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公文書開示審査会答申第85号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

「[1]平成元年3月10日付け旧○○村に譲与した開拓財産(20箇所・特定地番△△△△、□□□□を含む)を保存登記した際の嘱託書副本、登記原因を証する書面、登記義務者の承諾書
[2]特定測量会社に登記申請等の代理権があることを証する書面
[3]特定測量会社との測量発注契約書及び測量費用の内訳書」
の非開示決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第一部会

第1 審査会の結論

実施機関の決定は妥当である。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県公文書の開示等に関する条例(以下「条例」という。)第5条第1項の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成17年8月9日付けで、「譲与通知書に有る20ヶ所の嘱託書副本又は登記原因ヲ証スル書面及登記義務者の承諾書、特定測量会社に対する代理権限を証する書面、特定測量会社に対する測量登記発注契約書及費用の内訳書」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

実施機関は、平成17年8月23日、本件請求に係る公文書を「平成元年3月10日付け旧○○村に譲与した開拓財産(20箇所・特定地番△△△△、□□□□を含む)を表示登記した際の嘱託書副本及び添付書類」及び「[1]平成元年3月10日付け旧粕川村に譲与した開拓財産(20箇所・特定地番△△△△、□□□□を含む)を保存登記した際の嘱託書副本、登記原因を証する書面、登記義務者の承諾書、[2]特定測量会社に登記申請等の代理権があることを証する書面、[3]特定測量会社との測量発注契約書及び測量費用の内訳書」(以下「本件公文書」という。)であると判断し、前者について開示決定を行い、後者(本件公文書)について非開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、公文書を非開示とした理由を次のとおり付して、申立人に通知した。

[1]保存登記の嘱託書副本及び登記原因を証する書面は、権利者である○○市○○支所(旧○○村)において保管されているので、本県には存在しない。また、登記義務者の承諾書については、嘱託書副本に添付されていないため、存在しない。
[2]特定測量会社に登記申請等の代理権を付与することはないので、代理権を証する書面は存在しない。
[3]保存期間(5年)の経過より廃棄済み。

3 異議申立て

申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成17年9月30日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。
 その後内容等に不明な部分があったので、補正の手続がなされた。

4 諮問

実施機関は条例第12条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年3月23日付けで、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。

第3 争点(本件公文書の不存在について)

本件公文書は存在しないとして非開示決定をした実施機関の処分は妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

争点(本件公文書の不存在について)

(1)申立人の主張要旨

[1] 保存登記について求めていない。表示登記についてである。旧○○村に譲与した日に所有権は移転する(農地法)。これは問題のすりかえ。
[2] 平成16年11月2日農地管理グループ○○氏より嘱託表示登記関係書類は旧○○から提出されたものとの回答を受けている。特定測量会社に表示登記の嘱託はしていない。よってウソの開示決定である。
[3] 保存期間5年の経過により廃棄済とあるが、これも平成16年11月2日県庁内での話し合いで特定測量会社とは契約していない。○○村に聞いてくれと言われた。よってこれも開示決定のウソである。

(2)実施機関の主張

[1] 本件の開拓財産については、県は農地法第78条の規定に基づき国から委任を受け管理しているもので、今回の保存登記においては、登記義務者は国、登記権利者は旧○○村となり、県は嘱託登記の手続きを行った。そして、保存登記の嘱託書副本及び登記原因を証する書面は、登記権利者である○○市○○支所(旧○○村)において保管されているので、県には存在しない。また、官公署が登記義務者である場合の嘱託登記においては、登記義務者の承諾書は必要としないため、存在しない。
[2] 県が特定測量会社に登記申請等の代理権限を付与することはないので、代理権を証する書面は存在しない。これは、測量等業務上必要な事項については外部業者に委託するが、登記申請等は通常の実務(嘱託登記)として行っており、代理権限を付与することはない。
[3] 群馬県文書管理規程(昭和61年3月31日訓令甲1号。以下「文書管理規程」という。)第39条第2項の規定に基づく文書ファイル基準表により、登記等委託契約関係書類の保存期間は5年と定めてあり、本開示請求公文書は5年の経過により廃棄済みである。

第5 審査会の判断

争点(本件公文書の不存在について)

(1)平成元年3月10日付け旧○○村に譲与した開拓財産(20箇所・特定地番△△△△、□□□□を含む)を保存登記した際の嘱託書副本、登記原因を証する書面、登記義務者の承諾書について

申立人はその主張の中で、「保存登記について求めていない。表示登記についてである。」とするが、当初の本件請求の件名は、「譲与通知書に有る20カ所の嘱託書副本又は登記原因ヲ証スル書面及登記義務者の承諾書、・・・」であり、それに対して実施機関は、本件処分の他に「平成元年3月10日付け旧○○村に譲与した開拓財産(20箇所・特定地番△△△△、□□□□を含む)を表示登記した際の嘱託書副本及び添付書類」の開示決定を行い申立人に交付済みであるので、この申立人の主張は認められない。
 また、保存登記した際の嘱託書副本、登記原因を証する書面について、実施機関は、登記権利者である○○市(旧○○村)において保管されているので、実施機関には存在しない旨主張している(当時の実務として写しもとっていないとも主張している)が、社会通念からいって、登記権利者である○○市(旧○○村)がこれらの書類を保有するものと認められる。
 しかしながら、実施機関がこれらの書類の写しを保有する可能性は否定できないので、審査会は本件請求に関連する一連の公文書の提示を実施機関に求め提示を受けたが、確認した限りでは、これらの書類の写しは存在しなかった。
 次に、登記義務者の承諾書についてであるが、実施機関は不存在の理由として、官公署が登記義務者である場合の嘱託登記においては、登記義務者の承諾書は必要としないため存在しないとしている。
 農地法による不動産登記に関する政令第12条(昭和63年7月1日政令第224号による改正前のもの)が「第1条第3号に規定する売渡し又は譲与をした不動産が所有権の登記のないものであるときは、不動産登記法第100条(後述する全部改正前のもの)の規定にかかわらず、都道府県知事は、その売渡し又は譲与を受けた者のために当該不動産の所有権の登記を職権で嘱託することができる。」としており、平成16年法律第123号による全部改正前の旧不動産登記法第30条、31条が官公有不動産の登記の嘱託を定めている。
 そこで、審査会において、文献等を調べた限りでは、旧不動産登記法第30条、31条から、官公署が登記義務者である場合の嘱託登記においては、登記義務者の承諾書は必要としないようであり、本件において、実際、前橋地方法務局で受け付けられている。
 以上のことから、本件公文書が不存在とする実施機関の判断に特段不合理な点は認められない。

(2)特定測量会社に登記申請等の代理権があることを証する書面

審査会が、実施機関に対して、対象となる公文書が不存在であるとした具体的な理由について説明を求めたところ、「県が特定測量会社に登記申請等の代理権限を付与することはないので、代理権を証する書面は存在しない。これは、測量等業務上必要な事項については外部業者に委託するが、登記申請等は通常の実務(嘱託登記)として行っており、代理権限を付与することはない。」とのことであった。
 また、農地法による不動産登記に関する政令第1条で「都道府県知事は、所有権の移転等の登記を登記所に嘱託することができる」とされており、「原則知事の補助職員たる吏員(知事、副知事、理事(かつての部長)、課長その他の上級の職員の命を受け、事務を掌るもの)が実際の嘱託登記実務を行っている」とのことであった。
 なお、実施機関によれば、「登記申請に関係する事務(測量や地積測量図の作成)が委託されることもあるが、不動産の表示に関する登記の関係においては、通常、土地家屋調査士法で規定する公共嘱託登記土地家屋調査士協会に委託されている」とのことであった(本件事案について、仮に、この団体に委託されていたとしても、下記(3)に記載のとおり「登記等委託契約」の保存期間は5年であるので、結局廃棄済ということになる。)。
 以上のことから、本件公文書が不存在とする実施機関の判断に特段不合理な点は認められない。

(3)特定測量会社との測量発注契約書及び測量費用の内訳書

実施機関は、対象となる公文書が不存在であるとした具体的な理由について、「群馬県文書管理規程第39条第2項の規定に基づく文書ファイル基準表により、登記等委託契約関係書類の保存期間は5年と定めてあり、本開示請求公文書は5年経過により廃棄済みである。」としている。
 そこで、審査会において現在の文書ファイル基準表を確認したところ、確かに「登記等委託契約」は5年保存文書とされており、また委託契約の文書は他のものも含めて5年保存となっているものがほとんどであることが認められた。
 次に、本件請求の原因となっている土地表示登記嘱託書の作成年月日から、求められているのは昭和61年度の公文書であると判断されるので、平成4年度の廃棄文書目録(文書管理規程第49条第2項で「廃棄に係る所要事項を記入して、保存管理場所別に区分の上、当該保存文書目録を総務事務センター所長に提出しなければならない」とされている目録をいう。以下同じ。)を確認したところ、昭和61年度の「登記等委託契約」は5年保存文書であることが認められた。そして、その記載から昭和61年度「登記等委託契約」は平成8年度まで保存期間が延長されていることが認められたものの、その後廃棄されたか否かは廃棄文書目録からは確認することができなかった(なお、翌年の昭和62年度の「登記等委託契約」は平成9年度に廃棄されていることが認められた。)。
 そこで、文書管理規程第38条に定める保存文書目録の平成17年度のもの(本件事案の開示請求をした日が平成17年8月9日であるため)を確認したところ、昭和61年度登記等委託契約は保存文書目録に記載されておらず、現時点で保存・管理している文書として存在しないことが認められた。
 以上のことから、本件の対象となる公文書は20年以上も前の公文書であり現時点では、審査会はそもそも特定測量会社と契約があったのか否かさえ確認できず、また完全な検証も不可能であるが、結論としては、本件公文書が不存在とする実施機関の判断に特段不合理な点は認められない。

(4)結論

 「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
 なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。

第6 審査の経過

当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成18年3月23日 諮問
平成18年4月27日 実施機関からの理由説明書を受領
平成18年5月16日 異議申立人からの意見書を受領
平成18年11月20日
(第4回 第一部会)
審議
平成18年12月26日
(第5回 第一部会)
審議(実施機関の口頭意見陳述)
平成19年1月29日
(第6回 第一部会)
審議
平成19年2月5日 答申