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公文書開示審査会答申第145号

更新日:2015年3月11日 印刷ページ表示

「群馬県伊勢崎警察署(以下甲という)に一般市民(以下乙という)が架電した際、乙が甲の職員(以下丙という)に新型の電話回線(Wi-Fi等)を使用しているので通話料金が安い、と述べただけで、丙は乙の架電をいたずら電話と判断してよい、又はしなければならない、という内容」外2件の公文書不存在決定に対する審査請求

群馬県公文書開示審査会 第二部会

第1 審査会の結論

群馬県警察本部長が行った決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

審査請求人(以下「請求人」という。)は、群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県警察本部長(以下「実施機関」という。)に対し、別表の(あ)欄に記載の年月日付けで、別表の(い)欄に記載の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

実施機関は、別表の(う)欄に記載の年月日に、本件各請求に係る公文書について存在しないことを確認し、別表の(え)欄に記載の決定(以下「本件各処分」という。)を行い、不存在の理由を次のとおり付して、請求人に通知した。
(不存在の理由)
請求のあった公文書については、作成又は取得していないため。

3 審査請求

請求人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成26年1月6日付けで本件各処分を不服として群馬県公安委員会(以下「諮問庁」という。)に対し審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

4 諮問

諮問庁は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して平成26年3月20日、本件審査請求事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

本件各請求に係る公文書を不存在とした実施機関の決定は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 請求人の主張要旨

  1. 条例第14条第2号イ違反である。
  2. 昭和35年7月20日の最高裁大法廷の判例では、憲法11条・13条・21条等を根拠として、人権を抑圧してくる公務員を侮辱・罵倒・非難することは合憲であるという結果が出ている。伊勢崎警察署署員は、現行犯か裁判所の令状さえあれば無実の人を含めて逮捕する権限を持っており、また伊勢崎警察署署員も公務員なのであり、更に判例も不文法の一種であり、上記の判例が適用される。
  3. 平成25年12月5日の深夜から早朝にかけて、伊勢崎警察署署員の部下は請求人の架電に対し、憲法13条違反の対応(請求人を個人として尊重しなかった)をし、挙げ句の果てには請求人の架電自体を威力業務妨害・いたずら電話だと脅迫し、それに対する請求人の非難を以て伊勢崎警察署署員が電話を勝手に切ったりするのは明らかに憲法違反・刑法犯である脅迫罪・職権濫用罪及び怠業罪・群馬県の内務規定違反である。
  4. 内規では、群馬県の機関にかかってきた電話は勝手に切ってはならないのであり、したがって伊勢崎警察署署員は内規違反も恒常的に犯している。
  5. 伊勢崎警察署の警察安全相談員に日本国憲法の理解度を請求人が問いただすと、相談員は「そんな能書きは忘れた」と言い放ち、相談員を含む伊勢崎警察署署員が、憲法を尊重・遵守する気がないことが判明した。
  6. 請求人に対する伊勢崎警察署署員による奉仕にもなっておらず、憲法15条違反である。その上、一般市民の見本となるべき公務員が、率先して法令を遵守するどころか、伊勢崎警察署署員は群馬県内務規定違反・地方公務員法・刑法・憲法に違反している。
  7. 上記不法行為は各警察署職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである。したがって、条例第14条第2号イに基づいてこの公文書の作成者の職と氏名を公開すべきである。

2 諮問庁の主張要旨

  1. 「一般市民が新型の電話回線を使用していると述べただけでいたずら電話と判断してよい」、「憲法違反をして電話を切ってよい」、「複数の電話回線で架電し直しただけでその行為を威力業務妨害罪と判断してよい」、又は「日本国憲法を尊重・遵守しなくてもよい」というような趣旨の公文書を、警察のみならずその他の行政機関においても作成又は取得することは通常想定し難く、そもそも本件各請求に合致する公文書を作成又は取得していない。
  2. 請求人は、本件各処分が条例第14条第2号イ違反である旨を主張するが、請求人の主張は本件各請求にかかる公文書が存在することを前提としたものであり、そもそも、実施機関は同公文書を作成又は取得しておらず、同公文書は存在しないのであるから、同公文書が同規定にいう情報に該当するか否かを検討することができない。
  3. 請求人によるその余の主張については、本件各処分を取り消し又は変更させるものではない。

第5 審査会の判断

1 争点(本件各請求に係る公文書の公文書不存在決定について)

  1. 請求人は、大要、「伊勢崎警察署署員が群馬県内務規定・地方公務員法・刑法・憲法に違反したため、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張している。一方、諮問庁は、「本件各請求にあるような趣旨の公文書を作成または取得することは通常想定し難く、そもそも作成又は取得していない」と主張する。
  2. そこで、本件各請求に係る公文書が実施機関における事務処理において作成・取得されたか否かを検討する。
    請求人は「一般市民が新型の電話回線を使用していると述べただけでいたずら電話と判断してよい」、「憲法違反をして電話を切ってよい」、又は「複数の電話回線で架電し直しただけでその行為を威力業務妨害罪と判断してよい」といった、実施機関における個別具体的な電話対応の根拠となる公文書を請求しているものと認められる。この点につき、市民等から寄せられた電話に対する具体的な対応について定めた公文書の存否を実施機関に確認したところ、「具体的な対応について定めた文書は存在しない」との回答であった。
    確かに、警察署に寄せられる電話の内容は多種多様であると推察される反面、警察署としては個別具体的な電話の内容によって臨機応変な対応が求められることから、多種多様な電話内容を想定した上で、それらを網羅して事細かに取るべき対応を定めた文書を作成することは極めて困難であり、また、その必要性も乏しいと言わざるを得ない。
    よって「具体的な対応について定めた文書は存在しない」という実施機関の説明に特段の不合理な点は認められない。
  3. さらに、実施機関における一般職に属するすべての地方公務員は地方公務員法(昭和25年法律第261号)の適用を受けるが、同法第32条には法令等及び上司の職務上の命令に従う義務が定められている。実施機関は地方公共団体の一機関であるため、職員が法令等に従うのは当然のことであるが、そもそも一般的に公共機関の職員が不法行為その他の信用を失墜するような行為を「行ってよい又は行わなければならない」という趣旨の公文書を作成又は取得することは通常想定し難いことである。そのため、本件各請求に合致する公文書を作成又は取得していないとする実施機関の説明に特段の不合理な点は認められない。
    その他、請求人は「各警察署職員の独断でできるわけがなく、この不法行為を行うという共同謀議した公文書があるはずである」と主張するが、この主張は実施機関が本件各請求に係る公文書を作成又は取得したものと言うには根拠に乏しいものである。
  4. したがって、本件各請求に係る公文書を不存在とする実施機関の判断は妥当である。

2 結論

以上のことから、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
なお、請求人は審査請求書において、本件各処分は条例第14条第2号イに違反すると主張する。しかし、同規定は個人識別情報であっても一般に公にされている情報については、あえて非開示情報として保護する必要性に乏しいものと考えられることから、ただし書により、本号の非開示情報から除くこととしたものである。そのため、本件各請求に係る公文書は不存在であるという実施機関の判断が妥当である以上、本件各請求に係る公文書が存在することを前提とした請求人の当該主張は是認することはできない。
また、請求人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成26年3月20日 諮問
平成26年5月26日 諮問庁からの理由説明書を受領
平成26年6月20日 審査請求人からの意見書を受領
平成26年11月21日
(第42回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
平成27年1月20日
(第43回 第二部会)
審議(実施機関の口頭説明)
平成27年2月23日
(第44回 第二部会)
審議
平成27年3月11日 答申
(別表)
項番 (あ)
請求年月日
(い)
開示を請求する公文書の内容又は件名
(う)
決定年月日
(え)
決定
1 平成25年12月6日 群馬県警伊勢崎警察署(以下甲という)に一般市民(以下乙という)が架電した際、乙が甲の職員(以下丙という)に新型の電話回線(Wi-Fi等)を使用しているので通話料金が安い、と述べただけで、丙は乙の架電をいたずら電話と判断してよい、又はしなければならない、という内容 平成25年12月12日 公文書不存在決定
2 平成25年12月6日 群馬県警伊勢崎警察署(以下甲という)に複数の電話回線を持つ一般市民(以下乙という)が架電した際、甲の職員(以下丙という)が憲法違反(例:13条)の対応をして群馬県の内規に反して勝手に電話を切ってよい、又は切らなければならない、及び乙がこれに対抗するため自身の複数の電話回線で甲に架電し直しただけで丙はこの行為を威力業務妨害罪と判断してよい、又は判断しなければならない、という内容 平成25年12月12日 公文書不存在決定
3 平成25年12月16日 群馬県警伊勢崎警察署の警察安全相談員(以下甲という)が、一般市民(以下乙という)からの相談業務において、日本国憲法のことを甲が乙に「そんな能書きは忘れた」等と言い放って、日本国憲法を尊重・遵守しなくてもいい、又はしてはならない、という内容 平成25年12月24日 公文書不存在決定

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