本文
公文書開示審査会答申第80号
○○市デイサービスセンターにおける利用者死亡に至る介護事故について
(1)平成13年度△△△デイサービスセンター介護保険事業者等の実施指導に対して、同事業所が提出した改善結果報告書及び挙証書類
(2)平成14年度△△△デイサービスセンター介護保険事業者等の実施指導に対して、同事業所が提出した改善結果報告書及び挙証書類の部分開示決定に対する異議申立てに係る答申第74号に脱漏があったことに伴う追加答申書
群馬県公文書開示審査会
第一部会
第1 審査会の結論
答申第74号で脱漏があった対象公文書(平成15年4月24日付改善結果報告(平成15年2月5日付合同調査の指導実施の結果に対するもの)及びその挙証書類)に関して、次のとおり判断をする。
本件異議申立ての対象となった公文書のうち、改善結果報告書についてはすべて開示すべきである。
また、挙証書類について、別表1に掲げるものを除き開示すべきである。
第2 諮問事案の概要
答申第74号(以下「原答申」という。)の諮問事案の概要に次の経過を加える。
1 脱漏の報告
群馬県知事(以下「実施機関」という。)は、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成18年10月16日、本件異議申立て事案の諮問について、対象公文書の脱漏があったとの報告を行った。
2 審査会の確認
上記の報告を受け、平成18年10月23日審査会第一部会において、脱漏のあった公文書を見聞したところ、答申第79号でいう「本件公文書2」と同一であることが認められたので、答申第79号の調査審議を基に審理を行った(本件異議申立てについて、対象公文書の整理は、別表2のとおり)。
第3 争点
原答申に記載のとおり
第4 争点に対する当事者の主張
争点(条例第14条第3号イ等該当性)
(1)申立人の主張
原答申に記載のとおり
(2)実施機関の主張
原答申に記載のとおり、なお、答申第79号の事案において実施機関は次のとおり主張している。
【挙証書類全般】
答申第55号・第56号は、指導監査結果通知についての判断であるが、改善結果報告及び挙証書類は、指導監査結果通知に対する往復文書であり、非開示情報の判断基準が同一でなければ、その整合性が図れないものであると判断したものであり、改善報告書に添付された「挙証書類」を開示することは、答申の趣旨に反し、法人の利益を害することとなるものである。
当該答申は、「改善報告書」について判断したものではないが、「指導監査結果通知」と「改善報告書」は往復文書であり、公文書開示に係る開示・非開示情報の判断の整合性を考慮すると、「『改善報告書』は非開示である」と判断することの蓋然性は高く、実際、当然に「『改善報告書』は非開示である」と認識していたものである。
よって、「改善報告書」が提出された時点において、法人・事業者は、「改善報告書」及び挙証書類について、公にされないと認識していたことから、挙証書類のうち、通例として公にされていないようないわゆる「内部管理情報」は、条例第14条第3号ロに規定する、「公にしないとの条件で任意に提出されたものであって、通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付すことが、情報の内容、当時の状況から照らして合理的であると認められるもの」に該当するものであり、法人・事業者の県に対する信頼は保護されなければならないと判断している。
挙証書類は、指導監査結果通知に対する改善報告書の内容を裏付けるために添付されたものであるが、「開示請求により開示される」という法人・事業者側認識がなかった(非開示であると認識していた)状況のもとでは、指導監査の趣旨以外に使用される場合が十分に想定され、それにより法人・事業者が不当な批判を受けることが明らかな情報は、極めて慎重な取扱いが必要である。
【挙証書類の内重要事項説明書】
従業員(生活相談員)の氏名が記載されており、条例第14条第2号に該当する。
【挙証書類の内「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」】
指定基準(「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」及び「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」。以下同じ。)では、従業者の配置状況を施設内に掲示していることが求められており、職員の出勤日・欠勤日・勤務時間が分かるもの(いわゆる勤務ローテンション表)を開示することまでは求められていない。
そもそもこうした勤務ローテーション表は、人員配置基準・労働基準法等の関係法令等を踏まえ、「利用者の処遇を適切に行ったうえで、最大の利益を生み出す」という経営判断の基に事業者が独自に考えて作成しているものであり、従業員の配置人員、各職種ごとの配置人員、常勤職員や非常勤職員の状況などは、「経営判断・事業戦略」の上に成り立っている、経営上の「ノウハウ」の一種であると考えられる。
よって、第三者にこうした「ノウハウ」を開示することは、条例第14条第3号イに規定する権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えている。
なお、「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」には従業員の氏名や勤務態勢が記載されており、条例第14条第2号に該当するとともに、看護師、准看護師、機能訓練指導員などは配置数が少ないため、関係者には職名から職員名が特定されてしまうことから、氏名を非開示にしたのみでは、個人の勤務日や休暇の状況が開示されてしまうことになってしまい、個人情報の面からも開示は不適切と考える。
特に、(施設の)管理者からは、女性が多い職場であり、犯罪に巻き込まれる可能性も高いことから、利用者の個人情報と同様に従業員の個人情報についても慎重に捉えているとの声が多く聞かれる。
【挙証書類の内「在宅ケアアセスメント表」、「問題領域一覧」、「居宅サービス計画書」、「居宅介護経過」及び「サービス連絡表」全般】
介護保険事業者の個人情報の取扱いは、厚生労働省により平成16年12月に示された「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に沿って、適切に運営するよう指導しているところである。
また、指定基準にあるように、居宅サービス計画をはじめとする個人情報を居宅介護支援事業所などの関係事業者等に提供する場合は、本人に文書による同意を求めるなど、厳正な取扱いが求められている。
介護事業者においては、利用者が極めて限定されていることから、氏名をマスキングしたとしても、生年月日や利用者の状況などの記載内容などの僅かな情報からでも、利用者やその家族等の関係者が見た場合、利用者が簡単に特定されてしまうことが十分想定される。
今回の事例は、事業者から監査の実施機関に提供された個人情報について、第三者への開示が争点になっているものであるが、施設と監査実施機関の間では、行政機関の求めによるものであり、個人情報といえども必要な情報の提供は行われるものであるが、通常公にすることが想定されていない情報についての監査実施機関から第三者への提供は、利用者やその家族の同意が確認できないばかりでなく、事業者も「開示請求により開示される」という認識がなかった(非開示であると認識していた)ことから、極めて慎重な取扱いが必要である。
なお、従業員の氏名は、条例第14条第2号に規定する非開示情報に該当する。
【挙証書類の内「在宅ケアアセスメント表」】
通常、アセスメントシート自体は、外部に公表するものではなく、事業所の介護支援専門員が居宅サービス計画を作成する過程の中で作成される書類である。アセスメントは居宅サービス計画書を作成する上で重要なものであるが、アセスメントをはじめとするケアマネジメントは、担当する事業者(介護支援専門員)の技量が出やすい事項でもあり、一種の「ノウハウ」ともいえる。
具体的にアセスメントに関していえば、どの様な項目を調査しているのか(アセスメントチャートの様式など)、利用者や家族の要望は適切に把握されているか、利用者の心身の状況が的確に把握できているのか、日常生活を行っていく上での課題は適切に把握できているか、などが重要なポイントである。
第三者にこうした「ノウハウ」を無制限に開示することは、条例第14条第3号イに規定する権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えている。
また、アセスメントは、これらを担当する介護支援専門員の能力だけでなく、利用者の意向や利用者を取り巻く家族関係もあり、単に書類に書かれた事項だけをみて、アセスメントの内容が適切かどうかを判断することは一面的な見方となり極めて危険である。
こうした状況を知らない第三者に開示された場合、条例第14条第2号に規定する個人情報を非開示にしたとしても、不当な批判がなされるおそれがあり、また、他の事業者と比較され、事業者間の技量の優劣を比較する材料に使用されることも想定される。
指導監査は、アセスメント、居宅サービス計画、モニタリングなどの質を評価するために実施するものではなく、指定基準に沿った運営がなされているかを確認するために実施しており、こうした事業者に対する一面的な批判や事業者間の優劣の比較がなされることは、指導監査の趣旨に反し、条例第14条第3号イに規定される権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると判断したものである。
【挙証書類の内「問題領域一覧」】
「問題領域一覧」は在宅ケアアセスメント表に続く一連の資料であり、在宅ケアアセスメント表と同様に、事業者の「ノウハウ」に該当するものであり、第三者にこうした「ノウハウ」を無制限に開示することは、条例第14条第3号イに規定する権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えている。
また、「問題領域一覧」に記載された内容を見た場合でも、指導監査の趣旨とは離れた批判を受ける可能性がある。
在宅ケアアセスメント表の理由で述べた様に、単に書類だけを見てのみの批判は一面的であり、こうした批判を受けること、そして他の事業者との優劣の比較材料に使われることは、条例第14条第3号イに該当する権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると判断したものである。
【挙証書類の内「居宅サービス計画書」】
居宅サービス計画は、本人の文書による同意を得たうえで、関係する事業者に提供されるものであり、こうした形で、第三者へ開示されることは想定されていないだけでなく、事業者の「ノウハウ」に該当するものであり、第三者にこうした「ノウハウ」を無制限に開示することは、条例第14条第3号イに規定する権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えている。
また、記載内容についても、利用者の状況を知らない第三者が見た場合、指導監査の趣旨とは離れた批判を受けることも予想される。
在宅ケアアセスメント表の理由で述べた様に、単に書類だけを見てのみの批判は一面的であり、こうした批判を受けること、そして他の事業者との優劣の比較材料に使われることは、条例第14条第3号イに該当する権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると判断したものである。
【挙証書類の内「居宅介護経過」】
「居宅介護記録」は介護現場における看護・介護の記録と同様に、本人が開示請求をした場合以外には開示されることは想定されていないだけでなく、事業者の「ノウハウ」に該当するものであり、第三者にこうした「ノウハウ」を無制限に開示することは、条例第14条第3号イに規定する権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えている。
また、記載内容についても、指導監査の趣旨とは離れた批判をする場合も十分想定される。
「在宅ケアアセスメント表」の理由で述べた様に、単に書類だけを見てのみの批判は一面的であり、この様な批判を受けること、そして他の事業者との優劣の比較材料に使われることは、条例第14条第3号イに該当する権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると判断したものである。
【挙証書類の内「介護保険サービス連絡表」】
「介護保険サービス連絡表」は介護現場における看護・介護の記録と同様に、本人が開示請求をした場合以外には開示されることは想定していない。
また、記載内容についても、「関係する法人・事業者は、適切な業務ができていない。事業者の資質に欠ける。」などの指導監査の趣旨とは離れた批判がなされることが十分想定される。
「在宅ケアアセスメント表」の理由で述べた様に、単に書類だけを見てのみの批判は一面的であり、この様な批判を受けること、そして他の事業者との優劣の比較材料に使われることは、条例第14条第3号イに該当する権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると判断したものである。
第5 審査会の判断
原答申の審査会の判断の記載に次の判断を加える。
(1)挙証書類の条例第14条第3号イ該当性について
実施機関の主張である、往復文書であるから当然に非開示であるという考えは情報公開制度には存在しないので、原則どおり個別に非開示理由が主張立証なされなければならない。
次に、実施機関が【挙証書類全般】で、条例第14条第3号ロに規定する「公にしないとの条件で任意に提出されたものであって、通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付すことが、情報の内容、当時の状況から照らして合理的であると認められるもの」に該当するものであり、法人・事業者の県に対する信頼は保護されなければならないと判断していると主張しているが、介護保険施設等の指導監査は、確かにその手続自体は要綱等で定められているが、その根本は介護保険法等にあるといわざるを得ず、また、要綱等により制度として「指導」や「監査」をし、「改善結果」の報告を求める形になっている以上、条例第14条第3号ロには該当しない(条例第14条第3号ロ関係においては、挙証書類は主たる物(改善報告書)の従物(民法第87条参照)のごとく考えるべきである)。また、指導監査の改善報告書やその挙証書類に関して、公にしないとの条件を認めることは、条例第1条の趣旨に反することになるので適当ではない(ただし、非開示情報にならないという趣旨ではない)。
一方で、挙証書類を見る限り、非開示情報に該当するものもあるので、それについて個別に判断を行うものとする。
ア 居宅介護支援重要事項説明書
一般的に居宅介護支援事業所の「居宅介護支援重要事項説明書」は法人の内部管理情報であるとは認められないから、条例第14条第3号イの非開示情報には該当しない。
ただし、記載されている担当者名に関しては、個人識別情報に該当し、本説明書への記載や施設内への掲示をもって、条例第14条第2号ただし書イにいうところの「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」には当たらないものと判断されるので非開示が妥当である。
なお、本説明書中の事業者側の説明者の氏名、印影らしきものが記載された部分、及び利用者の住所、氏名並びに代理人の住所、氏名らしきものが記載された部分は当初よりマスキングされている。
イ 通所介護重要事項説明書
一般的にデイサービスセンターの「通所介護重要事項説明書」は法人の内部管理情報であるとは認められないから、条例第14条第3号イの非開示情報には該当しない。
ただし、記載されている担当者名(管理者以外)に関しては、個人識別情報に該当し、本説明書への記載や施設内への掲示をもって、条例第14条第2号ただし書イにいうところの「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」には当たらないものと判断されるので非開示が妥当である。
また、防火管理者名についても、個人識別情報であり、消防法等に特に公にするような規定も存在しないことから非開示が妥当である。
なお、本書類も主治医氏名、連絡先及びご家族氏名、連絡先その他情報、事業者側の説明者の所属、氏名及び印影らしきものが記載された部分、及び利用者の住所、氏名及び印影並びに代理人の住所、氏名及び印影らしきものが記載された部分が当初よりマスキングされている。
ウ 従業員の勤務の体制及び勤務形態一覧
職員の氏名(管理者以外)は、個人識別情報であり、ア及びイでの判断と同様に施設内への掲示等をもって、条例第14条第2号ただし書イにいうところの「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」には当たらないと判断されるので非開示が妥当である。
また、本一覧中の第1週から第4週までの日毎の個人の労働時間の記述部分については、通常個々の職員の労務管理に係る情報は、法人の内部管理情報であり、福祉介護サービスが典型的な労働集約的産業であることから、ノウハウとまではいえないが、それを明らかにされれば、雇用方針や経営方針などノウハウに準ずる法人の事業を営む運営上の地位を害するものであると認められるので非開示が該当である。
その余の部分は、条例第14条第3号イに該当するおそれがあるとまではいえず、開示情報であると判断される。
エ 在宅ケアアセスメント表(問題領域一覧)
在宅ケアアセスメント表は、事業所の介護支援専門員が居宅サービス計画を作成する過程の中で作られる書類であり、利用者の介護経歴、家族関係、意向及び問題領域等が記載されている。
審査会において該当公文書の内容を確認したところ、文書自体は、択一方式になっている部分もあり、必ずしも利用者の情報が濃密、詳細に記載されているとは認られなかった。
しかしながら、通常利用者(顧客)に係る情報は、基本的に法人の内部管理情報であると判断され、とりわけ医療・介護関係等の分野は通常法人より個人情報の管理に慎重な取扱いが求められていること、及びアセスメントは居宅サービス計画書を作成する上で重要なものであり、アセスメント及びケアマネジメントの方法を記録したものは方式を含めノウハウに準ずるものと判断できることに鑑みれば、結局のところこのような情報を開示することは法人の事業を営む運営上の地位を害するおそれが認められるので、非開示が妥当である。
オ 居宅サービス計画書(1)
居宅サービス計画書(1)は「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企発第29 号厚生省老人福祉局企画課長通知)の第1表の書類であり、利用者名、居宅サービス計画作成者氏名、利用者及び家族の介護に対する意向、総合的な援助の方針及び家事援助中心型の算定利用等の情報が記載されている。
審査会において該当公文書の記載内容を確認したところ、必ずしも利用者の情報が濃密、詳細に記載されているとは認られなかった。
しかしながら、この公文書についても上記エと同様に、通常利用者(顧客)に係る情報は、基本的に法人の内部管理情報であると判断され、とりわけ医療・介護関係等の分野は通常法人より個人情報の管理に慎重な取扱いが求められていること、及びノウハウに準ずるものと判断できることに鑑みれば、結局のところこのような情報を開示することは法人の事業を営む運営上の地位を害するおそれが認められるので、非開示が妥当である。
カ 「居宅介護経過」
居宅介護経過は「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企発第29号厚生省老人福祉局企画課長通知)の第6表の書類であり、利用者名、居宅サービス計画作成者氏名、年月日及び内容の情報が記載されている。
審査会において該当公文書の記載内容を確認したところ、利用者の状態がある程度具体的に記載されていることが認られられた。
また、この公文書についても上記エ及びオと同様に、通常利用者(顧客)に係る情報は、基本的に法人の内部管理情報であると判断され、とりわけ医療・介護関係等の分野は通常法人より個人情報の管理に慎重な取扱いが求められていることに鑑みれば、結局のところこのような情報を開示することは法人の事業を営む運営上の地位を害するおそれが認められるので、非開示が妥当である。
キ 「介護保険サービス連絡票」
介護保険サービス連絡票は、法人の施設間での連絡事項を記載したものである。
審査会において該当公文書の記載内容を確認したところ、利用者の状態がある程度具体的に記載されていることが認られられた。
この公文書についても上記エ、オ及びカと同様に、通常利用者(顧客)に係る情報は、基本的には法人の内部管理情報であると判断され、とりわけ医療・介護関係等の分野は通常法人より個人情報の管理に慎重な取扱いが求められていることに鑑みれば、結局のところこのような情報を開示することは法人の事業を営む運営上の地位を害するおそれが認められるので、非開示が妥当である。
なお、エからキの公文書は利用者氏名等の個人情報は当初よりマスキングがなされている。また、これらの書類には職員の氏名等の個人情報や特にカ及びキについてはその記述の内容から個人の権利利益を害するおそれがあると判断されるものでもあるが、今回の答申では、既に法人情報として非開示であると判断しているので、特に個人情報での評価は行わない。
(2)結論
以上により、本件異議申立ての対象となった公文書のうち、脱漏があった対象公文書については「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
第6 その他
本件事案について、実施機関からの諮問に対象公文書の脱漏があり、手続及び結果が複雑になってしまったことは適切を欠いていたものと認められる。
対象となる公文書や処分の内容は処分を行った実施機関の内、担当所属が最もよく知り得る立場にあるのだから、担当所属においては、当事者としての責任をもって不服申立てに対応するよう望むものである。
また、条例を所管する県民センターにおいても、この様なことが再発することのないように、諮問手続き等の見直し等を計られるとともに、実施機関に対して適切な助言を願いたい。
第7 審査の経過
当審査会の処理経過は、以下のとおりである。
年月日 | 内容 |
---|---|
平成17年3月31日 | 諮問 |
平成17年5月9日 | 実施機関からの理由説明書を受領 |
平成17年11月16日 | 異議申立人からの意見書を受領 |
平成18年3月24日 (第121回審査会) |
審議 |
平成18年4月28日 (第122回審査会) |
審議(実施機関、異議申立人の口頭意見陳述) |
平成18年5月22日 (第123回審査会) |
審議 |
平成18年7月14日 | 答申 |
平成18年10月16日 | 実施機関より対象公文書の脱漏の報告 |
平成18年10月23日 (第3回審査会第一部会) |
審議 |
平成18年11月20日 (第4回審査会第一部会) |
審議 |
平成18年11月22日 | 脱漏のあった部分の答申 |
公文書名 | 非開示部分 | 該当条文 |
---|---|---|
居宅介護支援重要事項説明書 |
担当の氏名 |
条例第14条第2号該当(個人識別情報) |
通所介護重要事項説明書 |
担当の氏名(管理者を除く)、 |
条例第14条第2号該当(個人識別情報) |
従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧 |
従業員の氏名(管理者を除く) |
条例第14条第2号該当(個人識別情報) |
第1週から第4週までの日毎の個人の労働時間の記載部分 |
条例第14条第3号イ(法人情報) |
|
在宅ケアアセスメント表(問題領域一覧) |
すべて |
条例第14条第3号イ(法人情報) |
居宅サービス計画表(1) |
すべて |
条例第14条第3号イ(法人情報) |
居宅介護経過 |
すべて |
条例第14条第3号イ(法人情報) |
介護保険サービス連絡票 |
すべて |
条例第14条第3号イ(法人情報) |
答申第74号で判断した対象公文書 |
本来判断すべき対象公文書 |
今回追加で判断した対象公文書(答申第74号で脱漏した対象公文書) |
---|---|---|
平成14年2月21日付改善報告書 |
平成14年2月21日付改善報告書 |
|
平成15年1月17日付改善報告書 |
平成15年1月17日付改善報告書 |
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指定通所介護△△△デイサービスセンター利用計画書 |
指定通所介護△△△デイサービスセンター利用計画書 |
|
|
平成15年4月24日付改善報告書 |
平成15年4月24日付改善報告書 |
|
居宅介護支援重要事項説明書 |
居宅介護支援重要事項説明書 |
|
通所介護重要事項説明書 |
通所介護重要事項説明書 |
|
従業員の勤務の体制及び勤務形態一覧(△△△デイサービスセンター、△△△居宅介護支援事業所、△△△デイサービスセンター) |
従業員の勤務の体制及び勤務形態一覧(△△△デイサービスセンター、△△△居宅介護支援事業所、△△△デイサービスセンター) |
|
在宅ケアアセスメント表(問題領域一覧) |
在宅ケアアセスメント表(問題領域一覧) |
|
居宅サービス計画書(1) |
居宅サービス計画書(1) |
|
居宅介護経過 |
居宅介護経過 |
|
介護保険サービス連絡票 |
介護保険サービス連絡票 |