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公文書開示審査会答申第77号
「○○市◇◇(地区)△△(以下、特定地番)、△△、△△およびそれらの近傍で、平成17年1月6日当時、農地一時転用未申請であったが、その後現在に至るまで、農地法による一時転用申請が出され、許可が下りた土地に係る当該農地手続にかかる一切の書類。」の不存在決定に対する異議申立てに係る答申書
群馬県公文書開示審査会
第二部会
第1 審査会の結論
実施機関の決定は妥当であり、取り消す必要はない。
第2 諮問事案の概要
1 公文書開示請求
異議申立人(以下「申立人」という。)は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、群馬県知事(以下「実施機関」という。)に対し、平成17年7月4日付けで、「○○市◇◇(地区)△△(以下、特定地番)、△△、△△およびそれらの近傍で、平成17年1月6日当時、農地一時転用未申請であったが、その後現在に至るまで、農地法による一時転用申請が出され、許可が下りた土地に係る当該農地手続にかかる一切の書類。」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
2 実施機関の決定
実施機関は、平成17年7月19日、本件請求に係る公文書を「○○市◇◇(地区)△△(以下、特定地番)、△△、△△およびそれらの近傍で、平成17年1月6日当時、農地一時転用未申請であったが、その後現在に至るまで、農地法による一時転用申請が出され、許可が下りた土地に係る当該農地手続にかかる一切の書類。(以下「本件公文書」という。)」であると判断し、本件公文書について不存在決定(以下「本件処分」という。)を行い、公文書を不存在とした理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
○○市◇◇(地区)△△(以下、特定地番)、△△、△△およびそれらの近傍で、平成17年1月6日当時、農地一時転用未申請であったが、その後現在に至るまで、農地法による一時転用申請が出され、許可が下りた土地に係る当該農地手続にかかる一切の書類は存在しません。
3 異議申立て
申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、平成17年7月25日付けで、本件処分を不服として実施機関に対し異議申立てを行った。
4 諮問
実施機関は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成17年8月4日付けで、本件異議申立て事案の諮問(以下「本件事案」という。)を行った。
第3 争点(本件公文書の不存在について)
本件公文書は存在しないとした実施機関の決定は妥当であるか。
第4 争点に対する当事者の主張
争点(本件公文書の不存在について)
(1)申立人の主張要旨
請求した情報は、昨年来、焼却灰と思しき灰色の物質などが投棄されてきた場所に関するものであり、申立人は不法投棄ではないかとの疑念からその投棄情報を逐次詳細に、危険を顧みず実施機関に平成16年11月1日以来、通報し続けてきた。その結果、実施機関は、地権者からの聞き取り調査等の結果、搬入されている残土は公共工事から排出された残土であることが判明したとして申立人に平成17年6月27日までに回答している。
通常では、このような農地の改変は残土等の搬入はできないことになっている。にもかかわらず、建設工事会社数社が大型ダンプで土砂を搬入したことは、貴殿が農地法による何らかの処分をしていなければならない。
もし、当該書類が不存在であるとすれば、農地転用の申請手続きを経ずに残土の搬入を行うことはできないはずであり、当該残土は不法投棄であるということができる。
よって、本件処分は為されているはずであり、本件処分に関する情報も存在しなければならないから、不存在を理由に非開示とすることはできない。
不法投棄を黙認するのか、農地法違反を黙認するのか、どっちか態度を決めることが、実施機関に課せられた使命である。
(2)実施機関の主張
本件請求に係る地域において、平成17年1月6日から公文書開示請求されるまでの期間において、農地転用に係わる申請等はなされていないので、開示請求に係る公文書は存在しない。
第5 審査会の判断
1 争点(本件公文書の不存在について)
(1)本件公文書について
本件公文書は、開示請求書及び申立人の主張から判断して、○○市◇◇(地区)△△(以下、特定地番)、△△、△△およびそれらの近傍で、平成17年1月6日から現在に至るまでに農地法による一時転用申請が出され、許可が下りた土地に係る当該農地手続にかかる一切の書類であると認められる。
申立人は、農地転用の申請手続きを経ずに残土の搬入を行うことはできないはずだから、農地法による何らかの処分は為されているはずであり、本件公文書は存在しなければならない旨の主張をしている。このため、本件公文書の存否について、以下のとおり検討した。
(2)本件公文書の存否について
審査会が実施機関に、本件公文書が不存在であると判断した具体的な根拠について確認したところ、○○市◇◇地内で平成17年1月6日から平成17年7月5日(開示請求日)までの間に、実施機関に対して農地法による一時転用申請はなかったためであるとのことであった。そこで、このような実施機関の判断が妥当であるか否かを検討する。
まず、開示請求書に記載された「近傍」の範囲であるが、申立人が「近傍」の範囲を明確に指定していないことからも、実施機関が開示請求書に記載された地番を含む○○市◇◇地内の全てを探索の範囲としたことは、著しくその範囲を狭めているとは言えず、合理的なものと認めることができる。
次に、本件公文書の対象となる期間についてであるが、条例の解釈・運用としては、開示請求時点において実施機関が保有しているものを公文書とするのが相当である。よって、対象となる期間は開示請求書に記載された平成17年1月6日から開示請求を収受した平成17年7月5日までの期間であると認められ、実施機関が当該期間の文書を探索したことは妥当であると認めることができる。
(3)結論
以上のことから、本件公文書が不存在とする実施機関の説明に特段不合理な点は認められないため、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
なお、申立人はその他種々主張するが、本答申の判断を左右するものではない。
第6 審査の経過
当審査会の処理経過は、以下のとおりである。
年月日 | 内容 |
---|---|
平成17年8月4日 | 諮問 |
平成17年9月14日 | 実施機関からの理由説明書を受領 |
平成17年10月12日 | 異議申立人からの意見書を受領 |
平成18年7月20日 (第1回 第二部会) |
審議(本件事案の概要説明) (異議申立人、実施機関の口頭による意見聴取) |
平成18年9月4日 (第2回 第二部会) |
審議 |
平成18年10月23日 (第3回 第二部会) |
審議 |
平成18年11月1日 | 答申 |