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公文書開示審査会答申第81号

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

 平成15年1月2日以後の、県企業局に関し○○市民が知事秘書課に直接届けた書類の全配達年月日が分かる文書同じくその際に同課が交付した無料駐車券の交付記録(回数と枚数、年月日)

ほか4件の不存在決定に対する異議申立てに係る答申書

群馬県公文書開示審査会
第一部会

第1 審査会の結論

実施機関が本件各公文書について不存在と決定したことは妥当である。

第2 諮問事案の概要

1 公文書開示請求

異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、いずれも平成17年8月17日付けで、「平成15年1月2日以後の、県企業局に関し○○市民が知事秘書課に直接届けた書類の全配達年月日が分かる文書 同じくその際に同課が交付した無料駐車券の交付記録(回数と枚数、年月日)」、「平成15年8月15日頃の知事から県民への選挙礼状ハガキ(●●〒→▲▲)、同9月頃の知事から○○市民への後援会誌発送記録」、「平成15年11月2日と16年1月2日の知事(夫人が代理した物も含む)から県民への贈答品の交付記録」、「平成14、15、16、17年度知事公用車運行記録のうちのH15年10月分の朝のお迎え分と、15年1月1日、2日、16年1月2日、17年4月19日の4点は1日分」及び「平成15年1月~3月の、知事から企業管理者への◇◇団地地権者との協議指示記録」の開示請求(以下「本件各請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

実施機関は、平成17年8月29日、本件各請求に係る公文書をそれぞれ「平成15年1月2日以後の、県企業局に関し○○市民が知事秘書課に直接届けた書類の全配達年月日が分かる文書 同じくその際に同課が交付した無料駐車券の交付記録(回数と枚数、年月日)」(以下「本件公文書1」という。)、「平成15年8月15日頃の知事から県民への選挙礼状ハガキ(●●〒→▲▲)、同9月頃の知事から○○市民への後援会誌発送記録」(以下「本件公文書2」という。)、「平成15年11月2日と16年1月2日の知事(夫人が代理した物も含む)から県民への贈答品の交付記録」(以下「本件公文書3」という。)、「平成14、15、16、17年度知事公用車運行記録のうちのH15年10月分の朝のお迎え分と、15年1月1日、2日、16年1月2日、17年4月19日の4点は1日分」(以下「本件公文書4」という。)及び「平成15年1月~3月の、知事から企業管理者への◇◇団地地権者との協議指示記録」(以下「本件公文書5」という。)であると判断し、いずれも不存在決定(以下「本件処分1」、「本件処分2」、「本件処分3」、「本件処分4」及び「本件処分5」といい、合わせて「本件各処分」という。)を行い、公文書を不存在とした理由をいずれも次のとおり付して、申立人に通知した。

 開示請求のあった文書について、保有していないため

3 異議申立て

申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成17年9月2日、本件各処分を不服として、不存在決定処分の取消し及び公文書の全面開示を求めて、実施機関に対し異議申立てを行った。

4 諮問

実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成17年10月11日、本件異議申立て事案の諮問を行った。

第3 争点

争点1(公文書該当性について)

本件公文書2及び本件公文書3は、条例第2条第4項に規定する公文書に該当するか。

争点2(公文書不存在について)

本件各公文書を不存在とした決定は、妥当であるか。

第4 争点に対する当事者の主張

1 争点1(公文書該当性について)

(1)申立人の主張

条例での公文書の定義から、本件各公文書は後援会誌以外はすべて公文書に該当する。
 本件公文書1の無料駐車券の交付記録は知事秘書課と知事自身が、本件公文書2のハガキも知事自身が作成したものであり、本件公文書3の交付記録も知事交際費に属し、本件公文書4の知事公用車運行記録も知事秘書課が実施機関であり、本件公文書5の協議指示記録も知事及び企業管理者さらには両者の所管課が実施機関である公文書である。
 後援会誌も、知事自身が知事個人として申立人の宛名等を書いて送付しているのであるから、公私混同ではあろうが、広義の公文書である。
 なお、本件公文書2に係るハガキの発信人は「群馬県知事」の肩書きがついた知事の個人名で、住所も県庁の住所が書かれており、また、後援会誌の発送人には知事公舎の住所と知事の個人名が書かれていたので、申立人が当時の秘書課長に確認したところ、知事直筆とのことであった。知事は、どちらの郵便も知事として、県庁又は知事公舎から出しており、送料は県費であったはずであるから、送られたハガキ等も公用でなければならない。

(2)実施機関の主張

ア 本件公文書2について
 本件公文書2の「平成15年8月15日頃の知事から県民への選挙礼状ハガキ(●●〒→▲▲)」の発送記録及び「同9月頃の知事から○○市民への後援会誌」の発送記録は、いずれも実施機関の所管するものではないため、条例第2条第4項が規定する「公文書」には該当しない。

イ 本件公文書3について
 本件公文書3は実施機関が所管するものではないため、条例第2条第4項が規定する「公文書」には該当しない。

2 争点2(公文書不存在について)

(1)申立人の主張

ア 本件処分1について
 申立人が(知事に渡してくれるようにと)秘書課に届けた文書の大部分は同課職員によって、同課所管のコピー機によって複写され、当該複写物が申立人に渡され、原本を秘書課が受領していた。したがって、申立人は当該事実を裏付ける記録や文書の開示を求めたものであって、全配達年月日のうち、一部分でも欠けているものは開示を求めないとしたわけでもないのだから、これを保有していないの一言で片づけてしまうのは、条例の本旨にもとるものであり、違法である。
 また、申立人が作成し、知事に見せるために秘書課へ届けた文書が、現在、事実上秘書課に保有されていないとしたら、同課はコピー機及びコピー用紙を大量に空費し、県に損害を与えながら、「県民の苦情・意見を知事が聞く」という外形を偽装して県民をだまし続けていたことを証拠立てることになり、これも重大な違法事である。
 同様に、無料駐車券の交付記録がまったく保有されていないということもあり得ない話であり、秘書課が一時しのぎにこのような虚偽回答・問答無用処分をしただけであり、このような処分は違法である。
 さらに、申立人と県との間で申立人所有地の騙取等の問題が未解決であるのだから、この問題に関連した無料駐車券の交付記録が開示請求日において期間満了のため廃棄しているとの不存在理由は、意図的な証拠隠滅、公文書の破棄である。

イ 本件処分2について
 上記1(1)のとおり、請求に係るハガキ等は公用でなければならない。知事は、2件の私用郵便を公費で執行しており、そのため秘書課は発信記録も発送記録も保有していないなどととぼけているのであって、違法である。
 また、申立人は「庁内各課から就任あいさつ状を郵送されるような関係者」ではないし、本件公文書2は就任あいさつ状とは異なるものである。
 なお、実施機関は、就任あいさつ状を郵送しているから「公文書」を保有していないと主張するが、郵送してしまって保有していないという意味なのか、「公文書」ではないから郵送記録も保有していないのかも判然としない。

ウ 本件処分3について
 贈答品などは知事交際費で購入し交付したものであり、知事及び知事の直属の部課が記録し所管すべきものであるから、これらの交付記録が不存在とすることは、知事交際費が別目的に流用されてもその経路をたどれないと言っているに等しい。

エ 本件処分4について
 本件公文書4について、秘書課が何も保有していないはずがない。
 仮に、県庁と知事公舎間の公用車運行について口頭で旅行命令を行っているとしても、当該車両を運転している職員の業務記録には記載されているはずである。
 また、実施機関は「16年1月2日」及び「17年4月19日」分は簡易旅行命令簿に記載がないから不存在であるとするが、当該命令簿の目的地の記載から運行が確認できるとする説明と矛盾するものである。
 過去に、申立人が知事公用車の運行記録の情報開示を求めたとき、秘書課職員はその存在を確認していたのだから、本件処分の無理由・違法・不当も明白である。

オ 本件処分5について
 申立人は、平成15年1月2日に知事公舎において知事と面談した際、知事が企業管理者との面談を確約し、その確約に基づき企業管理者と2回面談したのであるから、本件公文書5は存在するはずである。
 実施機関である知事が職務上作成し、企業管理者が取得していた文書であって、管理者をはじめとする企業局の職員が組織的に用い、保有していたはずのものなのであるから、これを不存在として開示しないのも違法・不当である。

(2)実施機関の主張

ア 本件処分1について
 本件公文書1のうち「平成15年1月2日以後の、県企業局に関し○○市民が知事秘書課に直接届けた書類の全配達年月日が分かる文書」は、○○市民が直接届けた書類の受理状況を整理した文書と考えられるが、そのような文書を作成していないため、条例第2条第4項に規定する「公文書」を保有していない。
 なお、申立人は「当該事実を裏付ける記録や文書の開示を求めたものであって、全配達年月日のうち、一部分でも欠けているものは開示を求めないとしたわけでもない」旨を述べているが、秘書課に届けられた書類は申立人も述べているとおり企業局に関するものであったため、秘書課で文書収受印を押印することなく、企業局へ送付しているため、実施機関は当該書類(写しを含む。)を保有しておらず、「配達年月日が分かる文書」が文書収受印が押印された当該文書を指すとしても、不存在決定したことは妥当であった。
 また、「同じくその際に同課が交付した無料駐車券の交付記録(回数と枚数、年月日)」は、群馬県庁県民駐車場駐車料減免要領(以下「減免要領」という。)に基づく利用券交付簿であると認められるが、県企業局に関し○○市民が知事秘書課に直接書類を届けた際の無料駐車券の交付記録はないため、不存在決定したものである。なお、平成15年1月2日から平成16年3月31日までの交付記録は、開示請求日において保存期間が満了のため、廃棄している。

イ 本件処分2について
 本件公文書2のうち「平成15年8月15日頃の知事から県民への選挙礼状ハガキ(●●〒→▲▲)」の発送記録は、上記1(2)アのとおり実施機関が所管するものではない。
 しかし、「平成15年8月頃」と「ハガキ」ということから推察すると知事の就任あいさつ状(官製はがきに印刷)があり、申立人が請求した文書が当該あいさつ状である可能性があるが、これは庁内各課において関係者へ郵送したものであり、したがって、条例第2条第4項に規定する「公文書」を保有していない。
 また、「同9月頃の知事から○○市民への後援会誌」の発送記録について同じく実施機関の所管するものではないため、不存在決定したものである。

ウ 本件処分3について
 本件公文書3は上記1(2)イのとおり実施機関が所管するものではないため、不存在決定したものである。

エ 本件処分4について
 申立人が求めていると思われる知事公用車運行記録は、簡易旅行命令簿の目的地の記載から運行が確認できる。「朝のお迎え」は、県庁と知事公舎間の運行と考えられるが、口頭で旅行命令を行っている。「16年1月2日」及び「17年4月19日」分は、簡易旅行命令簿に記載がないため、不存在決定したものである。
 なお、「15年1月1日」及び「2日」分は、開示請求日において、旅行命令簿の保存期間が満了のため廃棄している。

オ 本件処分5について
 本件公文書5は、実施機関において作成又は取得していないため、不存在決定したものである。

第5 審査会の判断

当審査会は、本件事案について審査した結果、次のとおり判断する。

1 争点1(公文書該当性について)

申立人は、本件各公文書はいずれも条例第2条第4項が規定する公文書に該当するものであると主張するが、実施機関は、本件公文書2及び本件公文書3については、実施機関が所管するものではなく「公文書」に該当しないと述べているので、この点について当審査会では以下のとおり判断する。
 まず、条例は公文書を「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」と定義しており、知事は「実施機関の職員」に含まれると解するのが相当である。しかし、ここでいう知事は自然人である特定人物を指すものではなく、あくまでも地方自治法(昭和22年法律第67号)第7章第2節に規定されている都道府県の長という執行機関である知事を指し、たとえ知事の職にある者が作成・取得した文書であっても、執行機関としての立場を離れて作成・取得した場合は、当該文書は公文書には該当しないものである。
 本件公文書2は「選挙礼状ハガキ」及び「後援会誌」の発送記録であり、「選挙礼状ハガキ」及び「後援会誌」が仮に申立人の主張するとおり発送されていたとしても、これらはいずれも地方公共団体の長として発送したものではないという実施機関の説明に不合理な点はなく、公文書に該当しないとした実施機関の判断は妥当であると認められる。
 次に、本件公文書3は特定の日における知事(又は夫人)から県民への贈答品の交付記録であるが、公費を支出した実態はなく、したがって、公文書は存在しないという実施機関の説明に不合理な点はなく、公文書に該当しないとした実施機関の判断は妥当であると認められる。

2 争点2(公文書不存在について)

申立人は本件各公文書について、存在していないはずはない旨を主張しているので、この点について当審査会では以下のとおり判断する。

(1)本件処分1について

ア 実施機関は、本件公文書1のうち「平成15年1月2日以後の、県企業局に関し○○市民が知事秘書課に直接届けた書類の全配達年月日が分かる文書」を、○○市民が直接届けた書類の受理状況を整理した文書と判断し、そのような文書を作成していない旨を述べる。
 申立人は、本件処分に関係する秘書課へ直接届けた書類は、知事に届けるよう依頼した文書である旨を述べているが、群馬県文書管理規程(昭和61年3月31日訓令甲1号。以下「文書管理規程」という。)によれば、県庁に到着した文書のうち、「課に直接到着した文書は、当該課において受領するものとする。」(第7条第1項ただし書)とされており、同条第4項により特別扱い文書票の作成を義務づけられている場合には該当しない。したがって、申立人主張の書類について受理状況を整理した文書を作成していないとする実施機関の説明には、特段不合理な点はない。
 なお、申立人が請求している公文書は、○○市民が届けた書類であって秘書課で文書収受印を押印したものであると考えることもできる。しかし、実施機関は、企業局に関する書類であれば秘書課で文書収受印を押印することなく企業局へ送付しているので当該書類を保有していないと述べており、その説明に特段不合理な点はない。

イ 次に、「同じくその際に同課が交付した無料駐車券の交付記録(回数と枚数、年月日)」について、実施機関は、申立人が請求する文書を減免要領に基づく利用券交付簿であると判断し、当該交付簿中には申立人が要求するような交付記録は存在しないこと、及び平成14年度の利用券交付簿は開示請求日の前に保存期間が満了し、廃棄していたことを理由に不存在決定を行っている。
 減免要領第3条は、「利用券の交付…により、減免をおこなう」と規定し、第5条において、利用券を交付した場合、「利用券交付簿にその内容を記載する」ものとしている。審査会で調査したところ、文書管理規程第34条に定める文書ファイル基準として定められた平成14年度及び15年度の共通文書ファイル基準表によれば、利用券交付簿は「利用券等出納簿」として編冊すべきものとされその保存期間は5年であることから、申立人から公文書開示請求があった平成17年8月17日の時点では保存期間を満了していないはずであった。そこで、実施機関に当該利用券交付簿の文書管理の実態について確認したところ、利用券交付簿は当時「利用券等出納簿」として編冊するとの取扱いは徹底されておらず、秘書課においては「庶務一般」として編冊する取り扱いをしており、その保存期間は1年であった(なお、平成16年度以降は「利用券等出納簿」として取り扱っている。)。このため、秘書課の平成16年度及び平成17年度の廃棄文書目録(文書管理規程第49条第2項で「廃棄に係る所要事項を記入して、保存管理場所別に区分の上、当該保存文書目録を総務事務センター所長に提出しなければならない」とされている目録をいう。以下同じ。)を確認したところ、平成14年度の「庶務一般」は平成16年度文書廃棄(平成16年6月16日から同月28日にかけて実施)の際に、また、平成15年度の「庶務一般」は平成17年度文書廃棄(平成17年6月17日から同月28日にかけて実施)の際に廃棄済みであり、平成14年度及び平成15年度の利用券交付簿は、文書管理規程第49条の規定により開示請求日の平成17年8月17日時点では廃棄済みであるとする実施機関の説明には不合理な点はない。

ウ さらに、平成16年度以降の利用券交付簿について、条例第30条第1項の規定に基づき審査会で見分したところ、県企業局に関し○○市民が秘書課に直接書類を届けた際に利用券が交付されたと確認できる記載はなかった。

エ 以上のことから、実施機関が本件公文書1は不存在であると決定したことは妥当であったと判断される。

(2)本件処分2について

本件公文書2について、実施機関は官製はがきに印刷した「知事の就任あいさつ状」の発送記録である可能性があると述べている。
 しかし、申立人は、本件公文書2は就任あいさつ状とは異なるものである旨を意見書において明言していることから、当審査会では就任あいさつ状の発送記録の不存在について検討する必要はないものと判断した。

(3)本件処分4について

ア 実施機関は、申立人が求めている知事公用車運行記録は、簡易旅行命令簿の記載から確認できると述べながらも、県庁と知事公舎間の運行については口頭で旅行命令を行っており文書は存在しないこと、「16年1月2日」と「17年4月19日」については簡易旅行命令簿に記載がないこと、及び「15年1月1日及び2日」は開示請求日時点で保存期間が満了していたため廃棄している旨を述べているので、この点について検討する。

イ まず、実施機関職員が出張する場合、旅行命令権者が旅行命令簿に当該旅行に関する事項の記載又は記録をし、これを当該旅行者に提示してしなければならないことが原則であるが、そのいとまがない場合には、口頭により旅行命令を発することができるとされている(群馬県職員等の旅費に関する条例(昭和38年群馬県条例第24号。以下「旅費条例」という。)第4条)。また、当時、「群馬県職員等の旅費に関する条例等の運用事項について(依命通知)」(昭和51年3月26日会第6号)により、旅費の支給が生じない旅行に限り簡易な旅行命令簿を使用するものとされていた。さらに、平成14年度共通文書ファイル基準表によれば、「旅行命令(依頼)簿」の保存期間は2年とされていることから、平成14年度の「旅行命令(依頼)簿」は、申立人から公文書開示請求があった平成17年8月17日の時点で保存期間を満了しており、平成17年度文書廃棄の際に作成された平成17年度の秘書課廃棄文書目録を確認したところ、当該文書は廃棄済みであった。したがって、「15年1月1日、2日」の運行記録である平成14年度の簡易旅行命令簿は公文書開示請求日時点では廃棄済みであったとする実施機関の主張に不合理な点はない。

ウ 次に「16年1月2日」及び「17年4月19日」付けの運行記録について、条例第30条第1項の規定に基づき、審査会で平成15年度及び17年度の簡易旅行命令簿を含む「旅行命令(依頼)簿」を見分したところ、これらの日についての記載はなかった。

エ また、県庁と知事公舎間の公用車運行について、実施機関は口頭により旅行命令を行っており旅行命令簿には記載がない旨を主張するが、旅費条例第4条第5項の規定では「できるだけ速やかに旅行命令簿等に当該旅行に関する事項の記載又は記録をし、これを当該旅行者に提示しなければならない。」とされているため、条例第30条第1項の規定に基づき、平成15年10月分の旅行命令(依頼)簿を審査会で見分したところ、県庁と知事公舎間の公用車運行記録は記載されていなかった。

オ 申立人は知事公用車を運転している職員の業務記録に運行記録が記載されているはずである旨を主張するが、実施機関の説明によれば、そのような業務記録が仮に存在するとしてもそれは当該職員の個人的な備忘録であり条例第2条第4項が規定する「公文書」ではないとのことであり、この実施機関の説明に特段不合理な点はない。
 なお、秘書課に係る当時の固有文書ファイル基準として「自動車管理」及び「公用車集中管理」がある。実施機関に説明を求めたところ、「自動車管理」は群馬県タクシー使用要綱第3条第1項に規定する群馬県タクシー共通乗車券に関する文書であり、「公用車集中管理」は、秘書課で集中管理している公用車の運行管理についての文書であるが、知事等三役専属車については利用申込みの必要がないことから整備記録のみが記録されているとのことであった。

以上のことから、実施機関が本件公文書4は不存在であると決定したことは妥当であったと判断される。

(4)本件処分5について

本件公文書5について実施機関は、作成・取得したことはない旨を述べるのに対して、申立人は知事が申立人と企業管理者の面談を確約し、実際に2回面談したのであるから存在しないはずがない旨を主張する。
 実施機関の説明によれば、知事が職員等に対して口頭で指示することはあるが、原則として秘書課職員が間に入ることはなく、したがって記録は作成していないとのことであった。秘書課の業務を考慮するとこの説明は首肯できるものであり、したがって、実施機関が本件公文書5は不存在であると決定したことは妥当であったと判断される。

3 結論

以上を総合すると、実施機関が本件各公文書について不存在とした本件各処分は妥当であり、「第1 審査会の結論」のとおり判断した。

第6 審査の経過

当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過
年月日 内容
平成17年10月11日 諮問
平成17年11月15日 実施機関からの理由説明書を受領
平成17年12月16日 異議申立人からの意見書を受領
平成18年7月21日 審議(事案の説明等)
【第一部会 第1回審査】
平成18年8月30日 審議(実施機関の口頭説明等)
【第一部会 第2回審査】
平成18年10月23日 審議(インカメラ審査等)
【第一部会 第3回審査】
平成18年11月20日 審議
【第一部会 第4回審査】
平成18年11月22日 答申