 県立○○○○センターの○○○○看護職員が、公務員であるにもかかわらず、憲法第12条を守らなくてよい、又は守ってはならない、という内容 平成26年5月14日 公文書不存在決定
2 平成26年5月1日 県立○○○○センター(以下甲という)の主治医が○○○○○の外来患者(以下乙という)に、甲の医療福祉課の課員(○○○○○・○○○○を含む。以下丙という)が、乙に緊急に援助が必要な事案(例:官公署による乙に対する立ち退き命令等)が生じ、それを乙が丙に相談しても、丙は乙に必要な援助(例:乙の居所の紹介・斡旋等)をしなくてよい、又はしてはならない、という内容 平成26年5月14日 公文書不存在決定
3 平成26年5月3日 県立○○○○センターの○○○○看護職員が、公務員であるにもかかわらず、憲法(例:第12条等の国民の努力義務)を守らなくてもよい、又は守ってはならない、という内容 平成26年5月14日 公文書不存在決定
4 平成26年5月4日 県立○○○○センターの○○○○○看護職員が、○○○○○○○○○○○○○(以下甲という)に併任辞令が出ているにもかかわらず、甲としての職務をしなくてもよい、又はしてはならない、という内容 平成26年5月14日 公文書不存在決定

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