ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 生活こども部 > 県民活動支援・広聴課 > 公文書開示審査会答申第87号

本文

公文書開示審査会答申第87号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「○○市◇◇にある県道△△線に面し、かつ市道□□号線との交差部分に隣接する土地に関して、平成10年10月から12月にかけて行われた境界確定手続に関して、平成16年6月18日以降、平成17年3月31日の間に、群馬県知事によりその写しを作成し、それが公文書として保存された一切の資料で、次の資料を含む。
境界確定申請書、復命書、境界確定書、境界確定の伺い書、決裁書、境界確定交付書、境界確定等処理台帳、道路維持課長あて境界確定等処理状況報告書、隣接土地所有者一覧表、境界確認承諾書、境界確定図、公図写し、実測平面図」の開示請求拒否に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第二部会

第1 審査会の結論

実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成17年11月14日付けで、「○○市◇◇にある県道△△線に面し、かつ市道□□号線との交差部分に隣接する土地に関して、平成10年10月から12月にかけて行われた境界確定手続に関して、平成16年6月18日以降、平成17年3月31日の間に、群馬県知事によりその写しを作成し、それが公文書として保存された一切の資料で、次の資料を含む。境界確定申請書、復命書、境界確定書、境界確定の伺い書、決裁書、境界確定交付書、境界確定等処理台帳、道路維持課長あて境界確定等処理状況報告書、隣接土地所有者一覧表、境界確認承諾書、境界確定図、公図写し、実測平面図」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

実施機関は、平成17年12月1日、本件請求に係る公文書を「○○市◇◇にある県道△△線に面し、かつ市道□□号線との交差部分に隣接する土地に関して、平成10年10月から12月にかけて行われた境界確定手続に関して、平成16年6月18日以降、平成17年3月31日の間に、群馬県知事によりその写しを作成し、それが公文書として保存された一切の資料で、次の資料を含む。境界確定申請書、復命書、境界確定書、境界確定の伺い書、決裁書、境界確定交付書、境界確定等処理台帳、道路維持課長あて境界確定等処理状況報告書、隣接土地所有者一覧表、境界確認承諾書、境界確定図、公図写し、実測平面図」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、本件公文書について開示請求拒否(以下「本件処分」という。)を行い、公文書の開示請求を拒否する理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

条例第40条の適用除外文書である為

3 異議申立て

申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成17年12月25日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年1月19日付けで、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点

争点(公文書の開示請求拒否について)

本件公文書が条例第40条に規定される「刑事訴訟に関する書類及び押収物」として条例の適用除外とされるか。

第4 争点に対する当事者の主張

争点(公文書の開示請求拒否について)

(1)申立人の主張要旨

実施機関が特定した開示請求対象文書は、「○○市◇◇にある県道△△線に面し、かつ市道□□号線との交差部分に隣接する土地」(以下「本件土地」という。)に関する平成10年10月から12月にかけて行われた境界確定手続に関する手続きの過程で作成された公文書である。実施機関は、これらの境界立会の関連書類の写しを添付した刑事訴訟に関する書類と勝手に判断しているが、申立人は刑事訴訟に関する書類などは開示請求していない。
 実施機関は、開示しない理由として条例第40条(適用除外)「刑事訴訟に関する書類及び押収物については、この条例は適用しない。」などとして架空の刑事訴訟をでっち上げている。刑事訴訟は、実際に警察が送検し、検察がそれを受理して立件しなければ成立しない。したがって、本件公文書は開示しなければならない。
 申立人のしらないところで、もしも本当に刑事訴訟が行われたとすれば、境界確定手続は真正でないことになり、無効となるはずだ。にもかかわらず、実施機関が許可を出したことになると、これは実施機関が法律を侵した事になる。
 ○○市道□□号線を○○市に寄付した▽▽▽は、市道の境界確定で、業務委託した測量会社が作成した偽造書類を○○市に提出した業者である。しかし、この時は、測量会社の代表者のみ刑事訴訟の対象となり、平成16年3月31日に起訴されたのであり、今回は、平成16年6月18日以降、平成17年3月31日までの間に作成された文書であるから、上記刑事訴訟事件とは関係がない。
 今回もし、この業者が本件公文書の偽造等に関与しているとしても、警察は送検した形跡がなく、検察も立件した様子はまったくない。また、もしこれから立件するとしても、すでに境界確定手続が平成10年12月に完了して(たとえそれが偽造であっても)いることから、虚偽公文書作成及び行使など刑事罰の時効7年をすでに経過しており、そのことからも、刑事訴訟が成立する状況にはない。
 実施機関が、でっちあげの刑事訴訟まで持ち出して、本件公文書の開示を拒む背景には、土木事務所を何らかの目的で庇う意図が見え隠れする。このような実施機関の実態を野放しにしておくことこそ、県民の安心・安全・安定な暮らしにとって、この上ない脅威となるから、直ちに、本件公文書の開示を行うことが、実施機関の義務である。

(2)実施機関の主張

条例第18条第2項は「実施機関は、開示請求に係る公文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る公文書を保有していないときを含む。)は、開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。」とし、実施機関が開示をしない決定をすることがある場合を規定しており、開示請求に係る公文書を開示しないときには、開示請求を拒否する場合も含まれるとしている。
 従って、実施機関が開示請求を拒否する場合は、公文書開示請求拒否決定をすることになる。
 今回の開示請求を受けて、保存する公文書の中に本件公文書があるか確認した結果、本件公文書が刑事訴訟に関する書類で条例第40条による適用除外文書と判明した。
 よって、条例第18条第2項の規定により、本件公文書を開示請求拒否とした。

第5 審査会の判断

争点(公文書の開示請求拒否について)

(1)本件公文書について

本件公文書は、開示請求書の記載及び申立人の主張から判断するところ、本件土地に関して平成10年10月から12月にかけて行われた境界確定手続に基づいて作成された当時の書類(以下「原本」という。)ではなく、平成16年6月18日から平成17年3月31日の間に、実施機関により作成されたとされる原本の写しであることは明らかである。

(2)条例第40条(適用除外)について

刑事訴訟法第47条では、訴訟に関する書類は、公判の開廷前には公にしてはならないとされており、同法第40条、第53条、第180条には、訴訟関係人に対する公判開始前後の訴訟関係書類及び押収物を含む証拠物の閲覧等が規定され、刑事被告事件に係る訴訟終結後の記録については、刑事確定訴訟記録法において閲覧等に関し必要な事項が定められており、その取扱い、開示・不開示の要件、開示手続等が体系的に定められている。そのため同法第53条の2では、訴訟に関する書類及び押収物については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定を適用しないこととしており、本県の条例第40条も同様の理由から刑事訴訟に関する書類及び押収物については条例を適用しないこととしたものである。
 なお、上記適用除外とした根拠として、[1]訴訟に関する書類及び押収物は、刑事司法手続きの一環である捜査・公判の過程において作成・取得されたものであるが、捜査・公判に関する国の活動の適正確保は、司法機関である裁判所により図られるべきであること、[2]これらの書類及び押収物は類型的に秘密性が高く、その大部分が個人に関する情報であるとともに、開示により犯罪捜査、公訴の維持その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれが大きいものであることも挙げられる。(「総務省行政管理局編・詳解情報公開法」による。)
 このように、条例の適用除外である場合には、開示請求に係る公文書の全部を開示しないこととなるため、条例施行規則第4条第3号ニの「開示請求に係る公文書が開示請求をすることができないものである場合」に該当し、公文書の全部を開示しない決定として開示請求拒否を行うことになる。

(3)本件公文書の条例第40条該当性について

申立人は、主張から判断するところ、条例第40条の適用除外が実際に起訴された刑事訴訟に関する書類に限定される旨の主張をしていると考えられることから、条例第40条で適用除外とする「刑事訴訟に関する書類」の範囲について検討する。
 まず、平成14年(モ)第416号文書提出命令申立事件(平成14年11月20日松山地裁判決)では、「…刑事事件関係書類の意義については、刑事訴訟法第47条において一般に解釈されているところ(被疑事件・被告事件に関して作成されたすべての書類)と同一に解するのが相当である。…」と述べられている。また、平成14(行ウ)第156号行政文書不開示決定取消請求事件(平成16年1月16日大阪地裁判決)においても、「…刑事訴訟法53条の2の規定の趣旨からすれば、同条に規定する『訴訟に関する書類』とは、同法47条の『訴訟に関する書類』と同様に、書類の性質・内容の如何を問わず、被疑事件・被告事件に関して作成された書類をいい、裁判所ないし裁判官の保管する書類に限らず、検察官・弁護人・司法警察員その他の者が保管しているものも含まれると解するのが相当である。…」と述べられている。このことからも、条例第40条の「刑事訴訟に関する書類」とは、起訴されて刑事訴訟となっている事件だけではなく、不起訴となった事件の書類や、例えば警察本部長が管理している被害届、告発状、告訴状、実況見分調書、供述調書、捜査事項照会書、同回答書、捜査報告書、逮捕手続書、捜索差押調書などの被疑事件・被告事件に関して作成された書類や、同種の書類で他の実施機関が管理しているものも含むと判断する。
 そして、当審査会で本件公文書を見分したところ、上記「刑事訴訟に関する書類」として例示的に列挙した中の書類に当たることが確認された。

(4)結論

以上のことから、本件公文書が条例第40条に規定する「刑事訴訟に関する書類」に該当し、条例の適用除外であるとして実施機関が本件請求を拒否したことは妥当であると認められるため、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成18年1月19日 諮問
平成18年2月17日 実施機関からの理由説明書を受領
平成18年3月30日 異議申立人からの意見書を受領
平成18年11月22日
(第4回 第二部会)
審議(本件事案の概要説明)
(実施機関の口頭による意見聴取
平成18年12月25日
(第5回 第二部会)
審議(申立人が口頭意見陳述を欠席)
平成19年1月30日
(第6回 第二部会)
審議
平成19年2月5日 答申